ポケットモンスター 灰色の疾風    作:級長

9 / 85
 リベレート団
 ポケモンの解放を本気で考える団体。ブルジョワ財閥のブルジョワ伯爵がリーダー。潤沢な資金でポケモンの解放を目指す。
 団員リスト
 1話 ブルジョワ伯爵、スーツの男達
 2話 自転車の変態達
 3話 鉱山の社長と部下
 5話 カタリンナ
 6話 キャサリン
 7話 現場監督


番外 子供の日、ギャラドスの滝登り!

 ヒオウギシティ

 

 ヒオウギは展望台で有名な町。最近、ベーシックバッチをアロエから引き継いだチェレンがジムを構えることになった場所でもある。

 「今年もゴールデンウイークだな」

 そこに住む少年、ヒュウは展望台にコイキング登りを設置していた。風にコイキングの姿がなびく。イッシュには5月5日にコイキング登りを飾る慣わしがある。今年は町に『金のコイキング』がやって来るとのことで、町全体が賑わっていた。

 「金のコイキングか、どんなポケモンだろうな」

 「大変だ! 誰か来てくれ!」

 ヒュウが呟くと、展望台の下で誰かが叫ぶ。ヒュウがそこを覗くと、青い服を着た配達員がボコボコにされていた。彼は急いで配達員に駆け寄る。

 「おい! 大丈夫か?」

 「金の……コイキング、を自転車に乗った奴に……ぐふっ!」

 配達員はそれだけをヒュウに告げると力尽きた。青い服の配達員は『不思議な贈り物』と呼ばれる貴重な品々を配達する役割を持った、配達業界のエリートだ。荷物の貴重さゆえ、配達中に命を狙われることもある。今回は運んでいた金のコイキングを奪われたのだ。

 「ヒュウ!」

 「これはなんだ!」

 そこへ、ヒュウの友人が現れる。メイとキョウヘイだ。2つほど年下で、まだヒュウと違ってポケモンを持っていない。

 「お前ら、自転車に乗った怪しい奴を見なかったか?」

 「あ、なんか見たな。自転車のカゴに変わったボールを入れた人。真っ赤、というかオレンジっぽいボールだったな」

 「プレシャスボールだ! そいつだな!」

 キョウヘイから話を聞いたヒュウは走り出す。特別なポケモンはだいたい、プレシャスボールに入っているものだ。走るうちに、自転車で疾走する人物の背中を捉えた。近くに池がある場所で、ヒュウは対峙を決めた。

 「あいつか! 頼んだ、ハトーボー!」

 ヒュウはボールからハトーボーを出し、自転車の人物にぶつける。プレシャスボールがカゴから落ち、中から金のコイキングが飛び出した。

 「くそ、見逃せ! 解放の為の戦力献上に失敗したから、この作戦を割り当てられたんだ! 成功させないと始末される!」

 「誰が!」

 ヒュウの知るよしもないが、自転車に乗ってた男はアッシュが3番道路で倒した人である。モノズなどを大量に孵化させては逃がしていたのだ。

 「子供にはプラズマ団の思想を継ぐ我々の尊さが解るまい! ランプラー、あの配達員と同じ様に魂を吸い取ってやれ!」

 自転車の男はランプラーを繰り出した。配達員を襲撃したのはこのポケモンだ。ヒュウは即座にハトーボーを引っ込め、別のポケモンを繰り出す。

 「戻れハトーボー! 行け、ミジュマル!」

 ヒュウが出したのはミジュマル。炎タイプのランプラーにミジュマルは相性がいい。問題は相手が進化していることだ。

 「ミジュマル、シェルブレード!」

 ミジュマルがお腹のホタチを構え、ランプラーを切り掛かる。自転車の男もランプラーに指示を出した。

 「ランプラー、シャドーボール!」

 「ミジュマル、シェルブレードで打ち返せ!」

 炎技が効きにくいミジュマルにはゴースト技のシャドーボール。順当な判断だ。しかし、ヒュウはミジュマルにシャドーボールを弾き返させた。シャドーボールはランプラーに直撃。ゴーストタイプでもあるランプラーにゴースト技は効果抜群だ。

 そのままシェルブレードもヒットする。隙の無い二段攻撃でランプラーは倒れた。

 「くそが! コイツがどうなってもいいのか!」

 「コイキングを人質に!」

 自転車の男は2匹目のランプラーを出しながら、コイキングを人質に取った。コイキングを人質ならぬ魚質にされて、ヒュウも手が出せない。

 「プラズマ団の崇高な思想を遂げるため、このコイキングは解放する!」

 「口を閉じろよ……」

 プラズマ団という言葉を聞き、ヒュウは静かに自転車の男を威圧した。魚質がいるにも関わらず、自転車の男は怯んだ。だが、ヒュウがランプラーを倒せないのも事実。

 「こうなりゃ一か八かだ。コイキング! じたばただ!」

 ヒュウはコイキングに賭けることにした。コイキングはヒュウの指示を聞き、じたばたで魚質から脱出する。そのまま池に逃げ込み、ランプラーにハイドロポンプを放つ。

 「コイキングがハイドロポンプだと?」

 「あのコイキング、相当なレベルだな」

 ランプラーをコイキングに倒され、自転車の男はまたも怯む。まさかコイキングに『特攻お化け』の進化前であるランプラーが負けるなど、タイプの不利があっても想像が出来ない。

 「なら、このランプラーで」

 自転車の男はありったけのランプラーをボールから出す。トレーナーが持てる限界を超えている。

 「俺は今から怒るぜ! コイキング、力を貸してくれ!」

 ルール違反にヒュウも御立腹だった。何より、コイキングも怒り浸透。金色のコイキングは光に包まれ、空へ跳び上がる。

 「こ、コイキングが竜に!」

 自転車の男が腰を抜かす。コイキングは赤いギャラドスに進化したのだ。そして、ランプラー軍団目掛けて突撃する。

 「ギャラドス、たきのぼり!」

 たきのぼりでランプラー達は自転車の男ごと空へ打ち上げられた。ギャラドスは池に飛び込むと、赤い体で悠然と佇む。ヒュウもその姿に息を呑む。勢いで指示を出したとはいえ、これ程の迫力があるポケモンが自分に従ったのだ。

 「あんがとな、ギャラドス」

 ヒュウにギャラドスの言葉は解らない。それでもお礼だけは言うことにした。こうして、一人のトレーナーによって事態は収束した。配達員は一命を取り留めたらしい。




 プラズマ団
 ポケモンの解放を訴えていた組織。Nというカリスマの下、宗教じみた組織であった。
 理念はゲーチスによる建前に過ぎず、本当はイッシュの人々からポケモンを取り上げて征服するのが目的。現在はロット率いる2年前の行動を償う穏健派とゲーチスの野望を進める過激派に分裂。
 主要メンバー
 N
 ゲーチス
 ロット
 ヴィオ
 アスラ
 愛の女神
 平和の女神
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。