ラブライブ! ~one side memory~   作:燕尾

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どうも、燕尾です
第四十二話目です






リーダは誰だ!?

 

 

「リーダーには誰が相応しいかだって?」

 

七人になってから新しい曲を作ろうとそれぞれが活動をしている中、週一回のミーティングでにこ先輩からそんな議題が持ち上がった。

 

「そうよ。大体、私が部長についた時点で一度考え直すべきだったことよ」

 

「リーダーね」

 

「わたしは穂乃果ちゃんでいいと思うけど」

 

「駄目よ」

 

重苦しい空気のなかことりがやんわりと穂乃果を推したのだが、にこ先輩はきっぱり言い切った。

 

「この前の取材のときにわかったでしょ。このこはリーダーにはまったく向かないのよ」

 

この前の取材――希先輩が部活動の生徒たちのビデオを作製しようということでアイドル研究部に回ってきたときに全員の普段の様子を撮っていたのだが、なんというか、お蔵入りになったということから察してください。

 

「それはそうね」

 

真姫も速攻で同意する。確かに穂乃果はリーダーというものにそこまでの適正があるわけではない。リーダーの資質で言えば海未のほうがまだあるといえるだろう。

ただ、俺からしてみればμ'sの活動においてリーダーなるものが必要だとはあまり思えない。せいぜいあってもいいかな程度の気持ちだ。そもそも穂乃果がリーダー的位置に居るのは発足人だからというほかない。

 

「ですが、今のままでもいいのではないでしょうか?」

 

海未はあまり乗り気ではないようだ。いまのところ穂乃果が中心でうまく回っているのだから無理に決める必要もないと思っているのだろう。

 

「そうとなったら早急に決めたほうがいいわね」

 

だが、にこ先輩は海未の進言を無視して話を進める。それにはにこ先輩にしては珍しくというか、ちゃんとした理由があった。

 

「わかっているとおり私たちはPVをつくっているわ。リーダーが変わるということは必然的に"センター"が変わるでしょ。PVでは新リーダーがセンターになる」

 

「そうね」

 

またもや真姫が即同意を示す。というか真姫、どうでもよさそうに髪の毛くるくる弄ってないで少しはまじめに聞いておけよ。

 

「でも、誰がリーダーをするんですか」

 

花陽が問いかけたところでにこ先輩は立ち上がった。そしてホワイトボードをぐるりと回転させる。そこには"リーダーとは!!"と大きな題名が書かれ、その下にいくつかの条件が書かれていた。

 

「リーダーとは、まず第一に誰よりも熱い情熱を持って皆を引っ張っていけること! 次に、精神的支柱になれるだけの懐の大きさを持った人間であること! そしてなによりメンバーから尊敬される存在であること!」

 

力説するにこ先輩を見て、俺はにこ先輩の裏が読めてきた。この人、PVのセンターを獲得するためにこんな話をし始めたな。

 

「以上、この条件をすべて備えたメンバーとなると――」

 

「海未先輩か遊先輩かにゃ?」

 

「なんでやねーん!?」

 

「わ、私ですか!?」

 

「そこでどうして俺が入っているんだ、凛?」

 

「そうだよ海未ちゃん、遊くん、向いてるかも、リーダー」

 

「だから俺を入れるなっての!」

 

「穂乃果はそれでいいのですか!?」

 

海未の問いかけに穂乃果は純粋に首を傾げる。わかっていないだろうとは思ったけども、それに穂乃果はあまりそういうところに固執しないタイプだからなぁ。

 

「だって皆でμ'sやっていくってことは一緒でしょ?」

 

この言葉がその証拠だ。何も考えていないというか…いや、単純な考えしか出来ないといえばいいのか。

 

「でも、センターじゃなくなるかもですよ!?」

 

花陽の言葉に穂乃果はぽん、と手を打った。

 

「おーそうか、そうなのか。んー……まあいっか」

 

『えぇ――!?!?』

 

きわめて明るく言う穂乃果にメンバー全員が驚く。

 

「あはははは、穂乃果らしいな」

 

ただ一人笑いながら言った俺に穂乃果もでしょ、と笑顔を向ける。

 

「そんなことでいいのですか穂乃果!?」

 

「それじゃあ、リーダーは海未ちゃんってことにして――」

 

「ちょ、勝手に話を進めないでください! 私がリーダーだなんて…その……無理です」

 

「面倒な人……」

 

恥ずかしがりながら断る海未に真姫の一言が入る。

だから真姫さんや。そうばっさり言うものじゃあありませんよ? もう少し配慮というものを覚えましょうね?

