この素晴らしい世界に傭兵を! TSR   作:ボルテス

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 前回の後書きで、今回の話はミツルギが出ると言ったな。
 ーーーあれは嘘だ。

 …すいません。嘘をつくつもりではなかったのですが、書いてる内に文字数がエライ事になりまして。
 ですので、ミツルギさんの登場は次回にお預けです。

『待たされるのも嫌いじゃないよ』と言う読者の皆様は次話も読んでくれると作者が涙を流して喜びます。


六話 この共同墓地にグルグルを!

 キャベツ狩りでレベルが上がった。

 おっぱいさんはモンスターを倒すと、その魂の記憶の一部を吸収してレベルが上がるとか言っていたが、そもそもキャベツに魂があるのだろうか。

 

 もし、キャベツにも魂があると仮定すると、菜食主義者でさえも恐ろしい殺戮者に思えてくる。

 やつらは、虫も殺さないような顔をして無慈悲にもムシャムシャと野菜を食い殺すのだ。

 

  …まあ、そんな下らない話は置いておくとして、キャベツ狩りで仲良くなった人達にスキルを教えてもらった。

《片手剣》スキルに初級魔法スキル。そして《近接格闘》スキルに、《強襲》スキル。

 

 片手剣スキルと近接格闘スキルは、文字通り片手剣の扱いと近接格闘が上手くなるスキルだ。

 そして初級魔法スキルは、各種属性の簡単な魔法を使う事ができるスキル。

 

 水を出したり、火をつけたりと日常生活だけでなく、野営をする時にも役立ちそうだったので覚えておいた。

 最後の強襲スキルは不意打ち、もしくは背後からの攻撃の威力と速度を強化するという物だ。

 

 まさにスナイパーの俺にピッタリのスキルだと言える。

 スキルポイントはもう無くなってしまったが、レベルが上がればまた増えるのでよしとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ほう、あまり見ない細工が施された装備だが、中々似合っているではないか」

「カズマの装備からは、何か光る物を感じますね。紅魔族的にはポイント高いです」

 

 冒険者ギルドにて、ダクネスとめぐみんが俺の格好を見て感想を述べた。

 アクアから、俺がジャージ姿だとせっかくの世界観が台無しだと苦情を受けたので、それっぽい装備一式を買っておいたのだ。

 

 重たい鎧は動きが鈍くなりそうだったので、丈夫そうな革製の服に金属のプレートを幾つか入れて縫い込み、簡易型のボディーアーマーを試作してみた。

 …そう言えば、俺ジャージ姿で狙撃とかしてたのか。

 ジャージ姿のスナイパーとか聞いたことがないな。

 だから、俺のライフルを預けた男も微妙な表情だったのか…。

 ようやく納得がいった。

「やっと冒険者らしい格好になった事だし、一狩り行こうぜ!」

 装備を整えたらすぐに使ってみたいのは、誰もが思う事だろう。

 きっと俺だけではないはずだ。

 

 俺の言葉にダクネスが頷く。

「ふむ、それなら、ジャイアントトードはどうだ。攻撃も舌による……」

「「カエルはやめよう!」」

 

 言いかけたダクネスに、アクアとめぐみんの声が綺麗に揃った。

 アクアは前回、カエルに食われた事を覚えていたらしく、頭を抱えて苦しんでいる。

 

 めぐみんは、そんなアクアを説得しようとしているダクネスを眺めながら。

「そう言えば、カズマは最近は眠そうですね。何か心配事でもあるのですか?」

 

「…ああ、最近アクアが俺を寝かせてくれないんだ」

「「!?」」

 俺の発言にアクアとダクネスがフリーズした。

 

「な、な……!?」

 俺とアクアの顔を交互に見て、何を想像したのか顔を赤くするめぐみん。

 俺はそんなめぐみんを見てニヤニヤしながらボソッと呟く。

「…めぐみんはエロいなあ」

「だ、誰がエロい子ですか! それにカズマには言われたくないですよ!」

 

「誰もエロい子とまでは言ってないだろ。…それにアクアはカエルに食われたトラウマで、暗いところで一人で寝れなくなっただけだ。 一体、めぐみんは何を想像したんだ? ほら、恥ずかしがらずに口に出して言ってみ? どんな顔して言うのかちゃんと見ててやるから」

