ポケットモンスター 灰色の疾風    作:級長

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 トレーナーカード
 バロン ブルジョワ伯爵
 バロンはバトルシャトーでの階級で、最下位。
 手持ち
 ナットレイ♂
 クイタラン♂
 ブルンゲル♂
 トリミアン♂


40.協力タッグ? アッシュとブルジョワ伯爵!

 クラッシュタウン

 

 2年前に4番道路だったここに、町の建設がスタートした。遺跡の発掘がきっかけとなり、人々が集まったこの町はクラッシュタウン。巨大な2つの都市に囲まれ、そこからあぶれた者が集う通称『負け犬の町』。

 「特別治安が悪いらしいから気をつけろ」

 「こんな大きく書いてるもんね」

 「そうは見えんがな」

 ヒュウとハツネはタウンマップの記述から警戒を強めるが、アリスはリラックスモード。確かにガラの悪そうな男達が沢山いるが、バイクを見せ合っていたりポケモンバトルをしたりといたって平和な光景が広がっていた。

 「その地図、何処出版だ?」

 「地図ならどこも同じじゃない?」

 ブルジョワ伯爵は地図の出版社を気にした。アッシュには伯爵の持っている地図もヒュウとハツネの持っている地図も同じに見えた。

 「カロスの会社がイッシュ向けに出したもんだ。名前は……『カロス出版』か」

 「同じカロスの地図なら『ミアレ出版』のガイドブックがオススメだぞ。観光には滅法強いカロスの地図だが、カロス出版は割といい加減で偏見に満ちている」

 ブルジョワ伯爵は知識だけなら人並みにある。金持ち故なのか。

 「実際、クラッシュタウンでの犯罪発生率ならイッシュでも低い部類だ。ヒウンやライモンの方が高い」

 「思ったより治安いいんだね」

 アリスは正確に犯罪発生率を把握している。ハツネもアリスが言うからか、安心した。見た目以上に平和な町である。上空にはバルジーナやウォーグルが飛び交っている。

 奇妙な一行がクラッシュタウンを歩き、伯爵が疲れたというので近くの酒場に入ることにした。

 「伯爵がへばるの早い」

 「すまぬ」

 アッシュすら疲れないうちから、伯爵はダウン。太っているのと歳のせい。リベレート団の残党狩りを目的に旅を始めたが、やはり辛いものがある。こんなことなら自分に仕える騎士であるウォークでも連れてくるのだった。ただ、アリスがいるとそれも出来ないだろうが。

 「酒場っていっても、昼からお酒は売ってないんだね」

 「ビビビ、だろうナ。昼から求める人間も少なク、何より夜だけ売る方が商品の管理もしやすイ」

 「残念だったな伯爵」

 カウンター席に座り、ジュースを飲むアッシュにコイルのラファールが解説。マリルのシャルルの嘲りも伯爵には届かない。

 「あ、ステージ見て」

 「ああ、綺麗だな」

 ハツネとアリスは、ステージに立つ踊り子を見ていた。赤いドレスを纏った踊り子は、ドレスと黒髪を振り乱して踊る。その手にはサーベルが握られている。アッシュはその踊り子を何処かで見たことがあった。

