年末です、燕尾です!
年の瀬、今年も後数時間! 皆さんはどうお過ごしでしたでしょうか?
ギリギリの更新です!
電車に揺られ、バスに載ること約二時間。俺たちは真姫の家が所有する別荘についた。だが俺たちは呆然と立ち尽くしていた。というのも、
「うわ~おっきいねぇ!」
「これ、全部所有地なのですか……!?」
そう。俺たちの想像以上に西木野家の別荘は大きく、圧倒されていたのだ。
「これ建てるのに一体いくら掛かっているんだ……?」
「遊弥くん、いくらなんでもその考えはどうかと思うわ」
土地代やら建築費やらを考えていると、隣にいた絵里から窘められる。
仕方ないじゃん。一般庶民にはこういうものには縁がないんだから!
「真姫ちゃんち、すごいにゃ~…」
「そう? 別に普通でしょ?」
いや、絶対普通ではない。少なくとも今いるμ'sと俺を合わせてこんな別荘を持っているのは西木野家だけだ。
「とりあえず案内するわ。行きましょ」
そんな真姫の一声で皆が後をついていく。
「ぐぬぬぅ~!」
ただその中で一人だけ――にこ先輩だけはなぜか悔しそうに唸る。
「ほら、にこ先輩。さっさと行く――あだっ!?」
促しただけなのに、にこ先輩からビシッと頭を叩かれた。
「先輩、禁止でしょ?」
俺は苦虫を噛み潰したような顔になり、どうしてこうなったのだろうという考えが先行する。
先輩禁止――という話しが上がったのは真姫の家の別荘に向かう前のことだった。
「えぇ!? 先輩禁止!?」
駅構内に穂乃果の声が響く。穂乃果だけじゃなく、希先輩と絵里を除いた全員が驚いていた。そんな中、絵里は笑顔で頷いた。
「もちろん先輩後輩は大切だけれど、ライブのときとかにそういうのを意識したら駄目だと思うの。だからこれを機に先輩後輩の垣根を取り払ってしまったほうがいいかなって」
「確かに、私も三年生に合わせてしまう部分がありますし。普段の生活で取り払うというのはいいと思います」
絵里の提案に納得して賛同する海未。だが、そんな海未に異を唱えたものが一人いた。
「そんな気使いまったく感じなかったんだけど?」
絵里と希先輩より早く入ったにこ先輩だ。だが、それは仕方がないことだと俺は思っていた。
「それは、にこ先輩が先輩って気がしないからにゃ」
俺の気持ちを代弁したのは凛だった。いや、俺だけじゃなく全員が思っていたことでもあるのだろう。皆小さくうんうんと頷いていた。
「先輩じゃなきゃなんだって言うのよ!?」
噛み付くにこ先輩に凛はうーんと少し考え込んだ後、
「後輩?」
「っていうか、子供?」
「マスコットかと思ってたけど」
「意地張るちびっ子だな」
「どういう意味よあんたたち!」
凛に続いて言う穂乃果と希先輩、俺ににこ先輩が噛み付く。
「言ったとおりの意味です。にこ先輩が上だと思うのは年齢ぐらいですね」
「そりゃそうよ! あんたより先に生まれたんだからそうに決まってるでしょうが!!」
「まあ、にこが騒いでいるのは置いておいて…そういうわけで、先輩禁止を今から始めるわよ――穂乃果!」
「は、はいっ。いいと思います! えっと、えーっと…え、絵里ちゃん!」
絵里に名指しされた穂乃果は詰まりながらも先輩を取っ払う。そして恐る恐る絵里を見る穂乃果に対して、彼女は笑顔で頷いた。
「はぁ~…緊張したぁ……」
上手くいったことにほっとする穂乃果。そして穂乃果の流れに乗って凛が手を上げた。
「それじゃあ凛も! こほん――ことり、ちゃん?」
やはり緊張するのだろう。言葉がだんだんしぼんでいくが、それに対してことりは優しく笑った。
「はい、よろしくね凛ちゃん。真姫ちゃんも」
「ヴェ!?」
ことりからの唐突なパスに真姫が動揺する。皆の視線が集まるが、真姫は顔を紅くしてそっぽを向いた。
「べ、別にわざわざ呼んだりするものじゃないでしょ!」
恥ずかしがっているのがバレバレな真姫に皆が苦笑いした――
――ということが出発前にあったのだ。いい提案ではあるのだが、
「やっぱり、俺もやらないといけないのか……?」
「もちろんや。遊弥くんだけ例外なんてないで?」
ニヤニヤと悪い笑みを浮かべる希先輩。
「ほら、また希先輩って
怖いよ、どうしてそんな地の文にまでわかるんですか。またスピリチュアルパワーっすか。
「ほら、言うてみ――希、にこって。あと敬語もなしやで?」
迫られた俺は苦い顔をする。改まって言えと言われるとなんだか気恥ずかしさが感じられるのだ。
「「……」」
じーっと上目遣いで揃って見つめてくる希先輩とにこ先輩。あんたら仲いいな、おい。
「それじゃあ、まずは……にこ」
俺はこほんと咳払いしてにこ先輩――もといにこの名前を呼ぶ。だが……
「え、ええ……」
……うん、つぎいってみよう。
「次は…希」
「う、うん!」
「……」
「「……」」
二人してどうして顔を赤らめているんですかね!?
