ラブライブ! ~one side memory~   作:燕尾

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どうも、燕尾です。
72話です。





存続と…

 

 

 

 

――Eri side――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、休憩にしましょうか」

 

『はーい』

 

私の一声で、皆は休憩に入る。

 

「穂乃果、調子はどうかしら?」

 

「うん、問題ないよ!」

 

穂乃果も今日からの復帰だったけれど、むしろ前より体が軽くて調子がいいとのことらしい。

 

「そういえば絵里ちゃん、これからどうするの?」

 

「私も気になっていました」

 

今後のことを問いかけてくる穂乃果と海未。

穂乃果の復帰を待っていたから皆には言っていなかったけど、私の中ではちゃんと考えている。

 

「ライブに向けての練習をしていくつもりよ」

 

「えっ? でも理事長は……」

 

どうやら穂乃果は勘違いしているみたい。その誤解は早く解かないといけないわね。

 

「続けてもいいって」

 

「そうなの?」

 

「別に禁止するつもりで言ったわけじゃないって言っていたわ」

 

確かに学園祭の一件でお咎めを受けたけど、理事長はスクールアイドルの活動を否定しているわけではない。そこは普通の部活動と一緒の対応を受けた。

 

「それじゃあライブもできるのですね?」

 

「ええ」

 

「やったぁ!!」

 

海未と手を合わせて喜ぶ穂乃果。

 

「いつにしよっか!?」

 

「そうね。受験願書受付開始までに何度かやりたいところだけど、連続だとね……だからあまり遠くならないうちにまずはやりたいと思ってるわ」

 

そう言うと穂乃果は少しおとなしくなる。

 

「そうだよね、皆の体調とか考えないと……」

 

「穂乃果?」

 

この様子、朝のときとよく似ていた。

 

「やっぱり、気にしているのね」

 

「なんかちょっと穂乃果らしくないですね」

 

「うん、まぁ……」

 

海未はそう言うが、私はいい傾向であるとは思う。少しは周りが見えるようになったってことだから。

 

「あれ、そういえばことりちゃんは?」

 

すると早速、穂乃果がいつの間にか居なくなっていたことりを気にする。

その瞬間、海未の顔が少し緊張した。

 

「…ことりなら下で電話をしてくると」

 

「そっか」

 

そういわれて普通に納得する穂乃果。だけどそんな穂乃果の様子に海未はどこか辛そうに俯いた。

 

「海未――」

 

『わぁあああ!?』

 

私が聞こうとした瞬間、屋上の扉が勢いよく開かれた。

 

「わっ! どうしたの!?」

 

バタバタと雪崩込んでくるようにきたのは真姫と花陽、凛の一年生たちだ。

 

「たっ…」

 

「た…」

 

「助けて……」

 

息を切れさせながらそう言う三人に私たちは首を傾げる。

 

 

「「「助けて?」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一年生三人から呼ばれて連れてこられたのは掲示板前。そこには『来年度入学者受付のお知らせ』と書かれた張り紙があった。

 

『これって!?』

 

私たちは声をそろえて一年生たちに振り向く。

 

「この間の学園祭から各中学校でアンケート取ったんだって」

 

「それで中学生の希望校アンケートの結果が出たんだけど…」

 

「去年より志願してくれた子がずっと多くなったって」

 

先に内容を見ていた三人が説明してくれる。

だけど、あまりの驚きに考えが追いつかない。

 

「それって…」

 

「学校が、存続するってことですか!?」

 

穂乃果と海未の問いかけにうん、と力強く頷く三人。

 

「やった…やったぁ!!」

 

「ついに、やったんですね!」

 

穂乃果と海未が歓喜の声を上げる。

 

「凛たちにも後輩ができるってことだよね!?」

 

「うん、そうだよ!!」

 

来年できる後輩に喜ぶ凛と花陽。

 

「ま、まぁ再来年はわからないけどね!」

 

「ま、当然の結果よね。このにこにーにできないことなんてないんだから!!」

 

いつも通り、こんなときでもブレない真姫とにこ。

 

「夢みたい……」

 

「夢じゃないよ、えりち」

 

感激のあまり、涙が出そうになっていたを支えてくれる希。

 

「あっ! ことりちゃーん!!」

 

皆で喜んでいるところに電話を終えたことりがやってくる。

穂乃果はことりに飛びついていった。

 

「やったよ、私たちやったんだよ!!」

 

「えっ…えっ……?」

 

「これを見てください、ことり!!」

 

戸惑うことりに海未が存続の用紙を見せる。

 

