ポケットモンスター 灰色の疾風    作:級長

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 年末企画の予定が年始企画になったよチクショー!


番外 絶対に笑ってはいけないポケモンセンター24時

 キナンシティ ステーション

 

 「年末企画!」

 「絶対に笑ってはいけないポケモンセンター24時!」

 カロスの玄関口、キナンシティのステーション。そこで元気よく企画の宣言をするのは、ミアレのジムリーダー、シトロンとその妹、ユーリカ。

 「おい、なんでカロスなんだ」

 「カロス編は1年後くらい先のマイナーチェンジまで書けないからってさ」

 参加者であるヒュウのツッコミをメタい発言で流すシトロン。ユーリカが参加者の紹介をした。

 「参加者はこちらの皆さん! ヒオウギシティのヒュウさん。カラクサタウンのハツネさん。ソウリュウシティのアッシュさんでーす!」

 参加者はヒュウ、ハツネ、アッシュの3人。ほぼレギュラーメンバーだ。アリスは進行役の側にいた。

 「進行役は私、アリスがシトロンとユーリカと勤めさせてもらいます」

 「幕間でオリキャラと原作キャラの忘年会をお楽しみ下さい!」

 「では最初は、いつもの様に服装変更です。発明が未来を開く時! 着せ替えカメラスイッチオン!」

 シトロンは何処かで聞いたことのある発明の名前を挙げ、それを起動する。コイルの形をしたカメラで、それでヒュウを撮ると医者の格好に切り替わる。

 「何気に凄いな」

 「はい、次ハツネさん」

 「わーい、看護婦さん」

 ナース服に着替えたハツネにスポンサーであろうブルジョワ伯爵が駆け寄り、何かを懇願する。どうせ下らないことだろうとヒュウは聞いていた。

 「あのー、看護婦さんではなく看護師さんに訂正してくれると助かる。ほら、最近女性団体が煩くて。ワシは看護婦さんの方が呼び方としては好みだけど……」

 「切実! まさかブルジョワ伯爵が真面目に仕事を?」

 まさかの切実なお願い。ヒュウは完全に不意を突かれた。ハツネは仕方なく訂正して台詞を撮り直す。

 「……わーい、看護師さん」

 かなり苦笑いである。そうこうしている内にアッシュが着替えていた。

 「なにこれ」

 「まさか似合うとは……」

 司会側も想定外の事態が起きていた。アッシュが着たのはプリーツスカートでツーピース構成のアニメチックなナース服。白いニーハイソックスも完備である。

 「段々、アッシュの男の娘キャラが板に付いてないか?」

 「元々中性的だもんね……」

 ヒュウは初めて会った時よりかわいくなってるアッシュに愕然とした。ハツネは先週の苦々しい思い出が蘇る。

 「というわけでTMVに乗るんだ。そこから企画がスタートする」

 「あ、アリスもかわいい」

 サラっとアリスのナース服に着替えていたことにハツネが気付く。騎士とはいえ、こういう格好が好きなのだろうか。

 TMVは電車みたいな乗り物である。

 「TMVって、サブウェイみたいなものか」

 「では企画スタート! 笑ったら罰ゲームですよ」

 そんなこんなで企画がスタート。ヒュウ達はTMVに乗り込み、ミアレシティに向けて出発した。

 「懐かしいなー。ハハコモリとレントラーを探すために地下鉄乗ったっけ」

 アッシュは旅の始まりを進むTMVに揺られて思い出す。地下鉄に乗り、そこで意識を失って全てが始まった。

 「停車しまーす」

 ユーリカがTMVの停車を告げる。銀河鉄道で働いてそうな車掌さんが、入ろうとする女の子から切符を受けとっている。彼女の肩にはデデンネとヤミカラス。隣に仮面を付けた影みたいな何かがいる。彼女達の遠くに、姐御みたいな人がいた。

