とくせいとは、ポケモンが持ってる不思議な力のことである。地味だが時にはバトルの行方を左右するものや、始めから戦略に組み込まれるものなど多数。
P2ラボ 地下研究所
P2ラボの地下研究所では、順調に『究極のトレーナー』の制作が進んでいた。縦長の円柱をしたカプセルに満たされた褐色の液体に、10歳くらいの黒髪の少女が浮かんでいる。
「この液体はなんだ?」
「ざっくり言えば栄養だ。オリジナルは栄養失調故にポケモンと話せる程度で終わり、超能力など真の実力を発揮してないんだと私は判断した」
2人の研究者がカプセルを眺める。少女の頭部には大型の機械が付けられ、その機械は稼動してるようだ。
「身体の作成と共に、作成中の脳に速やかに情報を書き込む。普通じゃこんな真似できんが、人造でこうして育てる人間には可能だ」
「教育せずに即ロールアウトできるんですね」
機械が停止し、少女を解放する。褐色の液体がカプセルから引いていき、カプセルが開く。少女はフラフラとしばらく歩き、研究所の冷たい床にペたりと座る。
「ゲーチス謹製の、王の伴侶となるための教育プログラムだ。力を見せてもらぶっ!」
研究者が少女に語るも、一緒にして吹き飛ばされ、壁に減り込む。他の研究者達もここにいるものは皆、強い重力で押し潰された。
「人間……始末しなきゃ…」
「どういうことだばぁ!」
突然の出来事に研究者達は混乱し、押し潰される。ゲーチスが作ったプログラムはNの思想に賛同する人間を作るもの。しかし、ピュアでイノセントなNの思想を人造人間が理解できるはずもなかったのだ。
「っ……」
少女はしばらく研究者達を超能力で抑え付けたが、頭に鈍い痛みが走って超能力が途切れる。濡れたままで、何も着てない。そのため、空調で乾いた水分が少女から熱を奪い、身体を冷やした。
こういう時は何をするか、少女にはわかっていた。少女はシャワールームへ向かう。
しばらく廊下を歩くとシャワールームがある。脱衣所があるが、裸身の彼女には脱ぐ服などない。湯舟もあるので性格にはバスルームに近いだろう。シャワーのノズルを捻り、水を出した。複数のノズルを操作し、水をお湯に変える。
「水、冷たいのに、温かい」
少女は指先でシャワーから流れる水を弄んだ。指の間を縫う様に擦り抜ける水。それが彼女の心を奪う。
数時間前 ヒオウギシティ 展望台
「これがあなたのパートナーになるポケモン達だよお」
ヒオウギシティは展望台で有名な町である。ベルはそこにいる2人の新人トレーナーに、パートナーとなるポケモンを渡していた。アッシュに以前渡した分のポカブを補充してツタージャ、ミジュマルと並べる。
「じゃあ俺はこいつだ」
「私はツタージャで」
新人トレーナーの少年、キョウヘイはポカブを、同じく新人のメイはツタージャを選ぶ。アッシュ、そしてキョウヘイとメイの2回連続で選ばれなかったミジュマルはショックで硬直する。
「まあ、今度頑張れよ」
ヒュウはミジュマルを励ます。ミジュマルを手持ちに加えてるだけに、気にかけていた。
「あ、アッシュくんだ」
そこへ偶然、アッシュとヒカリが展望台へ登ってくる。ヒオウギは展望台が有名と聞いて来たのだろう。
「ベルさん。お久しぶりです」
「イッシュラリーは順調?」
「エンブレムが3つになりました」
アッシュとベルはシッポウで別れて以来の再会となる。アッシュは手持ちをすべて出した。チャオブーのマイン、レパルダスのマチルダ、ゴーゴートのトーゴ、ルリリのシャルルが手持ちとなる。
「ポカブが進化してる!」
「仲間も増えましたよ」
ベルはポカブの進化を喜んだ。仲間も4匹に増え、アッシュの成長が伺えた。
「あー!」
「どうしたのマチルダ?」
マチルダが突如、ヒュウを見て声を上げる。普段はクールな彼女が一体なんだろうか。
「ワタクシの親友をゲットしたのはコイツですわ! 若作りしてもわかりますの!」
「え? 確かにハリーセンみたいな頭だけど……」
