ども、燕尾です。
かなりお久しぶりです。
自分でもこんなに空いてしまうとは思っていなかったです。
仕事やらなんやらでモチベーションが湧いていないのが理由でした。
正直、この先続けていけるかはっきりと言えませんが
物語を作るのは息抜きでもありますので、やっていきたいとは思います。
合宿から帰ってきてから、穂乃果たちはラブライブ予選のためへの練習により力を入れるようになった。
「ワンツースリーフォー、ワンツースリーフォー――」
今日も今日とて、屋上ではリズムの掛け声が絶えず響いている。
そんな中、俺はパソコンとにらめっこしながら頭をひねらせていた。
「んー……どうしたものか……」
「どうしたの、遊弥くん。難しい顔をして」
「ん、ああ。ちょっと予選のことで――」
隣から絵里の声が聞こえた俺は顔を向けると、すぐ真横にパソコンをのぞき込む絵里の顔があった。
「――っ!?」
「ん? なにかしら、私の顔に何かついてる?」
唐突な状況にドギマギしている俺とは対照的にに絵里は何もないように微笑みを返してくる。なんだか、意識しているのは俺だけのよう感じてばつが悪い。
俺は一つ咳払いをして、何とか平静を保つ。
「いや、なんでもない。難しい顔をしていたのは予選の内容について、少しな」
「何か問題があったの?」
「ゆうくん、絵里ちゃん、どうしたのー?」
「何かお困りごと?」
すると、ダンス練習から休憩に入った穂乃果と花陽が、顔をのぞかせる。
「困りごとというほどでもないんだけどな。今度の予選のことでな」
「ゆうくん、隠し事はなしだよ」
説明する前に穂乃果から釘を刺される俺。先回りできるようになったのは成長と考えるべきことだが、別に今回は隠すようなことでもない。
「隠し事じゃない。ラブライブ予選のライブの場所をどうするか悩んでいたんだ」
「ライブ場所?」
「ああ。なるほど」
俺の話に首をかしげる穂乃果とは反対に、花陽は気づいたように手を打った。
「今見ているのは予選会場のステージ一覧かな?」
「正解」
「ん、どういう事?」
そこでさっきとは反対側に首をかしげる穂乃果。そんな彼女に俺はさすがに目を細めた。
「穂乃果…お前今回の予選の内容について知ってるか?」
「そ、それは…えーっと……あ、あまり……」
「穂乃果…あなた、ルールブックはちゃんと見てるのかしら?」
「あ、あはは…私、文字を見るのが苦手で、ちゃんと見てないかな~……?」
「疑問形じゃなくて確実に見てないだろ。まあ、そこら辺の期待を穂乃果にはしてないからいいけど」
「ちょ! それはさすがに言いすぎじゃないかな!?」
「教科書見るだけで寝ている奴が何を言うか」
「うっ…痛いところを……」
痛いもなにも、それが穂乃果のデフォルトだろうに。だからテスト勉強で苦労するんだよ。
「まあ、そこはいいとして。今回の予選では予選会場のほかにライブ会場を個別に、自由に決めることができるんだ」
「ほえー、そうなんだ」
「ルールブックに書いてあることよ、穂乃果…」
「うう、もうそれは言わないで……」
「あはは」
指摘されがっくりと肩を落とす穂乃果に花陽は苦笑いする。
「話を進めると――もし自分たちで場所を決めた場合はネット配信でライブを生中継することになる」
「全国の人に見てもらえるんだよね」
「そう。数日間かけて各地域ごとから1チームずつライブ配信をして、視聴者からいいと思ったところに投票された中の得票数上位4組が最終予選にいける仕組みだ」
「4組…少ないね……」
「段階を踏むだけの日数もないからな、一気に進めたいんだろ。それにどのみち、頂点取るなら変わりはしない」
「それは遊弥くんの言う通りだけど、それでも私たちがいる東京地区は激戦区よ。それに何と言っても前回大会優勝の彼女たちもいる」
「A-RISEね。だけど、俺たちのやることは一緒だ。ツバサたちを踏み越えなければ優勝はない。そのための準備や練習だろ?」
「……そうね。ごめんなさい、話を遮ってしまって」
「気にしないでいい――それで、話を戻して結果から言うと予選会場まで足を運んでやるか、自分たちで考えるか悩んでいたんだよ」
機材のことを考えると会場であればあまり考えなくてもいい。しかし、曲やダンスの雰囲気とあわせようとするとなかなかに合うものが見つからない。
逆に自分たちで会場を選ぶのであれば、雰囲気などはベストな状態に持っていくことはできるが、機材の準備や、何よりその場所選びに相当な時間をかけてしまう。残りの時間を考えるとかなりの負担だ。
「配信用機材の当てがあればいいんだが、残念ながらなくてなー…かといって会場に行くってのも今回の新曲とミスマッチっぽいから、ほんとどうしたものかってな」
「そう言われると、そこまで私たちも考えてはいなかったわね」
「そういう事を任せっきりにしてごめんね、ゆうくん」
「これも役割分担だ。皆はまず最優先にやるべきことがあるだろ」
「でも、このままじゃゆうやくんの負担が大きいよ」
「心配してくれるのは嬉しいけどそこまでのことじゃないよ。まあ、いくつか候補を上げたら相談に乗ってくれると助かるな」