 

「そ、それはその…」

 顔赤くし、言いよどむめぐみん。

 俺はそんなめぐみんを見ながら、ニマニマとした笑みを浮かべ。

「めぐみんはエロいなあ! めぐみんはエロいなあ!」

 

 赤い顔でめぐみんが飛びかかってきた!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪かったよ。俺の言い方が悪かったから、もう諦めろよ」

 めぐみんは何度も俺に摑み掛かろうとするも、俺が捕まる事はなく、現在、テーブルにもたれ掛かり荒い息を吐いている。

 

 ようやく、息を整えためぐみんは俺を恨みがましく睨み。

「はあ…。まったく、余計な事に体力を使いました」

「ワザと意味深な言い方をしてみたら、めぐみんの反応が良かったからついな…」

 

「…ねえ、めぐみん。その…。さっきの件だけど、別に私は暗闇が怖いわけではないの。カズマが一人じゃ怖くて眠れないから、私が一緒に寝てあげてるだけなのよ」

 

 アクアがめぐみんにツンデレみたいな事を言っている。

 どうやら、アクアはあくまでも俺が怖くて、一人では眠れない事にしたいらしい。

「それで、どのクエストを受けるんだ?」

 ようやく、フリーズから回復したダクネスが聞いてきた。

 

「そうだな。このメンツで受ける初めてのクエストだしな…。できるだけ楽なのがいい」

 俺の言葉にめぐみんとダクネスが掲示板にクエストを探しに行ってくれた。

 二人を見送ったアクアが、俺をバカにしたようにムカつく顔で。 

「ビビリなのカズマは? カズマを除いた三人が上級職なのよ。もっと難易度の高いクエストを受けてもいいと思うわ! だから、一番難易度の高いクエストを受けましょう!」

 

 先程、夜一人で寝れない事を暴露された報復だろう。

 別に誰にも喋るなとは言われていなかったのだが。

「お前の自信はどこから湧いてくるんだ…。あんまり言いたくないが、お前まだ何の役にも立ってないよな」

 

「!?」

 ビクリとしたアクアに構わず続ける。

 

「お前は、俺の相棒みたいなもんだろ? 何でも願いを叶えてくれるネコ型ロボットや、黄色い電気ネズミを見習えよ。 そいつらに比べてお前のした事ってなんだ? 不思議なポケットから、便利な道具を出すわけでもない。 十万ボルトとかでモンスターを倒したりするわけでもない。…お前、一体何ならできるの?」

 

「えっと……、その…。 え、宴会芸です……」

 アクアがシュンとなりながら、か細い声で言ってくる。

 その回答にイラッときた俺は声を荒げ。

 

「宴会芸!! 宴会芸って戦闘に何の役に立つんだよ!? お前、モンスターの前で宴会芸を披露でもするつもりなの!? もうお前、モンスターと宴会でもしてろよ! 誰のせいで俺が寝不足だと思ってるんだ! この駄目神がぁ!」

 

「わあああああああーっ!」

 俺の言葉に、とうとうテーブルに突っ伏して泣きだしたアクア。

 俺はそんなアクアに追い打ちをかける事にした。

 

「お前が役に立たないのなら、せめて俺に回復魔法を教えろよ。緊急用に回復魔法ぐらいは覚えときたいんだよ」

 

「回復魔法だけは嫌! 嫌よおっ! 私の存在意義を奪わないでよ! 私がいるんだから覚える必要ないじゃない! 嫌よ! 絶対に嫌よおおおおっ!」

 

 アクアは再びテーブルに突っ伏し、おいおいと泣き始めた。

 その様子を見て流石に言い過ぎたかと俺は、アクアの肩を軽くポンッと叩く。

「何よ! 回復魔法だけは絶対に教えないわよ!」

 自分の存在意義を奪われまいと、顔を上げたアクアが涙目で俺を睨らむ。

 俺はそんなアクアに、しみじみと前から思っていた事を告げた。

 

「すまん、アクア。俺もちょっと言い過ぎた。でも、お前…。泣いてる時が一番可愛いよな……」

「そ、そんな事言われても、ちっとも嬉しくないんだからあああああっーーー!」

 

