ポケットモンスター 灰色の疾風    作:級長

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 遂に発覚したポケモンXYの新情報! 旧作のポケモンを連れてくるには金が必要だと?
 金はいい! 一年で500円なら究極のジョジョゲー(笑)よりマシだ! しかし俺にはゲームを繋ぐネット環境が無いのだ!
 10年連れ添った相棒をどうするのよオレ! 続く!


27.狂気、オリジナルイヴの野望!

 クロガネシティ 診療所

 

 「あなたは間違いなく健康そのもの。だけど、クローンなの」

 「え?」

 イヴはメイディから、衝撃の事実を告げられた。衝撃など生温い、自分がクローンだと言われたのだ。イヴもクローン技術は知っていた。カントーでフジ博士が発明し、今やありふれた技術となっている。

 有名人のクローン説など、よくある都市伝説だ。

 「私が……クローン?」

 「そうなの。私もクローンの人を診察したことがあって。まだ確定したわけじゃないけど同じ感覚が……」

 イヴは呆然とした。クローンだと、自分の記憶が本物かすら危うい可能性もある。カントーやジョウトにおいてはクローンは許可を得た人間しか作れず、その大半が著名人の影武者として本人の記憶を移植されている。培養すれば本人と完璧に同じ姿に出来る。また、クローンに人権は無い。

 普通の人間なら『あなたはクローンだ』と言われても馬鹿げてると一蹴出来る。しかしイヴは自分にそっくりな人間、曖昧な記憶と心当たりが多過ぎる。

 「クローンって、誰のなの?」

 「いや俺はそれよりお前の診たクローンが気になる。詳しく」

 エルトはイヴに混乱を招かぬよう、話を反らす。まだメイディにとっては可能性の話だが、イヴは自分に似た人物を目撃している。エルトもイヴのオリジナルに察しはついているので、話を反らす方向へ行く。

 これ以上クローンに追求してもイヴが傷付くだけだ。メイディも隠し通せぬと判断して話したに過ぎない。

 「うーん。よく思い出せない。あっ! あなたに随分似ていたわ。金髪だし、若い時はそっくりかも。そのコート着てるとかね」

 「ダニィ?」

 メイディが素っ頓狂なことを言うので、エルトも驚愕。またまた奇妙な話もあるものだ。エルトはメイディが自分もクローンとか言い出さないか不安だった。メイディの診察の正確さ的な意味で。

 「何でも、昔付き合った人が自分の子供を産んだまま行方知れずになったから探してるって。付き合ってた人は見つけたけど、肝心の子供はいなくて……。付き合った人が行方をくらましたのもその人がクローンだったからって」

 「チッ、通りで銀髪家族の中で俺だけ金髪なわけだ。俺はギンとも両親とも顔立ちが似てなかったしな」

 メイディの話を聞き、エルトは思い出したくもない家族の顔を思い出す。否、エルトにとって家族は育て屋夫妻なので赤の他人の顔となる。両親、ギンは銀髪だが、自分だけ金髪なのを思い出した。

 「なんか有り得るゥ! 実の息子にしないことしかしねぇもんなあいつらはよぉ! 次会ったら焼こう!」

 エルトは出生の秘密に触れながらも、軽くスルーした。つまりエルトとギンは父親違いの兄弟だったのだ。妙に、息子の内臓を売る行為にも納得出来てしまう。

 メイディの話を総合的にまとめると、エルトに似ている男性はクローンであり、昔付き合った女性との間に子供がいた。しかし、彼がクローンであることが女性にバレ、女性は行方をくらました。エルトに似てない家族、似てる男性とくれば、実はその男性がエルトの父だったとかそんな話が容易に想像できる。

 しかしこれもあくまで可能性。すでに育て屋夫妻を家族とするエルトには関係無い。

 「そいつは今どうしてる? 行き先はわかるか?」

 「あ、見付からなかったらヒワダの友人に世話になるって言ってた」

 「そうか」

 エルトは話を聞くだけ聞いた。自分は育て屋夫妻の子供だというアイデンティティが既に確立されてる彼は、自分の本当の父親が出現しても慌てなかった。

 「イヴ、気にすんな。クローンなんてただの可能性だよぉ。もしクローンでもそれがどうした?」

 「で、でも……」

 イヴの混乱は止まらなかった。思考を様々な言葉が巡る。オリジナルは何の為に自分を作ったのか、自分はどうして生まれたのか。

 「外でも歩いて気分変えよう」

 「あ、う……」

 エルトは手を引いて無理にイヴを連れ出す。とにかくこの話を忘れさせなければ。八賢老の根城にオリジナルらしき奴がいたとなれば、今回の事件と無関係ではなさそうだ。

 (イヴを作ったオリジナルの目的か。わからんな)