「一体どうしたんだ?」
マチルダが暴れ出すため、ヒュウも覗き込んだ。とりあえずアッシュはマチルダが自分について来た理由をヒュウに話す。マチルダはトレーナーに捕まった親友を探しにアッシュの仲間となったのだ。ヒュウは理由を知ってとりあえず納得する。
「そうか。俺も探してるポケモンがいるんだ。頑張れよ」
「で、アッシュくんはこれからどうするの?」
「これからヒオウギジムでエンブレムの試練を受けに行くんです」
「ってことはチェレンのところね。チェレンは強いから頑張ってねえ!」
ベルの応援を受け、アッシュとヒカリはヒオウギのジムに向かう。トレーナーズスクールの中にある変わったジムだ。スクールの関係者が開くジムとしては、ホウエンのカナズミジムも有名である。
「学校かぁ、なんか緊張するなー」
「たのもー、って入ったら?」
ヒカリのアドバイスを受け、アッシュはスクールに入る。学校に行ったことのないアッシュとしては、未知の空間である。
「たのもー!」
「君がアッシュ君だね? ベルから聞いたよ」
アッシュの声を聞き、チェレンが中から出て来る。チェレンはスクールの教師とジムリーダーの二足の草鞋を履く人物である。基本的にイッシュのジムリーダーは兼業をしている。サンヨウのデント達はレストラン経営、シッポウのアロエは博物館の館長、ヒウンのアーティとタチワキのホミカはアーティスト。
「イッシュラリー挑戦なのはわかってるけど、まずはスクールを見学しないかい?」
チェレンの提案で、アッシュとヒカリはスクールを見学することになった。アッシュはよく知らなかったが、イッシュにはサンヨウにもトレーナーズスクールがある。
「このスクールはアデクさんの提案で建てられたんだ。アデクさんは若い世代の育成に熱心でね。って、うわあ!」
「なるほど」
チェレンはスクールを案内した。黒板にはとくせいのことが書いてあり、それを見たチェレンが慌てて黒板を消した。
「ふー、危ない危ない」
「え?」
「エンブレムの試練がとくせいに関わることなのを忘れていたよ」
チェレンが黒板を消したのは、エンブレムの試練に関係があったからだ。試練直前に内容がバレたら危ない。
「とくせい? タイプ相性ならシンジに聞いたけど……」
「ポケモンの持つ不思議な力だよ。最近では特別なとくせいを持つポケモンがいるみたいなんだ」
アッシュはあまりとくせいを知らなかった。とくせいはチェレンの言うように、ポケモンが持つ不思議な力である。その力は天候さえ書き換えることも可能だ。
「じゃ、早速試練をしようか。見学はやっぱり後にしよう。これ以上見るとまたボロが出るかも……」
チェレンは不慣れさを全開にしつつ、試練に移る。なかなかに初々しい。
アッシュ達は校庭に向かう。そこにはバトル用のフィールドが簡単に2つほど設けられていた。石灰でラインを引いた簡素なものである。
「では、ルールを説明するよ。3対3のシングルバトルだ。とくせいだけは始めにチェックさせてもらうよ」
今回使えるポケモンは3匹のみ。アッシュはボールを図鑑にかざしてとくせいを調べ、バトルに出す3匹を決めた。
「トーゴはとくせいのデータが無いね。だったら、マインとマチルダ、シャルルを出そう」
「準備はいいかい? バトルスタートだ。いけ、ヨーテリー!」
「ノーマルタイプなら、マイン!」
相手がノーマルとわかれば、アッシュはマインを繰り出す。格闘タイプはノーマルに強いのだ。しかし、チェレンは一筋縄ではいかない。彼はアッシュの手持ちのとくせいをチェック、それを利用する様に仕向ける。
「ヨーテリー、でんじはだ!」
「え?」
ヨーテリーは毛の静電気を利用してでんじはを撃つ。マインは麻痺してしまった。
「ノーマルタイプは技の豊富さが魅力。弱点の少なさと合わせて考えることが多いから面白いんだ」
「戻って、マイン!」
