ラブライブ! ~one side memory~   作:燕尾

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どうも、初めましてな人はハジメマシテ。燕尾でございます。

ストーリー内容が頭にポンポンと浮かんだので文章にして落としてみました。いわゆる衝動書きです。

ストブラの小説も書いていてその息抜き、大学の勉強の息抜きとして書いていて気が向いたときに書いていく方針なので更新は不定期です。

これからよろしくお願いします。




俺が女子高に入るんですか、そうですか

「ようやくついた。ここか……」

 

 

俺、萩野遊弥は呟きながら立ち尽くしていた。

 

 

目の前にあるのは長年続いてきた伝統のある雰囲気の校舎。

 

校門には筆で書いたような綺麗な書体で「音乃木坂学院」と浮き彫りが描かれている。

 

「引き受けたはいいけど入りづらいな」

 

 

なんたって女子高だからなぁ。

 

というかこれ、男が入ること自体犯罪なんじゃないか?

 

入った瞬間、警報がなってすぐに警備員に伝わったるするんじゃないか? そしてそのまま警察に――ってそれは無いよな。学院施設に入って即逮捕とかそんな法律聞いたことないし、うん。

 

とりあえず入って理事長に会いに行かないとな。

 

 

ようやく考えがまとまり、動き始めたときだった。

 

「ちょっとそこのあなた、なにしてるの?」

 

「うっひゃあ!!」

 

突然後ろから声を掛けられてびっくりしてしまう。

 

「きゃあ!?」

 

俺の奇声に声を掛けた女の子まで驚いていた。だがそんなことは関係ない。どうにかしないと――

 

「ごめんなさいごめんなさい! 決して怪しいものではないのでどうか警察だけは!!」

 

 

こんな狼狽して謝り倒したら何かするって思われるに決まってるだろ! なにやってんだ俺!

 

 

「えっと、ちょっと落ち着いて? 聞きたいことがあるだけだから」

 

女の子は俺の狼狽っぷりを見てすでに落ち着いていたみたいだ。そこで俺もようやく正気に戻り、声を掛けた女の子を正面から見た。

 

スカイブルーの大きく綺麗な瞳に少し高めの鼻とプルンとした柔らかそうな唇。腰までありそうな艶やかで混じりけが一切無い金色の髪をシュシュでまとめポニーテールにしてそれがまたバランスが取れている。

 

そして、顔もさながらスタイルもそこらのモデルよりもモデルっぽい。可愛いというより、美人という括りに入るだろう。ひとことで言えば金髪美人というやつだ。

 

「ちょっと……」

 

まじまじと見すぎたのか金髪美人が戸惑いながら問いかけてくる。

 

「ああ、すみません。こんな綺麗な人見たのは初めてなので」

 

「き、きれっ!?」

 

今度は金髪美人が顔を赤らめて狼狽し始めた。

 

 

しまったぁ! 初対面の人になに言ってんだ、俺は!? いくら本心でもそれは駄目だろ!!

 

 

「ごめんなさい! 昔から人を見る癖がありまして……こんなことをいうのは気持ちが悪いですね。本当にすみません」

 

俺が頭を下げてそういうと金髪美人の人は、少し間を置いて、

 

「い、いえ、わたしもそんなこと言われ慣れてないだけで少し驚いただけだから気にしないで。それよりもいいかしら」

 

金髪美人は俺を見つめてくる。

 

「あなた、萩野遊弥君よね?」

 

「はい、そうですが……」

 

 

なんでこの人は俺の名前を知っているんだ? こんな綺麗な人に顔と名前を覚えてもらっているなんて嬉しいけど、少し怖いぞ。

 

 

「そんな構えないでいいわ。私は絢瀬絵里、この音乃木坂学院の生徒会長よ」

 

絢瀬絵里と名乗った少女は少し苦笑いするように言う。

 

 

ああなるほど、それなら納得だ。

 

 

大方案内役として理事長から頼まれたんだろう。覚えている限りだとあの人もそれなりに人使いが荒い人だからなぁ。

 

「あなたの話は理事長から聞いているわ。理事長室まで案内するから着いて来て」

 

「はい、お願いします」

 

こうして俺は生徒会長という強い味方をつけて、ようやく校舎に入ることが出来るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人の足音が静かな廊下に響く。

 

それもそのはず、今日は土曜日でいる生徒といえば部活の生徒ぐらいだ。

 

校舎内の部活はほとんど文化部なのでみんな教室にいる。だが、静かなのはそのせいだけではない。

 

圧倒的に人が少ないのだ。教室も使われてないのが多く、机や椅子が積み重なって置かれている。

 

 

まあ、だから共学化なんだろうな。

 

 

外から聞こえる数少ない女子の掛け声を聞きながら俺はそんなことを思い、絢瀬先輩の後ろについて歩く。

 

ぴんと背筋が伸び正しい姿勢で歩く絢瀬先輩。その後ろ姿にはどこか見覚えがあった。

 

「ついたわ。ここが理事長室よ――ってどうしたの?」

 

「な、何でもありません!」

 

