Bloodborne×Fate/stay night×Melty bloodの多重クロス。一話にしてネタバレの嵐。ご注意。

ワラキアさんが好きで(使ってなかったけど)、ブラボが好きで、ついでに錬鉄の英雄が好きな厨二向け地雷物件。

開始~最初の灯火+夢というゲームにして開始1分も無いうちにネタばらしします。


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Bloodborne, MeF/N

「----む、これは、変数?

 狂乱に身を窶し、しかし何かを祈り侘びる様な。

 どうあってもその筋書き(コード)(プログラム)などないというのに。

 

「…・・・・・・・・・なるほど、さかしまの世界を夢とし第六に挑むか。

 しかし、存在せざる物をこそ暴き立てる冒涜の夜にこの姿をとるとは。

 随分と黴と血の臭いのする招待状もあった物だ。嫌いではないがね。

 

 

「ふむ、これまた興味深い夜に招かれたようだ。

 

 真実が流言を追い越し、やがて過去に至る。恐怖と歓喜が同一になり、向かう渦は根源へ向かう。

 さりとて求めたものは新たな瞳<シンカ>。何方かが深みに足を取られた恐怖劇のような喜劇。

 成程圧倒的な真実の前に人とは如くも哀れになる。いやはや懐かしいものだ。

 このような形で過去を思い出すとは、いや、このような私であるからこそか。

 

 もはや慣れ切った演出ではあるが、まあいい。

 幕が開いたのなら努めきるのが道化の役目。

 誰の為の鐘の音であっても踊ろうではないか。

 さあ、虚言の夜を始めよう」

 

 

 

第一夜・孤独な英雄の目覚め

 

 

 記憶のはじまりは、地獄だった。

 

 赤い月の夜の中、びちゃびちゃと啜る音と食いちぎられる音、それから街のひとの悲鳴とくるった笑い声。鐘の音と獣の息づかい。

 幼い子供を怖がらせて白いシーツに包まらせるためには出来すぎた作り話。

 視界の端を掠める得体の知れないモンスターの影に怯えながら目を離せない恐怖。

 おそらくそれが、もう思い返す意味もない記憶の始まり。

 ばちばちと火花を残す旧市街も、得体の知れないモノどもがうごめく聖堂も、瞳狂いの墓地街も、ヤーナムを月が照らす限りにおいて地獄だった。

 その尽くを狩り倒し、尽く死に塗れ、溢れかえるほどの血が流れた。それでも彼は振るう武器の柄を離しはしなかった。

 例えそんな地獄を何度繰り返そうとも。

 

 『「青ざめた血(pale blood)」を求めよ、狩りを全うするために』

 

 彼がヤーナムの外れの見知らぬ診療台で目を覚まして先ず見る、覚えのない過去の自分からの伝言がこれだ。

 数え切れぬほど幾度も繰り返した夢の中の目覚め。明晰夢のような輸血と獣と使者の契約の夢。

 見知らぬ声に導かれるように、命を守るために狩りへと身を投じた初めての夜。その始まりを繰り返す。

 彼はもう屍肉を漁る獣らしからぬ獸に驚愕することは無い。二度見える事のない本物のヨセフカに涙を流すこともない。

 ありていに言って、彼は血に酔うほどの獣性も、見えぬものを見通すだけの啓蒙も、恋焦がれる穢れも興味がなかった。

 燃える館と冷え切った月と夜露に濡れる花の下、何を選んだのかだけを覚えていない。気づけばまた目覚めを繰り返すだけ。

 正しく彼は正気で、不運だ。ヤーナムの医療は彼を導くことはなかった。血の医療を受けようと血は人の枠に収まった。

 結果、ただひたすらに夢に囚われ悪夢を見続けることしか出来ぬ人が生まれたのだ。

 

 死にたくなかった。だから血を許した。

 死にたくなかった。だから血を流した。

 