「うん、それはもちろんだよ!!」
「いつでも相談してね、ゆうやくん!」
――そう言ったはいいものの
「その候補自体あげられてないんだよなぁ」
その日の練習が終わり、街を歩いていた俺はため息交じりに呟いた。
「予選会場は無しとして、配信機材と場所の確保を本当にどうしたものか」
ある程度の構想は固めているが、その実現のための手段が不足している。それでも、皆のために何とかしないといけない。
「ほんと、どうしたもんかね」
「お困りのようね、遊弥」
「ん、まあな~」
「私が手を貸してあげましょうか?」
「正直そうしてくれると助かるけど――って」
何の気なしに返答していた俺は、そこでようやく声の持ち主に気付き、いつの間にか隣に並んで歩いていた人物を見やる。
「久しぶりね、遊弥」
「なんでいつもそんな感じの現れ方しかできないんだ、おのれは」
「驚くあなたの顔を見たいから、かしら?」
「驚かされる方はたまったもんじゃないぞ」
「そういう割に見た感じそうは見えないのだけれど。大体の人は私に会えば驚くのに」
「そりゃ今話題沸騰中のスクールアイドル、綺羅つばさに会ったら驚くだろ」
「一番驚いてほしい人には驚いてもらえないけれどね」
どこか寂しそうに俺を見つめるつばさ。そんな目で見られても困る。第一、俺を驚かせたって何もならんだろ。
「それで、なんだってこんなところをうろついているんだよ。それに俺なんかと歩いているとそれこそ騒ぎになるぞ」
「今日ここをブラついていれば、なんとなく遊弥に会える気がしたの。私の勘が冴えていたみたい」
「いや、こえーよ。怖すぎるわ」
その第六感的なものが当たっているのが何より怖い。
「そもそもなんで俺に会おうって思ったんだよ?」
そう問いかけると、つばさは不満げな視線を俺に向けた。
「な、なんだよ……」
「別に? この前助けたときに約束した埋め合わせの連絡がないから、どうしているのかなって思ったり? いつ会いに来てくれるのかなって、そんなこと思ったり全然してなかったけど? 遊弥の口からそんな言葉が出るんですもの」
「……」
節々どころか、すべてが鋭い棘になっているつばさの言葉に俺は冷や汗を垂らす。
「まさか忘れていたなんて、遊弥に限ってそんなことないと思っているけど――」
「つ、つばさ……」
「そんなことないって思っているけど?」
「つ――」
「思って"いた"けど?」
「……」
「遊弥?」
「……………すみませんでした」
ものすごいプレッシャーを放つつばさに、ようやくひねり出せた謝罪の言葉。
「一応、弁明の機会を与えてあげる」
「えっと…二学期始まってから、生徒会と押し付けられた教師の仕事とラブライブの予選に向けた合宿と練習etc.……で、すっかり忘却の彼方になっていました」
「……」
無言の圧力が俺を襲う。しかし、これは俺が忘れていたのが悪いので、彼女からの沙汰を待つしかない。
「――噂程度には聞いていたけど、あなた、音ノ木坂の正式な生徒になったのよね? それなのにまだ
「全員が俺のことを認めてくれているわけじゃないからな。生徒も、教師も。だけど、それ相応の仕返しはしている」
その答えを聞いたつばさは思考を巡らせるように目を閉じる。
「仕返ししているならいいわ。していなかったら――」
「していなかったら……?」
「……何でもないわ」
絶対なんでもなくない。この無自覚なお嬢様はなにかしでかそうとしていたに違いない。
いや、まあ今のつばさの感情を考えればわからなくもないが、力があるだけに冗談として捉えられない。
踏みとどまってくれて何よりだ。そしてあの時本当に頑張ってよかった。グッジョブ、俺。
「しょうがないから、埋め合わせの時どんなことでも付き合ってくれるのなら、忘れていたことは許してあげる」
「はい。寛大な処置に感謝します」
一命をとりとめた俺は安堵のため息を吐いた。
「よろしい。それじゃあその日のことを決めに、少しお茶していきましょうか」
そう言って俺の腕を抱きしめるように取るつばさに、反対できるわけもなく、俺は彼女に従い足を進めるのだった。
――Eri side――
「ふう…ようやく買えたわ」
この前から欲しかった本を買うことができた私は満足気に店を出る。
「これで新しいアクセサリーにも挑戦できそうね。それから、ヘアゴムとかも自作してみようかしら?」
小さなブローチを使っていつもの雰囲気を少し変えてみるのもいいかもしれない。
「もし作ったとして、遊弥くんは気付いてくれるかしら」
「――絵里。今日は雰囲気違うな」
「気づいてくれたの、遊弥くん」
「もちろん。俺が絵里のこと見逃すはずないだろ?」
「遊弥くん……」
「綺麗だ、絵里――」
………………
「……あり得ないわね。どんな妄想しているのかしら、私ったら」
あからさまにキザなことを遊弥くんが言うはずがない。というか、あまり想像できない。
でも少しの可能性かもしれないけど、もし気付いてくれたら。
そう考えると、期待に胸がわずかに膨らんだ。
「よし、頑張りましょう!」
私は軽快な足取りで、家路を歩いていくのだった。
いかがでしたでしょうか。
ではまた、次回に。