ラブライブ! ~one side memory~   作:燕尾

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どうも、燕尾です。
更新が遅くなってしまいました。





センターの行方、リーダーという存在

 

 

 

「次はダンス。今度は歌のときのように甘くはないわ。このマシンで勝負よ!」

 

カラオケに続いてやってきたのは秋葉原のとあるゲームセンター。そこの一角にあるゲーム筐体でにこ先輩は言った――のだが、

 

「ことりちゃん、もう少し右!」

 

「えーい!」

 

「わぁ、倒れた!」

 

「すごいにゃー、ことり先輩!」

 

穂乃果やことり、凛はそこに目も暮れず、クレーンゲームでぬいぐるみをとっていた。

 

「だからもう少し緊張感を持てって言っているでしょー!!」

 

そんな三人ににこ先輩は怒鳴る。

 

「凛は運動は得意だけど、ダンスは苦手だからなぁ……」

 

「これ、どうやってやるんだろう……」

 

「私もこういうのはやったことないですから、よくわかりませんね…」

 

花陽や海未も困ったような顔をする。そして、相変わらず興味がなさそうな真姫は自分の髪の毛をクルクル弄っている。

 

「ふっふっふ……プレイ経験ゼロの素人がまともな点数が出るわけがないわ。カラオケのときは焦ったけど、これなら――!」

 

だからやることが一つ一つせこいっす。にこ先輩。だから人望が薄れて――ゲフンゲフン。

 

「まあ、とりあえず皆。ルールを把握して少し練習してから課題曲を決めてやってみようか」

 

――そして、皆がプレイした結果というと、

 

「凛ちゃんすごーい!!」

 

「ほんと、すごいね!」

 

「えへへ、なんか出来ちゃった!」

 

「ぐぬぬぬぬ…なんでこうなるのよ……!」

 

 

 

穂乃果 A

ことり B

海未 A

花陽 C

真姫 B

凛 AA

にこ A

 

 

 

とこのようになった。大体俺の予想とそう変わりはなく、凛がトップで次いで穂乃果、海未、にこ先輩。ことりと真姫が並んで、最後に花陽。

正直に言うと、このゲームはダンスとあまり関係ない。ある程度運動神経が合って足を早く動かせる人間がいい点数を出せる。後は慣れだ。

あまり運動神経がよくない花陽は初めてということもあって、あまり点数は出なかったが、これは仕方の無いこと。

そして俺はというと――

 

 

 

遊弥 AAA Perfect Combo

 

 

 

「ふぅ、疲れた……」

 

終わった俺は一つ息を吐く。

 

「「「「「「「…………」」」」」」」

 

それに対して、皆は唖然としていた。

 

「これ、最高難易度だよね……」

 

そう穂乃果が呟く。

俺の曲はにこ先輩のリクエストにより、"このゲームの一番難しい曲の最高難易度"だったのだが、結果は表記されている通り。

 

「ゆーくん、さすがだね……」

 

「もう、言葉も出ませんね」

 

「遊弥先輩、すごいです」

 

「どうやったらあんなに早く足が動かせるの?」

 

「もはや化け物ね」

 

「どうしてあんたはそんなにハイスペックなのよっ!?」

 

「いや、このくらいは慣れた人間なら誰でも出来るよ?」

 

全員が無理、と首を横に振った。

 

「バーを掴んで身体を安定させるなんてずるいのよ!!」

 

「いや、そうじゃなかったら誰も最高難易度なんてクリアできないし、そもそもこのゲームはダンスのためのものじゃないし……」

 

リズムゲームはあくまで音楽に乗りながら楽しむゲームであって、ダンスがどれだけ出来るか測るものではないのだ。

 

「うぅぅぅぅ……! 次よ! 次に行くわ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして最後にやってきたのはアキバの街中。そして皆が持っているのはビラの束。

 

「歌と踊りで決着がつかなかった以上、最後はオーラで決めるわ!!」

 

「オーラ、ねぇ?」

 

「そうっ、アイドルとして一番必要といっても過言ではないものよ!」

 

にこ先輩いわく、歌もいまいち、ダンスも微妙。それでも人をひきつけるようなアイドルがいるのだという。

それには花陽も同意する。

 

「わかります! 何故か目が離せない人がいるんですよね!!」

 

「それでこのビラ配りですか…」

 

「オーラがあれば黙っていても人は寄ってくるもの。一時間で一番多く配ることが出来たものが一番オーラを持っているってことよ!」

 

「ちょっと今回は強引なような……」

 

ことりの言う通り、こじつけにもほどがあるんじゃないだろうか。

 

「でも、面白いからやろうよ!」

 

「まあ、いいんじゃないか? 宣伝もしなきゃだったし。だけど――これ俺もやる必要があるのか……?」

 

これはリーダーを決める勝負なのに、どうして俺までやらないといけなんだろうか?