 「沼の底までお願いします」

 「カオナシー! 千に何かしたら許さねーぞー!」

 「ぶっ……!」

 元ネタを特定したハツネが噴き出してしまう。アッシュはカオナシが何のポケモンなのか図鑑で調べ始め、ヒュウは素直なツッコミを入れた。

 「著作権的に怒られるぞ!」

 「ハツネ、アウトー!」

 遂に初アウトが出てしまった。罰ゲームはアリスが持ってるハリセンでブン殴られることに違い無いのだが、彼女は少し考えた。

 「ヒュウならともかく女の子を殴るのは絵面が悪い。ならこうしよう」

 「わぁっ!」

 絵面の問題で罰ゲームが変更。アリスはハツネの頭をわしわしと力強く撫でる。

 「ゲームは始まったばかりだ。頑張れ」

 「うん」

 むしろご褒美だった。とりあえず女の子同士の絡みは視聴率取れそうなので撮影しておく。

 「あ、見ろよ。ビシャスがいるぞ」

 「知らない人だー」

 ヒュウとアッシュはTMVの座席でビシャスが寝ているのを見つける。セレビィの映画に出て来た悪役で、仮面が無いと悪事も出来ない小心者だ。

 「なんだビシャスの奴まだ生きていたのかニャー」

 「今のうちよ!」

 「仮面取ってやれ」

 そこにいつものロケット団、ニャース、ムサシ、コジロウが現れた。ヒュウ達はニャースが喋っている事に驚きを感じつつ、様子を見守っていた。

 3人はビシャスの仮面を取り、何処かに隠す。ニャースがビシャスの鼻提灯を割って起こした。

 「な、か、仮面が無い!」

 慌てたビシャスがTMVを止めて下りる。ここは単なる線路上であり、駅ではない。

 「ひぃぃ、ぐぎゃあ!」

 下りたはいいが、そのままセレナの乗るサイホーンに突き飛ばされて星になる。

 「これはひどい」

 すべて無かったことにして、TMVは発進。ヒュウの言い分もわかる。

 「あ、止まった」

 「またか」

 そしてTMVはまた停車。笑うまいとヒュウもハツネも身構える。TMVに乗り込んだのはオーバ。それと同時に、ナレーションが響く。

 『ドナルドの噂♪』

 「クシュン!」

 アッシュを除く全員がずっこける。もう笑う以前の問題だ。

 『ドナルドって、水飛行タイプなのー?』

 「クワークククグエー。ドナルド違いかよ!」

 「ぶっ!」

 「ヒュウ、アウトー!」

 必死に堪えたハツネに対し、ヒュウは油断して吹き出した。シトロンのケツバットマシーンで思い切りぶっ叩かれる。

 これでアッシュを除く全員が1回笑ったことになる。TMVはミアレに向かって突き進んだ。

 

 フラダリカフェ 忘年会

 

 「いやー、アッシュ殿は中々笑わぬでござるな」

 「アイエエエ!?」

 「ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」

 「コワイ!」

 「ゴボボーッ!」

 明け方を迎えようとする飲み屋の酔漢達は恐怖のあまり容易に失禁し、嘔吐した。目が痛くなりそうな赤いカフェでエスプレッソに大量のミルクと砂糖を入れて飲んでいるのは、あらかさまにニンジャなのだ!

