ラブライブ! ~one side memory~   作:燕尾

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どうも、燕尾です。
今回は完全オリジナル話です。
文句は無しでお願いしますね?





突然の出会い

 

 

 

街の路地裏に佇む一つのお店。俺はオープンと書かれた表札をしっかりと見てそのドアを開ける。

 

「こんにちわ~」

 

「いらっしゃ――あっ、遊弥くん! 久しぶりだね!!」

 

「久しぶり、彩音さん」

 

出迎えてくれたのは喫茶店スカイカフェの看板娘――一彩音さんだ。

 

「もう、最近はぜんぜん来てくれなかったから寂しかったんだぞ?」

 

俺はカウンターに腰を落ち着かせながら謝った。

 

「悪かったよ、学校生活のほうがいろいろと大変で。なかなか来る機会がなかったんだ。マスターはいまなにしてる?」

 

「お父さんはまだ寝てるよ。休日は休むもんだとか言って午前中は店を私に任せてるんだよ。まったく……」

 

そう言って彩音さんはため息をはく。

 

「大変だな、彩音さんも――あ、ブレンドと手作りトーストを一つを頼む」

 

「かしこまりました。少々お待ちください」

 

仕事モードでそう言った彩音さんはコーヒー豆を挽き始め、パンをオーブンで焼きはじめる。

それからものの数分で出てきたコーヒーとトーストはいい香りを漂わせていた。

 

「お待たせしました。ブレンドとトーストです」

 

「ありがとう。頂きます」

 

俺はコーヒーを一口飲んで、トーストに噛り付く。味は言わずもがな、美味しい。

 

「うん、美味い。さすが彩音さん」

 

「ありがと――それより、遊弥くん。君いま音ノ木坂学院のスクールアイドルの手伝いをしているんだって?」

 

俺のパンを運ぶ手がピタリと止まる。どうしてこの人がそんなことを知っているのだろうか?

彩音さんはふっふっふ~、と不敵な笑いをする。

 

「私の情報網を舐めちゃいけないよ? 彩音さんはなんでも知っているのだ~!」

 

「怖いわ、そして怖い!」

 

「あはっ。ほんとはね、スクールアイドル好きの友達が紹介サイトを見せてきたときに君のこと書いてあったから知ってただけだよ」

 

「なんだ、そういうことか……」

 

そういえばにこ先輩が加わったときに全員で写真を撮って上げていた。そのときの照会文に俺のことも書くって穂乃果たちが言って聞かなかったな。

 

「それに、最初のライブの動画も見させてもらったけど。歌も踊りも可愛かったよ。あれ全部一から作り上げたんでしょ?」

 

「はっ……?」

 

何のことだかわからない。ライブの動画? 一体どういうことだ?

俺の変化に気づいた彩音さんもえっ、と返してきた。

 

「えーと、遊弥くん、知らないの?」

 

「彩音さん! ちょっとノートパソコン貸して!!」

 

彩音さんが大学で使っているノートパソコンを借りる。

そして、長らく見ていなかったスクールアイドルのランキングサイトにアクセスすると、俺も見たことがなかった、ファーストライブの映像がアップされていた。

 

「いったい、誰がこんなこと……」

 

「遊弥くんが撮ったものじゃなかったの?」

 

俺は首を横に振る、あのときは最前列で見ていたし、もし撮っていたとしても熱もあったからこんなに綺麗にできていないだろう。

 

「編集も上手くされているな。カメラワークもばっちりだ」

 

「それにこの動画、結構遠くから取られているね。位置的には最後尾あたりかな?」

 

「最後尾……」

 

あの誰もいない場で、最後尾にカメラを置く人物はいない。となると、この動画をとった場所は――

 

「放送室ぐらいか」

 

「まあ、それが妥当なところだね」

 

「それで誰が撮ったかは……絵里先輩だろうな」

 

消去法で絵里先輩しかいないだろう。隠れていた希先輩はアップしたらそれを報告しているだろうし。にこ先輩や真姫は最初は言わなかっただろうが、もうグループに入っているから、伝えているはずだろう。となると残った絵里先輩だけだ。

 

「まあ、この際誰でも良いんじゃない? この動画のおかげで人気が出始めたのだから」

 

「そうですね」

 

少なからずプラスに働いたということを考えれば別に目くじらを立てるほどでもないだろう。

 

「彩音さん。コーヒーのおかわり頂戴な」

 

「了解ー、遊弥くんは結構お金落として言ってくれるから大好きだよ~」

 

「仮にも客にそういう言い方はどうなんだ?」

 

まあ、美味しいから良いか――そう思って、彩音さんと話をしながらゆったりとした午前の時間を過ごすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、これからどうしようか」

 

目的もなくぶらついていた俺は秋葉原に来ていた。というのも、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遊弥、アンタはアイドルのことを何も知らなさ過ぎるわ! そんなことじゃマネージャーとしてやっていけないわよ!!」

 

「はぁ……」

 

「なによそのやる気のない返事は!」

 