 

「あんたも部員の一人で私たちのマネージャーなんだから、しっかり仕事しなさいよね!」

 

なんだろう、言っていることは正しいことなのに、こう言われるとなんだか苛立ちが込みあがってくるな。今度なんかしらの形でこき使ってやろう。

 

「くっくっく、今度こそ…チラシ配りは前から得意中の得意。このにこスマイルで――!!」

 

だからそんな顔でそんなこと言っているから上手くいかないということをそろそろ気づくべきだと、俺は思う。

そして、結果は言うまでもなく――

 

 

「ありがとうございました~……ふぅ」

 

最初に手元のビラが全部なくなったのは――ことりだった。

 

「ことりちゃんすごーい! 全部配っちゃったの?」

 

「う、うん、なんか気づいてたらなくなってて……」

 

配り始めてから二十分も経っていないというのにこの量を捌き切るなんて。これがカリスマメイドの実力というやつだろう。

 

「どうして…どうしてにこのスマイルが通用しないの、おかしい……時代が変わったの!?」

 

そして現実を受け入れられないにこ先輩は向かいの歩道で一人顔を真っ青にしていた。

まあ、わからない人にいきなり"にっこにっこにー"なんてやって迫ったらそりゃ避けられるわ。まだあの人は自分の世界から脱出できていない。

ちなみに俺はというと――

 

 

「すみませーん! ビラ一枚ください!!」

 

「私にもー!!」

 

「うちにも頂戴!!」

 

「キャー、手触れちゃった!」

 

「ビラと、握手お願いします!!」

 

「私もお願いします! というより、君をください!!」

 

 

「ちょ…押さないで、一人ひとりちゃんと渡しますから」

 

一人では対処しきれない数の女の人たちに囲まれていた。

 

「「「「…………」」」」

 

「ちょ、抱きつかないでください!? 色々と当たってますから!!」

 

無理に迫られていた俺はたじたじで戸惑っていた。

 

「「「……」」」

 

「ちょ、誰か、助けてくれ――ひっ!?」

 

そして助けを求めようとして振り向いたとき、俺は小さな悲鳴を上げた。

穂乃果と海未とことりが氷点下のごとく、俺をじーっと見ていたのだ。

そして無表情のまま近づいてきて、俺の腕をがしっり掴む。

 

「ごめんなさ~い。この人は他にもやることがありますので~」

 

「ビラでしたらこちらにもたくさんありますので。花陽、凛、真姫」

 

海未が言うと、一年生たちも普段見せないような身のこなしでビラを渡していく。特に花陽に至っては笑顔で配りながらどこか気迫迫っている。

 

「さあ行こっか、遊くん♪」

 

俺は穂乃果に引きずられながら、その場から離れる。

その後幼馴染から、周りの女の子たちよりももっと怖い目にあわされるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局皆同じだー」

 

場所は戻ってアイドル研究部。結果を集計すると、驚くことに全員同率だった。

 

「そうですね。ダンスの点数が悪い花陽は歌が良くて、カラオケの点数が悪かったことりはチラシ配りが良く…」

 

「みんな同じってことなんだね」

 

「にこ先輩もさすがです。皆より全然練習していないのに同じ点数なんて」

 

「あ、はは…当たり前でしょ……」

 

嫌味などまったく含んでいない凛の純粋な言葉ににこ先輩は顔を引きつらせて冷や汗をたらす。

にこ先輩は自主練習も含め、一時期アイドル活動をしていたから一定の実力はあると自負していた。だからこそ、リーダーになれると踏んで勝負を吹っ掛けたんだろう。

まあ、色々せこく立ち回ったのと穂乃果たちを甘く見すぎた結果だと思えば自業自得だろう。

 

「でもどうするの? 同点はいいけどこのままじゃ決まらないわよ」

 

「う、うん…でもこうなるとやっぱり上級生のほうが……」

 

「凛もそう思うにゃー」

 

ぶれない一年生。言い分はわかるけど、それはそれでちょっとどうなんだろうか。これは後の課題になりそうだ。

 

「仕方ないわね――」

 

「あ、もうにこ先輩は出てこなくていいです。面倒くさいので」

 