不思議そうに問いかけてくる絢瀬先輩に俺は慌てて返す。

 

「――そう」

 

そんな俺に絢瀬先輩の表情が変わる。悲しそうな、辛そうな表情だった。

 

だがそれも一瞬で、先輩は目の前の扉に向き直りノックした。

 

しばらくしてから、どうぞ、という声が聞こえてくる。

 

失礼します、と入った理事長室にはスーツ姿の女性が座っていた。

 

「絢瀬です。萩野君を連れてきました」

 

絢瀬先輩がそう言うと女性はにっこりと微笑んで、

 

「お疲れ様、絢瀬さん。わざわざ休日にごめんなさいね」

 

「いえ、私が望んだことですから。じゃあ萩野君、話が終わるまで一階下の資料室で待っってるから」

 

終わったら呼んでね、と言って絢瀬先輩は入ったときと同じように失礼しましたと退出する。

 

彼女を見送った俺と理事長は顔を合わせる。

 

「お久しぶりです。雛さん」

 

「久しぶりね遊弥君。元気そうでなりよりだわ。巌さんはどう?」

 

「ええ、爺さんは変わりなく元気ですよ。元気すぎてこっちが困るくらいには元気です。それにあの年で悪戯(いたずら)好きと来たもんだ。厄介なもんですよ、ほんと」

 

俺の愚痴に理事長、もとい雛さんは苦笑する。

 

南雛(みなみひな)さん――俺の爺さんの元教え子で今は音乃木坂学院の理事長をしており、学院運営のことでよく爺さんに相談している。基本電話だが何度か直接家に訪ねてきてまで相談することもあり、俺とも面識がある、三十代とは思えないほどに若い人だ。

 

「ごめんなさいね、無理聞いてもらっちゃって」

 

雛さんは本当に申し訳なさそうに言う。

 

「いえ、気にしないでください。俺も少しのびのびとしたいと思ってましたから、丁度よかったですよ」

 

俺がこうしてこの学院に来たのも雛さんの相談に対して爺さんが俺を差し出したことに起因している。

 

それは二週間前――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一年S組の萩野遊弥君、一年S組の萩野遊弥君。至急理事長室まで来てください。繰り返します――

 

 

九重学園――京都府京都市にある全国でも指折りの進学校。

 

そこの生徒であった俺は学園生活唯一の憩いの時間である、昼休みに放送で爺さんの元に呼ばれた。

 

「理事長室? なんのようだあの爺さん?」

 

周りからの視線が集まってくる。腫れ物を扱うようなご機嫌を伺うような視線。

 

 

――うざいな。

 

前からそうだったけど何をそんなビクついているんだこいつらは。関係ないんだからほっとけばいいのに。

 

それよりも爺さんからの呼び出しか……面倒くさい、無視しようか。

 

でも、無視をするともっと面倒くさくなるんだよなあ。

 

 

『遊弥~なんでわしの呼びかけを無視するんじゃあ! 泣いちゃう、わし、泣いちゃうよ~。ていうか泣いちゃったよ~』

 

 

……うん、そうなるな。滅茶苦茶絡まれるな。自棄酒(やけざけ)してきた後に絡まれるな。

 

 

「しょうがない、行こう」

 

俺は重たい腰を上げて理事長室へと向う。

 

理事長室があるのは学園校舎の六階、最上階である。俺の教室が二階だから四階も上らないといけない。

 

なぜ最上階に理事長室を設置したのかというと爺さん曰く、

 

『いやー、偉いやつが居るのは基本上じゃん? だからわし、学園設立したときから理事長室は最上階と決めておったんじゃよね~』

 

とのことだった。呼び出される此方としてはいい迷惑である。

 

教室を出てから数分、目的地である理事長室のプレートが見える。

 

ノックすると扉の向こう側から「入りなさい」と威厳のある声が聞こえてくる。

 

ガチャっと勢いよくドアを開け入った俺は第一声に、

 

「来てやったぞ、爺さん」

 

「すごい上から目線できたのぉ、お主」

 

「当たり前だろ。せっかくの昼休みになんで学園一用もないところにわざわざ来ないといけないんだ」

 

「最近、遊弥の態度がひどくてわしショックじゃぞ」

 

理事長の椅子にしょぼくれて座っている爺さん。

 

これがこの九重学園の理事長で俺の祖父兼保護者の鞍馬(くらま)(いわお)である。

 

「それで、わざわざ昼休みになんのようだ? 事と次第によってはしばらく禁酒令を出すぞ」

 

「いやなに、ちょっとした頼みごとじゃよ」

 

頼みごと? と反芻する俺に爺さんは続ける。

 

「雛のやつを覚えておるかの?」

 

「雛――? ああ、南雛さんか」

 

確か爺さんの元教え子で今はどっかの学校の理事長をやっている人だったな。爺さんも爺さんでよく相談してくる雛さんを娘のように思っている。

 

「雛さんがどうかしたのか?」

 

「それがの、雛の学校――音乃木坂学院という女子高なんじゃが、今生徒数が減少しているんじゃよ。それこそもうすぐ廃校とせざるを得なくなるぐらいにな」

 

