ポケットモンスター 灰色の疾風    作:級長

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 トレーナーカード
 ポケモントレーナー キョウヘイ
 ポケモントレーナー メイ
 言わずと知れたBW2主人公ペア。イラスト投稿サイト界隈ではメイに注目が集まるが、エナツやルリを初めとする観覧車イベントが原因でキョウヘイもプレイ時はよく選択されるように。
 今作のイッシュは寒いのか、それなりの服装をしている。名前の由来は『共鳴』。作品のテーマでもあるらしい。キョウヘイの名前を考えた時、スタッフの頭にあの四天王が思い浮かんだだろうか……? いや、そんなはずは。ファファファ。
 キョウヘイはポカブ、メイはツタージャをパートナーに選択する。PVに準じて決定してみた。しかしキョウヘイさん、エンブオーとウインディじゃ炎被ってますぜ。エンブオーとルカリオも格闘被ってます。ルカリオは鋼のおかげでエスパーや飛行が弱点じゃないからいいけど。


17.ザンギ牧場、復活のプラズマ団?

 P2ラボ 

 

 まどろみから覚めた少女は、すっかり気に入ったチーズとジャーキーをつまみながらソファに座り、研究員達をひざまつかせていた。

 「あなたこそ、世界の王たるNさまの伴侶。どうぞ我等にご命令を」

 「あんまり気が乗らないなぁ。自分のペースで進められない」

 研究員をバッサリ切り捨て、彼女は用意された服に着替える。今の今までワイシャツだけしか着てなかったが、Nの伴侶ということでそれらしい衣服が与えられた。

 黒い上着と白いシャツはノースリーブ、カットジーンズという服装をした自分を確かめ、少女は知識の中からある人物を引き出す。

 「トウコ意識してるよね? これ」

 「帽子はN様とお揃いです。」

 ポニーテールにしてその尻尾を帽子から出すスタイルもトウコに由来したもの。少女はNがトウコに特別な興味を持っていたという知識を頭に浮かべた。

 

 同時刻 ザンギ牧場

 

 前日の騒ぎから一夜明け、旅を再開したアッシュとヒカリはヒュウを仲間に加え、ザンギ牧場にいた。

 「で、なんでお前らまで……」

 そこにキョウヘイとメイが付いて来て、かなりの大所帯になってしまった。

 「アデクさんが修業にピッタリだって。あ、リオルだ!」

 キョウヘイはアデクからここを教えられ、修業に来た。そして見つけたリオル目掛けて走り出す。ザンギ牧場にはリオルが少ないながら棲息している。

 「もう仲間捕まえちゃったもんね」

 メイは早速捕まえたメリープとコダックを抱え込んでいる。コダックは全ての地方に棲息するが、環境への適応力は並程度で、何故全ての地方に棲息してるか理由が不明だ。よく存在が『神のお茶目』とされるポケモンだ。