アッシュは分の悪さを感じてマインを戻す。麻痺なら、アッシュの手持ちにとくせいで防げるポケモンがいた。
「でんじはは電気タイプの技、それを防ぐにはひらいしんやちくでん、でんきエンジンが有効だけど、アッシュは電気タイプ持ってないのよね。地面タイプも」
ヒカリはでんじはの防ぎ方とアッシュの手持ちを照らし合わせて、不利を感じた。地面タイプなら電気を無効化できる。電気を利用するとくせいでも同じ。こうしたポケモンを麻痺させるには、へびにらみが有効だ。
「マチルダ!」
「ヨーテリー、もう一度でんじはだ!」
アッシュはマチルダに交代。チェレンは交代を読んででんじはを使う。しかし、マチルダのとくせいはじゅうなん。麻痺にならないのだ。
「うん。そのチョイスは正解だよ。でんじはは技マシンもあるし汎用性が高いから対策に地面やでんきエンジンを使いがちだ。でも、じゅうなんはへびにらみやのしかかりによる麻痺も防げる」
チェレンはマチルダのとくせいを見越してでんじはを撃っていたのだ。交代を読んだ上でとくせいを利用して答え合わせとは、さすがだ。
「マチルダ! バークアウト!」
マチルダのバークアウトが直撃して、ヨーテリーは倒れた。進化系だけに、進化前より強いのは当然だろう。
「次はこいつだ!」
チェレンは次に、ラッキーを繰り出す。特殊技に強いポケモンで、特殊技のバークアウトをメインに使うマチルダには不利な相手だ。
「マチルダ、バークアウト!」
試しに撃ってみるが、全く効かない。
「マチルダ! だましうち!」
アッシュは物理技をメインに戦いを切り替える。しかし、ラッキーにはあまり効いていない。
「レパルダスは種族として物理技が得意だけど、強力な技を習得するのに時間がかかるからね。ラッキー、たいあたり!」
チェレンもレパルダスを手持ちに加えたことがある。ラッキーの重いたいあたりは従来のたいあたりを越えた威力で放たれる。
「戻って、マチルダ!」
マチルダは一撃で戦闘不能になる。次にアッシュが出したのは、意外なポケモンだった。
「シャルル! とにかく1番強い技で!」
次のポケモンはシャルル。アッシュの指示で、シャルルはラッキーを持ち上げる。そのまま投げて攻撃、これはかいりきだ。
「前に旅先で土木工事手伝った時、かいりき覚えたんだ」
「凄い!」
シャルルはルリリで、とくせいは『ちからもち』。物理技の威力が上がるのだ。あのラッキーを一撃で倒し、強さを見せ付けた。
「なるほど、やはりちからもちで突破したか。なら次は!」
チェレンが次に出したのはビーダル。ノーマルと水の複合タイプで、チェレンとしては珍しい選択だった。
「さあ、こいつの強さは圧倒的だ。どうする?」
「シャルルだけじゃ勝てない。だったら、あまえる!」
アッシュはシャルルにあまえるを使わせた。ビーダルの攻撃力が落ちるのだが、効果がアッシュやシャルルの期待以上だった。
「ビーダルのとくせいの1つ、たんじゅん。能力を変化させる技の効果が倍になるんだ。だからこんなことも、まるくなるだ!」
「マズイ! シャルル、かいりき!」
ビーダルがまるくなる前に、シャルルがかいりきで投げ飛ばす。通常より防御が高くなるまるくなるを防いだが、あまりダメージを受けていない。
「ビーダル、ロッククライム!」
ビーダルが地面を強く掴み、力強くかつ速くシャルルに突進する。シンオウ独特の秘伝技、ロッククライム。崖を登るための技だ。
「シャルル、かわしてあまえる!」
シャルルは避けてあまえるを使う。かなりビーダルの攻撃力が下がったはずだが、シャルルは旋回してきたビーダルに撥ねられる。
「戻って、シャルル! マイン!」
シャルルが倒れ、アッシュの手持ちは麻痺したマインのみに。フィールドでは、ビーダルが凄まじいスピードで走り回る。
「ピンチだ…どうしよう」
「気合いじゃあぁ!」
かなりのピンチ。しかしマインはやる気に満ちている。マインの体が炎に包まれる。
「もうかだ! ピンチの時に発動するとくせいか」