 「つるぎのまいかー」

 「それってポケモンの技じゃないの?」

 「それを人間が真似したのがこれ。世界中の酒場で踊られているよ」

 シャルルは世界中を旅した経験からか、この踊りも知っていた。攻撃力を上げる効果に相応しい、情熱的な踊りだ。

 踊りが終わると、観客達から拍手が巻き起こる。踊り子は息を切らしており、つるぎのまいが体力を使う踊りであると伝わる。

 しばらく余韻に浸っていると、酒屋の扉が力強く開く。そちらを酒屋にいた全員が向くと、身なりの整った男達がいた。

 「あれは……バトルシャトーの連中か」

 「知ってるのか伯爵」

 伯爵はスーツのバッチから、男達の所属を見抜く。ヒュウはとりあえず伯爵に聞いてみた。

 「バトルシャトー……カロス地方にあるバトル好きな金持ちの集まりさ。それぞれに爵位があり、下の連中なんざ井の中のケロマツ。あいつらは最低ランクのバロンだ」

 「人質を取るぞ!」

 「あの踊り子は?」

 「遠い! じゃあカウンターにいる黒髪の娘だ」

 「騎士は?」

 「強そう。隣にいる奴にしよう」

 グダグダと相談してから、男達はハツネに襲い掛かる。しかしあまりにグダグダ過ぎてハツネに迎撃された。

 「シッポ、ダブルアタック!」

 「ぎゃああ!」

 エイパムのシッポがボコボコに殴る。普段から悪事に手を染めていないせいか、段取りが悪い。

 「変だな。奴らなら荒事に人を雇うはず」

 「確かに、金持ちだもんな。金が無いとか?」

 ブルジョワ伯爵とヒュウは、金持ち自ら悪事をする状況に首を傾げた。すると、金持ちの一人が事情を語る。

 「我等が金持ちだったのも昔の話。ある日、イッシュから来たトウコというチャンピオンがシャトーを訪れた。そこからが悪夢の始まりッ! 奴はおまもりこばんをぶら下げ、こううんのおこうを焚き、我々からバトルで金をむしり取った!」

 「トウコか。あのプラズマ団を還付無きまでに叩き潰した奴なら仕方ない」

 ブルジョワ伯爵は元プラズマ団の支援者なだけあり、トウコを知っていた。その名前は支援者達を恐怖のどん底に陥れた。

 「我々はイッシュ地方に復讐すると誓った! この町がそのスタートだ!」

 「ふん。貴様らごときにやらせはせん! ゆけ、ブルンゲル!」

 シャトーのお坊ちゃまがフーディンとエルフーンを繰り出す。伯爵はボールからオスのブルンゲルを出して応戦する。

 「マイン!」

 アッシュはエンブオーのマインを繰り出して援護に回る。素早さでは完全に負けていたが、伯爵は不敵に笑う。何か秘策があるのだろうか。

 「フフ、若造。店の人に迷惑だ。外でやろうや」

 伯爵の気配に不信感を覚えたお坊ちゃまは大人しく外に出て試合を始めた。素早さではこちらが有利なので、落ち着いて対処することにした。

 「何かされる前に、エルフーン、ちょうはつだ!」

 「しまった! 作戦が!」

 エルフーンのとくせい『いたずらごころ』により、最速でちょうはつが決まる。伯爵はせっかくの作戦が破られ、頭を抱える。

 「お前、なんか、元々水オンリーだったのにゴーストタイプ入ってデザイナーが落ち込んでそうな見た目だな(笑)」

 しばらくブルンゲルはボーッと突っ立ち、挑発の内容を噛み砕いて理解した。

 「なんっ…でそこまで! 的確に人を傷つける台詞が言えるんだよお前はあああああっ!!」

 的確に傷付く事を言われ、ブルンゲルは怒ってしまう。

 「言うに事欠いてまさかのデザイナーだと!? デザイナーがいるポケモンなんて現実にいるわけねーだろ! 俺が二次元と三次元の区別もつかねー馬鹿だってのか!? こんな侮辱を受けたのは初めてだ! 確実に許さねえ! お前は! 俺が! ぶっ殺す!!」

 だが、手元にあるハーブをバリバリ食べて正気に戻る。

 「メンタルハーブだ!」

 「ふぅ、伯爵は詰めが甘いであるから、我輩が観葉植物になってたものから事前に用意したであるよ」

 ポケモンの機転に救われた伯爵。ポケモンには慕われているのだろう。

 「チッ、フーディン! サイコキネシスだ!」

 「させない!」

 マインにサイコキネシスを使おうとしたフーディンだが、アッシュの力で無効化される。普通のポケモンバトルならアッシュも力は使わないのだが、相手が犯罪やらかそうとするなら容赦しない。