 俺の言葉にアクアは、一瞬嬉しそうな顔をしたが、最終的にはまた泣き出してしまった。

 一応褒めたのに、喜んだり、泣いたりと忙しいヤツだ。

 

 俺が泣き出したアクアを暖かい目で見守っていると、めぐみんとダクネスが帰ってきた。

「…何をやってるんですか? また何かセクハラでもしたんですか?」

 

 めぐみんには今度、俺を普段からどんな目で見てるのか聞いてやろう。

「カズマ! セクハラなら、ぜひ私に! いくらでも私を口汚く罵るがいい。 さあ、どこからでもかかって来い!!」

 

 そう言って期待に満ちた顔でハアハアと興奮している変態。

 お前は一体何と戦っているんだと、言ってやりたい。

 それにコイツの中では、セクハラと口汚く罵るのはセットなのだろうか。

 

 …だが、そんな事より今はダクネスの服装だ。

 現在のダクネスの服装は、黒のスカートに黒のタンクトップと革ブーツ。

 

 そして、キャベツ狩りで傷んだらしい鎧は、修理に出しているため着けていない。

 そのため、薄着のダクネスは身体のラインがハッキリと分かる。

 

 一言で言えば、エロい。凄くエロい。

 しかも、隣にめぐみんがいるせいで、やたらとその体付きが良く見え……。

 

「エロいな…」

 俺は気づけば、そう口に出していた。

「今、私の事を『エロい身体しやがってこの淫乱騎士が! この場でひん剝いてやろうか!!』と言ったか?」

「いや、言ってねえから…」

 

 これで、この性格さえなかったらなあ…。

「おい、さっき私をチラ見した理由を聞こうじゃないか」

 めぐみんが俺の服の裾をグイグイ引っ張りながら言ってきた。

 俺はめぐみんの薄い胸部装甲を見ながら厳かに。

「…俺の国には素晴らしい言葉がある。『みんな違ってみんないい』この言葉をお前に贈ろう」

 

「どこを見て言ってるんですか!? …紅魔族は売られたケンカは買う種族です。 よろしい、ならば戦争です!」

「クエストを受けるなら、アクアのレベル上げができるものにしないか?」

 

 再び追いかけっこを始めた俺とめぐみんを見て、ダクネスが大声でそんな事を提案してきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時刻は深夜。

 ダクネスの提案で俺達は、共同墓地に出没するアンデットモンスター。

 

 ゾンビメーカと謎の多いモンスターである、グルグルの討伐クエストに来ていた。 

 

 アンデッドモンスターは、回復魔法を受けると体が崩れるので、直接的な攻撃手段がないプリースト達が好んで狩るらしい。

 

 だが、それよりも俺が気になったのは、グルグルとか言うモンスターだ。  

 俺が調べた情報の中に、そんなモンスターの名前はなかったので、めぐみんに尋ねたのだが。

 

『グルグルはグルグルです。 グルグルとしか表現できません。モンスターかどうかも怪しいので、ギルドでもあまり情報がなかったのでしょうね。 …噂では宇宙からやって来ていると言われていますね……』

 

 と、言ってアクアの方をジッと見ていた。

 前に俺が、アクアは宇宙からメッセージを受け取るメッセンジャーなんだと適当に誤魔化したのを覚えていたのだろう。

 …というか、今思えば宇宙の存在を知っているだけではなく、きちんと意味が通じた事が不自然に思えるが、きっとどこかのチート持ちが広めたと考えるのが自然だ。

 

 宇宙うんぬんの話は一端置いておくとして、めぐみんの説明では不十分だったのでダクネスにも尋ねる事にしたのだが……。

『グルグルは、グルグルとした夜行性の赤く光る謎のモンスターだ。攻撃は精神攻撃しかしてこないが、精神を異空間に幽閉されると聞いた事がある。たまに運が悪いとパーになるとか……』

 

 と、言って俺達の方をチラチラと構って欲しそうに伺うアクアに視線を向けていた。

 …つまり、二人の話をまとめると、精神攻撃しかしてこないグルグルとした謎のモンスターという事らしい。

 

「……ねえ、カズマ、引き受けたクエストってゾンビメーカーとグルグルの討伐よね? 私、大物のアンデッドが出そうな予感がするんですけど」

 

