ねがいごとポケモン
エスパー、鋼タイプ
清らかな声で歌を聞かせてあげると千年の眠りから目を覚ます。人の願いを何でも叶えるという。
カナズミシティ ヴァイオラの別荘
ヴァイオラの父親、ラベンダーはカナズミシティに別荘を持っている。仕事の都合で赴任した際、家族ごと引っ越すために建てたのだ。構造も本邸と似ている。
「うーん」
今日は七夕。ラベンダーがデボンの重役を集めて七夕パーティーをしていた。その中をヴァイオラは一人抜け出し、テラスで星を眺めていた。紫に紫陽花柄の浴衣を着ていた。
「頭痛がする」
ヴァイオラはこの日、頭痛に悩まされていた。何かを記憶の奥底から刺激されている様な感覚に悩まされる。新聞の報道によれば、今年がジラーチの目覚める時に当たるそうだ。まさかそれが関係しているわけではないだろう。
「うーん、調子悪いな……」
「大丈夫ですか?」
そこにダイゴがやって来る。ダイゴはデボンコーポレーション社長の息子で石集めが趣味。一応チャンピオンであるが、石集めが優先の模様だ。
「あ、大丈夫です。ちょっと頭痛がしただけ……」
「そうですか」
2人は並んで空を見上げる。千年彗星が綺麗に煌めいていた。この彗星が見える年にジラーチは目を覚ますのだ。
「なんだろう、あの彗星、初めて見るのに懐かしい感じ……」
「もしかして、前世で見てるのかもね」
ダイゴは冗談を言ってみる。しかし、ヴァイオラは頭にある光景が浮かんでいて返しを入れられなかった。
何処か遠い記憶、千年彗星が浮かぶ夜、光り輝くポケモンに出会った。その時自分は貧しさで衰弱していた。そして、朦朧とした意識でポケモンに呟いたのだ。
『次生まれるなら……こんな食べるものもない土地じゃなくてお金持ちの家に…』
「有り得るかも」
「え?」
ヴァイオラはダイゴの冗談を本当のことと捉え始めた。ジラーチは願いを叶えるポケモン。もしあのポケモンがジラーチなら、あの時の願いを叶えてくれたのかもしれない。
「ちょっとスッキリ。私、部屋に戻るわ」
「待って!」
ヴァイオラはテラスにダイゴを置いて部屋に戻ろうとした。そこをダイゴに引き止められた。
「何?」
「これを持っていてくれ。君のストライクに」
ダイゴはヴァイオラの手にメタルコートを乗せる。ヴァイオラのストライクをハッサムに進化させろという意味なのだろうか。
「ありがとう、大事に使う」
そんなロマンチックなやり取りが繰り広げられている同じ空の下、キンセツ郊外の育て屋で空を見上げる一人の青年がいた。
「千年彗星は千年に一度、7日間しか見れない貴重な天体。実にラッキーだ」
その青年、エルトが大学でヴァイオラと出会うまで後、1年も掛からなかった。
道具解説
メタルコート
ストライク、イワークに持たせて通信交換するとハッサム、ハガネールに進化する。鋼タイプに持たせると鋼技の威力が上がる。
持たせて通信交換で進化はこれが初めて。DP以降でも持たせて通信交換はあるのだが、戦闘中も交換がある通信交換進化アイテムはこれとパールル関係のみ。