 「見事にニンジャリアリティショックを起こしてるね」

 「ニンジャとは奪う方なのか?」

 さすがにプラターヌ博士とフラダリは平気だった。フラダリはこのフラダリカフェの経営者。ホロキャスターを開発し、その収益でトレーナーや研究者を支援している。

 「そういえば、この前ブルジョワ伯爵が来てたね」

 「そうだな。奴は奪う者だったが、与える者になろうとしている。だが、奪う者でいた方が楽かもしれんな」

 プラターヌは先日、ブルジョワ伯爵がカフェに来たことを思い出す。彼はある出来事を境に考えを変えたとか。

 「なんかあるでござる」

 「ラボの入口がッ!」

 話をしていると、ヒサメがカフェの棚にある隠し扉を見つけてしまった。フラダリが慌てて隠す。

 「……私も秘密基地に憧れててね」

 「凄いでござる秘密基地!」

 相変わらず人を疑わないニンジャ。ある意味正しい生き方だが、ニンジャとしては大間違い。

 「さて、そろそろ企画の参加者が到着する頃だ。迎えに行こう」

 プラターヌがフォローを入れ、ミアレステーションにヒサメやフラダリと行く。そこでは、歩いてポケモンセンターに向かう一行の姿があった。

 「あ、ヒサメ」

 「戦艦アルセウス以来だな」

 ハツネとヒュウがヒサメに気付く。赤いフラダリより目立つとは本当にそれでいいのかニンジャ。

 「そちらの人は?」

 「プラターヌ博士とフラダリさんにござる」

 アッシュは知らない人のことをヒサメに聞き、図鑑を取り出した。

 「へー」

 『フラダリ。フラダリポケモン。炎タイプとフラダリタイプの複合。守る強さか……。だが君は何を守るのだ? 今日よりも悪くなる明日か?』

 「なんで図鑑があるんだよ!」

 「フラダリタイプって何?」

 アッシュはナチュラルに図鑑を開き、フラダリの情報を聞き出す。笑うよりツッコミが入るのがこの面子の悲しいところ。

 「ではポケモンセンターに出発。今こそ発明が未来を開く時、ポケモンセンターへ行くマシーンスイッチオン!」

 シトロンが発明を使い、全員をポケモンセンターに移動させる。ただのタクシーである。

 ポケモンセンターの前までアッシュ達は来た。ミアレシティにはポケモンセンターが三つあり、そのうちサウスストリートにあるポケモンセンターへ行く。ポケモンセンターの前にはエルトが立っていた。

 「お前ら、ここが今日お世話になる、黒光りタウンポケモンセンターや」

 「黒光り?」

 「ここシティだよな?」

 「笑えよ」

 エルトのボケにもツッコミが入るハツネとヒュウ。企画が危うくなってきた。

 「ではまず、所長に会ってもらう。どうぞ」

 エルトに案内され、一行は所長室へ。一際豪華な部屋が所長室である。エルトが扉を開けると、そこには所長がいた。

 「私が所長です」

 「誰?」

 所長はイヴの父親、ユート。アッシュ、ヒュウ、ハツネは知らない人だ。ユートは左を向いて、所長の椅子に座っていた。

 「イヴの父親、と言えばわかるだろう」

 「なるほど、似てない」

 「母親似で美人なんだ」

 ヒュウの指摘にも、サラリと妻娘両方に惚気て見せるユート。ハツネはイヴも知らないのでサッパリだ。

 エルトは以前、ユートが言っていたことを思い出す。

 「そうそう、ユートってイヴにナース服着せるって息巻いてなかったかぁ?」

 「壮絶に断られたよ」

 ユートが正面を向くと、顔の左側がボコボコになっていた。イヴのインファイトが炸裂したらしい。照れ隠しが過激だ。

 「最近は一緒にお風呂入ってくれないし、何処で育て方間違えたのかな? エディとは今も入るのに、あーでも洗濯物は分けられないが」

 「普通、そんなものよ」

 「そうだな」

 「むしろ洗濯物分割されないだけマシだ」

 ガックリうなだれるユートに対し、イヴと同い年のハツネやアリスは頷き、ヒュウは洗濯物は分割されていないだけいい方だと、メイ親子の実情を思い浮かべる。

 「というわけで早速勤務だ! まずは事務室へ行くんだ」

 「ほいほい」

 ユートの指示で、アッシュ達は事務室へ行く。机の並んだ、普通の事務室だ。

 「机にモンスターボールがあるね」

 「今日のパートナーポケモンだ」

 机にあるモンスターボールには今日のパートナーが入っている。

 「どれどれ」

 ヒュウはボールを開く。中にはハリーセンがいた。

 「俺は今から怒るぜ!」

 「どれどれ、私はタブンネだね」

 「ボクも」

 「俺だけハリーセンかよ!」

 他がタブンネなのに、ヒュウだけハリーセン。これは酷い。とにかく仕事だ。3人はそれぞれの職場に向かう。

 

