ラブライブ! ~one side memory~   作:燕尾

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どうも燕尾です。

ようやく院試も終わり、一段落つけました。
相変わらずのテンポです。





西木野家の人々

 

 

――Yuya side――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしてこうなった……」

 

目を覚ました俺は状況を整理するだけの余裕がなく、そう呟いた。

 

「おーい、西木野さん? 起きろ、起きてくれ」

 

俺を抱き枕の要領で抱きついて眠っている西木野さんを起こそうとする。

 

「う、ん……後もう少し……」

 

意識があるのか無いのかわからないがそう言ってさらに抱きしめる力を強めてくる。

ぬあああああ! 俺の身体に二つの柔らかいものがぁ!

それだけではなく寝てる間に衣服が乱れていたのか彼女の下着がチラリと見えてしまう。

 

「ちょ、西木野さん! これ以上は洒落にならないマジで! ほんとに起きてくれ!!」

 

「ん……いやぁよ……」

 

頑なに起きようとしない西木野さん。思った以上に眠りが深いみたいだ。

どうにか起こそうとして悪戦苦闘しているところで、部屋の扉がガチャリと開いた。

 

「遊弥君? 時間も時間だし今日うちでお夕飯どうかしら――」

 

最悪のタイミングではいってくる美姫さん。美姫さんは驚きで一瞬固まったものの、すぐに微笑みの表情へと変えた。

 

「あらあら~、やっぱり貴方たちそういう関係だったのね~。だったら今日は献立変更してお赤飯を炊かないと!」

 

「違う!」

 

「いいのよ、慌てなくて。わたしは分かってるから」

 

「だから違う! 娘さんを起こすの手伝ってください!」

 

「それじゃあ、ごゆっくり~。終わったら下に来てね」

 

「話を聞けぇ!」

 

勘違いしたまま部屋を後にする美姫さん。俺は呆然としてしまう。

 

「ん……ん~……?」

 

さすがに俺の叫び声が響いたのか、西木野さんはむくりと起きる。

 

「おはよう……先輩……」

 

「おはよう、西木野さん。出来ればもう少し早く起きてほしかった……」

 

「……?」

 

俺の言葉に寝起きの西木野さんは首を傾げるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――♪」

 

俺は完成した歌を聴いている。この場の歌い手はもちろん西木野さん。

いまの音源はピアノしかないが、そこは後で編曲で(おぎな)うつもりだ。

 

「♪――……」

 

最後の伴奏まで終わる。西木野さんは一息ついて、俺に向く。

 

「どうかしら?」

 

「ああ……すごいな……」

 

感想を求めてくる西木野さんに俺はその一言しか出せなかった。

 

「む……もっと他に思ったことはないのかしら?」

 

俺の感想に西木野さんは不満そうにする。

確かに言葉足らずかもしれないが、俺はそれ以上のことは言えなかった。

 

「言葉を探せばいえるけど、そういうのって軽い感じがしないか?」

 

「貴方の思ったことだもの、軽くは無いわ」

 

「……」

 

どうして西木野さんは真正面からそんなことが言えるのだろうか? というか、どこでこんなに西木野さんの信頼を得たのかが分からない。

おそらく俺の顔は若干紅くなっているのだろう。頬に手を当てれば熱を帯びたように熱いからだ。

俺は誤魔化すように西木野さんから顔を逸らした。そんな俺の反応に西木野さんは満足そうに頷いた。

 

「まあ、いいわ。後は編曲だけなのだけれど、今日はもう遅いから明日やりましょう」

 

時計を見たら時刻は夜の七時半。確かにこれ以上は美姫さんや先生にも迷惑がかかるだろう。

 

「そうだな。今日はこの辺で――」

 

「それじゃあ、行きましょうか」

 

帰る、と言おうとする前に西木野さんに遮られる。

 

「行く? どこに?」

 

俺が聞くと、西木野さんは下を指した。

 

「リビングによ。ママが夜ご飯作ってくれてるはずだから」

 

そういえばさっき美姫さんが部屋に来てたのも夕食の誘いだったと思い出す。でもどうしてそれを彼女が知っているのだろうか。

まさか、この子――

 

「――目、覚めてたのか?」

 

「さぁ――どうでしょうね?」

 

口元に人差し指を当ててウィンクする西木野さんに俺は溜息を吐いて、彼女の後についていった。

 

「――あら、随分早かったわね?」

 

リビングには意外そうに言う美姫さんの姿と、

 

「――久しぶりだな、遊弥君」

 

新聞を折りたたんでそういうのは西木野先生――西木野真さん、西木野さんの父親だ。

 

「お久しぶりです、西木野先生。お邪魔してるのに挨拶もしないですみません」

 

「気にしなくていい、君は私の息子みたいなものでもあるからね。好きに(くつろ)いでくれて構わない。それより、調子はどうだい?」

 

「変わりは無いです」

 

「記憶の方は?」

 

先生の言葉に、記憶? と西木野さんがこっちを見る。それと同時に先生はやってしまったというような顔をした。

 

「そっちも変わりありません。先生の言う通り、全部思い出すのに時間はかからないと思います」

 

「そうか、ならいいのだが、困ったことがあればいつでも言うといい」

 

「ありがとうございます」

 

軽く頭を下げる俺に西木野さんは何か聞きたそうな顔をする。

 

「せんぱ――」

 

「はいはーい。できたわよ~皆席について~」

 

西木野さんの声を遮って間延びした美姫さんの声が響く。

トレーからは美味しそうな香りと共に湯気が立っていた。数を見るからに、俺の分も作られている。

 

「遊弥君も食べていくわよね?」

 

もはや遠慮します、なんていえる状況では無いのを知っていて聞いてくる美姫さん。確信犯の美姫さんに俺は苦笑いする。

せっかく用意してくれたのだから断ることはしない。ここはお言葉に甘えよう。

 

「ええ、頂きます」

 

「ささっ、みんな座って座って」

 

「……」

 

西木野さんはまたもや不機嫌そうな顔で俺を(にら)んでくる。美姫さんがタイミングを見計らって割って入ってくれたけど、誤魔化しきれなかったようだ。

 

「話せるようになったら話すから、今は勘弁してくれ」

 

「……わかったわ。でもいつかちゃんと話してよね」

 

「ああ……」

 

俺と西木野さんは美姫さんと先生の正面に腰をかける。

 

「それじゃあ――頂きます」

 

先生の後に続いて俺も手を合わせる。

久しぶりに誰かととる夕食は優しい味がした。

 

 

 






お疲れ様です。いかがでしたでしょうか。

わたくし、燕尾でございました。
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