この素晴らしい世界に傭兵を! TSR   作:ボルテス

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頭のおかしい子、初登場!
…勿論、前話の後書きみたいな展開にはなりません。


三話 この忌まわしきカエルに爆裂を!

 時刻は早朝。

 眠れぬ夜を過ごした俺は、当然の事ながら寝不足だった。

 辺りが明るくなってから意識が途切れた記憶があるので、二、三時間程しか眠ってないだろう。

 

 そのせいなのか、今の俺には不思議な高揚感があった。

 一言で表現するなら、徹夜明けの異常なテンションに似ている。

 

 肌寒いなと思い、寝たまま首だけを動かして視線を下に向けると、毛布がめくれていた。

 …なるほど、どうりで寒かった訳だ。

 

 毛布を掛け直そうと、立ち上がり、毛布へと手を伸ばしかけたその時。

 俺は偶然にもたった今起きたと思われるアクアと目が合った。

 

「「………」」

 お互いに見つめ合い、暫しの間無言になる。

 女性の顔をジッと見るのはマナー違反だと考えた俺は、視線を下に移動させ、アクアに挨拶をした。

 

「…おはようアクア。 爽やかな朝だな」

 ……服が盛大にめくれ上がり、胸の下半分辺りまではだけた、アクアの二つの南半球を拝みながら。

 

 どうやら、アクアは寝る時にブラは着けない派のようだ。

 ありがたや、ありがたや……。

 きっとこれは、日頃の行いが良い俺への神様からのプレゼントに違いない。

 

 そして、その神様の一人であるアクアは、俺の紳士的な言葉に感動したのか目にじわりと涙を浮かべている。 

「…カズマ。…アンタ、朝から何してるの……」

 

「何って…、見れば分かるだろう?」

 何を言ってるのだろうコイツは。見れば分かるじゃないか。

 寝ぼけているのだろうか?

 

 アクアがフルフルと震えながら。

「……お」 

「…ん? 『お』がどうした」

 

 聞き返した俺に一瞥もせず、アクアはサッと起き上がると、はだけた服を整えて馬小屋の入り口へとスタスタと歩いて行き、

 

「お、おまわりさーん、コイツですーーっ!!」

 俺を指差して、大声で叫んだ。

 

「悪かった! 俺が悪かったから、警察だけは勘弁してくれアクア様ーーっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わって冒険者ギルド。

 俺は大声で喚くアクアの口を手で塞ぎ、黙らせる事には成功した。

 

 しかし、タンミングが悪く他の男性冒険者がアクアの悲鳴を聞いてやってきたのだ。  

 その時の俺の状態は、第三者目線で見れば、嫌がる同居人の美少女の口を無理やり手で塞いでいる変態に見えた事だろう。

 

 俺を見て、表情を険しくさせる男性冒険者に事情を説明するのに数分かかり。

 それから他のご近所さん達に、数十分ほどかけて事情を説明して誤解を解き、俺はどうにか豚箱行きは免れた。

 

 そして、朝飯を奢るという交換条件でようやく機嫌を直したアクアは、先程の出来事などなかったかの様にご機嫌だ。

 

 機嫌が良さそうなので、パーティーメンバー募集の貼り紙を書くのをアクアに任せて、その間に俺は少し仮眠を取る事にした。

 

 ……誰かの声が聞こえる。

「……ズマ、……カズ……。カズマ起きなさいよ! パーティーメンバーの募集の貼り紙を見て人が来たわよ!」

 

「…うん? ああ、起きるよ……」

 一体どれくらいの時間、眠っていたのだろう。

 目を擦りながら顔を上げた俺の目の前には、アクアの嬉しそうな顔があった。

 

「……いないじゃねえか」

 首を左右に動かして確認するが、それらしき人はいない。

「後ろよ、後ろ」

 

 アクアの言葉どおりに、後ろを向いた俺の視界に入ってきたのは、まるで人形のように整った顔をしたロリっ子の姿。

 年齢は12、13才ぐらいだろう。

 