「これって…学校が……嘘…じゃないんだ……!」

 

「うん!!」

 

抱き合う二人。まるで映画のワンシーンのようだ。

 

「……やったね、えりち」

 

「ええ、やっと」

 

そんな二人のやり取りを少し離れた位置で見ながら呟く希に私は同意する。だが、

 

「……」

 

「……希?」

 

希の様子がどこかおかしい。まるで喜び半分悲しみ半分のような、手放しに全部喜べない、そういうような感じだった。

 

「どうしたのよ、希」

 

「ううん。なんでもないよ」

 

明らかにそう言うようには見えない彼女の様子に私は首を傾げる。

私たちの最大の目標である音乃木坂学院の存続。それが今達成されたというのに喜べないのはどうしてだろう。

 

そのために皆で頑張ってきたのに(・・・・・・・・・・)――

 

「――」

 

そこで私は気付いた。希の理由に。

 

「まさか、希…嘘でしょう……」

 

「……嘘じゃあらへんよ」

 

希は私の考えが正しいという風に言った。

どうして今の今まで気付かなかったのだろうか。音乃木坂学院の存続、それは女子校としての(・・・・・・・)存続だ。

そうなれば当然、共学化の話は無かったことになる。

そしたら今まで私たちを支えてくれていた彼は、一体どうなってしまうのだろうか。

 

――俺が関わるのはこれが最後だ。

 

あの時の彼の言葉が蘇る。

もしかしたら、彼は知っていたのではないか。私たちとは相反していることに。知っていて初めから手伝ってくれたのではないか?

 

「……後で話を聞かないといけないわね」

 

私一人が考えても仕方がない。希という裏づけはあるけど、こういうのは本人に話を聞くのが一番手っ取り早い。

 

「しっかり話して貰うわ、遊弥くん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――Yuya side――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんな時間にどうしたんだ――絵里、それに希」

 

μ'sの練習が終わってから、俺は絵里と希に呼ばれて屋上へと来ていた。

他の皆はもう帰っているようで、この場には俺たち三人以外には誰もいない。

 

「あなたに聞きたいことがあるの」

 

「聞きたいこと?」

 

「遊弥くん、今日理事長室に呼ばれていたわよね」

 

放送があったのだからそのとき学校にいた人間はわかっていることだ。そんな確認を改めてしてなんだろうか。

 

「理事長室で何を話していたの?」

 

「月一の報告をしていただけだよ。試験生の話はわかっているだろ?」

 

「嘘、そんな必要はもうないはずよ」

 

俺の話を即一蹴する絵里。

 

「今日、掲示板に来年度入学者募集のお知らせが貼ってあったわ」

 

この様子。絵里はもう気づいていると見ていいだろう。

 

「共学の話は一切掛かれていないから、これは女子校としての募集だと思ってる」

 

「ああ」

 

「確かに今日は報告する日なのは間違いない。だけど共学にしないって決まっているのに定期報告なんて要らないわ」

 

どんどん絵里に退路を断たれていく。

 

「逃げようとしないで本当のことを言って。理事長室で何を話していた――いえ、なにを言われたの(・・・・・・・・)?」

 

「……」

 

「上手いこと合わせたつもりなんやろうけどもう観念した方がいいと思うで、遊弥くん。ここで嘘ついても、お互いのためにならんよ」

 

そこに希まで加われば俺には為す術はなかった。

 

「……絵里には希が教えたのか?」

 

「うちはなにも言っとらんよ」

 

「希の言う通り、あなたのことはなにも言っていないわ。希が知っていたことさえ私は知らなかったもの」

 

「なるほど、自分で気付いたのか」

 

大丈夫だ、気付かないだろうなんて思っていた俺が甘かった。もっと慎重にしておくべきだった。

 

「でも、そこまでわかっているならもう言わなくてもいいと思うけどな」

 

「そんなの私の想像でしかない。だからあなたからちゃんと聞きたいの」

 

どうしてこんな強情なんだか。いやこれが絵里だったな。

引かない絵里に俺はため息を吐きながら頭を掻く。

 

「恐らく絵里たちの想像通りだよ。俺の学院生活が終わるだけ。俺はこの学校を退学することになった。簡単に言えば俺はこの学校に必要なくなっただけだ」

 

「っ、終わるだけ(・・・・・)なんかじゃないでしょう!」

 

絵里は強くそう言うが、俺からしたらそれだけだ。こうなることぐらい、穂乃果たちの手伝いをした最初からわかっていたのだから。

 