「あのゴウカザルと同じってわけね!」
マインはもうかを発動。ヒカリも馴染みのあるとくせいではあった。しかし、あのゴウカザルが特別なだけでマインはそこまでのパワーを出していない。
「なんか新技増えてる。試してみよう!」
図鑑で新技を確認したアッシュは、それを試すことに。もうかで火力が上昇し、使えなかった技もコツを得て使えるようになったのだろう。
「マイン、はじけるほのお!」
新技は『はじけるほのお』。炎の弾を口から撃ち出し、それが地面に着弾すると弾けた。これなら多少狙いが逸れても当たる。本来なら覚えない技だが、もうかの力で擬似的に使えるのだろう。つまり、実質やたら弾けるひのこだ。
弾けた火の粉に当たったビーダルは火傷して動きを止める。火傷してると攻撃力が落ちる。
「ビーダル、いわくだきだ!」
「マイン、つっぱり!」
チェレンがビーダルに指示を出す。このままロッククライムで暴走してもじり貧、一気に決着を付けるつもりだ。アッシュもつっぱりで対抗させる。
「何!」
ビーダルのいわくだきをマインの右手のつっぱりが弾く。あまえると火傷で攻撃力が落ちていたのだ。そして、左手のつっぱりがビーダルを突き飛ばす。
「もう一押し!」
アッシュの掛け声と共に、マインは右手のつっぱりをもう一度ビーダルに当てる。ビーダルは倒れた。
チェレンはビーダルをボールに戻し、アッシュに歩み寄る。
「よし、試練終了。じゃ、このエンブレムをあげよう。ベーシックエンブレムだ」
「ありがとうございます」
チェレンはアッシュにエンブレムを渡す。色こそ銀一色だが、デザインはベーシックバッチのものだ。トキシックエンブレムやトライエンブレムも同様だった。
「これでエンブレムは4つ。トライ、ミュージアム、トキシック、そしてベーシック。なかなか順当なチョイスだね、トキシック以外。でも、多分クエイクエンブレムは最難関じゃないかな?」
「最難関? どういうこと?」
チェレンはクエイクエンブレムを最難関と呼んだ。ヒカリはクエイクエンブレムの番人をホドモエジムのヤーコンだと知ってはいたが、よくわからずに首を傾げた。
「ヤーコンさんの本気を越えなきゃいけないからね。6対6のフルバトル。今から用意してもいいんじゃないかな?」
ヤーコンはどうやら、本気の自分に勝てる相手を探しているらしい。アッシュは元々、ハハコモリとレントラーを探す一環で参加してるだけなのであまり興味が沸かなかった。ただ、マインはやる気に満ちていた。
数時間後 P2ラボ シャワールーム
「あったかい、気持ちいい……」
ラボの地下研究所にあるシャワールーム。そこには長期間の研究で肩凝りなどを引き起こした研究者の為に湯舟もあった。少女は湯舟にお湯を満たし、冷え切った身体を温めた。お湯と一緒にか細い身体を抱くと、温もりに包まれた。
「水って、いいものね」
そうしてるうちに、少女の瞼が重くなる。眠ってしまわないように、彼女は湯舟を出てシャワールームの脱衣所に向かう。濡れたままでは、また柔らかい肌に付いた水滴が空調で乾き、体温を持っていく。バスタオルで身体を拭くことにした。
「服……」
しかし、何も着るものがない。乾燥機を見ると、研究者のものだろうワイシャツがあった。洗濯の後に乾かしたのか、綺麗な白だった。少女はそれを着ると、シャワールームを出た。
「お腹減った」
次に彼女が感じたのは空腹。給湯室に向かうと、冷蔵庫を漁って食べ物を探す。
ずぼらな研究者達が集まる場所のこと、料理するスペースも無ければ食材も無い。あったのは缶ビールとおつまみだろうジャーキーやチーズと柿の種。常温保存のものまで冷蔵庫に突っ込む始末だ。
ペたりと冷たい床に座り、手に入れた食べ物を並べる。とりあえず、適当な物を選んで封を開ける。細い指で食料をつまみ、小さな口に運ぶ。唇が唾液で濡れて光を反射する。
「おいしい」