 

「それじゃあ、ことり先輩は……?」

 

「えっ、わたし……?」

 

話を向けられてきょとんとすることり。そんな彼女にこの場にいる誰もがこう思った。

 

「副リーダーって感じだね」

 

凛が代表してそれを言った。確かにことりはリーダーというより副リーダーとして支えていくのが一番性に合っているタイプだ。

 

「でも、一年生でリーダーをするわけにもいかないし…」

 

別に問題はないと思うけど。まあ、先輩が居るグループでリーダーシップをとるのは余程の剛胆な人でなければ出来ないだろう。

……それにしても、仕方がないとはいえこの後輩が遠慮するような空気は早めにどうにかしないとな。

 

「まったく、仕方ないわね~」

 

皆が話していたなか、今まで意見を聞いていたにこ先輩が満を持して声を上げた。

 

「やっぱりわたしは穂乃果ちゃんがいいと思うなぁ~」

 

「私は、海未先輩を説得したほうがいいと思うけれど」

 

聞こえないフリなのか、にこ先輩の声に反応するものは誰もいなかった。

 

「仕方ないわね~!」

 

「投票がいいんじゃないかな~」

 

「ならここは奇を(てら)って遊弥に――」

 

だからなんで俺をリーダーにしようとするんだ。

 

『しーかーたーなーいーわーね――!!』

 

無視され続けているにこ先輩はどうしてアイドル研究部にあるかが謎の拡声器を取り出して言う。

絶対に聞こえているはずなのに誰一人としてにこ先輩のほうを見ることなく、

 

「――で、どうするにゃ?」

 

「うーん、どうしよう……」

 

相談をし続ける下級生たちに不満そうな顔をするにこ先輩。

さすがに不憫になって、俺は彼女の肩をたたいた。

 

「……何よ」

 

「――諦めましょう。にこ先輩には尊敬されるような人望も、精神的支柱になるような懐もなかったってこと――へぶっ!?」

 

「アンタが一番失礼で酷いわよ、この馬鹿ァ――!!」

 

拡声器を頭から振り下ろされ、頭に大きなたんこぶを作って机に伏している俺に他のみんなは自業自得というような視線を向けてくるのだった。

誰も言わなかったからいっただけなのに、くそぅ……

 

「わかったわよ、じゃあ――歌とダンスで決めようじゃない!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

にこ先輩の一言でみんながやってきたのはカラオケだった。

 

「なるほど、歌とダンスの点数で決めようってわけか」

 

「その通りよ、一番歌とダンスが上手いものがセンター! これなら誰も文句はないでしょ?」

 

「でも、私カラオケは苦手で……」

 

「私も、歌う気がしないわ」

 

気乗りしていない海未と真姫ににこ先輩はマイクを向ける。

 

「なら歌わなくて結構、その代わりリーダーの権利が消失するだけよ」

 

「まあまあ、二人とも。ここはメンバーの交流も兼ねた親睦会のように考えてくれ。そこまで気負わなくていいからさ。あくまでリーダー決めは二の次ぐらいの気持ちで、ね?」

 

「二の次じゃ困るのよ!!」

 

ギャーギャーわめくにこ先輩を俺は軽くあしらう。だいたい、こんなことしても決まらないと俺は思っている。

誰しも得手不得手はある、本当に競い合って決めるのならもっと種目を増やさないと不公平だ。

 

「ふっふっふ……こんなときのために高得点の出やすい曲はリストアップ済みなのよ。これでリーダーの座は確実に」

 

「そんな誰かを出し抜こうと考えているから人望がないんですよ…」

 

それに、にこ先輩は入ったばかりだから知らないだろう。みんなの実力を。

 

「それじゃあ、始めるわよ!!」

 

まあ、好きにやらせるか。

 

 

 

 

 

「♪――……ふぅ…」

 

最後の一人、海未が歌い終わって全員の結果が出る。

皆の結果はこんな感じだった。

 

 

穂乃果 92点

ことり 90点

海未 93点

花陽 96点

真姫 98点

凛 91点

にこ 94点

 

 

「んーあまり差はつかなかったな。わかっていたけど」

 

まず音楽にずっと触れていた真姫が一位で次いで花陽。三位ににこ先輩で、その次に海未がきて穂乃果。そして凛、ことりの順位だった。

とはいえ、皆90点超えで最下位のことりが特別下手というわけではない。技術点で追いつかなかっただけの話だ。

 

「うん、とりあえず真姫は流石だな」

 

「…別に、こんなの普通だし」

 

そっぽを向きながら髪をクルクルとする真姫。最近この仕草はただ照れたり何かを誤魔化そうとしているだけだと気づいた俺は小さく笑う。

 

「他のみんなも、ボイストレーニングや歌唱練習の成果が出ているんじゃないか?」

 

そう言っても、俺はしっかり別のページにみんなの歌を聴いて感じた問題点を書いていく。これは後で真姫と相談して後日の練習に取り入れるつもりだ。上達するためには小さな積み重ねが大切だからな。

 

「みんな 90点超えなんてびっくりだよ~」

 

「そうだね。みんな毎日レッスンしているものね」

 

「はい。真姫ちゃんや遊弥先輩が苦手なところアドバイスしてくれるし」

 

