ポケットモンスター 灰色の疾風    作:級長

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 イッシュの学校制度
 イッシュはカントーなどほど、地方毎に制度が画一化されていない。イッシュはルールが町毎に違うのだ。
 カントー、ジョウト、ホウエン、シンオウは10歳になると一定期間、学業の義務が免除される。ポケモンリーグなどでいい成績を残すと、その期間は延びる。例えばマサラタウンのサトシは各地方を旅して、その度にポケモンリーグでベスト16以上を記録したため、期間が常に伸びている。


48.世紀末小学校?

 ソウリュウシティ アッシュの家

 

 「学校?」

 「そう、学校」

 先日、アッシュの家に一枚のプリントが届けられた。本来ならアッシュが通う予定だった小学校の学年通信だ。

 エンブオーのマインはそれを読んで、学校という存在を知った。アッシュも登校の準備をする。

 「ソウリュウシティでは、小学校を卒業しないと旅は認められないんだってさ。知らなかったよ」

 「でもなんだかんだ言ってシラコもいい奴だよな。逮捕される前に手続きしてくれるなんて」

 アッシュは初め、戸籍すら無く学校に入る手続きもしていなかった。アッシュの母親、シラコが逮捕される直前にその手の事務処理はやってくれたのだ。

 当然、今までアッシュの存在は秘匿していたため、こうした手続きをすると『アッシュの虐待』という新たな罪状が加わってしまう。それでも、彼女はアッシュのためにいろいろ動いたのだ。

 「ホント、どうしたんだろうね」

 母親の改心にはアッシュも戸惑っていた。それはさておき、登校せねばならない時間である。アッシュは荷物をまとめ、出掛ける準備をする。

 今日はなるべく、男の子に見える服装を選んでアッシュは着替えた。キモリやジュカインに女の子と間違われた様なヘマを人間相手にやらかすわけにはいかない。

 そうしたわけで、アッシュは灰色のパーカーにジーパンと地味な服を選んだ。イッシュではカントーの様にランドセルの概念が無いため、旅で使っていたリュックに教科書を入れる。ソウリュウシティの小学校は集団登校である。集合場所まで向かう必要があった。

 マンションを出たアッシュは、集合場所になっているポケモンセンター前にやって来た。ソウリュウシティは近代化されたエリアと昔ながらの生活が残る場所の2つで構成されている。ポケモンセンターはその境目に存在するのだ。

 アッシュが通う『ソウリュウ第七小学校』は、ソウリュウシティで唯一、その二つのエリアから子供達が通う小学校であった。

 「あ、誰かいるよ」

 「5分前行動なのに、先越されるたぁな」

 アッシュとマインが集合場所に着くと、既に誰かがいた。赤い髪の女の子で、カントーやジョウト辺りでいう『学生服』を着ていた。個人主義、自由主義の思想が根強いイッシュには『制服』の概念も無い。そのため、一部の学生の間で制服みたいな服を着るのが流行っているのだ。

