ラブライブ! ~one side memory~   作:燕尾

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約一週間ぶりですかね? 燕尾ですm(..)m

テストも残すところあと一教科。ソレが終われば夏休みー!
がんばっていきますb もちろんこちらもがんばります。

二話目です、どうぞ~



記憶の断片

ふう、と一息ついてから資料室のドアをノックして開ける。

 

「あら、もう終わったの?」

 

学院関係の資料を読んでいたあろう絢瀬先輩が資料を閉じていった。

 

「はい、軽い話だけですから」

 

そう、と呟いて資料を元の位置に戻し軽く伸びをしてから、

 

「だったら、行きましょうか」

 

「行くって、どこにですか?」

 

「ん? 学院案内」

 

その後、学院案内と言った絢瀬先輩が学院内の施設を一つ一つ説明してくれていった。

 

ちらりと、隣にいる絢瀬先輩を見る。

 

 

やっぱり綺麗な人だなぁ。歩く姿勢もピンとしていて様になってるし。

 

 

最初こそは気づかなかったみたいだが、やがて気づいたのか、不機嫌そうにこちらを見る。

 

「萩野君? ちゃんと聞いてる?」

 

「は、はい! 聞いてます、聞いてますとも!」

 

頬を少し膨らませ言う絢瀬先輩に慌てて目を逸らして返事をする。しかし、ムーッとした視線がしばらく突き刺さる。

 

まあ、いいわ。と目を逸らす絢瀬先輩。俺はほっと胸を撫で下ろす。

 

「それにしても随分と早かったわね。もう少しかかると思っていたのだけれど」

 

唐突に話が変わる。おそらく理事長との話のことだろう。理事長との会話が気になるのか?

 

今度は絢瀬先輩がじっと俺を見る。俺は直視できずにやはり目を逸らして答えた。

 

「ええ、編入の挨拶に世間話と大まかな注意事項ぐらいだったんで。そういう絢瀬先輩はなにを読んでたんですか?」

 

「……っ。わ、わたしは暇つぶしがてらこの学院の歴史を振り返ってみようと思ってただけよ」

 

 

暇つぶしに学院の歴史って、真面目な人だなぁ。

 

 

そう思った瞬間、目の前が白く染まった。

 

 

 

 

――真面目な……ねぇ……は。

――なによ、いい……! やってて……だから!

――あ……り気を張り詰めても……よくないだろ。こういうときは……ってくださいな。

 

 

 

 

「――っ!!」

 

脳裏に昔の記憶が蘇ってくる。だが完全ではないのかところどころノイズが入っているみたいだ。そのせいで頭に激しい痛みが奔り、ふらついて壁に寄りかかってしまう。

 

「萩野君!?」

 

 

 

 

――本当に……は意地っ張りで……だ。もっと……ほしいならもっと柔らかくならないと。

――身体は柔らかいわよ! ほら、どう!?

――いや、そういうことを言って……。わざと……か?

 

 

 

 

「――! ――っ!!」

 

俺と誰かが共に笑いあっている。顔には靄がかかり誰だかわからない。

 

制服からして中学の頃、確か友達が居なかった先輩と話をすることが多かった。そのときの記憶だろう。

 

 

「――遊弥君!」

 

 

「は、い?」

 

 

頭を抑え、記憶の海に沈んでいた俺を絢瀬先輩が引っ張り出す。

 

「絢瀬、先輩?」

 

「遊――萩野君。大丈夫なの?」

 

先輩は焦りと不安の表情で俺を見てくる。

 

俺は手を上げて問題ありませんと断りを入れた。

 

「すみません、ちょっと頭痛が。少し待ってもらえますか」

 

そう言って、ポケットの中から鎮痛剤を取り出して二個ほど口のなかに放り込み、飲み込んだ。

 

「少ししたら治まると思いますので、休ませてもらえますか」

 

「え、ええ。それじゃあ、そこの教室に入りましょうか」

 

絢瀬先輩に連れられて教室に入り、すぐそこにある椅子に座る。

 

「大丈夫、萩野君?」

 