 その子は黒マントに黒いローブ、黒いブーツにトンガリ帽子を被り、その赤い瞳はどこか気怠げに俺を見つめていた。

 手には杖を持っており、一目で魔法使いだと分かる大変親切な子だ。

 

 片目を眼帯で隠した小柄な少女は、突然マントをバサッと翻すと、

「我が名はめぐみん! アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操る者……!」

 

「なるほど」

 何が『なるほど』なのか俺にも分からないが、眠たいので適当に答えておこう。

 

「……その赤い瞳。あなた紅魔族?」

 アクアの問いにその子はこくりと頷くと、アクアに自分の冒険カードを手渡した。

 

「いかにも! 我は紅魔族随一の魔法の使い手、めぐみん! 我が必殺の魔法は山をも崩し、岩をも砕き…!」

「凄いな」

 

 俺が自己紹介を適当に聞き流していると、女の子からキューと切ない音が聞こえてきた。

「…あの、図々しいお願いなのですが、もう三日もなにも食べてないのです。できれば何か食べさせては頂けませんか……」

 

 女の子は、悲しげな瞳でじっと見てきた。

「なるほど」

 適当に返事を返す俺に、アクアが補足の説明をする。

 

「カズマに簡単に説明すると、紅魔族は、生まれつき高い知力と魔力を持ち、魔法使いのエキスパートになる素質を秘めているわ。紅魔族は、特徴的な紅い瞳と…。そして、それぞれが変な名前を持っているの」

 

 アクアの説明を受けた俺は、女の子の顔をじっと見つめ……。 

 

「悪いのは君じゃない」 

 

「おい、私の名前について言いたい事があるなら聞こうじゃないか」

 俺に顔を近づけて威嚇してくるロリッ子に、アクアが冒険者カードを返す。

 

「彼女は上級職のアークウィザードで間違いないわ。もし、本当に爆裂魔法が使えるのなら、それは凄い事よ? 爆裂魔法は、爆発系統の最上級クラスの魔法だもの。 ねえ、カズマ。彼女を仲間にしてもいい?」

 

 俺はうんうんと、適当に頷きながら。

「なるほど」 

 そんな俺を見てアクアが言った。

 

「それじゃあ、彼女を仲間にしていいのね」

「悪いのは君じゃない」

「おい、彼女ではなく、私の事はちゃんと名前で呼んで欲しい」

 

 抗議してくる女の子に、俺は店のメニューをのんびりとした動作で差し出そうとして、この子の名前を聞き流していた事に気がついた。

 

 あれ、この子の名前ってなんだっけ?  

 め……ぐ……。いや、める……。

 ……えっと何だっけ……。

 ああ、そうだ思い出した!

 

 俺は女の子にメニューを差し出すと、良い笑顔で。

「まあ、何か頼めよ。俺はカズマ。こいつはアクアだ。よろしく、めらにん」

 

「だ、誰ですかそれは! 私の名前はめぐみんですっ!!」

 

 めらにん改め、めぐみんが紅い瞳を輝かせ、大声で俺に食ってかかった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我が爆裂魔法は最強魔法。その分、魔法を使うのに時間がかかります。準備が整うまで、あのカエルの足止めをお願いします」

 

 俺はブラックコーヒーを飲んで眠気を覚まし、満腹になっためぐみんとアクアと共にジャイアントトードの討伐に来ていた。

 

 受けたクエストは、ジャイアントトードを三日以内に五匹討伐なので、昨日倒した三匹を合わせて、あと二匹倒せばいい。

 

 そのターゲットのカエルは、平原の遠く離れた場所に一匹。

 更に六時方向から一匹の計二匹がこちらに向かって来ている。

 

「遠い方を魔法の標的にしてくれ。近い方は俺達が仕留めるぞ。…おい、アクア、あのカエルは打撃系の攻撃が効かないからな。食われんじゃないぞ」

 

「何を言ってるのかしら、カズマは。 カエルごときに女神である私が食べられる訳ないじゃないの」

 何を言ってんだコイツは、みたいなアクアの言葉がムカつくがここはぐっと我慢だ。

 

