ラブライブ! ~one side memory~   作:燕尾

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どうも燕尾です。

16話目ですね。話はまったくと言っていいほど進んでいません。





勝負

 

 

 

 

「「「はぁ……はぁ……はぁ……」」」

 

放課後は朝よりトレーニング量をちょっと増やしたのだが、三人は死屍累々だった。動くこともままならないという様だ。

 

「よし、後はランニングして今日は終わりだ。ルートは朝よりちょっと長いコースだ」

 

「遊くん……海未ちゃんより……鬼……」

 

「ことりも……もう限界……」

 

「運動には自信あったのですが……あと穂乃果……失礼です……」

 

俺にも失礼だぞ、穂乃果。まあ今日の練習通して、この三人のレベルは分かった。明日からのトレーニングメニューも少し下方修正しないとな。身体を壊したら元も子もないし。

 

「ほら、休憩すると余計に身体が動かなくなるからそろそろ始めるぞ。ペース配分に気をつけて初めはゆっくり、身体が慣れてきたら速く走るように」

 

「「「はい!」」」

 

素直に返事して三人はスタートラインに並ぶ。やる気はあるようだ。

俺はそんな三人にある課題を出す。

 

「ああ、そうだ。走るときは三人並走するように」

 

「並走、ですか……?」

 

「そう、この時間なら人通りも少ないし、多少広く使えるから。足並みを(そろ)えて走ること。それが出来てるか後で追いかけて確認するから、誰かが前後にいるなんてことは無いように」

 

「分かったけど、遊くんは一緒にスタートしないの? というか、後から走り始めて穂乃果たちに追いつけるの?」

 

首をかしげる穂乃果に俺は口をひくつかせた。

ほう、言うじゃないか穂乃果。それは挑発と取っていいのか? 

 

「確認することがあるから後から走り始めるんだよ。それに、今の穂乃果たちに追いつくなんて簡単だから安心しろ」

 

ちょっと意地悪をこめて言い返したら、穂乃果だけでなくことりや海未もムッと口を曲げた。

 

「ゆーくん、ことりたちを挑発してるのかな~?」

 

「言いますね、遊弥。私たちも見くびられたものです」

 

実際、今日のトレーニングで俺より体力は無いとわかっているからな。

 

「だったら遊くん、勝負だよ! もし穂乃果たちに追いつかなかったらなんでも一ついうこと聞いてもらうから!!」

 

またベタなことを……だが、面白い。

向こうから仕掛けてきたのだから乗ってやるのも一興だな。

 

「いいぞ」

 

俺が了承するとことりと海未の目の色が変わった。これでやる気もあがるなら願ったりかなったりだ。

 

「いうこと聞いてもらえる……ふふふ……」

 

「これは……負けるわけにはいきませんね……」

 

静かな闘志が三人を包み込む。先ほどの疲れっぷりが嘘のようだ。

 

「ただし、俺が言った課題はちゃんと守れよ? 勝負と言っても本質はトレーニングだから。俺はそうだな……穂乃果たちがスタートした十分後に走り始めるということで」

 

釘を刺しておいて、準備はいいか、と訊くと三人は頷いて、

 

「何時でもオッケーだよ!!」

 

「ふふふ……ゆーくんに何してもらおうかな……」

 

「ええ、構いません」

 

そういいながら、なんとクラウチングスタートの格好をし始めた。しかもなかなか様になっている。

おまえらどれだけガチなんだよ……。

 

「それじゃあ……よーい、スタート!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ビュンッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刹那、三人の姿が一瞬にして消えた。しかも一瞬しか見えなかったがちゃんと足並みそろえて。

ポツンと残された俺は呆然と立つ。そして、先ほど約束してしまったことに若干後悔する。

 

「早まったかなぁ……」

 

まあ、いいや。と俺は神社脇に生えている巨大な木のほうへと向く。

 

「そこにいるのは分かってるよ。出てきたら――西木野さん?」

 

木の陰からチラッと見える赤毛の少女に声をかける。

 

「というか、出てきたほうがいいよ? 早くしないと後ろから――」

 

「きゃああああああ!」

 

手をワキワキさせてる希先輩がいるから。と、言ってももう遅いか。ご愁傷様。

 

「ん~、まだ発展途上ってとこやな~。でもこの分だと二年後ぐらいにはきっといい感じになっとるで」

 

「ちょっと……なに……!? んっ、あんっ……あっ……やめて……!!」

 

しかし、なんと言うか、女の子がくんずほぐれつしているところは目の保養になるなぁ。

 

「ちょ……ほんとに、やめ……萩野、先輩……!」

 

ほのぼのしている俺に西木野さんは目で助けを求めてくる。

もうちょっと見ていたい――ゲフン、ゲフン。さて、助けるか。

 

「希先輩、その辺にしておきましょう。でないと――」

 

「遊弥君もワシワシしてみる?」

 

希先輩の甘言に一瞬止まってしまい、生唾を飲み込んでしまう。

え、マジで? 西木野さんの胸を、ワシワシ? 俺が? 