絢瀬先輩は俺が座っている前の席に座り、不安そうに尋ねてくる。

 

「はい、なんとか。さっきも言いましたが薬も飲んでいるんで次第に治りますよ」

 

「そう。でも、どうしていきなり……?」

 

ほっとした後、先輩は怪訝そうにする。

 

まぁ、そうなるよなぁ。目の前でいきなりぶっ倒られれば疑問にも思う。

 

あまりこの体質のことを周りに知られるのはよろしくない。

 

 

さて、どうしようか。

 

 

「……」

 

見ると先輩は心配と不安で揺れているようで、隠し事をするのが躊躇われる。

 

 

――そんな潤んだ瞳で俺を見ないでくれ!

 

 

なんて、冗談言える空気でもない。

 

それにどうしてか絢瀬先輩を見ると、彼女には知っていてほしいという気持ちが湧き上がってくる。

 

そう思ってから口を開くのに時間はかからなかった。

 

「――俺、記憶が無いんです」

 

「えっ?」

 

絢瀬先輩は目を見開く。驚きを隠せないようだ。

 

「そ、それって……いつごろの記憶?」

 

「そうですね、中学生の頃がすっぽりと抜け落ちてます。最初は小学生の頃から忘れていたんですけど、あるきっかけで小学生までは思い出せました。そのときも激しい頭痛がありましたけど」

 

それじゃあさっきのは、と顔を向ける先輩に俺は頷いた。

 

「ええ、記憶に触れたからです」

 

でも完全じゃないですけどね、と俺は苦笑いする。

 

「どうして記憶がなくなったの……?」

 

「話によれば中学三年のときに階段から突き落とされたみたいで、そのときの打ち所が悪かったらしくポロリと」

 

そういうことですよ、と軽いノリで言う俺。

 

しかし、当然といえば当然だが、絢瀬先輩は言葉を発することが出来ないみたいだ。

 

「な、なんで萩野君が突き落とされるの……?」

 

ようやく搾り出した声で先輩は訊いてくる。だが、俺はあくまで普通のトーンでなんでもないように答えた。

 

「俺は中学のとき虐められてたんですよ」

 

「ど、どうして……なの……?」

 

「中学一年、二年のとき俺には仲の良かった先輩が居たんです」

 

「!!」

 

「その先輩は綺麗で、美人で、みんなの憧れだったらしいです。表立ってみんなが寄ってくるような人じゃなかったんですけど裏で隠れファンクラブが出来るような、そんな人だったみたいです」

 

絢瀬先輩は食い入るように聞いていた。一言一句逃さないように。

 

「そんなみんなが手が出せないような人の傍に俺がずっと居たものですから周りは不満が募っていった。だから裏でいろいろとされて、それは先輩が卒業した後に爆発した」

 

今の俺にはその頃の記憶がない。何をされたかまで綺麗に忘れている。全部又聞きの情報だ。

 

だが、絢瀬先輩は自分のことのように唇を噛み締めて、俺に尋ねてきた。

 

「そんな記憶喪失になるまでの虐めだったら、普通は大事よ。それも全国ニュースになるほどに。わたしは高校に入ってから毎日ニュースを見るようにしてたけどそんな報道見たこと無いわ」

 

「揉み消されたんですよ」

 

「はっ?」

 

ポカンとした表情の絢瀬先輩。まるでなにを言っているのかわからない、という感じだった。

 

「なにも覚えていない俺を見て、学校側はちょうどいいとでも思ったんでしょうね。結局は足を滑らせた事故という形にされました」

 

「信じられない……」

 

「虐めの一環で人が突き落とされて記憶喪失。そんなことを表に出したら絢瀬先輩の言う通り大事ですからね」

 

大体こんなところですかね、と話を区切る。大方、話をするべきところは話したはずだ。

 

しかし案の定、気まずい雰囲気になる。俺も絢瀬先輩も無言の時間が流れた。

 

「あなたは――恨んでないの?」

 

数分経った後、絢瀬先輩が不安そうに訊いてくる。

 

「恨む? 誰をです?」

 