「そういう反応されると、困るんだが?」
「ご、ごめん。なんだかあんたに呼び捨てされるとこそばゆくなって」
「せ、せやな。うちも年の近い男の子から呼び捨てされるのはなかったから……」
「だったら無理に呼ばせるなよ!? 俺だって恥ずかしくなるわ!!」
俺は思わず声を上げるのだった。
それから、それぞれ荷物を置いて練習着に着替えて玄関へと集合した。
そして合宿らしく、練習を始めようとするが……
「これが二日間の練習メニューです!!」
『……』
海未以外唖然としていた。
それもそのはず、海未が提示した練習メニューは超人でも造り上げるのかと言うほど皆にはドギツイものだからだ。
「おい海未。なんだこれは?」
「なにって、練習メニューですよ?」
皆の気持ちを知らずにドヤ顔をする海未。すると我慢ならずに、穂乃果が叫んだ。
「――っていうか、海は!?」
「私ですが?」
「そうじゃなくて!!」
穂乃果は目の前いる海未ではなく後ろにある広大な海を指していう。
「海だよ! 海水浴だよ!!」
うんうん、と頷くにこと凛。そんな彼女らに俺はじと目を向ける。
穂乃果、凛、にこの馬鹿トリオはどういうわけか水着だった。いや、水着の理由なんてわかっている。
「お前らはお前らで遊びに来ているとしか思えない格好だな、おい」
「こ、この格好のほうが練習しやすいから――いたっ!?」
苦し紛れの言い分に俺は軽いチョップを入れる。あっちもこっちもボケばかりに俺は頭が痛くなる。
「穂乃果。遠泳がしたいのならここにありますよ?」
海未は練習メニューに書いてある遠泳を指差した。
「遠泳十キロ……」
「その後にランニング十キロ……!?」
「最近、基礎体力をつける練習が減っていますから…せっかくの合宿ですしここでみっちりとやったほうがいいかと!」
「それはそうだけど、皆もつかしら……」
弱冠引き気味で言う絵里に激しく頷く三馬鹿たち。だが、そんな意見もなんのその海未はやる気満々の笑顔で言った。
「大丈夫です! 熱いハートがあれば!!」
「だからおのれはどこぞのチャレンジでも作り上げるのか?」
やる気が明後日よりも変な方向に向かっている海未に俺はつっこむ。
「このままじゃ本当にやらされかねないわね――穂乃果、なんとかしなさい」
「うん! 凛ちゃん!!」
「はいにゃー!」
水着トリオが結託し、まず最初に動いたのは凛だった。
「海未ちゃん海未ちゃん! あっちあっち!!」
凛が海未の手を引いてある場所を指す。
「凛!? どうしたのですか!?」
凛の指先を辿ってその先を見渡す海未。しかし、そこにはなにもない。
「いまだぁ~!」
「いけぇ!」
「わあ~♪」
目を凝らす海未を尻目に、穂乃果、ことり、にこ、凛、凛に手を引かれている花陽がここぞとばかりに反対方向へと走り出した。
「ああっ!? あなたたちちょっとー!?」
「まあまあ、いいんじゃないかしら?」
「えっ! いいんですか、絵里先輩――あっ……」
「先輩、禁止♪」
口を押さえる海未に笑いながら注意する絵里。海未もまだ慣れていないようで出てしまうようだ。
「せっかく来たんですもの、こういう楽しみもないと。それに先輩後輩の壁をなくす良いきっかけでもあるから、ね?」
そういわれても納得しきれない気持ちがある海未は戸惑いの顔をしていた。
「おーい! 絵里ちゃーん、海未ちゃーん!!」
すると、先に海へと行っていた花陽が手を振ってくる。
「はーい!!」
そんな花陽に絵里は返事をしてから、海未へと手を伸ばす。
「さあ、海未――私たちもいきましょう!!」
「――っ、はいっ!」
海未は絵里の手を取り二人は一緒に駆け出す。
「それじゃあ希、真姫。俺たちも行こうか」
「そうやね!」
「わ、私は別に……」
何を恥ずかしがる必要があるのか、興味ないように言う真姫。そんな真姫に俺と望みは顔を見合わせて悪い笑みを浮かべた。
「希! 真姫を連行せよ!!」
「はっ、了解であります! 遊弥司令官!!」
「えっ、あっ、ちょっと――!?」
慌てる真姫は希にガッチリとホールドされ皆のところへと連行される。そんな彼女に俺は敬礼をして見送った。
「遊弥! 覚えておきなさいよー!!」
俺の名前は咄嗟に出たものだろう。だが、それがすぐに慣れてくれることを俺は願うのだった。
私はクリスマス特別編や年末年始の特別な話しを書くことはまだしません。
要望があれば考えるとことろです。