Fate/Grand Order 聖唱残響遺物シンフォギア   作:YT-3

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第5節 主神の槍

「困りました、どうしたらいいんでしょうか?」

 

 

……ねえ、マシュ?

 

 

「どうしたんですか、先輩?」

 

「どうかなさいましたか、マスター」

 

「え?えっ?なんであの人も答えてるの?もしかしてあの人もマシュって名前だったり……?」

 

「私がマシュ・キリエライトです!他にマシュはいません!

ブリュンヒルデさんは、その、よく他の人の名前や肩書きを借りる人でして……ってちょっと待ってください!?まさか!?」

 

『あー、マスターちゃん?マシュ?薄々気がついてると思うけど、彼女は"ウチ"の彼女だと思う』

 

 

やっぱり

 

 

「でも、確か出発時は全員居場所の確認が取れていたはずでは?」

 

『ああ、それはだね……』

 

「おそらく、俺を追って来たのだろう。失点だった」

 

「ジークフリートさんを?」

 

『ほら、彼女とジークフリート君は色々と浅からぬ関係じゃない?カルデアでも出来るだけ接触しないように誘導してたんだけど、どうやらこの特異点の対応でそこら辺が手薄になってたみたいで』

 

「出会ってしまった、と」

 

『それだけならまだ彼女も問題なかったんだろうけど、たまたまセイバークラスが集まって模擬戦をしていた所だったらしくてね。ジークフリート君の相手がアルテラちゃんだったみたいで』

 

 

なんとなく想像がついた

 

 

「カルデアでのジークフリートさんの周囲の人間関係は混沌としてますものね……」

 

「耳を貸してくれるような状態でもなかったのでな。取り敢えずその場から離れ、ドクターに助けを求めにいったところ、こうして召喚されたというわけだ」

 

『こっちの召喚システムには彼女の移動した形跡は残ってないけど……原初のルーン魔術に最も近い一人だ。自力で移動できてもおかしくないかな』

 

「あー、そっちの話はよくわかんねぇけど、つまりあいつは味方ってことでいいのか?」

 

 

いちおう、たぶん、きっと、おそらく……

 

 

「えらく微妙な反応だな!?」

 

「その、ブリュンヒルデさんはゴーイングマイウェイな人と言いますか……、愛があるほど壊したくなる人と言いますか」

 

「えっと、そういうの"やんでれ"?って言うんだっけ?」

 

「まあ、そのようなものです。

主な対象は夫のシグルドさんと似てる人、特にジークフリートさんなのですが……」

 

「……彼女のことをブリュンヒルデと言っていたな。

北欧神話、その主神たるオーディンの娘。その彼女が、夫の他に愛する者といえば……」

 

「自分の姉妹たち。そして、神槍グングニルを手にする偉大なる父、オーディン。おそらく、もう響さんはロックオンされているかと」

 

「う、うぇぇえ!?なんで!?だって、私、男の人じゃないよ!?」

 

「性別は関係ないかと……シグルドさんの生まれ変わり候補の一人にも女性がいますし」

 

 

「……決めました。どちらも逃さずに、ここで仕留めましょう」

 

 

「っ! なんという闘気!」

 

「へっ、あちらさんはやる気満々みてーだな!」

 

『いったん頭を冷やさせるしかないぞ!消滅しても霊基さえあればカルデアで再召喚できるから全力で撃退するんだ!』

 

「あーもう!なんでこーなるんだぁぁー!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ああ、お父様にも殴られたことなかったのに……

あれ?お父様の槍に打たられたのならお父様に打たれたも同じ……? いえ、違う?

分かりません、困りました……」

 

「……ブリュンヒルデさん、消滅確認しました。霊基も確保済みです」

 

「あー、キツかったぁー……。なんかどんどん槍がおおきくなるしぃ〜〜」

 

『お疲れ様。響くんたちも、今のは完全にこちら側の問題なのに巻き込んで悪かったね』

 

「あの槍女がバカを狙ってくんだからしゃーねーだろ」

 

「愛ゆえに身内が暴走するのは、私たちにも経験があるのでな。責めるつもりはないさ」

 

 

やさしいんだね

 

 

「ふっ、そう思うならお礼は立花に言ってくれ」

 

 

もちろん、響ちゃんもだよ

 

 

「えへへ、ありがとーね〜」

 

「では、これからどうしましょうか」

 

「そうだな……とりあえずリディアンに行ってみるのはどうだ」

 

「だな。あたしたち全員が知ってる場所なんてそんぐれーしかねーし」

 

「あの、それはどちらでしょうか?」

 

「リディアン音楽院っていって、私たちが通ってる学校だよ!地下に二課の基地があるんだ!」

 

「学校の地下に、ですか?」

 

「色々と事情があってな。私はOGだが、この周辺であそこほど堅牢な場所はそうはない。大体ここから北東に3〜4キロぐらいだ」

 

『北東に3〜4キロね……うわ、なんだこの霊脈の規模!?冬木の数十倍はあるぞ!?』

 

「そんなにですか?」

 

『ああ、これはすごい、下手な魔術師なら失神モノだと思うよ』

 

 

なら、召喚サークルはそこで作ろう

 

 

「ですね」

 

『じゃあ、ジークフリートは一旦こちらに戻すよ。

今はほぼマスターちゃんの魔力だけで現界してる状態だからね。実はキツイでしょ?』

 

 

ぜんぜん?

 

 

「……先輩、無理はしないでぐださい」

 

 

……ちょびっと

 

 

「すまないマスター。俺は大飯食らいだからな……」

 

『大英雄だからね。意識的に常時発動型の宝具をカットしてるとはいっても、そこは仕方がないよ』

 

 

ジークフリートが気にすることじゃない

 

 

「そう言って貰えるとありがたい」

 

「えっと、ジークフリートさん、助けていただいてありがとうございました!」

 

「礼を言われることではない。俺はマスターのサーヴァント、当然ことをしたまでだ。

それに、まだ問題は終わってはない。必要となればまた戻ってくる。そういう言葉は最後に残しておくといい」

 

「……はい!」

 

『……よし、準備OK!じゃあ送還するよ——

——うん、特にデータには問題なし、終わったよマスターちゃん』

 

 

じゃあ私たちも行こうか

 

 

「はい! 目指すはリディアン音楽院です!」

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