戦姫絶唱シンフォギア 戦姫と鬼   作:MHCP0000

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お待たせして申し訳ありません。4月から生活環境が変わってなかなか執筆時間が取れずようやく形になったので投稿します


第十話 伝える言葉

翼に剣を向けられてから二週間が経っていた。響は授業中ではあったが心ここにあらずという状況だった

 

この二週間で、何度か出動があった。だが、そのどれも自分が生き延びるのでやっとだった。ノイズにしても、自分に襲い掛かってきたものを倒しているだけだった。とても人助けになっているとは思えない

 

思い出すのは、二週間前のあの日。自分の言葉に、涙しながら頬をはった翼の姿と、そのあとの快翔の言葉だった

 

君は間違っていないよ。まあ、しかたないよ。そんな言葉を心のどこかで期待していた響に投げかけられたのは、はっきりと響を責める言葉だった

 

快翔にはわかっていたのだ。自分が何を間違えたのか。何がいけなかったのか

 

あの一件以来、翼とはまともに口もきけていない。このままではいけない。もう一度謝らないと

 

「(快翔さんに聞こう。私の何がいけなかったのか)」

 

この二週間、ノイズの撃退にも表れない人物を思いうかべた響は、教師の言葉をまるで他人事のように聞きながら、決意を固くした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第十話 伝える言葉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なかなか見つからないなあ」

 

翌日、休日を利用して街中を走り回っていた響は、公園のベンチで休んでいた。電話は繋がらなかったので、心当たりを走り回っている。

 

「ええっと。マンションで、5階に住んでて、あと、天美さんが運転してた車」

 

響は、自分が知っている快翔の情報を改めてまとめる。車意外は、会話の中の断片的な記憶だ。手当たり次第に5階建てのマンションを当たっているが、ここまでは全て空振りだった

 

「よし、次行こ!」

 

再び自分に気合を入れた響は、次なる建物に狙いを定める。いくらこの街でも、五階をこえ、かつ住居用の建物はそう多くない。自ずと数は絞られてくる。響は、マンションに入ると、じ~っと集合ポストとにらめっこする、が、やはり見当たらない

 

「ごほん!」

 

響の不審な態度に、守衛室の警備員がわざとらしく咳払いをする。響はポストをあきらめ、警備員に尋ねる

 

「あの~、ここに加々井快翔っていう人住んでませんか?」

「……失礼ですが、あなたは?」

 

当然といえば当然の反応だが、響は言葉に詰まる。なんと言っていいかわからなくなってしまい、固まる響。警備員が追い返そうとした瞬間、響の後ろから助け舟が出された

 

「警備員さん、すみません。その子は俺の連れっス。ちょっと従妹の様子を見に来たんスけど、先に行っちゃって」

 

後ろにいたのは、長身の男性だった。30代ぐらいと思われる男は、響の手を引いてオートロックを解除して中へと入っていった

 

「え? え?」

 

自分の理解を超えたスピードでものごとが進んでいく。エレベーターを待つところまできて、ようやく男は足を止めて、響を引っ張ってきた手を離した

 

「ごめんな、いきなり。で、君は?」

 

男は響に尋ねる。先ほどの警備員のような警戒する目つきではないが、それでも響に大差はない。それでも、快翔を訪ねてきた自分を引っ張ってきたということは、快翔と知り合いのはずだ

 

「あの、私、前に快翔さんに助けられて…それで…」

 

ぽつぽつと話すと、少し考えて男が手をたたく

 

「ああ! じゃあ君が…ええっと、シンフォギアの!」

「あ、しー! しー! だめです大声で言っちゃ!」

 

今度は響が慌てる。シンフォギアについては秘密なのだ。誰が聞いているかわからない場所で大声で言われてはたまらない

 

「ああ、ごめんっス。で、快翔に何の用っスか?」

「それは、ええっと」

 

会って話をしたいのだが、何を話せばいいのかわからない。そんな響の心境を知ってか知らずか、男は続ける

 

「申し訳ないっスけど、快翔はここにはいないっス。俺は快翔の応援に行くついでに、とってきてほしいものがあるって言われて来たんっス」

「あ、そうですか…」

 