「その、仲良かった先輩を。ほら、その人が萩野君と関わっていたからあなたは三年生からそういう目にあったわけだから」

 

「それはありえません」

 

俺は即答した。先輩が驚きの表情で俺を見た。

 

ありえない、そんな馬鹿な話があるものか。何故仲のいい人を恨まないといけないんだろう。

 

「なんで、そんなことがいえるの?」

 

「全部友達から聞かされた話なんで信用がないかもしれませんけど、その先輩と話をしていたときの俺はすごい楽しそうだったみたいです。それに、時々何かに触発されて断片的に見えたとき、俺と先輩は二人して笑っていたんですよ。だから、その人と関わったことを後悔したこともないし、まして恨んだことなんて一度もありません」

 

先輩が悪いんじゃない。俺を突き落としたやつが悪いのだ。

 

そう意思を伝えると、絢瀬先輩は涙を流して俯いていた。

 

「ど、どうしたんですか、先輩!?」

 

 

ナンデ!? ナンデナクノ!?

 

 

わたわたしてる俺にごめんなさい、と涙を拭きながら謝る絢瀬先輩。

 

「なんでもないの、ただ――」

 

 

 

――何も変わっていないあなたを見て嬉しくなっちゃって

 

 

 

「? なんていったんですか?」

 

ただ、の後に何か言っていたみたいだが声が小さすぎて何て言っているのか聞こえなかった。

 

「気にしないで。それより、そろそろ大丈夫かしら?」

 

「え、ええ」

 

戸惑いながらも答える俺に絢瀬先輩は手を差し伸べる。

 

「それじゃあ、案内の続きするわよ!」

 

そして見惚れるほどの笑顔を咲かせ、元気よく俺の手を引き、教室から出て行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はありがとうございました」

 

大体の案内が終わった頃には大分時間がすぎていた。だが、絢瀬先輩と話しながら校内を歩いていたから暇ではなく、むしろ有意義な時間だった。。

 

「私も楽しかったわ。たまにはのんびりとするのもいいものね」

 

絢瀬先輩も同じように思ってくれていたようだ。微笑む姿に思わずドキリ、としてしまう。

 

「それじゃあ、絢瀬先輩。明後日からまたよろしくお願いしますね」

 

恥ずかしさを隠すように早口で言ってしまう。その態度が気に入らなかったのか絢瀬先輩はムッと口を曲げた。

 

「――絵里」

 

「はい?」

 

睨むような上目遣いで迫ってそう言う絢瀬先輩に俺は首をかしげる。

 

あまり理解できなかった俺に絢瀬先輩は不服そうにもう一度言った。

 

「だから、絵里って呼んで。あなたにはそう呼んでほしいの」

 

 

そ、そんなこと言われたら、惚れてまうやろ――!!

 

 

俺は絢瀬先輩から目を逸らしてしまう。

 

 

え、なに? 何でそんな急に? ど、どうしよう!? 落ち着け、ここは冷静になるんだ。対応を間違えてはいけない。

 

 

しばらく考えた後、俺は覚悟を決める。

 

「え……絵里、先輩」

 

途切れながらも改めて名前を呼んだ俺に対して、絢瀬先輩――いや、絵里先輩は、

 

「ええ、遊弥君」

 

微笑んだ。

 

 

破壊力ありすぎだろぉぉぉ!!!! ニコって、擬音が聞こえちゃったよ、なに言ってるんだろ俺!? しかもさり気無く俺の名前を呼んでるし! す、凄すぎる!

 

 

駄目だ、こんな連続攻撃かわしようがない。耐えられるか、俺!!

 

 

「これからよろしくね、遊弥君」

 

「……は、はい」

 

 

うん、無理。こう返すのが精一杯だ。

 

 

絵里先輩、可愛すぎる。

 

 

この後、

 

「途中まで道が同じみたいだから一緒に帰りましょう」

 

そう、絵里先輩に押し切られ、俺は彼女と肩を並べて帰路を共にした。

 

 




いかがでしたでしょうか

早く夏休みが来ないかね~……バイト三昧だけど
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