ポケモントレーナーのエルト
ホウエンに流れ着いた少年。顔に火傷があり、ホウエン監獄からの脱獄者である。
ポケモンリーグ本部至上主義を掲げるカントー、ジョウトからホウエンリーグ設立の報復を受けるホウエンの今を変える楔となるか。
手持ち
バシャーモ♂(イチロー)
ジュペッタ♂(シリウス)
ボスゴドラ♂(ボルックス)
ドンファン♂(アンタレス)
トドゼルガ♀(アルタイル)
ボーマンダ♂(ボーマル)
(最終決戦後に追加)
バクフーン♂(カザン)
ポケモンブリーダーのエルト
シンオウに修業に来たブリーダー。『神を名乗る男』との戦いを経て、成長した。
八賢老に閉ざされた未来を照らす炎となるか。
手持ち
ゴウカザル♀(ハナコ)
ムクホーク♂(ラド)
ゴローニャ♂(ダクダ)
フーディン♂(ケーケー)
フローゼル♀(ディアドラ)
ユキノオー♂(ガネーシャ)
ポケモンブリーダーのエルト
大学に入学したエルト。イッシュには学芸員の実習に来ている。2つの事件を経験した彼は、一歩下がって仲間や事件の渦中にある人間をサポートする様になった。
今までのポケモンを組み合わせてパーティーを作る。
追加メンバー
グレイシア♀(フィア)
ブーバーン♂(ジェイク)
トゲキッス♂(イージス)
フォッコ、ケロマツ、ハリマロン、ニンフィアもいる。
キンセツシティ郊外 育て屋 エルトの部屋
「わかっちゃいるけどよ……似合ってない」
エルトはその日、鏡を見て言った。彼らしくもなく、スーツを着ていたからだ。もうすぐ成人式のため、大学の入学式に買ったスーツが着れるか確かめていたのだ。エルトはこの2年で殆ど体格が変わらなかったため、問題はなかった。
「こうしてみると懐かしいな、何もかも」
スーツを出すついでに、昔着ていた服も出てきた。なのでカーテンレールにハンガーでかけてある。一番小さい、灰色のパーカーはエルトが10歳の時着ていたもの。サイズが大きめなのは、火傷した顔をフードで十分隠すため。
今のコートとさほどサイズの変わらない黒いコートはシンオウに行った時に着ていたもの。ダイゴがくれた新製品の試作品だ。オリジナルイヴと名乗った少女はその罪を許されて、神の手で遠くに行った。また会えるかはわからないが、何と無く、もうすぐ会える気はしていた。
壁には写真が額に入って飾られている。1枚は10歳の時のもの。アスナやトウキ、フヨウといった今のホウエンを引っ張るトップトレーナー達やポケバンクの開発者アズサとエルトが一緒に写っていた。
もう1枚はシンオウで撮ったもの。イヴやヒサメと写っており、彼女達と一緒に一人の少年が写っている。あの時、アッシュと名乗った少年は今、何をしているのか。シンオウで会った以来、音信不通で消息も不明。謎の多い少年だった。
「アッシュねぇ。不思議な奴だったな」
エルトはそのまま部屋を出て、育て屋の庭に行く。ポケモン達がのびのびと暮らせる広い庭で、エルトのポケモンもここにいる。
エルトを待っていたのはバクフーンのカザン。彼とはカントーにいた頃からの仲で、一度引き裂かれながらも再会を果たしてエルトの窮地を救った。
ホウエンで出会った初めてのポケモンがジュペッタのシリウス。ホウエンに流れ着いたエルトの命を救った。オダマキ博士から託されたのはアチャモのイチロー。今やバシャーモとなり、エルトの一番の相棒として戦ってくれる。
サイユウシティで出会ったコドラが後のボスゴドラのボルックスに、サファリゾーンで捕まえたゴマゾウは進化してドンファンのアンタレスとしてエルトを支えた。トクサネで力を借りたトドグラーがトドゼルガのアルタイル。この6匹がホウエンを『神を名乗る男』から救ったメンバー。
育て屋にはおじいさんおばあさんのポケモンもおり、ヤルキモノ、キノガッサ、ドククラゲ、そして大学に入って初めての大会『竜王戦』で活躍したボーマンダのボーマルがいる。
