Fate/Grand Order 聖唱残響遺物シンフォギア 作:YT-3
「——つまり、あんたらはカルデアってところの人間で、人類史は既にほとんど崩壊していて」
「この世界はその数少ない例外、ってことかぁ」
「はい、理解していただけたようで何よりです」
『思ってたより時間かかっちゃったけどねー』
「ああ、それはすまねーな。こいつバカだから」
「むーー! クリスちゃんひどいーー!」
「本当のことだろうが!」
「……先輩。彼女たちって……」
喧嘩するほど仲がいい?
「ですね。すごく生き生きとしてます」
「あんでだよ!? あたしらは別にそんなんじゃ」
「そうだよ!クリスちゃんと私は親友なんだ!ミクには敵わないけどねー?」
「おいコラ!なに勝手なこと言ってんだよ!」
「またまたー、赤くなっちゃってー」
「ぐぐぐ……蜂の巣にしてぇ……!」
『じゃれてる彼女たちは一旦置いといて、カルデア組、作戦会議だ。
マシュ。彼女たちの言ってた話、どう思う?』
「人を狙って灰にする災害"ノイズ"と、それらと戦うために聖遺物の欠片を増幅させて戦うシンフォギアシステム。
……俄かには信じられませんが、彼女たちの感じからはデマカセではないと思いました」
『うん、こちらでも同意見だ』
「ですが、人類史上でそのような災害が起きた事なんて……」
『ここからは推測だけど……多分そこは平行世界なんだと思う』
「平行世界……って魔法じゃないですか!?」
『いや、そう大層なものじゃないよ。
特異点とは本来の人類史からズレ始めたIFの世界だ。簡単に言えばまだ近い平行世界とも言える。レイシフトは限定的な平行世界の運用に近いね。
もちろん普通なら抑止力に邪魔されるはずなんだけど……今は人類史のほとんどが燃え尽きてるからね。まともに働いてないか、もしくは僕たちの側に協力してくれてる可能性は否定できない』
「では、平行世界を捉える可能性はあるという事ですか」
『うん。じゃないと説明できないからね。
まあ、そこは後で。今はノイズとやらについてだ。
仕組みは詳しくわからないけど、悪霊みたいな
シンフォギアシステムのことは……限定的な真名解放の長期持続か、もしくは宝具自体に組み込まれたバックドアシステムみたいなものなのかもね』
限定的な真名解放?
『ああ。マシュだってやっていただろう?
宝具っていうのは英霊に伴う神秘の塊だけど、基本的にサーヴァントといえどもその一部しか掌握しきれてないんだ。半ば別個の神秘になってるからね。
だから本来の持ち主でなくても、宝具に選ばれたならそんな不可思議な解放の仕方をしてもおかしくない』
「つまり、あれは宝具の元々の機能の一つで、隠されていた能力の一つということですか?」
『あくまで仮説だけどね。
提唱者だっていう櫻井女子に話を聞ければ早いんだろうけど……故人だというのなら仕方ないか』
「はぁ、はぁ、悪りぃ、待たせたな」
あ、抱きつかれたままなんだね。
「しつこくてな……もう諦めた」
「えへへ〜〜」
「で? その人理焼却とやらに対応してる機関っつーなら、どうにかする方法はあるんだよな?」
「はい。ここは焼却から守られている空間であると同時に歪みを生み出している地点でもあります。
その原因は万能の願望機"聖杯"……もしくはそれに類する強力な魔道具です」
「つまり、それをぶっ壊しちゃえば一件落着! ってこと?」
「私たちの側からすれば、ですが。この特異点は通常の流れに戻り、歪みはなくなります。
……ですが、元からあった物までなくなるわけではないので……」
「ノイズは居なくならねぇ、ってことか……」
「おそらくは……」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
(ち、沈黙が痛い!)
「(先輩!わたし不用意すぎましたか!?)」
『(うーん。でも、隠しても仕方のないことだしなぁ)』
「? クリスちゃん、なに悩んでるの? いつもの生活に戻るだけじゃん! 私たちが頑張ればいいんだよ!」
「え?」
『え?』
……え?