言われた途端響がシュンとなる。ようやく話を聞けるかと思ったが、そううまくはいかないようだ。そんな様子を見て、それじゃあ自分はこれで、と言えるほど、男はドライな性格はしていなかった

 

「あ~、よかったら付いてくるっスか? 自分もこれから行くんで」

「ほ、ホントですか?! 行きます! 絶対行きます!」

 

ものすごい勢いで、響は食いつく。その様子に男は少し引きつつも、降りてきたエレベーターに乗る

 

「じゃあ、ちょっと荷物をとってくるんで、ここで待っててください」

「あ、私は立花響です。あなたは…」

 

まだ名乗っていなかったことに気が付き、自分が名乗ると同時に相手の名前を聞く。男は響の名前に少し驚いた顔をしながら、自分の名前を告げた

 

「自分は、トドロキっス! よろしくっス」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リディアン音楽学院からそう遠くない山の中、車で入れるギリギリのところに快翔とあきらはいた。車で入れる限界のところまで入っており、開けた場所にはキャンプ用のテーブル、テント、そして大きな周辺の地図が車の側面に立てかけられていた

 

「こちらもハズレですね。快翔くん、そちらはどうですか?」

 

CDのような形に変形したディスクを、笛のようなものにさして回していたあきらが、CDを外しながら言う。隣には、鬼に変身する際に使う音叉を折りたたんで同じようにディスクを調べていた快翔がいた

 

「いや、こっちもハズレです。なかなか当たらないですね」

「ええ。二週間前に姫と童子を倒したので、そう動きは無いと思うんですが」

 

香須実からの報告の後、すぐに現場へ向かった二人は、魔化魍を操る姫と童子を倒すことに成功した。だが魔化魍そのものには逃げられてしまったため、こうしてキャンプを張って対応しているのだ

 

「情報通り、ツチグモではあったんで、太鼓で退治できると思うんですけど」

「はいそうですね。でも快翔くんも一通りの音撃はできるんですし、そこまで気にしなくていいのでは?」

「いや、できますけど、やっぱりメインは太鼓ですから。強いやつ相手じゃ、やっぱり本職の人たちに頼らないと」

 

ディスクを処理しながら話していると、あきらの運転する車と同型の色が違う車が入ってきて停車した

 

「あ、トドロキさんですね」

「本当に来てくれたんだ」

 

停車した車の運転席から、トドロキが降りて手を振る

 

「お~い快翔、あきら~!」

 

お疲れ様です、という挨拶をそこそこにトドロキは快翔に駆け寄る

 

「よう。調子はどうだ?」

「ええ、いい感じです。それよりもトドロキさん、オフなのにありがとうございます」

「気にするな、後輩のためだ。あきら、これ頼まれてたやつ。あと、俺からの差し入れも入ってる」

「ありがとうございます。でも、変な本では無いですよね?」

 

あきらがくぎを刺すように言う隣で、快翔はトドロキの車の中に誰かがいるのに気が付き、覗き込むようにすると、トドロキがそれに気づく

 

「ああ、そういえば快翔にお客さんだ」

「俺に?」

 

そう言うと、トドロキが車に向けて手を振る

 

「お~い響ちゃん! 降りて来いよ~」

「た、立花さん!?」

 

驚く快翔の前で、車の後部座席のドアが開き、響がゆっくりと降りてきた

 

 

 

 

 

「トドロキさん、どうぞ」

「おおあきら、ありがとう」

 

差し出されたコーヒーを受け取って、一口をつける。まだ春の気温が上がりきらない季節、街は暖かくなって生きているが、このような山の中ではまだ気温は低い。淹れたばかりのコーヒーはトドロキの体に染み渡る

 

「あの子がシンフォギアの子だろ?」

「ええ。トドロキさん、快翔くんの報告書は読まれてるんですよね」

「ああ。やっぱり気になるからな」

 

報告書は『たちばな』に送られており、誰でも見れるようになっている

 

「なんだか、二課(あっち)は内輪もめみたいだけど大丈夫なのか?」

「知りません。私も心配ではあるんですが、まあ、快翔くんがやる気なので、このまま様子見ですね」

 