シンオウに育て屋修業をしに行った時は、ヒコザルのハナコをナナカマド博士から渡されてゴウカザルまで育てた。途中、ムックルのラド、イシツブテのダクダを捕まえた。今や立派にムクホークとゴローニャになっている。
八賢老の起こした事故でトレーナーを失ったケーシィのケーケー、打倒八賢老の旅で捕まえたブイゼルのディアドラ、ユキカブリのガネーシャ達も進化し成長した。
大学に入ってからは授業でトゲキッスを育てたり、ゲイリーからブーバーンのジェイクを渡されたり、イーブイを育てたりしていた。
「ポケモンが増えたもんだな」
エルトは部屋に戻り、自分の足跡とも思えるポケモン達をしみじみと思い返す。そして、自分の顔にある火傷の痕を撫でる。
「きっかけはこれか」
ある日、火災現場に取り残された女の子を助けるためにエルトはカザンと燃えるデパートに飛び込んだ。負傷しながら女の子を助けたが、彼女が嘘をついたせいでエルトはデパートを燃やした犯人にされてしまう。
ホウエン監獄に入れられ、ゲイリーの手を借り脱獄。辿り着いたホウエン地方で神を名乗る男と戦いになる。そして、奴の正体をエルトは知った。
「楽しみだね。凄く楽しみだ」
エルトは神を名乗る男と過去、2度に渡って戦った。その男は未来からやって来た。1度目はホウエン、2度目はシンオウ。ホウエンで戦った時に言っていた、そいつは今年、自分に敗れて過去に逃げ込むことになると。
「さあて、始めようぜ。神様よぉ」
この因縁を断ち切るまで大人には成れないと諦めていたものが、10年も前に終わっていた。『神を名乗る男』が敗北し、転落するまで後少し。
エリートスクール ギンの部屋
エリートスクールのある場所は時差のせいで夜中だった。エリートスクールには大々的な成人式があり、世界を動かすエリートの誕生を祝う場となる。ちなみに、18歳で成人扱いとなるのがエリートスクール。
「成人か、今まで使ったポケモンの数など覚えているものか」
エルトの弟、ギンは成人と聞いて今までを振り返る。強いポケモンに乗り換え続けたギンには、ポケモン達の思い出が無い。エリートたる者、ポケモンへの愛着から合理的な判断が下せないのはマズイと思ったから、むしろ好都合だ。
銀髪といいポケモンへの接し方といい、つくづくエルトと正反対だ。
「しかし気になる」
「何が?」
ギンは薄い紫の髪をした少女、フランとベットで寝ていた。エリートには相応しい女が必要と考えるギンは、エリートスクールの才女であるフランと交際している。バトルは苦手だが、研究者としては優秀だ。
そして何より美しい。紫の髪をかき上げる度に漂う香りに、なめらかな白い肌。フェアリータイプと呼ぶ以外、彼女を形容出来ない。3000年前にカロスを納めた王はポケモンを愛したというが、その美しさ故に王妃がポケモンに例えられたためその伝承が生まれたとする説もあるくらいだ。
「気にするな、僕ほどのエリートは、細かいことが気になる」
「んっ……」
ギンはフランのか細い身体を抱きしめる。肌と肌で触れ合っているせいか、フランがいつもより熱く感じられた。
「気になるのは血縁を認めたくない兄の戯れ言だよ。ポケモンを愛するなど馬鹿げている。愛するのは人間同士だけさ、僕達の様に」
「あ…だめっ」
エルトの言葉を振り払う様に、ギンはフランに覆いかぶさる。人間同士だけが愛すると言うが、ギンはいざという時にフランを切り捨てられるよう、入れ込まない様にしていた。夜ごとにフランを抱くのも、単純に自分の欲望を満たすためだけだ。
「うくっ! はぁっ、はぁっ……! ああ…」
(ふふ、ポケモンがこの様な反応をするかね? やはり愛とは人間のものだ。所詮愛など、優秀な子孫を孕ませる個体を探すためのレーダーに過ぎない)
髪を振り乱し、肌に汗を浮かべ、喉の奥から喘ぎを漏らすフラン。それを見て、ギンは間違った愛の形を正しいと思い込む。
「やはりあいつは間違っている。人間以外に愛など……。フラン、女なら男に抱かれるべきとは思わないか?」
「うっ、くぅ、は、はいっ……あっ!」