 屍山血川を築こうとも、彼の血は冷たかった。

 屍山血川に沈もうとも、彼は血を怖がっていた。

 

 つまるところ、彼は狩人ではなかったのだろう。狩人狩りがそうしたように、処刑隊がそうしたように。異郷の司祭がそうなったように。

 理解できぬ故にそうならず、ひたすら無意味に積みあがる血の残響に蓋をした。そういう人のまま壊れかけた人が彼だった。

 

 人形が動き出すことも、使者が彼に語りかけることもなく、ただひたすらに意味を求めて夜をさまよう迷子が彼だ。

 

 しかし、此度の夜だけは違ったようだ。

 過去からの見知らぬ伝言の後に、見知らぬ紙がそこにあった。

 

 『喜び給え、君は正しく定数であり、幸運だ』

 『今宵、夢は結実する。第六に見えるぞ。そのために、秘密を暴きたまえよ』

 

 覚えのない筆跡。古びた紙に飾り意匠の見える文字。あるいは穢れた血族のものに近いが、連中の悪意のような血文字の匂いはしなかった。古めかしい言葉と紙の中で、インクだけが新しい、彼のためだけの伝言だと思えた。

 それは、磨耗しきった思考に一滴の水を与えるような誘い水。ただ彼だけを呼んでいるような錯覚を覚えるほど甘美な言葉の毒。

 

 夢。彼には何か夢があったのだろうか。まるで自身の過去を知るようなその筆者に、強く逢いたいと想いを抱いた。

 ただ最短に夢を壊そうと街を駆けるだけでなく、この筆者を探してもう一度ヤーナムを探し回るのもいいかもしれない。

 

 そんな、一滴の甘い毒を、彼は飲み干すことに決めた。かつて求めたものさえ知らないままに。

 

 

 

 

Bloodborne, melty eyes, and Fatal night

 

  bloodly crimson, imitational moon. under the becoming night-break

 

 

 

 診療所の手負いの獣を蹴倒し、夕闇に包まれようとするヤーナムを背に、彼は鐘の音を聴いた。そういえば一体誰があの鐘を鳴らしていたのか。そんなどうでもいいことを頭の片隅に流しながら、灯火より夢に帰る。そこまではまるで前回(・・)と変わらぬ道だった。

 人が狂い、獣に成り果て、血を求める地獄の入り口。はしごを登る背に響く鐘の音は、まるで地獄の扉の開く音のよう。

 すでにギルバートに用は無い。初めはこの町の色を教えてくれる良き人物だったが、その彼らしきモノを幾度も狩り倒すうちに関わることを諦めた。

 いくら手を伸ばしても届けさせることの出来ない人物とはいるものだ。彼はその夢の繰り返しの中で様々な人を手に掛け、進んできた。

 そのことに善悪などあるまい。果たしてその先に命を繋ぐのがどちらであるか、結局はそんなところが正義の結末だと結論付けた。

 そして灯火に手をやり目を瞑って偽りの目覚めに沈んだ。

 

 

 

 「お帰り、見ず知らずの君。初めましてというべきかな?」

 

 狩人が目を覚ますと、そんな声が掛けられる。そこは記憶の曖昧な中でも良く覚えている場所だ。しかし、まったく違う場所でもある。

 あの月葬華の生い茂る庭は無く、小道は荒れ果て、幽かな蝋燭に揺らめく墓標だけが人息を感じられる。

 狩人の夢ではない。まるで忘れられた古工房のようだがそれでもない。まだ秘匿を暴いて居ないのに輝くあの赤い月はなんだ。

 そして、正面に立つ貴族然とした背の高い大男。瞳を閉じてはいるが、獣の匂いも黴の匂いもしない、似つかわしくない清潔感。

 血族と呼ばれる連中に近いが、奴らはこんなことをするくらいなら穢れを奪いに来る。その上品さが限りなく怪しい。

 