 「色んなポケモンがいるねー」

 「僕もここ出身なんだよね」

 アッシュとその頭に乗るルリリのシャルルが周囲を見渡す。

 ゴーゴートのトーゴは草を食べながら、メリープ達と話している。

 「そうだ、イッシュラリーについて聞きたいんだ」

 「そうそう、気になってたんだよね」

 ヒュウとメイはアッシュにイッシュラリーのことを聞く。アッシュはハハコモリとレントラーを捜索するついでに参加しただけだが、聞かれたことには答える。

 「予選がありまして、エンブレムを集めるんですよ」

 アッシュはエンブレムケースを開いて2人に見せる。現在、トライ、ミュージアム、トキシック、ベーシックの4つを持っている。

 「で、橋を全て渡ると手に入る『ブリッジエンブレム』はこれでスタンプ集めるんです。橋の両端にスタンプがあって」

 ブリッジエンブレム用のスタンプ帳も開く。スカイアローブリッジのスタンプがシッポウ側、ヒウン側両方押されていた。

 「なるほど、つまり、強くなるにはエンブレムを集めればいいのか!」

 「試練次第だよね、それ」

 ヒュウが簡単に纏めるも、コンテストの試練を受けてトキシックエンブレムを得たヒカリはツッコミを入れる。ビートルエンブレムに至っては、絵を描く試練だ。

 「おーい、ソミュア!」

 「何処にいるの?」

 牧場の経営者らしき夫婦が何かを探してこちらへ来た。とりあえずアッシュとシャルルは事情を聞く。シャルルはソミュアを知っているようだ。

 「ソミュアはヨーテリーのことだよ。知り合いなんだ」

 「どうしたんです?」

 「ヨーテリーのソミュアがいなくなってしまったんです」

 「何処に行ったのかな?」

 その話を聞いて、ヒュウが血相を変える。妹のチョロネコのことがあったからだ。

 「本気で心配してんのか? もっと探せよ!」

 「と、とにかく探しましょう」

 「そうね! みんなで探せば大丈夫!」

 メイとヒカリはヨーテリーのソミュアを探しに行く。ヒュウも行ったので、この場にはアッシュが残された。

 「フハハ! 明け渡してもらうぞザンギ牧場!」

 「間髪入れずに面倒なのが来た!」

 ヒュウ達と入れ代わりでリベレート団が現れる。シャルルはアッシュの頭の上で面倒がる。

 「今回は必ず渡す。なんていったって、ヨーテリーをポケ質にするからだ! 今、持ってくるとこだぞ!」

 「今持ってくるってことは、まだポケ質にされてないってことだね。早くソミュアを助けなきゃ。マイン!」

 アッシュはリベレート団の話を聞き、チャオブーのマインを出す。

 「マインとトーゴはここで時間を稼いで! マチルダ!」

 そして時間稼ぎを指示。レパルダスのマチルダをボールから出し、アッシュはシャルルとソミュア捜索に出る。

 「なんですの今度は!」

 「またリベレート団だ。早くソミュアを探さないとポケ質になっちゃう!」

 「こういうのって、事前に人質を用意しますわよね?」

 マチルダは事前に人質を用意せず、オマケに人質を使うことを予告したリベレート団に呆れる。卑怯な戦法一つ満足に出来ないのか。あまりに杜撰な作戦である。天下り団体だったのだろうかリベレート団。

 アッシュ達は勘で突き進み、小川まで出た。すると、怪しげな女性が嫌がるヨーテリーを抱き抱えているではないか。

 「ソミュアだ!」

 「スーツのバッチは、リベレート団!」

 シャルルがヨーテリーをソミュアと特定する。女性はスーツを着ているが、同じくスーツを着ていたシラコとは雰囲気が違う。金髪のせいだろうか。

 シラコとの相違点は髪色の他に、網タイツやハイヒール。シラコは肌色のタイツとパンプスだったとアッシュは記憶している。シラコが『働く女性』としてテンプレートな服装だったのに、彼女は働く気0にしか見えない。鼻をつく化粧品の臭いもシラコより強い。そこに下品な香水まで付けてるからたまらない。

 「お前は誰だ!」

 「私はブルジョワ伯爵の愛人、キャサリン。そう、あの人が妻より何より全てを費やす存在なのよ」

 「結局何だよ!」

 アッシュが珍しく強気に出る。しかし、キャサリンから帰ってきた答えはアッシュに意味不明であった。10歳の子供に愛人などわからない。

 「愛人ってのは、妻とは別に愛してる女性だよ」

 「持ってる人はだいたい人間のクズなんですわ」

 「なるほど」

 シャルルとマチルダのレクチャーでキャサリンがいかなる存在か、アッシュは把握した。

 「つまり浮気相手かー。たまたま見た昼ドラみたいな」

 「あんな架空と一緒にしない!」

 「とにかく、ソミュアを返してもらうよ! シャルル、バブルこうせん!」

 アッシュは容赦無くキャサリンにバブルこうせんを決める。この子供らしい躊躇い無さがアッシュ。ポケモンを傷付ける人間は許さないのだ。

 「くっ、こいつ!」

 バブルこうせんで押し倒されたキャサリンは川に落ちる。ソミュアは解放され、アッシュの下へ急いだ。

 「大丈夫だった?」

 「助かったよ!」

 アッシュはソミュアを抱き抱え、逃げる準備をする。キャサリンは逃がすまいとボールを投げてポケモンを出す。

 「ムウマージ、さいみんじゅつで眠らせなさい!」

 「マチルダ、バークアウト!」

 出てきたムウマージがさいみんじゅつを使う前に、アッシュはマチルダに攻撃させる。出てきたばかりのところをバークアウトで撃墜した。

 「クソ、覚えてろガキめ!」

 「マチルダ!」

 「わかってますわよ!」

 ムウマージを回収して逃げるキャサリン。アッシュはまた容赦無くマチルダに指示を出す。恐らく、生理的にキャサリンが嫌いなのだろう。若干キャサリンの方が色濃いとはいえ、タイプが自分を虐待していた母親のシラコと被るからだ。

