ポケットモンスター 灰色の疾風    作:級長

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 バケッチャのサイズ
 バケッチャやパンプジンにはサイズが違うものがいる。サイズが大きくなれば攻撃力が上がって素早さが落ちる。
 特に特大サイズは鳴き声が低く、きせきのたねを持つ。


番外 ハロウィン巨大バケッチャ祭

 カロス地方 クノエタウン

 

 カロス地方のクノエタウンではジムリーダーのマーシュが主催するハロウィンパーティーが開かれていた。

 「大盛況ですね」

 「マーシュが一部にカルト的人気を持ってるからな。いわゆる、ああいう系のファッションリーダーだ」

 アッシュとエルトは行き交う人々の群れを眺めつつ、お菓子を食べていた。みんな様々なコスプレをしており、ハロウィンパーティーというよりはコミックマーケットに近い様相を呈している。

 「お前もコスプレなんだな」

 「そういうエルトさんはしないんですか?」

 「柄じゃないんでね。ハツネの奴、えらく張り切ってたな……」

 アッシュはハツネに連れられてここに来たのだ。今のアッシュは、格闘ゲーム『ギルティギア』よりブリジットというキャラクターのコスプレをしている。修道服っぽいデザインの服で、元々コスプレをする予定の無いアッシュが貸し衣装コーナーで係員に勧められたのがこれだ。

 エルトはというと、このパーティーで行われる『巨大バケッチャ祭』の審査員をする予定である。ブリーダーが腕によりをかけて育てたバケッチャのサイズを競う大会だ。

 「ハツネ、こういうの好きそうだもんね」

 「そうそう、ハツネからある都市伝説の調査を頼まれてんだよ。MORE DEBAN村って知ってるか?」

 エルトはハツネから『MORE DEBAN村』という都市伝説の話を聞いて、大学などの資料で調べていたのだ。だんだん、エルトが調査担当になりつつある。

 「『MORE DEBAN村』?」

 「何でもメイン級のヒロインで、かつ出番が減った奴しか入れない妖精の村らしいな。初期の伝説では鍛冶屋のドワーフと水色のドラゴンを連れたケットシーが村人だったが、伝説が広まるにつれてシルフや挙げ句、人間のスナイパーまで加わったんだ。スナイパーが弓を持ったケットシーに代わるバリエーションもある」

 「そんな所とハツネに何の関係が?」

 「最近、ハツネがその『MORE DEBAN村』に入れたらしい」

 ポケモンとは無関係そうな都市伝説にハツネが巻き込まれていると、アッシュはそこで知らされた。ハツネが『MORE DEBAN村』に入ったことで、エルトに調査を依頼したのだ。

 「入ったんですか?」

 「ああ。この都市伝説は『灰色の霧』っていう、別世界にワープする話とセットで語られることが大半だ。灰色の霧は『仮面ライダー』って都市伝説とのセットが多いがな」

 「あ、何してるの? お菓子あっちにたくさんあるよ」

 都市伝説について二人が話していると、ハツネがやって来た。ハツネのコスプレはなんと、アリスの着ているドレスみたいな鎧だ。ただ、アリスの鎧は彼女の体重と同じ重量なので、金属部分は発泡スチロールで作った。鎧としては軽い方とはいえ、鍛えてないハツネに自分と同程度に重い鎧は着れない。ついでにドレス部分も自作した。

 「それ、アリス以外が着ると違和感ぱねぇな。作ったのはすげぇけど」

 「コスプレって、こんなもんでしょ?」

 エルトは似合ってないと指摘したが、ハツネはそれも折り込み済みだった。金髪のウィッグを被ればまだ自然に見えるだろうが、黒っぽいハツネの髪ではアリスが金髪前提でデザインしたカラーバランスの鎧は似合わない。

 「作ってみてわかったけど、アリスのセンスって優れてるのね。意外と鎧の部分が作り易い」

 「そこは戦いで傷付くからな。取り替えるために作り易いデザインにしたんだろ」

 ハツネはアリスコスを作って、騎士としては異色なアリスの鎧が意外と優れていることに気付いた。装飾華美に見えるが、実はシンプルなデザインで破損しても直すのが容易だったり新たに作るのも簡単だったりする。