 忘年会 ゲームフリーク社内

 

 「要点だよ!」

 「全員集合!」

 ヴァイオラとユウヒがホワイトボードの前に立ち、ある企画を開始した。

 「このコーナーでは、今までの『灰色の疾風』の要点をまとめるよ。具体的にはイッシュラリー編と大学編、シンオウ編かな。シンオウ編はまだ完結してないからね」

 「なんでヴァイオラはそんな早口なの」

 「時間無いからね」

 時間が無いらしく、ヴァイオラは早口で説明した。まず、イッシュラリー編から解説が始まる。

 「ジャスミンさんがなんか悪い奴らに捕まったよね。そこが気になるんだけど黒幕はキャサリンか。あと、オリジナルイヴがクラッシュタウンに来たから、怪しいよねいろいろ。何故かアッシュの名前を知ってた辺り、時渡りフラグかも」

 「あと、アーシェ気になるよね。何故かアッシュのシャルルとニックネームが同じマリルリ持ってたし」

 「そうそう、アーシェとアッシュに似た少女とかね。イッシュラリー編はいろいろとまだ謎あるからね。原作キャラもまだ未登場が多いし」

 物凄いスピードで解説を進める2人。とにかくこの作品は何が何に繋がるかわからないから大変だ。

 「とにかく、これからイッシュラリー編を読むなら、アッシュの周りに要注意!」

 かなりヴァイオラは力ずくでまとめた。こんな感じでいいのだろうか。

 「クラッシュタウンに、バトルシャトーの連中が来るらしいね」

 「バトルシャトー?」

 「コボクタウンの近くにある、金持ち達の社交場だよ」

 ヴァイオラは金持ちゆえ、バトルシャトーの情報も知っていた。あまりいい印象は無いようだが。

 「爵位がそれぞれにあって、私はマーショネスなの。バトルシャトーは上の爵位の人間だと態度もそれなりだけど、爵位が低いと品位も低いっていうか……」

 「なんだただの成金か」

 そんな連中が来ると聞き、ユウヒは事件の予感を感じた。クラッシュタウンは開拓者やならず者が集まった豪快な町、彼らとは水と油の存在である。

 「たしか、ブルジョワ伯爵の爵位はバロンだったね。アッシュと特訓しているし、少しは強くなったんじゃない?」

 「ふん、一定の成果はあるだろうけどね」

 未だバロンの伯爵が何処まで強くなったか見物だが、ユウヒはあまり期待していなかった。

 

 ポケモンセンター ミアレ北支部

 

 3人は3つのポケモンセンターに別れ、仕事をすることになった。ハツネはミアレ北のポケモンセンターだ。

 「お客さんが来る中、笑わずに勤務出来るか?」

 「既に何かおかしい」

 ハツネはポケモンセンターにたむろする客のメンツがおかしいことに気づいていた。赤いスーツにグラサンの男達、フレア団だ。それがポケモンセンターのいたるところにいる。

 「これ仕掛人?」

 「いや違う」

 ハツネはアリスに聞いたが、仕掛人ではないようだ。企画の最中にとんだハプニングだ。

 その内、白いスーツにスキンヘッドの幹部が前に出て来た。

 「俺達、オシャレチームフレア団! ポケモンセンターを占拠して俺達だけがハッピーになる!」

 フレア団はポケモンセンターの占拠を狙っていた。アリスはとにかく、フレア団を片付けることにした。

 「マズイな。ハツネ、私がこいつらをやるから、ヒュウやアッシュの様子を見てくれ」

 「え? アリス一人で大丈夫?」

 「任せろ。我が友を守る鍵となれ、クレッフィ!」

 アリスに対して、フレア団は5人で対抗。フレア団の出したラクライやデルビルは十字に陣形を組んだ。アリスが出したのはクレッフィ。

 「インペリアルクロス!」

 幹部の号令で、ポケモン達が陣形を作っていた。これはどこかで見覚えがある。

 「よいか下っ端。我々はインペリアルクロスという陣形で戦う。防御力の高い下っ端が後衛、両脇を下っ端と下っ端が固める。お前は私の前に立つ。お前のポジションが一番危険だ。