「生徒数の減少か。まあ、昨今は少子高齢化が進んでるしな」

 

時代の流れだろう。過疎化するのは仕方の無いことだ。今じゃ全学年百人未満の小学校や中学、高校が全国でちらほらでてきている。しかも女子だけというならばなおさらだ。

 

「うむ、あやつも色々と試行錯誤を重ねて生徒を募ろうとしておったが、実りが無くての」

 

「まあ、高校ともなれば色々あるからな。地元に留まらない人達も居るし」

 

「それでじゃ、雛は最後の手段をとることにした」

 

最後の手段? 首を傾げる俺に爺さんは頷いた。

 

「うむ。それはな――共学化じゃよ」

 

「共学化?」

 

「そうじゃ。女子高という体制をやめ、男子生徒を募集して生徒数を増やすんじゃ」

 

でもそれって、かなりリスキーじゃないか? 増えるどころか減る可能性もあるぞ。博打するようなもんだ。

 

いや、もう博打でもしないと何も出来ないところまできてしまったんだろう。

 

「雛さんの学校が相当まずい状態ってのはわかった。それで俺に何の関係があるんだ?」

 

「言ったじゃろ。共学化するって」

 

「だから俺になんの――」

 

そこまで言って、俺は止まった。

 

 

――いや、まさかな。それはさすがに無いだろ。いくらこの爺さんでもありえないだろ。

 

 

爺さんは気づいたかといわんばかりの顔で、

 

「共学化するに当たって今年一年間テスト生がほしいと言っておったから、遊弥、お前をやることにした」

 

 

――だからお主、二年生からは音乃木坂学院に通え。というか荷物はもうまとめて向こうの家に送ってあるから明日から向こうに行って一人暮らしして来い。丁度明日から春休みじゃしの。

 

 

爺さんはそう俺に言い放った。俺はしばらく動けなかった。

 

「ん、どうしたんじゃ遊弥?」

 

そしてブリキ人形のように腕を動かして、携帯を取り出す。電話帳からある人物を選び電話を掛ける。

 

数回のコールの後、相手が出た。

 

『もしもし。どうしたの? 遊ちゃん』

 

「あ、姉さん。頼みがあるんだけど」

 

なにかな? と電話口で訊いてくる姉に俺は目の前の祖父を睨みながら、

 

「確か今日、大学早いよね? もし俺より先に帰ったら爺さんの酒、全部しまっておいてくれる? うん、ちゃんと鍵かけて。一ヶ月……いや二ヶ月ぐらいしたら出してもいいから」

 

「遊弥!?」

 

『うん、おっけーだよん』

 

それじゃよろしく、と電話を切り、無言のまま理事長室を後にしようとする。

 

「遊弥! それはあんまりじゃろ。わしの、わしの生きがいを奪うのか!?」

 

抗議を上げる爺さんに俺はドアの前で立ち止まりにっこりと微笑んで、

 

「禁酒しろ。クソ爺」

 

わしの命の水がァァァァァァ!! という叫び声を背に今度こそ俺は理事長室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――というのが、二週間前のお話である。

 

要するに俺になんの承諾も得ないまま爺さんは俺を差し出したのだ。

 

家に帰ったら本気だったようで、俺の部屋の荷物が結構なくなっていた。

 

「まったく、雛さんが可愛いくて仕方が無いのはいいけど話ぐらいしてほしいものです」

 

「まさか、遊弥君に話がいってなかったとはわたしも思わなかったわ。先生に相談したときも『ああ、遊弥を行かせるから心配するでない』って言っていたものだから、てっきり……」

 

「俺もまさかでしたよ。まあ、爺さんにはきっちり制裁を与えてるので、このことについてはもう受け入れています」

 

俺の言葉に理事長があんまりひどいことはしちゃ駄目よ、と苦笑いしながら言う。

 

大丈夫です、雛さん。健康的な制裁ですから。むしろ常日頃からこの制裁を与えたいと思ってますよ。

 

とにもかくにも、なんだかんだあったが明後日から俺もここの生徒になるわけだ。

 

「何か学院生活を送るにあたって注意事項とかありますか?」

 

周りは女の子しか居ない状況だから、気を使うことがたくさんあるだろう。

 

だが、雛さんは首を横に振った。

 

「いえ、特にこれといってないわ。月に一回、学院についてのレポートを出してくれればオッケーよ。しいて言うなら」

 

雛さんがそこで言葉を切り、俺を見つめる。そして、柔らかな笑みを浮べて、

 

「悔いの無い学院生活を送ってね。あなたが楽しんで生活を送れるようにわたしたちも全力で支援するから」

 

 

綾瀬先輩といい雛さんといいやっぱりいい人だなぁ。ここでなら何事なく俺もやっていけるだろうか。

 

 

「はい、ありがとうございます。では、失礼します」

 

新たな生活への期待を胸に抱きながら、一礼だけしておれは理事長室を退出したのだった。

 

 






いかがでしたでしょうか?

感想や評価をいただけると今後の指標になるのでぜひお願いします。

今後ともよろしくお願いします。
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