 「招待状は読んで頂けたかな?あの黴臭い連中のものとは違う、私からの伝言だ。その様子では少なからず興味は惹けたらしい。

 まだ幕には間がある。イントロダクションのおさらいといこうじゃないか」

 

 投影(キャスト)、と男が呟くと目の前にはテーブルに椅子。そして湯気の立つ紅茶が二杯。こぽり、と音を立ててサーブを終えた黒い影で出来た女らしいのが一礼し、また消える。

 

 「まあ掛けたまえ。どうやらよほど君は疲れているらしい。一席設けさせてもらったが、如何かな?」

 

 ふわりと如際無く席に座る男。その所作の端々に気品が見られ、益々怪しいと疑いながらも狩人は席に着く。

 すいとカップを傾ける男にも何が入っているかわからないと手は伸ばさない。だが、その鼻腔をくすぐる香りは頭の中で零れてしまった何かをくすぐったような気がした。

 

 「いいとも。その警戒心は嫌いではないがね、正真正銘その紅茶はありきたりなものだと伝えておこう。

 そうだ。先ずは私から伝えることにしよう。

 一つ、古都ヤーナムとは大きな一つの悪夢である。悪夢に終わりは無い。

 一つ、獣狩りの夜を終わらせるには、押し並べて狩り尽くせば良い。誰も悪夢を見なくなれば、それが悪夢の死である。

 一つ、青褪めた血とはある上位者の血を指す。血が病むのではない、病む血が存在するということだ。

 この三つはおそらく君も知っている事だろう。夢を見なくなった狩人がどうなるか、どうなったか、そしてその原因すべてがこの三つだ。

 何、これはインビテーションの代わりだよ。明確な認識共有のための前提というやつだ。

 

  では次、君が今私に抱いているであろう疑問の答えだ。

 一つ、此処は君の記憶を間借りした私の夢である。そして私もこの夢のオーナーにして夢である。この夜限りのね。

 一つ、月が赤いのは隠匿することが無いためだ。ご覧のように私には瞳がなくてね、誰かに与えるようなものも無いということだ。

 最後の一つ、私の目的は、人類の、人類による、人類のための、救済である。

 どれに一つも嘘を混ぜ込んでなど居ないと誓おう。賭けるモノは無いが、強いて言うなればこの出会いと乾杯に誓って、だ」

 

 気づけばいつの間にか杯を手に取り乾かしていた。思い返すもつくづく懐かしい普通で美味である温かな茶だったと判断する。

 嗚呼、歓待とは、一杯の茶が供されるとは、こんなにも普通で難しいものであったかと唸らされる。

 大男はうっすらと笑顔を浮かべている。「御代わりは?」頂こう。

 

 「君は定数であり、私は変数。要素としては対等であり、しかし同じ方向を向く同志であると感じている。嗚呼、一茶の美味なるや、何方振りの事なりか。希少なのだよ、この逢瀬は。運命的とも言っていい。誰もが拒み、指をすり抜けるならば、私こそが君を歓迎しよう。盛大に。

 そして喜びたまえ、君の夢こそがこの夜に唯一結実する」

 

 その声には真摯な祈りのような響きさえあった。だからだろうか、ひたすら磨耗する果てに、そうある事を望まれたという喜びがあったのは。

 どちらからともなく手を伸ばす。柄を握らず相対できる人物は何時振りだろうか、固くその手を握り締める。

 

 「此処に盟約は成った。人の意識を流るる普遍の一部と、人の意識が支える意義の一部が手を結び光を示そうではないか。それは確かに理想の体現の一つであろう。嗚呼、これこそが歓喜といえよう哉。

  そうだ、まだ自己紹介をしていなかったね。この形をしてズェピア・エルトナム・アトラシウス・エムローンだ。呼びにくければ穴熊、契約者、好きに呼ぶといい」

 

 それで、君の名前は?

 そう尋ねられて狩人としか呼ばれなかった青年は初めて名乗りを上げた。

 

 


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