安心して戦え」

 「やだよ!」

 「なんだとコラ!」

 「やんのかコラ!」

 「マジカルシャイン!」

 仲間割れをしたので、クレッフィの持ち味を生かす必要も無くマジカルシャインで粉砕。ハツネの心配は何処へやら。

 

 一方、ヒュウのいるサウスストリートのポケモンセンターにもフレア団が集まっていた。が、突如現れた助っ人によりヒュウは戦わなくて済んだ。

 「国に帰るんだな。お前にも家族がいるだろう」

 「こいつ強い!」

 「次は俺達だ!」

 どこぞの待ち伏せを戦法にするガイルみたいなことを言い、フレア団を粉砕していたのはサイキッカーの男。

 「シンボラー、サイコキネシス」

 「馬鹿な! ポチエナ軍団がッ!」

 何故か悪タイプのポチエナにシンボラーのサイコキネシスが効果抜群だった。ミラクルアイでもここまでの効果は無い。

 「お前は? 何をしたんだ?」

 「私はサイキッカーのサカサ。私の能力はタイプ相性を逆さまにすること!」

 ヒュウはサイキッカー、サカサの能力を聞いたが、その恐ろしさがピンと来ていない。

 「交代、ルチャブル」

 「今だ! ゴルバットなら行ける!」

 サカサはルチャブルに交代し、フレア団の下っ端はゴルバットを出した。ルチャブルは格闘、飛行タイプ。毒、飛行タイプのゴルバット相手に、ルチャブルの格闘技の威力は4分の1に半減だ。

 「マズイ、不利だ!」

 「あなたは逆さバトルを理解していない! ルチャブル、とびひざげり!」

 不利を悟るヒュウに対し、余裕のサカサ。ルチャブルのとびひざげりがゴルバットに当たり、ゴルバットが倒れた。効果は今ひとつのはず。レベルは離れていないはずだ。

 「相性を逆さまに……有利だと思って出したら不利になるってわけか」

 「あなたは逆さバトルを理解しているようだ」

 ヒュウは今のバトルを見て、相性が逆さまになることの恐ろしさを感じた。自慢のアタッカーが、弱点満載の草タイプに止められる恐れもある。特にヒュウは、フタチマルが草に弱いからハトーボーを入れた。そのため、草タイプが出て来たからといってハトーボーに入れ替えたら、そいつのはっぱカッターで落とされかねない。

 逆さバトル、恐るべし。

 

 アッシュのいる中央のポケモンセンターにもフレア団が来た。そして、特異な格好の幹部がいた。

 「私はフレア団幹部、その名もフェアリーさん! フェアリータイプの使い手!」

 「変なのー」

 妖精の格好をした男がワイヤーに吊られて浮いていた。ここはポケモンセンターの外。ワイヤーは何処から下がっているのかわからない。結構高い場所を飛んでいた。しかもカロス語で話しているのでアッシュにはわからない。