 タイプとしては、ブレザーと呼ばれるものだ。黒色のジャケットに赤いネクタイ、チェックのスカートと標準的なものだ。

 「あ、来た来た! 君が転校生だね?」

 「転校生?」

 「私はソウリュウ探偵団の一人、レイカ! よろしくね」

 「あ、同業者さん? よろしく」

 アッシュとレイカの会話は噛み合っていなかった。マインが遠巻きにそれを見ていた。

 「同業者? あなたも探偵なの?」

 「ポケモン探偵事務所の探偵だよ」

 アッシュはレイカに名刺を渡す。そんなものいつの間に用意したのか。

 「女の子かつ同業者か……仲良くしようね!」

 「男の子です」

 「え? そうなの?」

 アッシュは即座に訂正する。この服装でも女の子扱いなのは、髪が長いせいかもしれない。

 「まあいいや。さ、行きましょ。ここに集まるの、私達だけだから」

 「そうなの」

 「前はもっと人がいたけど、今はちょっといろいろあってね」

 レイカは少しだけ悲しげな表情をする。何か、彼女の学校にあったのだろうか。アッシュは気になった。

 「何かあったの? 事件ならこのポケモン探偵が解決するよ」

 「あはは、ありがとう。でも、これは私達の手には負えないから」

 話していると、学校に着いた。だが雰囲気が異様だ。運動場の遊具はバラバラ、ガラスは割れている。周りは有刺鉄線で囲まれていた。

 「これは?」

 「私も驚いちゃった。こんな学校に転校してくる勇者がいるだなんて」

 とても勉強出来る環境ではなかった。校庭には何故か、立入禁止の看板が建てられている。

 「ここ突っ切った方が玄関に近いかな?」

 「あ、入っちゃダメよ。そこ地雷源だから」

 「地雷源? ラファール!」

 アッシュはコイルのラファールを繰り出した。なんで校庭が地雷源なのかは知らないが、とりあえず調べる必要があった。レイカが嘘を言ってるとは思わない。レイカに、ここが地雷源だと大人が嘘をついてる可能性がある。理由は不明だが。

 でもなければ、小学校の校庭が地雷源など有り得ない。

 「ラファール、金属反応!」

 「ビビビ、10、20、30以上あるゾ!」

 「そのどれかにでんきショックだ!」

 アッシュはラファールに金属反応を攻撃させる。磁石の付いてるコイルなら、地中に埋まった金属を探すのもお手の物。

 「ビビビ!」

 ラファールが運動場の真ん中にある金属反応を攻撃した瞬間、爆発が起きた。アッシュもまさか本当に地雷があるとは思ってなかったため、腰を抜かした。

 「な、なんで地雷が?」

 「遊具の奪い合いで、二つの勢力が埋めたの。体育館も下手に触らない方がいいよ。ブービートラップだらけだから」

 「子供の喧嘩に地雷?」

 レイカの発言に、アッシュは耳を疑った。子供の争いで地雷を埋めるなど、正気の沙汰ではない。

 「ん? 二つの勢力の争いって?」

 「ソウリュウ都市部を束ねる不良小学生と、田園部を統治する不良小学生の勢力。私達、ソウリュウ探偵団も事件解決に動いたけど、学校がこんなんだもん。親に行くなって言われてる」

 この地雷源を生み出したのはソウリュウの不良小学生達だった。アッシュもポケモン達から、不良小学生の悪戯に困っているという依頼を受けていた。

 「転校とかは考えないの?」

 「みんなここに仕事あるし、引っ越すに引っ越せないのよ。近くに私立小学校もあるけど、学費高いし」

 小学校がこの状況でも、生徒は逃げ出せないのだ。イッシュ全体の問題でもあるが、公立の小中学校に不良が増えて勉強が滞っている。

 そのため不良じゃ入れない私立の小中学校は人気が高くなり、競争率が高くなる。お受験を切り抜けるために、塾に行く必要も増えるのだ。すると、私立小中学校の学費や塾の月謝を払えない家庭は勉強出来る環境にない公立の小中学校に通わざるを得なくなる。

 つまり、経済格差がそのまま学歴にフィードバックされるということ。自由主義の国、イッシュは経済格差が大きく、深刻な問題になっていた。

 この手の問題ならブルジョワ伯爵が詳しい。アッシュはブルジョワ伯爵にライブキャスターで連絡してみた。

 「もしもし、ブルジョワ伯爵?」

 「え? 本物?」

 『おお、アッシュか。なんだね?』

 「小学校に武器を売ってる様な人、知りませんか?」

 レイカはアッシュのライブキャスターにブルジョワ伯爵が現れたので興奮した。テレビで見た有名人が、今まさに自分の目の前にいるのだ。

 『いや、まさか小学校に武器を売る奴は……。自分で作ったんじゃないか?』

 「え? まさかあれを?」

 『今の不良小学校はカントーで学生運動していた大学生くらいラジカルだと聞いた。もしかしたら、それくらいやるやもしれん。インターネットもあるしな』

 さすがに、あらゆる社会問題に黒幕がいるほど世の中は甘くない。アッシュは対症療法でこの事件を解決させるしかないのだ。

 「そうですか。犯人がわからないとなると難しいなぁ」

 『なぁに、目に付く連中を蹴散らせばいいだけよ。そっちの方がお前、特にマイン向きじゃないかな?』

 ブルジョワ伯爵はそう言ってライブキャスターを切る。アッシュの手持ちなら、正面突破の方が楽かもしれない。

 「それよりさ、職員室行きなよ。先生に挨拶しないと」

 「あ、そうだね」

 アッシュは一回、レイカと別れて職員室を目指した。

 