「ちょっと遊弥、それどういう意味よ!!」

 

そのままの意味です。いい加減勉強しましょう。

 

「一番点数も能力も高かったのは遊弥先輩ですけど……」

 

「この際もう遊弥先輩でもいいんじゃないかにゃ?」

 

「だからいいわけないだろう。俺はあくまで裏方なんだから。この話に入ること自体違うよ。それだったらいっそのこと――リーダーなんて作らなければいいんじゃないか?」

 

「「「「「「えぇっ!?」」」」」」

 

「あっ、遊くんもそう思ってたの?」

 

驚く六人に対し穂乃果だけは何の気なしに言った。

 

「無くてもやっていけるし、二年生三人の時だって誰がリーダーなんて決めてないまま進んできたしな」

 

「うん。だからリーダーなしでも全然平気だと思うよ」

 

「しかし……」

 

「そうよ! リーダーなしのグループなんて聞いたこと無いわ!」

 

「聞いたこと無いからなんだ? 他所は他所、俺たちがどうするかには関係ないだろう?」

 

「大体、センターはどうするの」

 

「それなんだけど、私考えたんだ」

 

「俺も考えがある。穂乃果もか?」

 

「うんっ! えーっとね――」

 

俺は穂乃果の考えを聞く。彼女が考えていたことは大体俺が考えていたのと同じだった。

俺と穂乃果は同時に頷く。

 

「そのね、みんなで歌うって言うのはどうかな?」

 

「……みんなで?」

 

首を傾げる六人に穂乃果はうん、と言う。

 

「家で他のアイドルの動画を見ながら思ったんだ。なんかね――みんなで順番に歌えたら素敵だなって…そんな曲、作れないかなーって」

 

「順番に……?」

 

良くわかっていない花陽は首を傾げる。そこで俺は穂乃果の言葉を継いだ。

 

「そう。誰か一人なんて決めない。皆にスポットを当てて全員が中心の歌ってことだ」

 

「無理、かな?」

 

「まあ、作れなくは無いですね」

 

「そういう曲、無くはないわね」

 

海未と真姫が肯定する。

 

「ダンスは、できそうかな?」

 

「ううん。いまの七人なら出来ると思うよ」

 

ことりも否定しない。

 

「じゃあ、それが一番いいよ! 皆が歌って、皆がセンター!!」

 

――決まりだな。

 

「わたし、賛成♪」

 

「好きにすれば」

 

「凛もソロで歌うんだー!」

 

「わ、私も!?」

 

「やるのは大変そうですけどね」

 

素直なことりも、そうじゃない真姫も、気合入っている凛も、戸惑う花陽も、これからの苦労を案じる海未も。全員の目がそれが一番いいと物語っていた。そしてそれは――にこ先輩も同じだった。

顔を向ける俺たちににこ先輩は、

 

「――私のパートは、格好良くしなさいよね?」

 

仕方が無いと一つ息を吐きつつも。その表情は晴れやかだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皆がセンターという試みで作った初めての曲のPVは上手くいったといえるだろう。

それをサイトで配信した次の日、俺は絵里先輩からではなく希先輩から、用があるので生徒会室までに来てほしいと呼び出しを受けていた。

よく思い出してみると、こうして希先輩から生徒会に呼び出されるのは初めてのことだな。

 

「はてさて、今度は何をたくらんでいるのか。とりあえず、中に入ろう――」

 

「何を言ったの――希」

 

生徒会室の前まで来てノックをしようとしたとき、ちょうど絵里先輩の声が聞こえた。だが、それは明るいものではなく、どこか咎めるような声色。

完璧に入るタイミングを逃してしまった。

 

「うちは思ったことを素直に言っただけや――誰かさんと違うてな」

 

「……」

 

「もう認めるしかないんやない? あの子達のこと。えりちが力を貸してあげればあの子達はもっと――」

 

「なら、希が力を貸してあげればいいじゃない」

 

「うちじゃ駄目なの。カードが言っているのは――えりちなんよ」

 

「……駄目よ。だって私は――」

 

 

――生徒会長だから

 

 

「……ふぅ、なるほどねぇ」

 

俺は生徒会室には入らず、そのまま踵を返していた。

希先輩には"用が終わったみたいなので、帰りますね"とだけ連絡を入れておく。

 

「これは…なかなか厳しそうだ。さて、どうするかね?」

 

俺は一人廊下を歩きながら呟くのだった。

 

 

 







いかがでしたでしょうか?
最近ルビ振りが面倒くさく思えてきたこのごろです。



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