 「さあ、新たなフェアリータイプの力を見よ!」

 「待てい!」

 「む?」

 ボールを投げようとした時、何者かが叫ぶ。黒いボディスーツの人物だ。顔が隠れていて分からない。その人物はポケモンセンターの屋根にいた。

 「私はエスプリ、ミアレの平和を守る者! いけ、クロバット!」

 「うわあ!」

 フェアリーさんはワイヤーを切られ、地面に落ちる。エスプリと名乗る人物に対抗すべく、ポケモンを出した。

 「行け、ニンフィア! 美しい妖精の力をぐぎゃああ!」

 「フェアリータイプは毒タイプに弱いゾ……。クセロシキおじさんが言ってたね」

 しかし鎧袖一触。相性以上に、レベルが低い。仕事を終えたエスプリはいなくなる。

 「仕事は終えた!」

 「あ、待って……ぶ!」

 アッシュはそれを追おうとするが、チラシが顔にぶつかって見失う。

 「な、なんだろう……カロス語はわからないや」

 アッシュは広告を見て悩む。さっきのエスプリもアッシュにわかる様にかイッシュ語を話していた。

 「ビビビ、カロスサーキットだナ」

 「カロスサーキット?」

 コイルのラファールが翻訳する。カロスサーキットのチラシにはカロス地方のイラストが描かれ、三分割されていた。それぞれ『セントラルステージ』、『コーストステージ』、『マウンテンステージ』とされている。サーキットの最初と最後で、セントラルステージは2回行われるらしい。

 「でも、イッシュラリーみたいに誰でも参加出来るわけじゃないみたいだね。有名なトレーナーが参加か」

 「結構先の話だしナ。それまでに有名になればいいサ」

 参加についてチラシには書かれず、有名トレーナーが参加としか煽り文句が無い。

 「そうだね。イッシュラリー、優勝しよう!」

 「そうだナ!」

 アッシュとラファールが話している傍を、ゴーゴートシャトルが通る。本来ならゴーゴートに乗るシャトルだが、何かが特別なのか馬車を引いている。馬車には龍の紋章が付いている。

 馬車には執事と、金髪のお嬢様が乗っていた。お嬢様の伸びたブロンドは美しく、外からの日差しで輝いていた。肌はきめ細かく、雪のようだがほんのり色付いて健康的だ。

 「セバスチャン、あの子は何をしているのです?」

 「貧困層の輩のすることはわからないものです。レベッカお嬢様」

 青い瞳でアッシュを見つめる。レベッカと呼ばれたお嬢様はアッシュに視線を送り続ける。

 「お嬢様、まかり待ちがってもあのような人間と関わってはいけません。ご主人様はイッシュにある竜の里から長が長らく独占していた秘宝を持ち出し、有効活用してこの地位をえたのです」

 セバスチャンの言葉をレベッカは聞き流す。カロスにも混沌が流れ出していた。イッシュの禍根すら引き出し、世界は破滅へ向かう。

 

 しばらく進むと、背の高い浮浪者みたいな男と擦れ違う。その男の言葉はレベッカにも届いた。

 「……永遠の命を与えられた、花のポケモン……どこにいるのだ?」

 「花のポケモン……?」

 運命は、動き出す。




 ちょっと豆知識
 ミアレといえばハンサムイベント! というわけで、国際警察とポケモン犯罪防止委員会の関係について解説するよ!
 ポケモン犯罪委員会は国際警察の下部組織などではない。ポケモン犯罪委員会はある事件を経緯に民間で結成された組織である。
 逮捕権は無いが、捜査情報がトップに伝わる。国際警察の捜査に関与協力し、癒着を監視する機構である。ただ、給料が無いので副業してる人が多い。

 メンバー一覧
 委員長
 ゲイリー
 創設者。本業はホウエンの消防士でマツリカの夫。元々はシェンロン地方で暗躍したテロリスト。
 幹部
 マツリカ
 ジャスミンの姉、ゲイリーの妻。両親が離婚し、妹と弟と共に母親へ引き取られる。しかし、弟は栄養失調で死に、自分は遊郭に売られてしまう。妹を探すため、娘の身売りに関して監視を続ける。若年メンバーの姐御約でもある。
 エルト
 一応幹部クラス。『神殺し』として組織のフラッグシップをしている。ただ、本人は神が弱すぎてこの異名が好きじゃない。

 一般メンバー
 イヴ
 ユートとエディの娘。シンオウを八賢老から救った英雄。メガシンカの使い手で、メンバーのエース。
 ヒサメ
 ニューラクノイチ、キッサキ派最後の生き残り。イヴと共に八賢老を倒した英雄で、彼女と並ぶエース。
 そのほかにも、犯罪に利用された子供達などが更正のために所属する。
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