「……まぁ、それもそうか。少なくとも今よりかはマシだしな」
「ええと、協力して頂けるということでいいのでしょうか?」
「ああ、こっちとしても方針なんてなかったからな。
ただし、交換条件がある」
「条件、ですか……?」
「ああ。それはだな——」
☆
「
「ああ。今回のノイズ、妙に動きが良くてな……バラバラに追っかけてるうちに見失って——」
「簡単に言うと迷子だよ!」
「そうじゃねぇ!道は分かるんだあいつらの居場所がわかんねぇだけで!
っと、普段だったら飛んで探すんだけどよ……どうも空に上がると変なのに目をつけられるんだよ」
変なの?
「飛んでくんだよ、矢が。んで、撃ち落としてそっちに目を向けてもいねーんだ。幽霊じゃあるまいし……」
「ほんと、不思議だよね〜」
『(うーん、サーヴァントは幽霊の一種だって教えたほうがいいのかなぁ……)』
「矢、ということはアーチャーでしょうか? 撃ってすぐ霊体化して捕捉されないようにしている、とか」
弓矢を使うアーチャーならかなり絞られるね。
「……なぁ、アーチャーって弓兵じゃねぇのか? なんでそれで絞れるんだよ」
弓を使うアーチャーなんて邪道だから。
「……訳わかんねぇ、常識が通用しねぇ……」
「大丈夫です!慣れればすぐですよ!」
「そんなもんに慣れたくねぇよ……」
『じゃあ、とりあえずの目標は立花くんたちの仲間を探しつつ、可能ならそのアーチャーの撃破。
っていうことでいいかな?』
「ハイ!分かりました!」
「異論はねぇぜ」
『うんうん、じゃあ早速だけど……君たちの後ろから迫ってるアレ、何かな?』
「え? ああノイズですね。沢山いますけど」
「ノイズだな。だいぶ多いけど」
『へぇ〜』
「あれがそうなんですか」
なんか気持ち悪いね。
『…………』
「…………」
…………。
「って、ええぇぇぇええ!? あれがですか!? 」
まるで壁ですけど!?なんかキシャンキシャン聞こえてますけど!?
『魔力反応検知!これは……ゴーストのような宝具のような……。
とにかくマシュなら触れても大丈夫!たぶん!』
たぶん!?
『デミでもサーヴァントだからね!
でもマスターちゃんはダメだ!どうなるか予想がつかない!』
「っ!了解!マシュ・キリエライト、全力で先輩を守ります!」
——OK!ぶっ飛ばしてマシュ!
「はい!マシュ・キリエライト、行きます!」
「戦えるってんならありがたく頼らせて貰うぜ!ほらバカ、前衛はお前だ!突っ込め!」
「うん!いくよ、ガングニール!」
「……さて、どうするのかねぇ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ふぅ〜、つっかれたー!!」
『戦闘終了、かな? こっちではもう感知できないけど』
「はい。こちらも視認できる範囲には残っていません。
それにしても……」
「うん?どしたの?」
戦い慣れてるなー、って。
「はい。獅子奮迅というのが適切かと。
ですが、どこかで見覚えがあるような……?」
「そ、そうかな?! えへへ、あんまり褒められたことなかったからなんだか照れるなぁ〜〜」
「あんまりこいつ甘やかすなよ、後でうざったいからな」
「いえ、私はクリスさんも……危ない!」
「うおっ!?」
ヒュッ
「っ!助かったぜ盾女!」
「大丈夫クリスちゃんっ!?」
「掠ったけどこんぐらいなんでもねぇ!」
「先輩、狙撃です!私の後ろに隠れてください!」
『狙撃だって!?さっきの話に出てきた弓兵かい!?』
「ああ、矢が同じだからな!」
「矢が? これは……ドクター!イチイの毒矢です!」
『イチイを使った毒矢だって!? そんなもの心当たりは一人しかいないぞ!?』
まさか、クリスちゃんを狙ってるのは……
「……あーあ、バレちまったか。1割も落とせないんじゃ破壊工作Aの名折れですかねー」
「あ、あなたは……」
「まあ良いや。そこの赤い嬢ちゃん、ちょいと俺と勝負しねぇかい?」
「——ロビンさん!?」