 アクアが俺から離れないように、しっかりと服の裾を摑みながらそんな事を言った。

 二人がいる手前、何とか怖いのは我慢しているのだろう。

 もうそろそろ、一人で眠ってくれると助かるのだが…。

 でないと、俺の睡眠不足から来る疲労がマッハだ。

「…おい、アクア。 フラグになりそうな事は言うなよ。 本当に大物が出て来たらどうすんだ。 ゾンビメーカーとグルグルを討伐したら、速攻で帰って馬小屋で寝る。 お前の言う大物とやらが出たら即時撤退だ。いいな?」

 

 俺の言葉にパーティーメンバー全員が頷いた。

 敵感知スキルを持つ俺を先頭に、俺達は墓地へと歩いていく。

 

「止まってくれ。 敵感知に反応があった。一、二、三、四体が群れてるな…。 少し離れたところにも一体いるぞ。 たぶん、これがグルグルか」

 

 俺が言った直後に、墓地の中央で青白い光が走った。

 何だアレ……?

 遠くに見えた、その妖しく光る青い光の正体は、大きな円形の魔法陣。

 

 その魔法陣の隣には、黒いローブの人影が見える。

 俺はそのローブの人影を見た瞬間に冷汗をかいていた。

 アイツの正体は知らないが、大物なのは間違いない。

 

 その証拠に俺の勘がアイツはヤバい。早く逃げろと警告を発している。

「…おい、お前ら、逃げるぞ! 今日のクエストはリタイアだ!」

 

「…確かに尋常じゃない魔力を感じますが、この時間にいるのならアンデッドなのは間違いないですし、アクアがいれば問題ないのでは?」

 脂汗を流す俺を不思議そうな顔で見るめぐみん。

 

「そうだぞ。たとえゾンビメーカーではなかったとしても、アンデッドが浄化魔法に耐えられるとも思えん。私も問題ないと思うが…」

 ダクネスはあの中に突撃したいのか、ソワソワとしている。

 

 こいつらをどう説得しようかと、俺が考えていたその時だった。

「あーーーーーーーっ!!」

 

 突然俺の耳元で叫んだアクアは、俺の手を取り立ち上がると、そのまま俺を引きずりながら歩きだす。

 俺はアクアに引きずられながらも、慌てて立ち上がり、体勢を整え。

 

「ちょっ! おい、待て! 待てって!」

 だが、アクアは俺の言葉には耳を貸さずにローブの人影に駆け寄り、ビシッと人影を指差し、大声で言った。

 

「迂闊なリッチーめ! この私がいる時に、ノコノコとこんな場所に現れるなんて運がなかったわね! 月に代わって成敗してやる!」

 ……もう片方の手で、俺の手をしっかりと握ったままで。

 

 格好をつけているのか、つけていないのか、よくわからないその姿に、ローブの人が微妙な表情をしているのがローブ越しにも伺えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リッチー。

 リッチーとは、魔法を極めた大魔法使いが魔道の奥義により、人の身体を捨て去った存在にして、ヴァイパイアと並ぶアンデッドの最高峰。

 

 そして、別名ノーライフキングと呼ばれるアンデッドの王。

 一言で言うならば、ラスボスみたいな超大物モンスターである。

 

「放しなさいよカズマ! どうせこのアンデッドはこの妖しげな魔法陣でロクでもない事企んでいるに違いないわ!」

 

 俺は全力で、リッチーの人が作った魔法陣を壊そうとするアクアを羽交い締めにして止めていた。

 リッチーの人がアクアを見て、若干怯えたように声を震わせ。

 

「ち、違いますよ。 私は何も企んでません! この魔法陣は、成仏できない迷える魂達を、天に還してあげるための物なんです!」

 リッチーの人の言葉通り、青い人魂のような物が魔法陣に入ると、魔法陣の青い光と共に、天へと昇っていく。

 

 それを見ていたために、拘束がゆるんだ俺の手を振り払い、アクアは自由になった手をリッチーへと向け。

「リッチーのクセに生意気よ! やるなら、そんなちんたらやってないで、この私がこの共同墓地ごと浄化してやるわ! 『ターンア」

 

 俺は不意打ちでリッチー諸共、迷える魂を浄化しようとしたアクアの後頭部を全力で引っ叩いた。 

「ッ!? い、痛い! 痛いじゃないの! 私、これからいい事しようとしてたのに!」

 