 「なんだその力は!」

 「かえんほうしゃ!」

 相手が戸惑っている隙に、マインがエルフーンを片付けた。そして伯爵が満を辞して秘策を放つ。

 「トリックルーム!」

 「トリックルームだと?」

 伯爵の策とはこれのこと。素早さの低いブルンゲルも存分に暴れられる。トリックルームが発動していると、素早さが遅いほど早く動けるのだ。

 「く、早い奴しかいない! 行け、プテラ!」

 次に出て来たのはプテラ。トリックルームは対策していないと詰み易い。耐久型のポケモンを入れておくだけで結構対策になりそうなのだが。

 「シャドーボールだ!」

 「甘い!」

 次に動いたのはブルンゲル。フーディンは左に回避したが、実はシャドーボールが一発目と同時に、その左右隣にも連発されていた。フーディンはそれにぶつかって倒れた。

 「フーディンがッ!」

 「マイン、アームハンマー!」

 マインのアームハンマーが続いてプテラに直撃。飛行タイプとはいえ、格闘技の威力を半減する効果は岩タイプで相殺されている。

 「ま、負けただと……?」

 お坊ちゃまはあっという間に敗北。ここにいるシャトーメンバーでは実力者だったらしく、他のメンバーに動揺が走る。その中、踊り子がアッシュに近寄った。

 「強いのね。あなた名前は?」

 「ボクはアッシュ」

 「そう。これはご褒美」

 踊り子はアッシュと同じ高さまで屈み、彼の額に口づけをした。一瞬、周りから嫉妬を含んだどよめきが起きたが、相手が子供であったためすぐに収まる。

 「アッシュ……あれ、どこかで……」

 「どうしました?」

 「うっ……頭が……」

 踊り子は何かを思い出そうとして、頭を抱える。膝を付き、苦しげだった。

 「ならばこうだ! 人質だ!」

 「あ!」

 シャトーの輩はその隙に踊り子を人質にしていた。なんとも卑怯である。

 「この娘を解放してほしければ、この町を自ら焼き払うのだ!」

 「卑怯な!」

 「そこまで堕ちたかバトルシャトー!」

 アリスと伯爵から非難を受けつつ、金持ち達はゆっくり町を離れる。

 「ただ、火事に巻き込まれるのは勘弁だ。退散させて貰う! 町を燃やしたら古代の城に来い!」

 「ぐぬぬ……」

 全員が人質を取られて動けない中、金持ち達は踊り子を連れていった。伯爵は行き先である古代の城の場所を確認。この付近、リゾートデザートにある。

 「おいおい、なんだこりゃ」

 「せっかく会いに来たのに、早速人質かぁ? 記憶が無いと随分丸くなるもんだな」

 どうしようかと立ち尽くす一同の側に、ティナとエルトが現れた。ティナはある用件でエルトをここに呼んだのだ。

 「姐さん大変です! メアリーがバトルシャトーの奴らに連れていかれました!」

 「なにぃ?」

 舎弟から話を聞き、ティナは驚きを隠せない。バトルシャトーといえばカロスで有名な、金持ちの集まるバトルサロン。そんな奴らがなんでイッシュにいるのか。

 「やっぱり、さっきの踊り子さんはティナさんがこの前見せてくれた写真の人だったんですね」

 「そうなるな」

 「なんだ、あいつメアリーって名前になったのか」

 アッシュは踊り子がティナの見せた写真の人物であるとようやく気付く。記憶喪失で、アッシュの名前を覚えていたが、アッシュは彼女を知らない。きっと、その名前の主は違うアッシュに違いない。

 エルトはやはり踊り子のメアリーについて何か知っているようだ。だからティナも連れてきたわけである。

 「メアリーのことを知っているのか」

 「ああ、奴は昔、オリジ……いややめておこう。あいつが幸せに暮らしているなら、失った記憶は不要だ。5年前、俺が奴と八賢老絡みの事件で知り合ったことくらいは教えるけどねぇ」

 「思い出さない方が幸せってわけか。ならいいか」

 エルトはメアリーについて何か語ろうとしたが、それをやめた。ティナもそうと知れば、わざわざ手掛かりを探す必要が無くなる。

 「メアリーはどこに連れてかれた? 助けにいくぞ」

 「古代の城です」

 「よーし、では出発だ!」

 エルトはアッシュ一行を先導し、リゾートデザートまで向かうことにした。だが、ヒュウにはいろいろと疑問が残った。

 「記憶を取り戻さない方が幸せって、よっぽど過去が悲惨なのか?」

 「否定は出来んな。何より自らが自分の意志とは無関係に犯した罪など知りたくもあるまい。なにより、その罪は神であるアルセウスが許している。だからこそ、ユクシーの力まで使って記憶を消したんだ」