 ……そう言えばこいつは昨日のクエストの事は、サッパリ忘れてるんだった。

 つーか、そんなに女神って自分で言っていいのか。 

 前に、お前の信者とやらが殺到して困るとか言ってなかったか。

 

「……女神?」

「……を、自称してる残念な子だよ。たまにああやって宇宙からメッセージを受け取る事があるけど、持病みたいな物だから気にしないで欲しい」

 

「可哀想に…」

 俺の言葉に、アクアを同情の目で見るめぐみん。

 めぐみんに可哀想な子認定をされ、涙目になったメッセンジャーアクアが俺が止める暇もなく、近い方のカエルへと駆け出した。

 

「な、何よ! 見てなさいよカズマ! 相手がカエルなのは不満だけど、私の真の力を…ひゅぐ……!?」

 …叫びながら何かを言いかけたアクアが、またしてもカエルに食われた。

 

 カエルの餌となったアクアがやがて動かなくなり、そのままカエルの足止めに成功する。

 カズマさん知ってるよ。

 セリフを言い終わるまで待つモンスターなんていないってこと。

 

 カズマさん知ってるよ。

 あのカエルに打撃系の攻撃は効かないってこと。

 カズマさん知ってるよ。

 アクアの知力が平均以下だってこと。

 

 俺が思わず現実逃避をしていると、めぐみんの周囲の空気がビリビリと震えだした。

 この感覚は、迫撃砲や戦車の主砲。

 もしくは爆撃を受ける直前に感じる物に似ている。

 

 ……つまり、これからめぐみんが使う魔法がそれだけヤバイ物だという事だ。

「見ていてください。これこそが最も威力がある攻撃手段にして、究極の攻撃魔法です」

 

 めぐみんの杖の先に、小さく眩しい光が灯った。

 そして、めぐみんが赤い瞳を輝かせ、その目をカッと見開く。

「『エクスプロージョン』ッ!」

 杖の先から一筋の閃光が放たれた。

 

 それを見て嫌な予感がした俺は、素早く地面に伏せると、親指以外の四本の指で目を覆うと親指で耳を塞ぎ、口を半開きにして対爆防御の体勢をとる。

 

 その次の瞬間、耳を塞いでいるにも関わらず、凄まじい轟音が俺を襲った。

 俺は爆風が収まるのを確認すると、ムクリと身を起こす。

 

 爆風が晴れ、先ほどまでカエルがいた場所には、爆撃でも受けたかのような二十メートル以上のクレーターができていた。

「…何だコレ。ただの兵器じゃねえか……」

 

 俺がめぐみんの魔法の威力に呆気に取られていると、魔法の音と衝撃で目覚めたのか一匹のカエルが地面からのそりと這い出た。

 

 その動作は非常に遅く、めぐみんにもう一度爆裂魔法を撃ってもらえば、問題なく倒せるだろう。

「めぐみん! 距離を取ってからもう一度魔法で……」

 

 そこまで言い掛けた俺の視界に飛び込んできたのは、なぜか地面に倒れているめぐみんの姿。

 その光景に俺は言葉を失う。

 

 あ……ありのまま今起こった事を話すぜ。

『めぐみんが魔法を使ってカエルを倒したと思ったら、いつの間にか地面に倒れていた』

 

 な、何を言っているのかわからねーと思うが、俺も一体何が起こったのかわかんねーんだ……。

 睡眠不足だとか、寝不足だとかそんな事は断じて関係ねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わった気がするぜ……。

 

 俺がポルナレフ状態に陥っているとめぐみんが、倒れたままの体勢で。

 

「ふ…。我が奥義である爆裂魔法は、その絶大な威力と比例し、消費魔力もまた絶大。要約すると、限界を超える魔力を使ったので身動き一つ取れません。近くからカエルが湧き出すとか予想外です。想定外です。こんなの予定にありません。…すいません。食われそうなので、そろそろ助けて……ひゃっ……!?」

 