 職員室付近の廊下は厳重に椅子や机でバリケードが張られていたが、一つだけ道があった。バリケードを作った後に空けた道の様だが、アッシュはそれをスルスル潜り抜ける。マインは通れないのでボールに戻し、ラファールと職員室を目指す。

 「失礼します」

 「おお、来たか。転校生くんよ」

 職員室には歳を取った校長先生と、若い男性教師しかいなかったという。机の数に合わない。

 「あれ? 少ない?」

 「気にしないでくれ。君の所属する4年2組の担任、ソウキチだ。よろしく頼む」

 「あ、はい」

 男性教師はソウキチと名乗った。ハキハキとした物言いで、好感が持てる大人だ。

 「すまないねぇ、他の先生方はこの事態に手を付けられず、今は来ておられないのじゃよ」

 「そうなんですか」

 校長先生が言うには、先生でもこの問題に手を焼いているのだとか。

 「子供の喧嘩で?」

 「私もそう思ってたが、これは最早子供の喧嘩では済まないのだよ」

 ソウキチ先生によると、事態は深刻らしい。授業も出来る様子は無い。

 「ともかく状況を教えて下さい」

 「教えはするけど、手は出すなよ」

 「それは保障しませんが」

 アッシュは名刺をソウキチ先生に差し出し、自分の正体を明かす。見てるだけ、というわけにはいかないのだ。

 「最近噂の、ポケモンの相談役か。でも、今回ばかりは……」

 「いいじゃありませんかソウキチ先生。生徒を守るのは教師の役目なれど、困難を生徒と乗り越えるのも教師の役目じゃ」

 「そうですが、今回は相手が悪いですよ。ただの不良なら私が気合い注入しますが、あの子達のバックにはとんでもないギャンググループが……」

 ソウキチ先生は校長先生に諭されても、アッシュの力を借りようとしない。

 「ギャンググループ?」

 「下っ端に過ぎないが、あの子達の親はソウリュウのギャング『リュウジン組』と『モウコ組』のメンバーだ。親で子供を判断するわけではないが……」

 「検索ワードはリュウジン組か」

 アッシュはライブキャスターのネット機能でリュウジン組について調べた。

 「あれ? あまり情報がない。罵倒の掲示板ばかりだ。でも、ポケモン犯罪防止委員会に連絡するか」

 ただ、有益な情報は少ない。ポケモン犯罪防止委員会に連絡するついでに、情報を聞くことにした。イヴはまず止めるだろうし、口が軽いヒサメならとアッシュはライブキャスターで連絡を付けた。

 「もしもし? ヒサメさん?」

 『もしもしでござる。アッシュ殿か?』

 「リュウジン組とモウコ組について知りたいんですけど」

 ライブキャスターの画面にヒサメが映ったことで、反応した教師が一人いた。校長先生だ。

 「ふぉぉぉ? く、クノイチじゃ!」

 『なんでござるか?』

 「校長先生、『ツチニン忍法帳』でビデオの操作覚えたタイプですよね?」

 アッシュの言うツチニン忍法帳とは、クノイチの活躍する時代劇である。放送当時、まだテレビの規制が緩かったせいでサービスシーンが多かったとか。それでビデオの操作を覚えた諸兄も少なくない。