 「……」

 しばらく町を歩いてみたが、イヴは口を開かない。よほどショックなのだろうか。失った記憶を辿った結果がクローンだ。

 「どうした?」

 イヴは突然、エルトの腕にしがみつく。そして肩を震わせている。エルトはイヴの涙のわけを察し、適当なベンチに座った。今は気持ちの整理も付かないだろう。

 思えば、これが始めてイヴの流した涙になる。普通の子供なら両親とはぐれて右も左もわからない土地に投げ出された時点で泣き喚くだろう。それもすべて、両親に関する。記憶が曖昧だったおかげで避けられた。

 エルトは黙ってイヴに付き合った。子供嫌いの彼だが、イヴは別だった。子供嫌いも、甘える子供を弟に重ねてしまうためであり、イヴのように影のある子供は自分と重なるため逆に放っておけないのだ。

 泣いていても現状は変わらないとしたり顔で言う大人もいるが、子供は自分で状況を打破する力など無い。そもそも僅かな力さえ大人に踏みにじられるのだ。

 『親だから子供になんでもしていいってわけじゃねぇのよ! ポケモンが愛してくれる奴が正しいに決まってるさ!』

 だから誰かが助けなければならない。エルトもかつて、ある大人に救われた。それまで『弟と違って能力が低いから仕方ない』と自分を諦めていたエルトを一言のアドバイスで救ったのだ。

 「ポケモンが愛してくれる奴は正しい。だからアインやルカにとってはお前がオリジナルだ、イヴ」

 イヴはいつしか、泣き疲れて眠ってしまった。エルトはそれでも、イヴの心が安らぐまで一緒にいることにした。

 「こんにちは」

 「あぁ?」

 夕暮れまでイヴを寝かしつけていたエルトに、声をかける人物がいた。姿はイヴにそっくり。しかし、雰囲気が違った。というか、この人物はイヴと違ってエルトと同い年くらいだ。イヴをそのまま成長させたらこんな感じだろうか。

 「アイン、ルカ。イヴを頼む」

 エルトはボールからイーブイのアイン、ルカリオのルカを出してイヴの傍にいさせる。エルト自身もコートをイヴにかけた。そして、謎の人物に近寄った。

 近くで見ると、ますますイヴに似ている。が、嗜好はやはり違う様だ。イヴは今着てるダッフルコートの様にモコモコしたものが好き。しかし、この少女は茶色いレザーのジャケットにタイトな黒いジーパンを穿いている。

 髪型にも違いは現れる。イヴは髪を結んだりしないのに、こちらは長髪を一つに纏めている。

 「お前は誰だ?」

 「イヴよ。オリジナルの」

 「マジでイヴはクローンかよぉ。伏線はもっと貯めて欲しいねぇ。大穴で未来から来たってとこかぁ? で、そりゃあ何だぁ?」

 少女はイヴだった。エルトはイヴが彼女のクローンであることより、気になったことがあった。オリジナルのイヴが手にしているものだ。人の様にも、イヴの様にも見える。両手に掴んで引きずっている。

 「私は八賢老を倒すために完璧な組織が欲しいの。今まで優秀な人材は集めたけど組織はダメね。そこで『自分だけ』の組織をクローンで作ったけど、やっぱダメ。裏切り者が出た」

 オリジナルのイヴは、手にした2人のクローンのイヴを投げた。1人は胸に大穴が開いており、もう1人は手足が切断されていた。いずれも息は無い。

 「そう、この子達はあなたの側に裏切ろうとしたの。初めはこうして殺したけど、あなたを調べるうちに理由がわかったの」

 「はぁ?」

 イヴは死んだ2人の自分を目の前に、淡々と語る。死体は死後数日が経過しているからか、血の一滴も流さない。目の下に刻まれた涙の跡が、彼女達が受けた苦痛の激しさを物語る。

 「八賢老を僅か数日で2人落とし、5年前には神を名乗る男を倒した『神殺し』。確かに強大な戦力ね。何処の馬の骨ともわからない娘が家に帰るのを手伝う寛大さも含めて。でも今までと同じ組織の体制ではダメなの。この世には全ての生物が組む最も確実な組織の形があるのよ、それを私達も取るしかない」