「いや、また唐突に変なことを言い出したなって思いまして」

 

「変なことじゃないわよ、重要なこと! いい? マネージャーは主役であるアイドルのサポートをする重大な役割があるの」

 

体調管理、スケジュール調整、メンタルケア等々……にこ先輩は嬉々として語っていた。

まあ、俺の立ち位置としては間違ってはいないけど。

 

「私たちと一緒にいるあなたは否が応でもマネージャーとしての扱いを受けるわ。そんなマネージャーがアイドルのことに何も知らないというのは、私たちのアイドルに対する姿勢というものが問われてしまうのよ!」

 

「――って、にこ先輩は言っているけどどう思う、花陽?」

 

「ふぇえ!? わ、私ですか!?」

 

いきなり話を振られて驚いている花陽。

 

「私はその……にこ先輩の言っていることは正しいと、思います……」

 

花陽は指をつんつんさせながら小声で言った。

確かあの仕草は嘘をついているときの花陽の癖だって凛が言っていたな。

やっぱり、先輩の言っていることは否定しづらいようだ。

 

「なるほど、実際はどうでもいいと」

 

「そんなこと言ってませんよっ!?」

 

「それはアンタの感想でしょうが!!」

 

「しょうがない、花陽が正しいって言うならそうなんだろうな。それで、何をしろって言うんですか、にこ先輩?」

 

「何で私のことは信用しないのよ……」

 

ジト目で俺を睨むにこ先輩。だけど、ぜんぜん怖くもなんともない。

 

「まぁ、いいわ。アンタにはこれから、アイドルについて知ってもらうわ」

 

「アイドルのこと……実際にはどうやるんですか?」

 

そう訊くと、ふふん、と威張るようにして、

 

「今週の休みにアキバに行って調査してきなさい!」

 

にこ先輩はない胸を張ってそういうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで、来週までに調べたことを報告しなさいといわれた俺は、秋葉原に足を運んだのだ。

 

「とはいっても、どうしたものか……」

 

買い物以外で休日に出歩くことをあまりしたことがない俺としてはどうしたら良いのかさっぱりわからない。

一応にこ先輩からお勧めの場所をいろいろと聞いてはいるが、正直気乗りはしない。

 

「メイド喫茶とか、一人で行くの恥ずかしすぎるだろう」

 

しかし、これ以外に頼れるものがないのも事実。

 

「しょうがない、まずはスクールアイドルのショップにでも行ってみるか」

 

俺は大勢の人が行き交う秋葉原に身を投じるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すごいな……」

 

俺はやってきたスクールアイドル専門のショップを見てつぶやいた。

 

「グッズが沢山だ…」

 

各地で名を上げたスクールアイドルたちの写真集やクリアファイル、ライブのDVDなど所狭しと並べられていた。

 

「とりあえず見てみるか」

 

俺はいろいろなものを手にとって見てみる。が、

 

「うーん、こんなので何がわかるんだ?」

 

一応にこ先輩のお勧めだから来たのだが、正直に言えば何もわからん。どんなグループがあるかぐらいしかわからない。

 

「たしか、こっちが福岡のスクールアイドルで、こっちが大阪のスクールアイドルだったはず……あ、試聴コーナーとかもあるのか」

 

最初はどんなところかと不安だったのだがこうして実際に見てみるとこういうところも悪くない。

そうして店内を物色している中、俺は視線の先であるものを見つける。

 

「これ、誰のだ?」

 

俺が手に取ったのは誰のものかわからない財布。キーホルダーが付いているところや色合いからして女性用のものだろう。

 

「まあいい。とりあえず見せの人に渡して――」

 

「そこのあなた、ちょっとごめんなさい」

 

カウンターに行こうとしたところで、誰かに呼び止めれる。

振り向くとそこには、茶髪のショートヘアでサングラスをかけているにこ先輩と変わらないぐらいの背丈の女の子がいた。

 

「どうしました?」

 

女の子は俺の手にある財布を指差す。

 

「その財布、私のなの。さっきここに来たときに落としてしまって」

 

「そうなんですか」

 

「ええ、拾ってくれてありがとう。渡してもらえないかしら?」

 

女の子は手を差し伸べてくるが、俺は手を引っ込めた。

 

「すみません。あなた本人のという確証がないのでこのまま渡すのはちょっと…」

 

こういうことは用心に越したことはない。後からまた同じような人が現れて持ち主だったとなれば取り返しのつかないことになる。

 

「…確かにそうよね」

 

「そういうことなんで店の人に渡すんで後はそこで確認してもらえれば」

 

「それはちょっと困るのよね……」

 

女の子は困ったような顔をする。

本来だったら店の人に渡すことに難色を示した時点で怪しいのだが、彼女の様子はそんなものではなかった。

 

「? どうしてですか?」

 

「少し訳ありの事情があって、私がいることをあまり店に知られたくないの」

 

「でしたら交番に届けることぐらいしか出来ないんですけど」

 

「交番はここから遠いわ」

 