「気づいていなかったけど確実に上手くなっているのにゃ!」

 

一人を除いてことりや花陽たちが和気藹々と話している。しかしそのただ一人は、

 

「こいつら化け物か……!!」

 

曲リストを握り締めながらプルプルと震えていた。

 

「にこ先輩は初めて聞きましたけど、言うだけあってやっぱり上手でしたね」

 

「ふんっ! なによ、皮肉かしら?」

 

睨んでくるにこ先輩に俺はため息をつく。

 

「どうしてそう捉えるんですか……上手だったのは本当ですし最初からこれなら練習次第でもっとよくなりますよ」

 

「そ、そう…ありがと……」

 

ばつが悪くなったのか真姫と同じように髪の毛をクルクルと弄るにこ先輩。

 

「おー、照れてるにこ先輩、珍しいですね」

 

「――ッ! うるさいっ!! アンタもほら、なにか歌いなさい!!」

 

「……は?」

 

にこ先輩の無茶振りに俺は一瞬止まる。

 

「あっ、私、遊くんの歌聴きたーい!」

 

「ちょ、穂乃果!?」

 

「確かに、遊弥の歌は小学生の音楽の時間以来聴いてませんでしたし」

 

「海未!?」

 

「わたしも、ゆーくんの歌、聴きたいな♪」

 

「ことりまで……」

 

俺の見方は居ないのか…俺は希望をこめて一年生たちに視線を向ける。

 

「遊弥先輩の、歌…」

 

「凛も聞いてみたいにゃー!!」

 

「そうね、あなたも音楽に触れていたのだから上手なんでしょうし」

 

駄目だった。真姫にいたってはハードルをあげてくるし。なんか悪戯をしているような笑みを浮かべてるし!

マイクを無理やり持たされた俺はため息を吐きながら曲を入れる。

そして大きく息を吸い込んだ。

 

「――♪」

 

歌いだした瞬間、みんなの顔が驚きに染まる。

 

「……」

 

「すごい、ゆーくん…」

 

「これが、遊弥の歌……」

 

「暖かい声です、なんか心安らぐような…」

 

「遊先輩、すごいにゃ」

 

「まさか、こんなに……」

 

「こいつ、本当に何者なのよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「…………」」」」」」」

 

歌い終わった俺はすごい気まずいような雰囲気にさらされていた。

 

「え、えーっと…」

 

俺はちらりとモニターのほうを見る。そこには三つの数字が映っていた。

 

「ひゃ、ひゃくてん…」

 

「遊弥先輩、すごく、上手でした」

 

「ま、まぐれに決まっているわ! 遊弥、この歌は知ってるかしら!?」

 

「ええ、一応は……」

 

「なら次はこれを歌ってみなさい!!」

 

にこ先輩に勝手に入れられ、前に立たされる。

 

「え、また!?」

 

「いいから歌いなさい!!」

 

どうしてこうなった……そうだ、気づかれないように点数を落とせば…!

 

「言っておくけど、わざと音程外したりしたら承知しないわよ」

 

――退路は立たれた。

 

 

 

 

 

「どうして…どうして100点しか取らないのよあんたは!!」

 

「そういわれても」

 

それから何曲か連続で歌わされたのだが、結果は全部同じだった。にこ先輩は理不尽な怒りを俺にぶつけ、地団駄踏んでいる。

 

「音程を合わせて、適当にビブラートやこぶしをつければ誰だって――」

 

「ゆーくん、それは嫌味にしか聞こえないよ?」

 

「そう言って出来ちゃう当たりがさすが遊くんというか、なんというか」

 

苦笑いすることりや穂乃果。なんか少しずれていたようだ。

 

「もうリーダーは遊先輩でいいんじゃないかにゃ?」

 

「だ・か・ら! 俺はマネージャーみたいなもんだし、ステージにも立たない人間なんだって!!」

 

適当すぎるだろ! 自分たちのグループのことなんだからう少し考えろよ!!

 

「いいんじゃない? 遊くんもステージに立とうよ! 歌も上手いし、絶対いいと思う!!」

 

「よくなさ過ぎる!! 女の子のステージに男が混じったら大混乱だわ!」

 

「でも、ゆーくんが髪の毛伸ばしてお化粧したら私たちの衣装も似合うんじゃないかな? ほら、美人系アイドルみたいに」

 

「なんて恐ろしいことを言うんだことり!? 他のみんなも、確かにいけそう、見たいな目でこっちを見るなぁ!!」

 

「ゆーくん、今度寸法測らせてね?」

 

「絶対駄目だからな? 絶対やらせないからな? もしそんな理由で家に押しかけてきても絶対入れないからな? だからそんな目をするな?」

 

カラオケにいる間、ことりの猛禽類が獲物を捕らえたような視線を受け続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 







いかがでしたでしょうか?

でわまたぢかいに(・ω・)ノシ



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