少女はジャーキーとチーズを口にする。これが非常に美味で、彼女はすっかり気に入った。冷蔵庫にある分全て食べてしまおうとも考えたが、好奇心が勝って柿の種に手が伸びる。
「種?」
名前から種だと思ったが、食べると辛い。辛いと知らずに食べた為、かなりの量を口に入れてしまった。慌てて辛さを抑えようと、ビールを開けて飲み干す。缶のプルタブに苦戦したが、何とか空けられた。
尋常ならざる苦さだったが、辛いよりはマシと全て飲んだ。
「あ…れ?」
しかし、手から空き缶が滑り落ちる。頭がボンヤリして回らない。少女はこれがアルコールを含んだ飲料、すなわち酒と知らなかったのだ。
「おかしいよ、頭が……」
千鳥足になりつつ、壁にもたれながら立ち上がった彼女は仮眠室へ向かった。心臓の鼓動が狂い、胸が苦しい。目眩もして、とても歩けない。
「あ、うぅ」
呂律も回らなくなり、足に力が入らなくなった頃。ようやく仮眠室にたどり着いた。
「ふぅ、はあっ、はあっ」
仮眠室に並んだ2段ベッドのうち、適当なものの下段に倒れ込む。ふかふかした布団に、沈み込んでいた。掛け布団すら一緒に下へ敷き、丸くなって眠る。
「おやすみ」
少女は寝息を立て、眠り始めた。地下ではわからないが、すっかり時間は深夜。今夜は満月。
同時刻 客船
「んっ……」
客船の客室で目を覚ました人物がいた。アーシェだ。船酔いに負け、シンオウに向かう客船に乗ったはいいがすぐに寝込んでしまった。
「起きちゃえば平気なのに……」
アーシェは起き上がり、すぐに身体をシーツで巻いて隠す。昔から寝る時はなるべく服を脱ぐ様にしていた。何が嫌でそうしたかは忘れた。さすがにポケモンセンターの宿泊ではそんなことしないようしている。
「お腹減っちゃった」
アーシェはシーツを巻いただけのままベッドから下り、部屋の冷蔵庫を探す。旅の道連れがいろいろ食べ物を買って入れてくれたのだ。
「これ好きなのよね。お酒飲まないけど」
その中からアーシェはジャーキーを見つけてベッドに戻る。その上で、暗闇の中1人ジャーキーを食べていた。
「何かが目覚めようとしてる……?」
アーシェは頭の奥に鈍い痛みを感じた。タチワキを出港してヒウンから客船に乗り換えたため、まだカノコ周辺だ。
「あっー! アーシェさん、またそんなだらし無い格好を!」
「いいじゃないかカスミくん。女同士なんだから」
部屋に戻って来たのが旅の道連れ、カスミである。水タイプ使い同士かつ旅の目的もレイジの救援と、何かと気が合ったので一緒の部屋で過ごしている。
「男のいる中で同じことするから気が抜けないんです! いいですか、サトシとかも来るので止めてくださいよ!」
「はいはい」
アーシェはカスミの忠告を聞き流し、ジャーキーを口に運んだ。おもむろにシーツを身体から剥がし、シャワールームに足を進める。
「寝汗流してくるわ」
「なっ……」
忠告を寝汗以上にサラリと流されたカスミは絶句した。こういう部分は合わないようだ。
謎が一つ目覚め、アッシュの旅もアーシェの旅もまだまだ続く。
灰色の疾風タイムライン
初日 『プロローグ』アッシュ、サブウェイで発見される。
2日目 『1.シッポウ博物館の激闘』
3日~4日 アッシュ、安静にしてる。
5日目 『2.ポケモンの子、アッシュ』
6日目 『3.催眠のスリーパー』
7日目 『4.エンブレムの試練』
8日目 『5.駆け抜けろ廃人ロード、逆襲のムックル!』
9日目 『6.新たなる進化、ニンフィア!』
10日目 『7.ヤグルマの森、ライバル登場!』『8.スカイアローブリッジの騎士』『9.ポケモンドクター、タケシ』
11日~12日 アッシュ、しばし入院。
13日目 『10.再会、ハハコモリ!』
14日目 『11.ヤンチャムの挑戦状!』
15日目 『12.海峡の海賊団』
16日目 『13.開幕、魂のコンテスト!』
17日目 『14.流浪のルリリ!』『15.チェレン先生のとくせい講座!』