そんなことを言われてしまったら何も出来ないぞ。

 

「だったらもう俺が名前を聞いて財布の中身を確認しないといけなくなりますよ?」

 

「それよ!」

 

その瞬間、女の子は心を得たように言った。だが、俺は逆に困った。

 

「えっと、良いんですか? 俺が中身を見ても」

 

「本当は良くないのだけれど、店の人に知られるよりはマシね。ただ約束して欲しいのだけれど、ここにいたことは他の誰にも言わないこと、あと私のことを知っても騒がないで欲しいの」

 

どうやらこの女の子は何らかの有名人なのだろう。

そこまで言うならもうこのまま財布を渡してもいい気がするがそういうわけにもいかない。結局、他の良い方法を思いつかなかった俺は頷いた。

 

「わかりました。じゃあ、サングラスはずして名前を教えてもらえますか?」

 

少女は一瞬躊躇いはしたが、覚悟を決めたのかサングラスをはずした。

 

「私は綺羅つばさ――カード入れのところあたりに保険証と私の写真が入っているからわかると思うわ」

 

「綺羅つばさですか。綺麗な名前ですね」

 

「っ!!」

 

「それじゃあ、失礼します」

 

俺は一言断りを入れて、財布の中を確認する。

余計なものは見ないようにしてカード入れを見る。そこには綺羅つばさの名前書かれている保険証と目の前の彼女を写した写真があった。

 

「確認できました。間違なく綺羅さんのですね。色々言ってすみませんでした」

 

俺は財布を閉じて綺羅さんに財布を渡す。ポン、と渡された彼女は少し拍子が抜けた顔をしていた。

 

「どうかしました?」

 

「いや、その……貴方、私の姿を見たり、名前を聞いたりしても驚かないのね?」

 

「? 何かしらの有名人だとは思ってますけど?」

 

正直に言えば俺は綺羅さんを見たこともないし、聞いたこともなかった。

 

「まあ、そうよね。そうじゃなかったら私の名前を聞いて"綺麗"なんて言わないわよね――ふふっ。貴方、面白いわ」

 

綺羅さんは一歩近づいて下から見上げるような目遣いで俺を見る。その瞳は怪しく光っていた。

 

「ねぇ貴方、名前はなんていうのかしら?」

 

――俺の勘が告げている。これから面倒くさいことになると。

 

「あなたが気にすることのないただの一般人です。それじゃあ、これで――」

 

綺羅さんの横を通り過ぎようとする。が、そうは問屋がおろさず、肩を掴まれてしまった。

 

「ふふふ、どうして逃げようとしているのかしら? 私はあなたの名前を聞いているだけよ?」

 

綺羅さんに絡まれると嫌な予感しかしない、とはいえなかった。ここは軌道を修正しよう。

 

「萩野遊弥、どこにでもいる普通の男子学生です」

 

「萩野遊弥……素敵な名前ね」

 

ではこれで、と再びその場から離れようとするも、綺羅さんの手が離れることはなかった。それどころか腕に絡むようにして抱きついてきた。

そして、彼女はとんでもないことを言い出す。

 

「なら遊弥、今から私とお出かけをしましょう」

 

「はっ……?」

 

「いまから私とお出かけをしましょう。私、少しあなたに興味があるの。時間あるわよね?」

 

「えっ、いや…その……」

 

いきなり名前呼びをして捲し立てる綺羅さんに俺はついていけていない。

 

「悪いですけど、俺もやらないといけないことがあるので」

 

何とかひねり出せた言葉も綺羅さんには通用しなかった。

 

「そうなの? アキバでやるべきことって一体なにかしら?」

 

「ええっと、それは――」

 

スクールアイドルの調査です、なんてことは言えなかった。傍から見れば俺は休日にアイドルグッズを買いに来た暇な男子にしか見えないからだ。

どうにか逃げようと身を捩ったところで俺の上着のポケットから一枚の紙が落ちる。

 

「あら、何か落ちたわよ?」

 

それを拾った綺羅さんが中身を見る。その瞬間、すべての時が止まった。

 

「スクールアイドルを調べるにあたって行くべき場所、書かれている場所には必ず行きなさい――」

 

「――っ!!」

 

取り上げるように綺羅さんから奪うも、もう既に遅く、彼女は勝ち誇ったような笑みを浮かべた。

 

「なるほどね。良いこと思いついたわ」

 

俺にとっては良くないことを思いついてしまった綺羅さん。

 

「その調査、私も手伝うわ。これでも私、スクールアイドルに関してかなりのことを知っているって自負しているもの」

 

「いやいや、そんなの悪いですよ。しかも時間ないんじゃ…」

 

「大丈夫よ、今日はオフの日だから」

 

どんどん退路が塞がれている。というか、もう逃げ道がなかった。

 

「じゃあ、行きましょう」

 

俺は引きづられるように引っ張られていった。

 

 

 

 

 





自分で読み返していても適当に作ったのが丸分かりですね。もっと精進せねば……
ではまた次回にお会いしましょう。
ではでは~


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