 「何が言いたいんでぇ?」

 オリジナルイヴは、エルトに歩み寄る。その途中、はらりとジャケットを脱ぎ捨てた。ジャケットの下は黒いタンクトップだが、丈が短くて腹を露出している。胸元しか隠せていない。これはタンクトップというより別の衣類だろうか。

 白い肌を晒し、オリジナルイヴはエルトに接近する。汗が夕日を反射して、煌めいていた。心なしか、オリジナルイヴの呼吸が荒い。

 「夫婦よ。私はこの世界を支配する完璧な組織の形を探していた。それがあなたとの夫婦なのよ」

 「お、お巡りさーん……」

 呆然とするエルトにオリジナルイヴは抱き着く。コートという防御壁を失ったことが災いし、オリジナルイヴの熱と柔らかさが薄着を通して直に伝わる。彼女が髪を解くと、甘い香りが辺りに広がった。

 「は、離れろよ!」

 「んんぅ、ダメぇっ」

 何とかエルトはオリジナルイヴを引きはがした。その時に触れた肩はか細く、こちらが本気で抱きしめれば砕けてしまいそうなほどはかない。レザーのジャケットは、そんな弱さを隠す鎧だったのだろうか。

 「もう、何が嫌なの?」

 オリジナルイヴはそれでも、エルトにしな垂れかかる。遂に彼の手を掴み、自分の胸に触れさせた。小さい、まだ大人になる前の未熟な躯をエルトに触れさせる。

 「あっ、ん。はぁっ、ほら、んぅ、私は、ああっ、こんなにあなたを、んくっ、求めている、のに、ひぅっ!」

 「何が目的だぁ!」

 全力で焦るエルト。手先の感覚と少女の喘ぎに思考を遮られる。聞くことしか出来なかった。オリジナルイヴはエルトの耳元で呟く。荒い呼吸を整えもせず、縋る様な口調で。

 「だから言ったじゃない。夫婦になることが目的なの。今日が初夜でも私はいいのよ? 私の身体を何度貫いても、どれだけ欲望を吐き出そうとも、私はあなたもものだから、されるがままにするわ。初めてだから優しく、なんて言わないから、激しくしてもいいのよ? 縛ってもいいのよ? 何ならここで欲望のまま剥いてもいいのよ? お好みなら醜い男に寝取らせてもいいのよ? この身体は今からあなたのもの、あなただけのものにして。お願い」

 「何なんだお前はぁ!」

 エルトはオリジナルイヴの甘い囁きに耐え切れず、彼女を突き飛ばした。欲望に流されそうになったわけではない。何故情報でしか知らず、今日会ったばかりの人間に身体を委ねようとするのか。不気味だったのだ。

 「きゃあっ! うっ……。あなたは、わかってない! 私とあなたが重なれば、どれほどの力になるかを!」

 イヴは地面に叩きつけられたが、すぐに起き上がる。そして、ジーパンのベルトからボールを外す。

 「なんだ、バトルしたいなら始めからそう言えよ」

 エルトはいつもの調子を取り戻し、臨戦体制に移る。不気味な女を前に、多少警戒はしていた。こんな狂った奴がイヴのオリジナルなのか。エルトはため息をつく。

 「いけ、カメックス!」

 「頼む相棒!」

 オリジナルイヴがカメックスを、エルトがバシャーモのイチローを繰り出した。そして、オリジナルイヴは腕に付けたリングを掲げた。

 「メガシンカ!」

 カメックスは姿を変え、腕に2門の大砲、背中の大砲は巨大なものが1門と姿を変えた。

 「メガシンカだと?」

 「あなたも出来るはずよ。あなたの場所がわかったのは、メガシンカ出来るポケモンが引き合う性質を持つからなの」

 「チッ、やるぞ相棒!」

 イヴに、エルトのメガシンカはバレていた。しかし、カメックスはどうやら洗脳されているらしい。強いポケモンほど従わせるのは困難だからそういう手段に出たのだろう。

 「メガシンカ!」

 イチローが姿を変える。トサカのデザインが特に印象的だ。これがバシャーモのメガシンカなのだ。

 「ハイドロポンプ!」

 「みきり!」

 カメックスが3門の大砲から放ったハイドロポンプを、イチローはジャンプで回避した。眼下を伸びるハイドロポンプに炎を浴びせ、辺りを霧にする。

 「みずのはどう!」

 カメックスはあてずっぽうで技を使うが、外してしまう。その間にイチローは徐々に速度を増した。

 「ポケモンの実力を活かせない奴を伴侶にする気はねぇ!」

 速度を乗せたブレイズキックがカメックスに直撃。効果は今ひとつだが、カメックスがぐらつく。

 「相性で半減してもこのダメージ!」

 「イチロー、オーバーヒート!」

 そこへオーバーヒートでトドメを刺す。これだけの猛攻を受ければいくら水タイプでも一たまりもない。相性の不利を圧倒的実力差で押し切ったイチローの勝利だ。が、カメックスもまだまだ戦えるようだ。