「何であなたはそう素直に受け入れているのよ!? 音ノ木坂(私たち)が助けて欲しいって呼び出したのに今度は自分勝手にあなたを追い出そうとしているのよ!?」

 

「女子校として存続するなら俺が居るのはおかしいだろ。追い出されるのは必然だ」

 

「でももう少しどうにかできないのっ? あなたなら……!」

 

「できないに決まってるだろ。俺一人(・・・)でどうにかなるほど組織は甘くない」

 

それに俺が抗議すればするだけことになる。なんせ女子校にいさせろって言っているようなものなんだからな。

 

「それは、そうかもしれないけど…だけど――!」

 

「どうしてそこまで喰いつくんだ」

 

俺を引きとどめたってなにもいいことなどない。

 

「俺のことは気にしなくてもいい」

 

せっかく学校が廃校にならずに済んだっていうのに、余計なことで悩んでどうするんだ。

 

「もういいんだよ」

 

なるべくしてなったこと。それに絵里たちが反発したらどうなるか。最悪μ's自体潰されかねない。そうなったら、俺は悔やんでも悔やみきれない。

 

「だから――」

 

「良くない!」

 

その瞬間、絵里に両頬を押さえられた。

 

「良くないに決まっているでしょう! あなたを一人追い出して、それで何ごともなく過ごすことなんてできない!!」

 

「できるできないの話じゃない。そうしないといけないんだ」

 

「私はそんなこと望んでない!」

 

「したくないことなんてこの先何度だってある」

 

「そんなこと知ったことじゃない!」

 

こいつ、昔を思い出されるわがままエリーチカになってやがる。

 

「私は、私たちはあなたと一緒にいたい」

 

「……っ」

 

まっすぐな絵里の瞳に吸い込まれそうになる。

 

 

やめろ。

 

 

「あなたと同じ時間を過ごしたいの」

 

 

やめてくれ。

 

 

「遊弥くん」

 

「もうやめろ!!!!」

 

学校全体に聞こえるような叫びが大きく響いた。

身体を強張らせた絵里の手が俺の顔から離れる。

 

「頼む…もうこれ以上、やめてくれ……」

 

情けない声が俺の口から漏れる。

 

「遊弥、くん……」

 

「俺のことを想ってくれるなら、どうして今まで希に口止めさせてまで言わなかったか考えてくれ」

 

それだけを言い残して俺は屋上から――いや、二人から逃げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――Eri side――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私たちは屋上から出る遊弥くんをただ見つめていた。

 

「えりち……」

 

希が心配そうに私を見つめる。だけど、

 

「大丈夫よ」

 

もうあの頃の私とは違う。私はもうちゃんと自分を持っている。

 

「希はどう思う? 今の遊弥くん」

 

「昔の誰かさんに似とるね」

 

「それはわざわざ言うことかしら?」

 

それがだれのことを言っているのかすぐにわかって目を細める私にごめんごめん、と謝る希。

 

「今の遊弥くんは板ばさみになってる。残りたいという気持ちと、出て行かなければいけないっていう状況に。うちには助けて欲しいって聞こえたよ」

 

「ええ、私もそう思ったわ」

 

さっきの話からそれは感じ取れた。蓋をした心の底の叫びが言葉の端々から滲み出ていた。

 

「どれだけ言い繕っても、感情には勝てないようやね」

 

「別におかしな話じゃないんじゃない? 遊弥くんだって人なんだし」

 

「うちたちが動けば、遊弥くんは怒るかもしれないな」

 

「気にしないわ。私のしたいことだもの」

 

したいという揺らがない気持ち。この気持ちをくれたのは遊弥くんや穂乃果たちだ。ならそれを使ったって文句を言われる筋合いはない。

 

「でもどうするん? 遊弥くんの心を変えるのは大変やで」

 

「そうね」

 

それは今のやり取りでわかっている。だけど私は遊弥くんに救われたきた。なら今度は私が彼を助ける番。

 

「このままなんかにしても後悔するだけなんだから、私ができることを精一杯しないと。どんなに大変でも絶対になんとかしてみせるわ」

 

「そうやね。うちらもできることをしないとな。うちもこの話には正直怒ってるから」

 

希がこうも感情を出すのは珍しい。でもそれだけに希も本気だということだ。

 

「まずは情報を集めないとどうしようもないわ」

 

「それはそうやけど、誰から?」

 

私は話を聞く人物に当たりをつけている。というか、この状況を正確に把握しているのは学院の中で遊弥くんを除けば一人しかいない。

 

「決まっているわ――理事長からよ」

 

 

 

 

 







いかがでしたでしょうか?
ではまた。


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