 『リュウジン組とモウコ組でござるか……。ただのカラーギャング、チンピラでござるよ。ただ、どうしても大悪党よりチンピラの方が片付けは手こずるでござるな』

 「そうなんですか」

 『数が多いでござるからな。とにかく、目に付く奴を攻撃すれば後は芋づる式にやって来るでござる』

 チンピラはなにぶん、数が多いし頭が悪いから警告を聞いて引き下がらない。プロが相手をするとなると、面倒な存在なのだ。

 「とにかく様子を見よう。フィリップ!」

 「出番だ!」

 アッシュは新たに仲間にしたキモリをボールから出し、カメラを渡した。キモリのフィリップ、大柄なメンバーばかりの今は彼に頼るのがベストだ。

 「カメラで不良のいる教室を撮ってきてくれない?」

 「偵察か、任せな」

 フィリップはカメラを手に、屋根裏から不良達のいる教室を目指す。まずは、リュウジン組の子供達だ。ライブキャスターにフィリップが撮った映像と音声が送られる。

 『煙いな。何やってんだ?』

 「ライブキャスターの電波は問題ないね。教室にカメラを向けて」

 『あいよ』

 フィリップは屋根裏から彼らの様子を撮影する。すると、なんと小学生がタバコを吸ってるではないか。

 『小坊がヤクキメてんぞ! なんて奴らだ!』

 「タバコ……いやお元気になるキノコか」

 「あ、あれは!」

 アッシュが煙の原因を突き止めていると、ソウキチ先生がアッシュに見せてはいけないものを発見したので、彼の目を塞いだ。

 「な、何ですか?」

 『こ、こいつは「激しく前後する殆ど違法行為」ッ! ハードボイルドなオトナのオトコにだけ許された行為をこいつらは!』

 『く、くせ者だ!』

 『くそう! 見付かった』

 フィリップが騒いでいたため、さすがに言葉がわからなくてもバレてしまう。フィリップは引き続き、モウコ組の調査に移ろうとした。

 「待って、フィリップ! 戻って!」

 だが、リュウジン組はフィリップを追っている。このままモウコ組の教室に向かったら大変マズイことになる。屋根裏を移動しているとはいえ、こうもバタバタ走っていると下からもわかる。