 ヒュウは聞き慣れないポケモンの名前を聞き、図鑑を開いた。

 『ユクシー。知識の神と呼ばれている。目を合わせた者の記憶を消してしまう力を持つという』

 「アルセウスは図鑑にいないのか……? 姿だけはわかるが」

 「ポケモン図鑑は俺達が身分証明にも使っている図鑑とは別に、データ収集用の『マスター』の図鑑がある。これを博士から渡されたトレーナーを『図鑑所有者』と呼ぶ。図鑑所有者が捕まえていないポケモンは情報が少なく、見てすらいないポケモンは載らない。アルセウスを目撃した図鑑所有者は3人程度らしい」

 ヒュウは図鑑を探したが、アルセウスのデータは少なく、ユクシーについてもわかっていることが少ない。エルトが言うに、図鑑には複雑な仕組みがあるのだ。

 「また、図鑑所有者には特別な能力があるらしいがなぁ……。図鑑を所有したら目覚めるのか、力があるから図鑑を任されるのかはわからん」

 「アッシュの力も正体が掴めないな」

 アリスは、アッシュの力について気にかけた。波導の力なのか、それとも別物か。サイコキネシスを消し去るということは、悪タイプなのだろうか。

 一行はリゾートデザートの入口まで来た。ゲートはまだ先だが、この砂嵐こそリゾートデザートの証。近くの枯木にバルジーナが一匹佇んでいた。

 「あれは……」

 『バルジーナ。ほねわしポケモン。大空で円を描きつつ飛び、獲物を見つけると襲い掛かって巣まで軽々と運んでいく』

 アッシュが図鑑でデータを確認する。ウォーグルと対照的に見られるポケモンだが、車を持ち上げるウォーグルのパワーに匹敵するらしい。

 「君はここで何をしているんだい?」

 「あきちかい? あきちはネーベル。この辺りに住んでおる。さっき、娘が連れ去られたのを見て、少し様子を見ていたでありんす」

 「ボクはアッシュ。ところでボク達はその連れ去られた人を助けにいくんだけど、その場所、わかる?」

 「では教えよう。ついて来るのだ」

 アッシュはバルジーナのネーベルと話し、メアリーがさらわれた場所まで案内してもらうことにした。リゾートデザートは広く、太古の城まで埋まっているので案内してもらう方が早い。ヒュウ達は既にアッシュがポケモンと話す光景に慣れていたが、ブルジョワ伯爵だけは驚きを隠せない。

 「な、何をしていたのだ?」

 「バルジーナのネーベルが、太古の城まで案内してくれるんだって」

 「話していたのか……話には聞いていたが、初めて見る」

 今まで敵対していたアッシュの能力について、ブルジョワ伯爵は知識として知っていたが、実際に目撃したことは無い。しかしながら、アッシュはポケモンと話せる以外は普通の男の子であり、ブルジョワ伯爵にはシラコとクロスケがアッシュを嫌った理由がわからなかった。

 (親なら子はかわいいはずだが、やはりクロスケの奴は人の感情を持たない鬼だったのだな)

