どうも燕尾です。
なかなか話が進まないですね
「絵里先輩、こっちの書類整理とデータの打ち込み終わりました。希先輩、各部活の予算状況の計算も終わってるので確認お願いします」
放課後、俺は生徒会の手伝いをしていた。穂乃果にもスクールアイドルの練習に付き合ってほしいと誘われていたのだが、先日同様、絵里先輩のほうが早かったのでまた今度と断った。すっごい不満そうな顔をされたが。
俺の主な仕事は書類整理とデータ管理。あとは会計処理だった。言われたときは時間がかかりそうな気がしていたが、案外そうでもなく、すぐに終わった。
「え、ええ……じゃあ、次はこれお願いできる?」
「オッケー、確認しとくわ」
ええっと、なになに……文化祭の予算算出? これ普通年度初めにやることだろ……。こっちは去年の文化祭の予算か、なるほどね。
片手で計算ソフトに打ち込み、それと並行して書類に書き込んでいく。
「「……」」
「こんな感じかな、確認お願い――ってどうしました?」
絵里先輩と希先輩が手を止めてじっと俺のほうを見ていた。その顔は若干驚きが混じっている。
首を傾げる俺に絵里先輩がえっと、と驚きが抜けきらない様子で口を開いた。
「遊弥君、手際が良いのね。すごい慣れているというか……」
「ああ、この手の作業はよく爺さんに手伝わされていましたから」
毎年、行事ごとや年度末に縋りつく爺さんに何度頭を抱えたか。他の人に頼めばいいものをわざわざ俺に頼む辺り……思い出してもため息が出る。
「だから自然と身についたというか、事務作業の効率の良いやり方を知ってるってだけですよ。慣れたら誰にでも出来ます」
「いや~それは君だけだと思うんやけど」
苦笑いしながらそう言う希先輩。
いやいや、こういうのは本当に知っているかないかなだけですよ。あ~、思い出したら腹が立ってきた。禁酒の期限延ばしてやろうかな。
「でも、頼りがいある後輩が手伝ってくれてうれしいな~。なぁ、えりち?」
「そ、そうね……仕事が速く終わるのは、いいことだわ」
ニヤニヤと含みのある笑みを向ける希先輩になぜか所々で言葉に詰まる絵里先輩。よくわからないが、何か思うところでもあるのかもしれない。あまり踏み込んでもよくないだろう。俺は話題を変える。
「そういえば絵里先輩と希先輩はいつからの付き合いなんですか? 見たところ結構長そうな感じですけど?」
「ふぇ!?」
無難な話題だと思って切り出したのに、絵里先輩はなぜか慌てだしてしまった。
――別に変な意味は無いよな? 普通だよな?
「そうやな――」
答えることが出来なくなった絵里先輩の代わりに希先輩が答える。
「えりちとは高校入学からの付き合いや、一年からずっと同じクラスやで」
「へえ……どういう風に仲良くなったんですか? ほら、絵里先輩ってその……アレっぽいじゃないですか?」
「ちょっと、アレっぽいってどういう意味よ!」
絵里先輩が抗議してくる。
いえいえ、そんな悪い意味はないですよ? ただアレっていうだけで。具体的にはいいませんけど。ええ、悪い意味ではないですよ?
「そうやな、えりちはあれやからな。そう思うのも不思議じゃないで、遊弥君」
「希まで!?」
悪乗りしてくる希先輩、さすがです。
俺が希先輩に、ぐっ、と親指を立てる。すると希先輩も親指を立て返した。
「……なによ。二人で分かり合っちゃって。ええ、どうせ私はアレですよ」
むくれて拗ねる絵里先輩。その顔はなんとも可愛らしかった。
そんな絵里先輩に俺と希先輩はまったく同じタイミングで噴出してしまう。
「冗談です。絵里先輩は誤解を受けやすいって言う意味ですよ、本当はこんなに可愛くて親しみやすいのに」
「せやせや、えりちは可愛いもんな」
「……っ、卑怯よ……二人してそんなこというなんて」
絵里先輩は顔を紅くさせそっぽ向いた。
ああ、可愛いなぁ~(関西風)
「それで、絵里先輩とはどういった経緯で?」
「まあ別にえりちと仲ようなったきっかけに特別なことはあらへんよ。ただ、うちがえりちに声かけて話すようになって、って、感じやな」
「本当に普通だったんですね。希先輩には失望しました、もっと面白いことを期待してたのに」
「急な裏切り!? そらひどいで、遊弥君!?」
「でもあのときの希にはびっくりしたのよ? 私もちょっと変な人かと思ってたもの」
「普通に声かけただけやん! さっきの仕返しなん、えりち!?」
焦る希先輩に次は絵里先輩と俺が笑い声を上げる。
こうして、時々雑談を交えながら作業をこなしていくのだった。
えりちはかわええなぁ~
ではまた次回(・・)/