 「ここから、出ていけー!」

 「外見飾るより、内面磨いて出直しなさい!」

 マチルダの最大出力バークアウトでキャサリンは吹き飛ばされる。恒例の吹っ飛ばしで星になったのだ。

 満足したアッシュは仲間達と合流することにした。

 「アッシュの好みがだいたいわかりそうですわ、今ので」

 「飾らない女性がタイプだね」

 「わかるー。化粧品の臭いってキツイのよね。整髪料も」

 マチルダ、シャルル、ソミュアが歩きながらガールズトークを展開する。そういえば、一人称こそ『僕』だがシャルルはメスだったとアッシュは思い出した。別に口調で判断しなくても、図鑑の機能でわかる。

 「助け出したよ」

 「なるほど、ポケ質か」

 最初に合流したのはヒュウ。リベレート団と聞いた彼は何も言わず、すぐに夫婦のいる場所へ向かった。

 「メリープって美味しいのかな?」

 そんなことを言ってたのはメイ。ポケモンを食べるなんてとんでもない。旧世紀の肉に当たる食材は、現在『ミートの実』という不思議な木の実である。ポケモンも食べれなくないが、大変マズイ。骨を海に流す必要もあったらしい。そうすることで再び肉を付けて帰って来るとか。

 「見付かったんだ!」

 次はヒカリと合流。キョウヘイは話を聞かずにいなくなったので、そのまま探さずに夫婦と合流することとした。多分、キョウヘイも帰ってるだろう。

 「そんなことが……」

 「おお! 助けてくれたんだ、ありがとう!」

 こうして事件の渦中から見事外れたキョウヘイ含め全員が集合。ソミュアを無事取り戻した。

 「言ってくれればよかったのに」

 「リオル捕まえに行っちまっただろお前」

 キョウヘイは不満げに言っていたが、勝手にいなくなったのだから仕方ない。しかし、そんな彼の不満を解消するために来た様な奴らが現れた。要するにやられ役。

 「プラズマ団! 助けて下さい」

 「まったくお前らは仕方ないな」

 プラズマ団が現れたのだ。リベレート団が実質プラズマ団の下位組織なのだから不思議は無い。

 「リベレート団みたいな金持ちに支えられ、俺達の活ど」

 「黙れよ」

 朗々と語るプラズマ団に向かって、ヒュウが威圧する。妹のチョロネコをさらわれた彼には、プラズマ団というだけで抹殺の対象になりうる。

 「俺は今から怒るぜ!」

 「もう怒ってるじゃん」

 「フタチマル! れいとうビーム!」

 ヒカリの指摘は封殺しつつ、ヒュウはプラズマ団に向けてれいとうビームを使った。

 「新しい仲間の試し時よ! メリープ、ほうでん!」

 「こっちはポカブ、ひのこだ!」

 メイがメリープにほうでん、キョウヘイがポカブにひのこを指示させる。

 「マンムー! こおりのつぶて!」

 「トーゴ! ソーラービーム!」

 そこに桁違いの2発が入り、全てを巻き込んで一つの技になる。れいとうビームで氷に閉じ込められた雷と炎、そこに巨大な氷塊とビームがぶつかる。

 「あわわわわ! プラーズマー!」

 氷がソーラービームを乱反射し、雷と炎も解放される。要するに大爆発を巻き起こし、プラズマ団もリベレート団も残らず何処かへ飛んでいった。

 「いやー、ありがとうございます」

 夫婦はプラズマ団を追い払ったアッシュ達にお礼を言う。ソミュアを見つかり、これで万事解決である。

 「ソミュアもアッシュ君のポケモン達が気に入ったみたいだね」

 ソミュアはすっかりアッシュの手持ちに馴染んでいた。そこで夫婦はある提案をアッシュにする。

 「アッシュ君。ソミュアを育ててみないかい?」

 「え? ボクがですか?」

 「そう。ソミュアも君が好きになったみたいだし、君なら立派なムーランドに出来るよ」

 夫婦はアッシュにソミュアを育ててほしいのだという。意外な提案であるが、マチルダ達と仲がよくなったので悪くないと思っていた。

 「わかりました。ソミュア! これからよろしくね」

 アッシュはソミュアを抱き上げる。これで彼の手持ちは5匹になった。

 「チャオブーにレパルダス、ゴーゴートにルリリ、それにヨーテリー。なかなかいいチームじゃない」

 ヒカリは並んだアッシュの手持ちを見る。古参のマインとマチルダは進化しているが、入ったばかりのシャルルはまだルリリ。