 戦艦アルセウス事件で見せ付けられた、ヒウンを戦艦で襲うというクロスケの突拍子も無い奇行。伯爵は改めて、クロスケが人間らしさの無い化け物だと悟った。

 「ここが古代の城か」

 ネーベルの案内でアッシュ達は古代の城に着いた。城の頭がちょっぴり出ているだけで、他は砂に埋まっている。ネーベルがいなかったら、場所がわからなかっただろう。

 「な、なに?」

 「シンボラーか」

 ハツネとアリスが城の周りに何かいるのを見つける。シンボラーだ。何やら活性化しており、暴れていた。

 「うおー!」

 「暴れさせろー!」

 「ヒャッハー!」

 話が通じないと見て、アッシュはコイルのラファールに止めてもらうことにした。

 「仕方ない、ラファー……」

 「あきちがやりますよ」

 しかし、アッシュがボールを投げる前にネーベルが飛び、翼を広げて黒いオーラをシンボラー達に浴びせる。

 「あくのはどうだ!」

 「あのバルジーナ、相当強いな」

 シンボラー達がボトボトと落ちていく。ヒュウは突然の技に驚き、アリスはネーベルのレベルを高いと見積もる。

 「なんでこんなことしタ! 言エ!」

 「カッとなってやった。誰でもよかった。反省している」

 出番を奪われたラファールはシンボラー達に取り調べをしていた。カツ丼は出ない。

 「いや、いつもの様に見回りをしていたら、こんなものを拾って暴れたくなってな」

 「子供は見ちゃいけません」

 シンボラーが事情を話し、アッシュにある雑誌を渡そうとするが、エルトが即座に奪い取る。ブルジョワ伯爵も見たが、明らかにいかがわしい雑誌。ただ、グラビアに写っているのはポケモン。

 「なんじゃぁこりゃあ? 『週間ポケパルレ』ぇ? 『卵グループ:ふていけい号』って……」

 「『我々人間も、いかがわしいものを見ると興奮するが、ポケモンも同じなのだろうか。そして興奮がポケモンの力を引き出すのだろうか。私はそれを知りたく、この雑誌を創刊する。監修担当、アクロマ』……。変なことを考える奴と金を出す奴がいるのだな」

 編集後記を見て、ブルジョワ伯爵は呆れていた。つい最近まで、伯爵が金を出す側だっただけに尚更だ。

 「というか、あんたらの卵グループは『ひこう』でしょ!」

 「すんませんでした姐さん!」

 「同族ばっかだと飽きるんです!」

 「ベトベトンとサーナイトの絡みが最高でした!」

 「ルークてめぇこら新入りの癖にちゃんと読んでんじゃねーよ!」

 「すまぬッ……すまぬッ!」

 どうやらこのシンボラー達、ネーベルの舎弟らしい。シンボラー達の口論はさておき、他にもポケモンが暴れていたので止めにいく。

 「時代はヒップホップだYOー!」

 「俺達陽気なマラカッチ♪ でも砂嵐は勘弁な」

 「リズムに乗れないならマラカス振って鍛えな!」

 「あべし!」

 「ねっぷうだー!」

 マラカッチ達がネーベルのねっぷうで吹き飛ばされる。マラカッチ達が持っていたのはシンボラー達と同じ雑誌の『卵グループ:すいちゅう2号』。やっぱりリゾートデザートに卵グループ『しょくぶつ』が同族しかいない弊害なのか。雑誌の煽りには、『ラテンは古い! 今の時代はヒップホップ!』と書かれている。

 「全くあんた達は……」

 「すんませんッしたー!」

 「次はダルマッカとワルビルが暴れてる!」

 マラカッチを止めたと思ったら、今度はダルマッカとヒヒダルマ、メグロコとワルビルが暴れていた。原因は同じ雑誌。今度は『卵グループ:ひとがた号』。

 「これ、ロゼッタへのお土産にするか」

 エルトは雑誌を回収し、知り合いのお土産にしようとした。一般人は『ポケモンかわいい』くらいの感想しか持てない雑誌だが、これで興奮する人間もいるのだ。エルトはポケモンへの『愛』を叫ぶが、ロゼッタはポケモンに『性愛』まで求めている。

 「よし、ようやく古代の城に入るぞ!」

 「つ、疲れた……」

 「本当だよ」

 「すまんね、身内の恥を晒して。最近、マラカッチの2匹が都会に出掛けて、みんな触発されておりんす」

 田舎者候なネーベルの舎弟達に疲労困憊のハツネとヒュウ。アッシュ達はようやく、太古の城へ入ることが出来た。

 この混乱を起こしたのはシャトーの連中なのか、それを知るためにも太古の城へ行くしかないのだ。




 次回予告
 (ナレーター:エルト)
 「メアリー、奴はオリジナルイヴと名乗っていた。自分が所詮、デザインベイビーに過ぎないコンプレックスからなのか、ユートとエディの娘、イヴのオリジナルとな。だが、あいつらはお前をイヴの姉として迎えただろう。今更だな。お前は5年前、罪を犯したが贖罪は済んだ。それを証明する。
 次回、灰色の疾風。『オリジナルイヴ。その罪と罰』。神が許した罪なら、罰は不要ぉ!」
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