ヒビキさんにも許可はとっていますし、とあきらは続けた

 

「で、彼女は? 全くの素人らしいけど大丈夫なのか?」

「大丈夫、ではないですね。こないだも余計なことを言って翼さんを怒らせてしまったみたいですし」

 

あきらが笑いながら言う。その場にいなかったあきらは快翔からの伝聞だが、その翌日の弦十郎の話を聞くとまあそうなるだろうな、と感じた

 

「翼さんって風鳴翼か。なんて言ったんだ」

「ええ。『奏さんの代わりになれるように頑張ります』だそうです」

 

トドロキの表情が、わずかに曇ったのにあきらは気づかなかった

 

 

 

 

 

 

「はい立花さん。あったかいものどうぞ」

「あ、あったかいものどうも」

 

インスタントだけどね、と付け加えて、快翔が響の隣に腰を下ろす。響も少し時間をおいて落ち着いたようだ

 

「でも、ビックリしたよ。トドロキさんと一緒に来るなんて。俺のマンションに来てたんだって?」

「はい、探し回ってたところ、たまたまトドロキさんがいたので連れてきてもらいました」

 

一口コーヒーを口に運んでいる間の沈黙のあと、口を開いたのは快翔だった

 

「それで? 俺に聞きたいことって何かな?」

 

トドロキから事情を聞いたので、快翔から切り出す

 

「あの、この前のことでちょっと…」

「この前…ああ、あの時の」

 

それだけで通じたようで、快翔が言う

 

「快翔さん、私が悪いって言ってたけど、何が悪いかわからなくて。私、一生懸命奏さんの代わりになるって頑張ろうって…」

 

快翔は響の言葉を黙って聞いていた。響の独白は続く

 

「私のガングニール、奏さんのと同じなんです。奏さんに助けられたときに、心臓の近くに埋まって取り出せなくなっちゃって。だから、奏さんみたいに、頑張らなくちゃって。│ガングニール《この力》は、奏さんから受け継いだものだから」

「立花さん」

「はい…あいだっ?!」

 

聞き終わった快翔は、響の額に、手を伸ばし、人差し指で弾いた。いわゆるデコピンだ

 

「君が天羽奏に救われて、天羽奏の代わりになりたいと思ってるのはわかった。でもね、いくら同じ力を受け継いでも、君は君でしかないんだ」

 

今度は響が聞く側に回る番だった

 

「亡くなったは、その人のことを知っている人の中にしか存在しない。でも、誰の中にいるかによって、その人は違う人間なんだ。どうしてかわかる?」

 

ふるふる、と響は首を振った。「だよね」と快翔は笑いながら同意する

 

「その亡くなった人のことをどれだけ知ってるかがそれぞれ違うからだよ。立花さんの知ってる天羽奏はどんな人」

「え? えっと、強くてかっこよくて、歌が上手で…」

 

響が答えると、快翔はじゃあ、と続ける

 

「翼さんは立花さんと同じ印象を奏さんに持ってるかな?」

「それは…」

 

違う。翼さんは、自分の知らない奏さんを知っているはずだ

 

「そう言うこと。だから、誰かが誰かの代わりになるなんて無理なんだ。それに」

 

立ち上がって、正面に響をとらえて言う

 

「せっかく立花さんが頑張ってるのに、それが誰かの代わりになりたいからなんて悲しいよ。立花さんは、立花響なんだから」

「……フフ」

 

自然と笑いがこぼれた。難しい話だったはずなのに、ストンと気持ちよく自分の中に落ちてきた

 

「な、何で笑うのさ」

「別に。でも、快翔さんて優しいですね」

 

そう言うと、響は腰を上げた

 

「ありがとうございます。快翔さん。私、まだまだですけど、頑張ります! 奏さんの代わりじゃなく、私自身で!」

 

屈託のない笑顔で響は告げた

 

 

「お話しは終わりましたか?」

「あきらさん? はい。もう大丈夫です」

 

タイミングを待っていたのか、あきらが下りてきた。その手にはディスクがあった

 

「アタリです。西の方角。予想通り、ツチグモです」

 

 

 

 

 

 

 

 




XDUが楽しみですね。トリプルガングニールをやってみたいです
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