 

「……先輩」

 

少しだけ考えてしまった俺に西木野さんの目が助けを求める目から殺意のこもった目に変わっていた。

 

「いや、やりませんよ? ええ」

 

「当たり前でしょ! というか、いい加減あなたも離れて!!」

 

西木野さんの抵抗に希先輩はワシワシをするのを止めて一歩下がる。

そんな希先輩に俺が書ける言葉はただ一つ――!

 

「先輩。ナイス、ワシワシ」

 

「せやろ?」

 

お互いに親指を立てる俺たちに西木野さんは胸を両手で抱えるようにしてイミワカンナイ! と叫んでいる。まあ、冗談はここまでにしておいて。

 

「それで、西木野さんは陰で何していたの?」

 

「そ、それは……」

 

口ごもる西木野さん。ジーッと俺が見つめていると観念したように西木野さんは口を割った。

 

「先輩が言った通り、今日高坂先輩が私のところに来まして……練習だけでもいいから見てほしいって」

 

「そういうことか。ありがとな」

 

「べ、別に先輩のためじゃないわよ……」

 

そういいながら髪を人差し指でくるくると弄る西木野さん。うん、ありがちなツンデレ台詞をありがとう。西木野さんにぴったりだ。

まあ、俺のためにわざわざこんなところに来るわけが無いのは分かっている。大方、見極めだろうな。だが、

 

「それでもだよ。百聞は一見にしかず。話を聞いただけなのとこうして実際見るのじゃ、感じるものが変わるからな」

 

「意味わかんない……」

 

気恥ずかしさからなのかそっぽを向いてしまう西木野さん。ブレない彼女に俺は苦笑いしてしまう。

 

「とりあえず、少しは分かったんじゃないか? 色々と」

 

「少なくとも伊達や酔狂でやってるわけじゃないのは分かったわ」

 

それだけ感じてくれたのなら十分だ。ここで遊び半分でやっているって思われたらこれからの穂乃果たちが報われない。

そして西木野さんは自分の発言にやっぱり恥ずかしさを感じたのか、

 

「今日はもう帰る」

 

それだけを行って踵を返す。当然、俺は止めることなく西木野さんを見送った。

 

「西木野さん、可愛かったなあ。あ、もちろん遊弥君もかっこよかったで」

 

今まで空気を読んで話に入ってこなかった希先輩がにゅるりと俺の隣に並び、弄るように言葉をかけてくる。同意はするけど、そのニヤニヤした顔が腹が立つ。

 

「そういう冗談はいいです。それより――希先輩はどう思っているんですか?」

 

俺の質問に希先輩は意図を掴もうとするように聞き返してきた。

 

「どういうことなん?」

 

「そのままの意味です。絵里先輩がスクールアイドルの活動に反対しているのは知っています。穂乃果に聞きましたから」

 

ライブのをするために行動の使用許可を取ろうとしたときに、穂乃果たちの活動を認めないとはっきりと言われたそうだ。そのときの絵里先輩の口調はかなり冷ややかだったらしい。

だが、絵里先輩を宥め、ライブを行えるように取り計らってくれたのが目の前にいる希先輩だ。

 

「今回、新入生歓迎会でライブが出来るのは希先輩のおかげです。あんたがどれだけ言い繕ってもそれは変わらない。だから何を思ってそんなことをしたのかってな」

 

絵里先輩の親友と謳っている彼女がどうして穂乃果たちの手助けをするのか。腑に落ちないのだ。

 

「遊弥君はわかっとるんやないの?」

 

希先輩は照りつける夕日に手をかざし俺に問う。それに対して俺はおどけるように笑った。

 

「想像はつきます。だけど想像だ。だから聞いているんですよ」

 

比較的俺は人の機敏(きびん)には聡いと思っている。しかし、その人が思っていることすべてわかるわけではなく、正しいわけでもない。あくまで考察による推測なのだ。

黙って希先輩の答えを待つ。すると希先輩はかざしていた手を口元に当てて微笑んだ。

 

「それは秘密や。乙女の秘密」

 

意地の悪い笑みを浮べる希先輩に俺はため息をつく。

まあ、無理に聞き出そうとは思っていないが、あからさまにはぐらかされるとどうしたものかと悩んでしまう。

 

「それより遊弥君。ええの?」

 

「何がですか?」

 

「彼女たちが走り始めてから随分と時間が()っているみたいやけど――勝負してたんとちゃうの?」

 

指差されたストップウォッチを見る。そこにはすでに俺がスタートする時間をとっくに超えていた時間が表示されていた。

 

「……やらかした。行ってきます」

 

「頑張ってな~」

 

暢気な希先輩の声援に俺はもう一度だけため息をついて、スタートを切ったのだった。

 

 

 

 






話し進めないといけないですね……

早く一年生を入れたい。


ではまた次回お会いしましょう。
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