  ……俺は、献身的なアクアとめぐみんの協力により、動きを封じられたカエル二匹にとどめを刺して、三日以内にジャイアントトード五匹討伐のクエストを完了させた。

 

 やったね、カズマさん大勝利!!(白目)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……一人は嫌、一人は嫌、一人は嫌、一人は嫌、一人は………一人は嫌、一人は嫌、一人は……」

 俺の後ろを粘液まみれのアクアが、何やらブツブツと呟きながら付いて来る。

 

「カエルの体内って、臭いけどいい感じに温いんですね…」

「……知りたくもない知識をどうもありがとう」

 アクアと同様に粘液まみれのめぐみんは、俺の背中におぶさっていた。

 

 めぐみんの話だと魔法を使う者は、自分の魔力の限界を超えて魔法を使うと、魔力の代わりに生命力を削る事になり、最悪命に関わる事もあるらしい。

 

「凄い威力だったが、今後は爆裂魔法は使用禁止だな。ここぞという時にだけ使ってくれ。勿論、他の魔法も使えるんだろう?」

「……使えません」

 

 めぐみんの言葉に耳を疑い、もう一度聞き返す。

「……すまん、俺の聞き間違いかもしれないから、もう一度言ってくれるか?」

 

 めぐみんが、俺に摑まる手に力を込め、その慎ましやかな胸が俺の背中に押し付けられた。

 …ほう……。なるほど、なるほど……。これはこれで……。

 

「……私は、爆裂魔法しか使えません。他には、一切の魔法が使えません」

「……本当に?」

「……本当です」

 

「は、はははっ。 お、お茶目さんだなー、めぐみんは。 ……ジョークだろ? 紅魔族流のジョークなんだろ?」

 乾いた声で聞いた俺に、めぐみんは至極真面目な顔で。

 

「……ジョークではなく、本当に使えません」

 えーーー。……マジか。マジなのかーー。

 嘘だ……嘘だと言ってよ、めぐみん。

 

「他の魔法が一切使えないってどういう事だ? アクアの話じゃ爆裂魔法は最上級の魔法なんだろ? そんな凄い魔法が使えるのなら他の魔法も習得できるんじゃないのか?」

 

「…私は爆裂魔法をこよなく愛するアークウィザード。爆発系統の魔法が好きなんじゃないのです。爆裂魔法だけを愛しているのです」

 

 その言葉の意味は俺には、よく分からないがめぐみんの独白はなおも続く。

 

「もちろん他の魔法を覚えればもっと楽に冒険ができるでしょう。 ……でもダメなのです。 私は爆裂魔法しか愛せない。たとえ一日一発が限度でも。たとえ魔法を使った後は倒れるとしても。それでも私は、爆裂魔法を使うためだけに! 爆裂魔法を極めるためだけに、アークウィザードの道を選んだのですから!」

 

 ……いい話だなーーー。

 つーか、一日一発しか撃てないとか、ロマン砲じゃねえか。

 個人的には嫌いじゃないが、俺も命が掛かってるしなあ…。

 ……あと、どうでもいいけど『一日一発』って単語、何かエロいな……。

 

 俺はめぐみんの言葉を聞いて、困ったように呟く。

「どうするかなあ……」

 本当にどうしよう……。

 

 アクアはここ二回のカエルとの戦いを見るに、戦闘面では役に立ちそうにないしなあ……。

 クーリングオフっていつまで有効だっけ…。

 

 俺の記憶だと、確か八日間ぐらいだったな。じゃあ返品はもう無理か。

 はっきり言うと、アクアのお守りだけでも大変なのにこれ以上問題児は……。

 

 いやでも、見た目はお人形さんみたいで、凄い可愛いロリッ子なんだけどね…。

 命まで掛けられるかと言うと、それはちょっとなあ……。

 何だかもったいない気もするが、仕方がない。

 

「そうか…。まあ大変だと思うが頑張れよ。ギルドについたら報酬は山分けにして解散って事にしよう。俺も陰ながらめぐみんを応援してるからな」

 その言葉に、俺を摑むめぐみんの手に力が込められた。

 