 『ここがモウコ組の奴らがいる場所か』

 『オラァ! 偵察放っただろゴラァ!』

 『やんのかオラァ!』

 『シバくぞオラァ!』

 リュウジン組は屋根裏のフィリップを追って、モウコ組のいる教室に着いてしまう。当然、くせ者はモウコ組の者と思われているようだ。

 「あーあ、やっちゃった」

 フィリップのせいで全面対決がスタート。これはマズイ。

 「でも、対決してる最中に横槍入れて倒せるからいいか」

 アッシュは対立する二つのグループが戦って、消耗したところを一気に叩く作戦に出る。

 「いや、このままだと危険だ。運動場が使えない今、奴らの戦場はこの校舎だ!」

 「え? それじゃあ、レイカが危ない!」

 ところが、そうもいかない。自分で運動場を使えなくしたくせに、奴らは校舎を舞台に争いを始めるとソウキチは言うのだった。レイカにも危険が及ぶ。

 「止めよう! ネーベル、ソミュア!」

 アッシュはバルジーナのネーベルとヨーテリーのソミュアを繰り出し、不良の集まる教室を目指した。

 教室は3階。職員室は1階にあるため少し時間は掛かる。そこに辿り着いた時、既に戦闘は始まっていた。

 「フィリップ!」

 「なんだあいつら、いきなり戦い始めたぞ!」

 アッシュがフィリップを呼び寄せると、くせ者の正体に気付いた不良小学生達がアッシュを共通の敵として認識する。

 「あいつだ! くせ者を放ったのはあいつだ!」

 「ナメた真似しやがるぜ!」

 結果的に争っていたグループが協力し合うことになったが、アッシュはピンチ。ネーベルに捕まって窓から脱出する。

 そのままアッシュは校庭に降り立った。ネーベルが見れば、何処に地雷が埋まっているかは一目瞭然だったという。

 「ははーん、さすが子供だけあって奴さん、素人でありんすな。埋め方が雑だ」

 よく見ると、確かに地雷を埋めた跡が残っている。普通なら、わざとわかる埋め方をして、そこから外れた位置にわからない様に埋めた地雷を仕掛けるものだ。

 「待てやゴルァバァ!」

 追い掛けてきた不良は自分が仕掛けた地雷に引っ掛かって全滅した。

 「所詮は馬鹿か。だが俺はこうはいかん!」

 「モウコ組がでしゃばるなよ!」

 それぞれのリーダーだけが残り、ブレイブハートと特撮ヒーローの変身ベルトみたいなものを取り出した。

 「ブレイブハート?」

 『変身!』

 リーダー達はそれぞれ、ベルトのバックルにブレイブハートをセットして変身した。リュウジン組側のリーダーはオノンドに、モウコ組側のリーダーはヤドランにバーストした。

 「ネーベル、ソミュアを乗せて飛んで!」

 「あいよ」

 ネーベルはソミュアを背中に乗せて飛行した。リーダー達は地雷を片付けながら、アッシュに接近する。

 「ソミュア、でんじはだ!」

 「な、ナニィ! ノーマルタイプがでんじはを?」

 その途中、リュウジンリーダーがでんじはを喰らって動けなくなる。

 「ふん、油断するからだ」

 「マイン!」

 「ぐおおぉぉぉ!」

 モウコリーダーはリュウジンリーダーを嘲笑っていたが、マインからの攻撃を受けて馬鹿にした対象の付近まで吹っ飛ばされる。

 「さて、怯える準備はOK?」

 アッシュは左手で二人を指差し、宣言する。彼はポケモンを傷付ける悪党を許さない。探偵を始めた時、そうした奴らに何か投げかける言葉が欲しくていろいろ考えたのだ。

 「マイン! フレアドライブ!」

 「うおりゃー!」

 マインが炎を纏いながら、リーダー達に向かって突進する。動けないリーダー達はそれをまともに受けてしまった。

 「ウゲー!」

 バーストが解除され、変身ベルトとブレイブハートが粉々に砕け散った。ポケモンもそれに伴い、解放される。

 「よし。任務完了!」

 これで不良小学生は全滅した。リベレート団との戦いを乗り越えたアッシュは、チンピラなど相手にならないくらい強くなっていた。

 

 不良小学生達は警察に連行されていった。ソウキチ先生はそれを見て、少し無念が残ったという。

 「いくら罪を犯したとはいえ、子供達を救えないとはな」

 「先生、何で小学校って6歳から入学するか、わかります? ボク、今回の事件でわかった気がするんです。半分はネーベルの受け売りですけど」

 アッシュはそんなソウキチ先生に、ある言葉を投げかける。親がいる不良小学生達がこうなり、親を持たない自分がああならなかったのには理由があると、アッシュはわかっていたのだ。

 「子供を全部ゼロから教育するなら、小学校は生まれた瞬間から入学でもいいんです。でも、生まれてから6年も猶予があるのは皆と学ぶための最低限を身につけるのにそれだけの時間が必要だからなんです。先生は30人以上の子供を見なきゃいけないけど、親は子供一人ひとりに目を向けられる。本当は親が子供にいろいろ教えなきゃいけないんです、先生よりまずはね」

 「お前本当に10歳か?」

 ソウキチ先生はアッシュがしっかりし過ぎているため、年齢以上に見えてしまった。身体的には10歳以下に見えるのに、精神的には10歳以上に見える。

 「多分10歳です。先生の教育だけで、子供は育ちません。ボクはポケモン達がいろいろな事を教えてくれたから、こうしていられるんです」

 アッシュは両親が不在だ。だが、ポケモン達が彼の親代わりを勤めたことで立派に育った。一方、不良小学生は両親が健在なのに、その親が教育を怠ったためにああなった。親を反面教師に出来ないのも悪いが、子供は先生よりまず親が育てる必要があるのだ。

 親が血の繋がった相手であろうと無かろうと。

 「アッシュ! 一緒に帰ろう!」

 「うん!」

 アッシュはレイカに誘われ、帰路に着く。彼の学校初日は、とんだ騒動を経て無事に終了した。




 次回予告
 ナレーター:アッシュ
 シルフィを狙うエリートスクールの魔の手! そしてブルジョワ伯爵の娘って?
 そしてボクは、5年前のシンオウへ飛んだ! 次回、『時渡り』。ボクがそこで見たもの、それは……。
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