 「さて、そろそろバケッチャ大会だ」

 エルトはステージに向かう。ステージでは大きなバケッチャが並べられていた。

 「優勝候補のパンプキン公爵もいるのね」

 「なんだろうあれ……」

 ステージで一際大きなバケッチャを用意していたのはカボチャを被った黒マントの男。毎年優勝候補に名を連ねるパンプキン公爵だ。

 ステージ前に人が集まり、それを避けるためにアッシュとハツネは後方へ下がる。

 「あれ? あのバケッチャは?」

 アッシュはそこで、物陰に隠れている小さなバケッチャを見つけた。

 「何してるの?」

 「大きなバケッチャが優遇される風潮、これはよくない」

 バケッチャは小難しいことを言いながら、物陰で呟いていた。アッシュはなんだかラファールと気が会いそうと思った。

 「今こそ革命の時! 小さなバケッチャの価値を証明するのだ!」

 「あ、待って!」

 バケッチャは物陰から飛び出し、ステージへ向かった。アッシュとハツネはそれを追い掛ける。

 「なんだ? バケッチャ……?」

 ステージで司会進行をしていたエルトがバケッチャに気付く。バケッチャはエルトからマイクを奪うと、ポケモン語で演説を始めた。

 『人間諸君! 今日のバケッチャ界では特大サイズこそ優秀とされ、苛烈なサイズ格差が社会問題となっている。しかし、大きなカボチャなど大味なだけ! 核家族化が進み、家族が減った現代ではあまり大きいカボチャは食べ切れない! 小さいカボチャなら味が詰まっており、食べ切れる! 今こそ、サイズの価値観を見直すべきだ!』

 観客がポカーンとする中、アッシュだけが内容を理解していた。最近忘れられつつある、ポケモンと話せる設定。

 「うるせー! 大会を邪魔するな!」

 「帰れチビ!」

 「結婚しないのか?」

 ステージにいる特大のバケッチャ達はヤジを飛ばしている。そして、なんだかバトルになりそうな雰囲気だ。

 「おお、これは珍しい。野生のポケモンがバトルを仕掛けたぞ」

 エルトはバケッチャのバトルを見守ることにした。

 「なんだか知らねぇが、一年の努力を無駄にされてたまるか! バケッチャ、かえんほうしゃ!」

 農家がバケッチャにかえんほうしゃを出させた。小さいバケッチャもかえんほうしゃを出して相殺する。それにハツネは疑問を持った。

 「大きい方がパワーありそうなのになんで?」

 「お嬢さん、バケッチャはサイズが大きくなると体力と攻撃力が上がりますが、とくこうは上がらないのです。そしてかえんほうしゃは特殊攻撃。とくこうが影響する技です」

 パンプキン公爵がその疑問に答える。さすがにカボチャを被るだけあり、パンプキン公爵はバケッチャに詳しい。

 「とう!」

 特大バケッチャは小さいバケッチャに翻弄されて倒された。素早さは小さい方が上だ。

 「ば、馬鹿な……」

 「なるほど、演説を打つだけはある。自身の種族の特性を掴んでいるな」

 うなだれる農家。エルトは状況から小さいバケッチャが大会に不満を持っていることを察していた。

 「なかなかの実力ね、ゲットしようかな?」

 ハツネはボールを取り出してゲットを試みる。彼女の手持ちはエイパムのシッポ、ユンゲラーのおヒゲ、モグリューのドリル、エーフィのミミだ。バケッチャには不利なパーティーから選んだのは、ユンゲラーのおヒゲだった。

 「よし、ネゴシエーション開始!」

 「アッシュ式ゲットか」

 おヒゲとバケッチャが話を始める。ハツネがアッシュと同じ方法でゲットを試みているのは、エルトにもわかった。

 おヒゲとバケッチャは牛鍋をつつきながらあれこれ話していた。明治の論客みたいだ。

 どうやら交渉が成立したらしく、バケッチャはおヒゲが渡したボールに入る。

 「やった! バケッチャ、ゲットよ!」

 「ギャグ回で強化か……とりあえずおめでとう」

 ハツネは新たにバケッチャをゲットした。エルトは何か思うことがありながら、拍手して祝う。

 新しい戦力を加えたハツネも、アッシュと同様にイッシュラリー参加者。二人の対決が今からエルトは楽しみであった。




 イッシュラリー
 忘れられてそうなので解説。イッシュラリーはアッシュが旅立つ際、目標の一つに出場を入れていた。イッシュを巡り、試練をクリアすることでエンブレムを入手、それを8つ集めると予選をクリアした事になり、期間内に余分にエンブレムを集めると本戦スタート時のポイントが増える。
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