 「5年ぶりにメガシンカした……! メガシンカ同士じゃごり押しは効かんか」

 「わかる? 私達が夫婦になれば世界は思いのままなのよ! 八賢老を倒す目的も同じでしょ?」

 「目的が同じでも、ポケモンを洗脳する様な奴を信用出来ん!」

 オリジナルイヴはカメックスをボールに戻し、その場を去る。ジャケットを拾い、それを羽織りもせずに歩いていく。

 「ピジョット、行くわよ」

 彼女の傍にピジョットが舞い降りた。それに飛び乗ったオリジナルイヴは、エルトを見つめる。

 「私が欲しくなったらいつでも言ってね。キッサキ神殿で待ってるから」

 「誰がてめぇなんざいるか」

 「いずれ私が欲しくなるわ」

 オリジナルイヴはクロガネの町を飛び去る。そこには眠るイヴ、立ち尽くすエルトとイチロー、2人の死体だけが残された。

 

 ポケモンセンター

 

 「挙式の日取りを決めないとね」

 「ドレスの試着には新婦がいるな。キッサキへ今すぐ向かえ」

 「お前ら人ごとだと思いやがって……!」

 急遽、シロナとアカギを呼んでエルトは作戦会議を開いた。元々はイヴを家に帰すため、3人は活動していたのだ。しかし、事情が変わった。イヴがクローンとなれば、彼女の処遇が問題となる。

 「クローンに人権は無く、オリジナルに成り代わろうにも5歳違うとはな」

 「成り代わり対策してきたのね、彼女」

 当面、オリジナルイヴを潰して成り代わる作戦にしようとしたが、それは既に対策されていた。クローンが自分と入れ代わらないよう、オリジナルイヴはクローンを年下に作ったのだ。

 「奴の行為は正に狂気の沙汰だ……」

 「ええ、実力のあるトレーナーとはいえエルトくんの妻になろうなんてね」

 「いや、そっちではないんだがな」

 アカギはクローンだけで組織を作ったというオリジナルイヴから狂気を感じていた。既に組織の構成員であるクローンは処分されているだろう。オリジナルイヴは今、エルトの伴侶となり世界を支配しようとしているのだ。

 「そもそもなんで俺だよぉ!」

 「それは君が神殺しちゃったからだ」

 「神は自称だったんだがなぁ……」

 オリジナルイヴが神殺しのエルトを求めるのは、野望からして道理だとアカギは考える。しかしその殺した神がほんの自称で実際ザコだったのが問題だ。10歳のエルトで勝てたなら、だれでも勝てるだろう。倒したのがエルトだっただけの話。

 「だから神殺し名乗るの嫌なんだよぉ。あれ? イヴは?」

 「組織の顔役は大変ね。イヴなら教会よ」

 「そうか」

 エルトはシロナからイヴの居場所を聞き、そこまで行く。イヴは死んだクローンに祈りを捧げているだろう。

 ついでに、エルトはイチローを育て屋に転送していた。原理は不明だが、メガシンカするポケモン同士が引き合うとなればイチローが原因でオリジナルイヴに居場所が知れるかもしれない。育て屋なら今まで育てた、神殺しのベストメンバーがいるからオリジナルイヴが来ても大丈夫だ。しかし、旅路でいちいち絡まれたら面倒なのでそうした。こっちはオリジナルイヴの場所を知っている。

 エルトは教会の墓地にイヴの姿を見つけた。彼女は2つの墓に祈りを捧げている。

 「イヴ」

 「……」

 教会には多数の墓地があり、鉱夫達の墓がある。そこに2人のクローンも葬られた。墓にはイヴの付けた名前が刻まれ、最期の時は人間として扱われた。

 「人間は死んだらポケモンになるそうだな。奴らもいずれ、何処かでポケモンとして生まれ変わるさ」

 「うん」

 エルトとイヴはオリジナルイヴの狂気に触れ、改めて八賢老討伐とオリジナルイヴを止めることを誓った。




 新たに発覚した新メガシンカは初代御三家! その中からメガカメックスが登場したわけだが、どう見てもLBXトライヴァインにしか見えない。出雲ハルキ専用だろこのメガシンカ。
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