「止めんか! ほら見ろよ、リッチーの人が怯えてるだろうが」

 リッチーの人は、立ったまま小刻みに震えている。

 

 これまでの様子から察するに、どうやら俺達に敵意はなさそうだ。

 声からして女なのは間違いない。なら…。

 

 遅れてダクネスとめぐみんがやってきたところで、俺はアクアに怯えるリッチーの人に声をかけた。

「ウチのバカが悪いな。 …あんたはビッチーでいいんだよな?」

 

「ビ、ビッチーじゃありません。 リッチーです! リッチーのウィズです!」

 怯えていたリッチーの人が、俺の言葉を聞いて必死に訂正してくる。

 

「悪い、悪い。ジョークだよ。ほら、もうこの青いのが怖くないだろ?」

 おどけたように言った俺の言葉に、

 

「あ、本当です。そちらの青い方があまり怖くありません!」

 天然なのかウィズは素直に答えた。

 青いの呼ばわりされたアクアは、無言で俺の首を絞めようとしてくる。

 

 そんなアクアを両手で取り押さえていると、ウィズは被っていたフードを上げ、ゆっくりと語りだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウィズは茶髪の美女だった。

 ウィズの話だと、この共同墓地の魂の多くは金がないため葬式もできず、成仏する事もなく毎晩彷徨っているらしい。

 

 それで迷える魂の声を聞けるウィズが定期的にこの墓地を訪れ、成仏させているのだとか。

 本来なら、それはこの街のプリーストの仕事なのだが、金儲け優先な奴がほとんどでこの墓地には寄り付きもしないと。

 

 ウィズに俺達は、ゾンビメーカーの討伐に来た事を伝え、ソンビを呼び起こすのをどうにか出来ないのかと聞いたのだが、ウィズの魔力に反応して勝手に目覚めるとの事だった。

 

「そういうわけなら、しょうがないな。 なら、ゾンビメーカーはダメでもグルグルは討伐して帰るぞ。 報酬の一部だけでも貰えるかもしれないしな」

 俺は先程から宙に浮かび、ジリジリとこちらに向かって来ていたグルグルを警戒する。

 

 グルグルはその名の通り、赤く光るグルグルとした謎の物体だった。

 確かにモンスターと言うよりも、宇宙から来たと言われた方が説得力がある。

 

「おい、めぐみん爆裂魔法は使うなよ、近所迷惑だからな」

 俺は腰のショートソードを抜きながら言うが、めぐみんからの返答が返ってこない。

 

 不思議に思い、俺は後ろを振り返る。

 そこで俺が見た物は、数メートル先の木の陰へと、めぐみんとアクアが二人がかりでダクネスを引きずり、隠れようとしている姿だった。

 

 その隣にはウィズまでいる。

 俺がその光景をポカンと見ている内に、四人は避難を完了させた。

 めぐみんは木の陰から顔をひょこっと出し、大声で。

 

「カズマ! 気をつけて下さいねー! グルグルの攻撃は範囲攻撃ですから!」

「お前らあああああぁっ! そう言う事は先に言えよおおおおおっーー!!」

 

 俺がヤケクソ気味に叫びながら、グルグルに斬りかかるのと、グルグルがグルグルとした範囲攻撃をしてくるのは、ほぼ同時だった。

 

 グルグルのグルグルとした範囲攻撃は、自身を中心にした半径五メートルにも及んだ。

 そしてその範囲攻撃は、ショートソードがグルグルの身体を切り裂くと同時に、俺に触れ……。

 

 グルグルの討伐を確認した後、俺の意識はそこで途切れた。

 




次回予告

『『『お帰りなさい、お兄ちゃん!』』』
 グルグルの精神世界でカズマを出迎えたのは、突然できた総勢12人の妹達だった。

 お兄ちゃんという言葉に、すっかり気をよくするカズマ。
 ……だが、まだカズマは知らない。
 彼女達の主食が若い人間の男の肉だという事をーーー

 ーーー次回、『死すプリ』。

 今宵、猟奇的な妹達による狂乱の宴の幕が上がる…!







 もう言う必要もないような気がしますが、嘘です。
 ごめんなさい。













 
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