 「仲間増やしたのか。相変わらずゲットじゃないけどな」

 「無理矢理連れていくことはしないよ」

 マインはずっとアッシュと一緒にいるのだが、彼が1回も他のトレーナーと同じプロセス、弱らせての捕獲をしていないことに気づいた。それをしないのがアッシュである。

 「じゃあ、俺達はヒオウギに戻るぞ。ベーシックエンブレムに挑戦だ!」

 「じゃあな!」

 「またね!」

 ヒュウ、キョウヘイ、メイの3人はヒオウギに向かう。まずはベーシックエンブレムの取得を目指すのだ。

 「私達はタチワキに戻りましょう。私はそこから船に乗ってアーシェさんに追いつかないと」

 「うん」

 アッシュとヒカリはタチワキへ行く。出会いがあれば別れもある。ヒカリはアーシェを追ってシンオウ地方のトバリへ向かい、シンジの兄、レイジの育て屋をリベレート団の魔の手から守る戦いに加わるのだ。

 「そこでお別れだね」

 「あとからヒュウも追い付くし大丈夫大丈夫!」

 ヒカリと別れれば、アッシュはしばらく1人での旅になる。タチワキでヒュウを待つにしても、ベーシックエンブレムを手に入れて追い付くにはしばらくかかるだろう。

 「あとのことはタチワキに着いてから考えるよ」

 「それじゃ、いきましょう」

 アッシュとヒカリはタチワキに向かって歩き出す。レントラーを探すアッシュの旅は、まだまだ続く。

 

 豪華客船 レストラン内

 

 「お姉ちゃん食べ過ぎだよ」

 「不客气。ほんのお礼よ」

 豪華客船にはレストランが当然ある。『ホウエンの舞姫』ことハルカとその弟、マサトはそこで食事をしていた。コーディネーターとしての武者修業をしていたハルカは、途中で豪華客船のオーナーにスカウトされてショーをすることにした。

 そのオーナーがハルカとマサトに対して、中華料理屋に有りがちな丸い机を挟んで対面する女性、ジャスミンである。ラーメンをひたすら食べ続けるハルカを、微笑ましく見守る。

 「新しいステージの構成が見えて来たわ。コーディネーターにショーをしてもらうのよ。『ラルースの貴公子』に『緑の麗人』、それにヒカリさんとも知り合いでしょ?」

 「はい。凄いショーになりそうです」

 ハルカはジャスミンの着想を聞き、素直に感嘆する。しかしながら、『ラルースの貴公子』シュウは「コンテストで決着付けたい」とか言いそうで、『緑の麗人』ハーリーはまともに協力してくれそうにはないので難しく感じた。ヒカリくらいだろうか、この手の話に乗るのは。

 「あ、ヒカリっていったらタチワキのコンテストで優勝したそうですよ」

 「ペアが僕より年下に見えたけど、本当にトレーナーなの?」

 ハルカはヒカリの近況をニュースで聞いていた。マサトはヒカリの相方だったアッシュに年齢詐称疑惑を持ち出す。アッシュは一般的な10歳より小さく、かつマサトが旅馴れたサトシやお姉さんのハルカを10歳の基準にしていたせいでもある。マサトの知る10歳は普通より大人びている。

 「アッシュくんはポケモントレーナーらしいわね。でもなければコンテスト、ましてやイッシュラリーに参加出来ないでしょうし」

 「会ってみたら印象変わるかな?」

 ジャスミンはブルジョワ伯爵の下で働くだけあり、リベレート団に敵対するアッシュの情報は万全だ。この豪華客船はブルジョワ観光の所有物だったりする。彼女はリベレート団などどうでもよく思っているのだ。

 「ヒカリさんとアッシュくんはタチワキからザンギに向かったから、どのみちタチワキに戻ってくるわ。楽しみにしててね。2人が飛び付くイベントを用意してるわ」

 ジャスミンがレストランのある方向を見る。そこには若い男性と、傍にはレントラーが佇んでいた。




 ジャスミンの中国語講座

 ジャスミンの使う言葉にはいくつか中国語が混ざっている。作中では彼女の地方の方言ということになっている。
 以下で意味を解説する。複数意味があるものは劇中でジャスミンが使用した意味で乗せる。
 常常 いつも
 漂亮 綺麗
 不客气 気にしないで
 謝謝 ありがとう
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