この身に纏いしオーラに懸けて   作:炬燵猫鍋氏

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お父さん視点です。


桜邏真問の父、かく語りき

私の名は桜邏日流十(おうらびると)

比較的大手のヒーロー事務所で、渉外を担当している。

つまり、一般職員だ。

だが、初めてお会いした方に名刺を受け取っていただいた上で、サイドキックも兼任されているのかと聞かれることが多い。

 

恐らくは、肩幅と身長のせいだろう。

けっして、目付きが鋭いとか、顔が怖いとかでは無い。多分、きっと。

確かに、学生時代はヒーローを目指していた。

だが結局は仮免すら取得できず、ヒーロー事務所に就職できたのは、あくまでも対人スキルを評価してもらったからであって、体格もましてや、『個性』は何の関係も無い。

 

私の個性?俗に言う『増強型』だ。

名付けて擬似超人化(ビルドアップ)

気合い一つで、肉体の機能が爆発的に向上する。

ワゴン車をつかんで放り投げたり、法定速度をはるかに超えて爆走するバイクに走って追い付いたりができるようになる。

欠点は体力の消耗も爆発的で、数分の維持もままならない事。 

同僚からは、3分もたないからヒーローになれなかったんだな。とか言われた。…何のことやら。

ついでにいっておくと頑強さも増大するが、()()が変わる訳では無いので、拳を無闇に振るうとケガをすることとなる。

 

大事なことなので、もう一度言おう。

ヒーロー事務所に所属しているが、一般職で『個性』は関係無い。いいね?

 

私の事はどうでもいい。今の私にとって重大なのは息子…真問(まとい)のことだ。

 

真問は、3才で『個性』を発現させた。

だが、それは私のようなパワー増強型ではなく、妻の持つ『自己治癒力増強』でも無かった。

 

真問は『知覚系』、それも『生物の放つ生命エネルギーを視認する個性』を持っていた。

 

稀に、親とは似ない『個性』を発現させるケースは有る、と、真問を診察した医師は言った。

先祖帰り的な場合や、両親の『個性』が合わさって、どちらにも似てないように思える形に昇華される事も有る、と。

だが、息子は私と妻の『個性』を継いでヒーローになることを夢見ていた。

幼いなりに抱いていたヴィジョンが有った息子は、自分の『個性』が()()()()と知って、ひどく悲しんでいた。

親に八つ当たりをするでもなく、泣きわめくでもなく、静かに涙ぐむ姿を見て、私も胸を痛めた。

真問は、手のかからない良い子だった。

それゆえに辛かった。

 

けれど、息子は新しい夢をみつけだした。

医師とのカウンセリングの中で、『見つける個性』でヒーローになる道…正体を隠したヴィランを、姿を見せぬ敵を、その目で暴き出すスタイルのヒーロー!

言うなれば『探偵するヒーロー』を新たな目標として掲げたのだ。

 

ならば、その新たな夢が叶うように尽力しよう。

医師の助言を聞きながら、妻と共に真問の『個性』の詳細を明らかにするための日々が始まった。

 

真問の『個性』は本人の主観においてのみ現れる。

何が、どんな風に見えているのか?

()()()()が変わる事は有るのか?

それを自分の意思で操れるのか?

幼い息子の話を真剣に聞き、それらを一つ一つ確認していく。

職場のコネも最大限に利用することとした。

交流の有るヒーローにサイドキック。

彼らの肉体や『個性』が真問の目にはどう映るのか?

 

そして、一年余りが過ぎた。

息子の『個性』についての様々な検証を上げ、幾つかの仮説を立て、私たち夫婦は喜びと驚きを隠せずにいた。

ひょっとしたら、息子はトップヒーローの仲間入りを果たすかもしれない…親バカ&捕らぬ狸のなんとやら~だったが、そう思えるほどの将来性を私たちは息子の『個性』に見いだしていた。

 

それは、期せずして一端が立証されることとなった。

私たち親子がヴィランの襲撃に巻き込まれ、その渦中でNo.1ヒーロー、オールマイトと出会うことによって。

 

 




職場でのアダ名は『事務所で一番の強面』です。
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