ポケットモンスター 灰色の疾風    作:級長

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 バレンタイン特別編! 遅れても気にするな!


番外 バレンタインの騒乱

 2月13日 カロス地方 ミアレシティ カフェ・ペロリーム

 

 このカフェは知る人ぞ知るカフェである。何せ、売っているのはお菓子の材料で、自らお菓子を作るカフェなのだから。

 「今日はなんだか人が多いですねー」

 このカフェのマスターを勤める女性は、いつも以上の盛況ぶりにペロリームと驚いていた。今日はバレンタイン前日、チョコを作ろうと多くの人が詰め寄る。

 マスターのショウコはパティシエである。パティシエの中でもチョコレートに特化したショコラティエであり、それを主張するためにわざわざ髪もチョコレート色に染めたのだ。なので、作り方がわからないお客さんに指導もする。

 「ま、テレビでも見ますか」

 今日の客は皆手練れなのか、ショウコの出番は無い。仕方ないのでテレビを見ようとした。

 『これが皆さんを守るオムラ社のマシンガンです。装填数は……』

 だが、そのテレビの様子がおかしい。ニュースの映像がホワイトノイズに消え、白黒の『333-333-333 We Present A SPECIAL PRESENTATION』と書かれた不気味な映像に変わる。直後、一つのメッセージが表示された。

 『To Couples Welcome to the lonely』

 「なにこれ? 『カップル達よ、孤独へようこそ』?」

 『こちら人口削減計画実行委員会だ。我々は増え過ぎた人口を縮小するため、恋人達のイベントを破壊する。手始めにバレンタインだ』

 「どういうこと?」

 ショウコは困惑した。テレビが変な音声を流しているのだから。

 「話は聞かせてもらったでござる!」

 「アイエエエエ! ニンジャ!? ニンジャナンデ!?」

 そんな時、使っていない冷蔵庫から何かが出て来た。手足を大胆に露出した、ニューラカラーの衣装を纏った少女だ。そう、あらかさまにニューラクノイチなのだ!

 「拙者はポケモン犯罪防止委員会のヒサメにござる。友人の付き添いでここに来たでござるが……事件でござるな」

 店内にダイナミックエントリーしてきたヒサメはテレビを見て事件の臭いを嗅ぎ付けた。

 「あー、しまった。でもイヴ殿にポケモン貸しちゃったでござる。イヴ殿、父上の誕生日も兼ねてるでござるから気合いが入るでござる……」

 「大人しくしろ! 人口削減計画実行委員会だ!」

 そうこうしているうちに、放送をした組織の人間が店内に突入してきた。肝心のヒサメはポケモンを友人に貸していた。

 「ペロリームで戦って!」

 「忝ない、助かるでござる!」

 ショウコは自分のペロリームを渡して、ヒサメに戦って貰うことにした。苦労して建てた店を物理的に潰されたくは無い。

 「ペロリームの技は……かえんほうしゃにござる!」

 「アバーッ!」

 ケーキがなんと火を吹いた。なかなか凶悪なケーキである。ペロリームは見た目以上に多彩な技が使えるのだ。

 「俳句を詠むでござる、介錯つかまつる」

 「な、なんだこいつ!」

 「ポケモン犯罪防止委員会の人間か?」

 「マニューラクノイチのヒサメか!」

 ポケモンを使って犯罪する人間にとっては危険な存在である防止委員会。その中でも強大な戦力である、ヒサメは裏社会でも要注意人物として知られていた。

 「なんの! 我々が一斉にかかれば勝てる! いけ、キノガッサ! きのこほうし!」

 敵はキノガッサのきのこほうしで眠らせにかかる。だが、ペロリームもヒサメも効いている様子が無い。

 「ペロリームのとくせい、スイートベール! 味方は眠らない!」

 「何ィ!」

 ペロリームのとくせいで眠りにならないのだ。それを知らず、まんまときのこほうしを撃ってしまう。

 「かえんほうしゃ!」

 「粉塵爆発だ!」

 「グワーッ!」

 かえんほうしゃにきのこほうしが引火して爆発。自滅となった。敵がまとめて爆発四散。ワザマエ!

 「追撃するでござる!」

 ペロリームは10まんボルトを放ちながら敵を追う。追走劇である。

 

 「に、逃げ切れたか?」

 人口削減計画実行委員会の連中はなんとかヒサメを撒き、逃げ切れたと安心する。近くには蕎麦の香りが漂う屋台。

 「残念! 拙者はいるでごさる!」

 「アイエエエエ! ニンジャ!? ニンジャナンデ!?」

 屋台から天ぷら蕎麦を持って屋台から出て来た。そして頭の上に乗ったペロリームがかえんほうしゃを撃って敵を倒す。

 「に、逃げろー!」

 「ひー!」

 不意打ち過ぎて全滅。これにて一件落着。まさかニンジャが蕎麦の屋台からエントリーしてくるとは。

 「これで全部にござるな。イヴ殿もチョコを作れたことだし、めでたしでござる」

 すべての敵を倒し、ヒサメはカフェに帰る。ペロリームを返却する必要があるのだ。

 「あ!」

 そこでヒサメは気付く。店内できのこほうしが粉塵爆発を起こしたため、入口が大破していたのだ。これを敵がしたならよいが、起こしたのはヒサメである。

 「弁償、して下さいね」

 「あっ、はい」

 ポケモン犯罪防止委員会は優秀だが、やり過ぎが恒常化しているのだ。




 トレーナーカード
 マニューラクノイチのヒサメ
 キッサキ流ニューラニンジャの唯一の生き残り。5年前はニューラクノイチだったが、ジョウトで昇格試験を受けてマニューラクノイチにクラスチェンジした。
 ポケモン犯罪防止委員会でもエースである。ただ、頭が残念な為かニンジャに期待された諜報活動はしない。
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