ロゼッタ辺りが聞いたら「異議あり! 私はポケモンに抱かれたいです!」とか言って法廷を退出させられているところだろう。人間らしさを謡いながら、あくまで動物の原則から離れられていない。
「んあっ、なんか今日、ギン変よ?」
「変なもんか。ほら」
「ひぅっ…やっぱり、変。んんっ?」
痙攣するフランを強く抱き、ギンはエルトの宣告を忘れようと必死に行為を繰り返す。
『ほう? 安心しろ、5年後に人生最大の汚点は更新されるからな』
5年前、エルトに告げられたこの宣告。この『5年後』が迫りつつあると知った時から、ギンはフランを抱く頻度が増した。行為の激しさもだ。命の危機を悟ったからか、無性に子孫を残したがるのか。
「変じゃないさ」
「はぁっ…変よ…ん…だって前は付けてたのに…くぁっ…今は……はあぁっ…!」
フランの言う通りだ。昔はフランを切り捨てられなくなることを恐れ、細心の注意を払ったし、スキャンダルを避けて浮気もしなかった。しかし今はそんなこともお構い無し。欲望を残らず彼女に吐き出し、それだけでは足りないのかフランが忙しい時、ついに他の女に手を出してしまった。
無能で有名なブルジョワ伯爵でさえ、女と一夜限りの関係を築くことは決して無い。惚れてもいない女に無責任なことはしないし、惚れた女は最後まで面倒を見る。ギンは無能と蔑んだ相手が、彼なりに打ち立てた最低限のポリシー、それを下回る行動をしていた。能力が低いといえ、伯爵は気こそ多いが女に一途で責任感が強い。
ギンはより強くフランを抱きしめ、彼女の身体を堪能する。エルトの宣告に怯え、エリートは徐々に単なる色狂いになっていく。
「うっ……くぅ」
フランはギンの異変に気付いていた。自分がギンに利用されていることにも既に気付いていた聡明な彼女が、毎日接している男の異変に気付かないはずが無い。だが、それをギンに追及出来るのは2人きりの時だけ。その時でさえ、ギンは執拗に自分の身体を弄ぶ。
食いしばる歯の隙間から唾液が零れ、胸元を濡らす。いつもギンを問い詰めようとして、こうなのだ。ギンはフランが問い掛ける暇も無いくらい激しく抱く。フランも抵抗するが、いつも負けてしまう。
側近の話を聞かなくなったら終わり。歴史が語り継ぐ過ちをギンが犯しそうになっているところを、フランは止めたかった。エリートスクールでギンほど優秀なトレーナーはいないから、このチャンスは逃したくなかった。
「はぁっ…ギン。そろそろやめないと…あっ…もしものことがあったら、ん、あなた失脚さ……」
「そろそろだ」
「はっ、はぁっ、あぁっ……!」
シーツを強く握りしめ、ギンの欲望にフランは身体をよじりながら耐えた。結局、今宵もギンはフランの忠告を聞かなかった。だが、成人式という節目も近いのでフランは意地でも告げた。毛布を胸元で押さえ、起き上がって声を上げる。
「うっ、あぁ……。私、別にあなたが他の女のところに行くのは構わない、けど! もしこれがバレたら愚民共は私が許す許さないに関わらず騒ぎ……」
「わかっている。君はすべて僕に任せればいい」
「ギン……。私、もう……耐えられない」
フランはギンがおかしくなっていると確信した。身体に毛布を軽く巻き付け、そのままシャワーに向かう。
脱衣所前の扉に立ったフランは毛布をハラリと落とし、シャワールームに消えた。水音を聞きながら、ギンはエルトの言葉を思い出す。
『運命は決まっている。10年前、俺が神を名乗る男を倒した時からな』
同じ大人になったはずの兄弟が、何処で道を違えたのか。それを知るものはいない。
フラン「なんでこんなシーン書いた! 言え!」
級長「だって、ギンとフランって重要キャラなのに出番少ないし」
フラン「だからって濡れ場を書くなど……!」
級長「主人公ズのプラトニックな付き合いとの対比だよね。基本的に」
フラン「恥ずかしい……私がよがってる場面など……」
級長「ギンの危機的状況がよくわかるよね。無意識にエルトに怯えてる。あと、主人公のアッシュとエルトの写真にいたアッシュの関係やいかに?」