「ふ……。我が望みは、爆裂魔法を放つ事のみ。 むしろ報酬などおまけに過ぎず、食費とその他雑費を出して貰えるなら、無報酬でもいいと考えている。 そう、アークウィザードである我が強大にして、絶大なる力が今なら食費とちょっと! これはもう、長期契約を交わすしかないのではないだろうか!」

 

「いやいや、よく考えて見ろよ。 めぐみんの力は、俺達のような駆け出しのパーティーには宝の持ち腐れだ。……そう、めぐみんのような大魔法使いが俺達みたいな弱小パーティーの魔法使いで終わっていい器だろうか? いや、ないっ!!」

 

 俺はギルドに着いたらいつでも捨てられるように、必死にしがみついてくるめぐみんの手をやんわりと引き剝そうと試みる。 

 だが、俺が手を引き剝がす前にめぐみんが早口で捲し立てた。

 

「いえいえいえ、大丈夫です。私もあなた達と同じ駆け出し。レベルも6ですから。 な、なんなら荷物持ちでも何でもします! お願いですから、私を捨てないでください!」

 

「今、何でもするって言ったか?」

 俺は真顔でめぐみんの方を向いて言っていた。

「え、ええっと。な、何でもというのは言葉のあやでですね……」

 めぐみんは、途端にしまったという顔でオロオロする。

 

「どうしよう、何をしてもらおう……。 俺の事をお兄ちゃんと呼んでもらおうか……。 いやいや、せっかくだからパンツを……。いやいやいや、ここは手で……」

 

「今、とんでもない事を口走りましたね! 私に手で何をしろと!? させません、させませんよ!」

 俺の野性味溢れる魅力にクラッときたのか、顔を真っ赤にしためぐみんが俺に照れ隠しをしてくる。

 

 はははっ、可愛いヤツめ。

「嫌だなあ、めぐみんに俺が何かする訳ないじゃないか。…………今はな」

 後半、声が小さくになった俺に、めぐみんが警戒するような視線を向け。

 

「……今、聞き捨てならない事が聞こえたのですが」

「……気のせいだろ。まあ、改めましてだが俺はカズマだ。これからよろしくな、めぐみん」

 

「これからよろしくお願いしますね、カズマ。……でも本当に変な事しようとしたら爆裂魔法を撃ち込みますからね……」

 

「物騒なヤツだな、めぐみんは…。だからしないって。俺は近所でも『アイツは紳士だ』って言われてて、評判だったんだぞ」

 

 俺を胡散臭い物でも見るようなめぐみんの視線から逃れるように、視線を周囲へと向けると、近くにいるはずのアクアの姿が見えない事に気が付いた。

 

 視線を後ろに向けると、俺達のかなり後ろにアクアの姿が。

 俺は慌てて、めぐみんを背負ったままアクアに駆け寄る。

 

 流石に、今のアイツを一人にするのは俺の良心が痛む。

 元はといえば、ほとんど俺が原因のような物だからだ。

 

「……一人は嫌、一人は嫌、一人は嫌、一人は嫌、一人は……一人は嫌、一人は……」

 アクアは下を向いて、ブツブツと呟いている。

 

 俺は腫れ物に触るようにおずおずと。

「す、すまん、別にお前を置いて行こうとしたわけじゃないんだ……」

 

 その声にアクアがゆっくりと顔を上げた。

 目が死んでいるアクアは、俺の顔を見た途端にぶわっと涙目になり……。

 

「一人は……一人は嫌あああああああああああああっっっーーー!!」

 

 アクアが泣きながらタックルをかましてきた!

 

 

 

 

 




次回予告

 カズマが恐ろしいめぐみんの策の前に敗れ、自分の無力を嘆いていた時、一人の女騎士が声をかけてきた。
『問おう。あなたが私のマスターか?』

 次回、『パチモン』。

 ーーーその日、カズマは運命と出会った。






 今回も嘘です。ごめんなさい。
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