この身に纏いしオーラに懸けて   作:炬燵猫鍋氏

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初めての戦闘描写…動画を見てるだけとも言いますが。


桜邏真問、オールマイトのオーラ見る。

ヒーローに憧れる子供のほとんどが()()だと思うけど、僕もオールマイトが大好きで、ヒーロー専門動画サイト“hero-tube”で彼の活躍する映像を繰り返し見ている子供だった。

 

仲のいい友達と、やれ何の事件のオールマイトがカッケーとか、どのヴィランを捕まえたオールマイトが超カッケーとか、そんなことで盛り上がっていた日々。

そんな日常の中で、僕の『個性』の検証は続いていた。

 

僕の『個性』。()()()()()生命判断(オーラサイト)と呼ばれるようになっていた()()は(ちなみに命名は父だ。)普段は発動をオフにし、両親か知勤先生の指導の元でのみ発動させるようにしていた。

 

何がどう見えるか分からない『個性』が、僕の心身に思わぬ負荷をかけることを危惧しての措置だった。

だから、オールマイトの動画を生命判断(オーラサイト)で視聴したのも、僕の『個性』が発現してずいぶんたってからだった。

 

実のところオールマイトの動画を『個性』を使って視聴させることを、両親はかなり警戒していたと思う。

当時の僕は、トップヒーローの(オーラ)がどんな風に見えるのか、ドキドキと期待していただけだったけど。

 

そう、僕の生命判断(オーラサイト)は、動画や写真の中にも対象の(オーラ)を見ることができたのだ。

これがどれ程のことか、僕の両親の驚きと期待が、当時の僕には分からなかった。

監視カメラの記録映像の中から、顔が判別できなくても特定の人物、例えば複数の映像に共通の人物を見つける、とか。

素顔を隠し活動するヴィランの正体を掴む為の手がかりとして、本人や容疑者に直接会わなくとも写真で絞り込みができるようになる、とか。

ヴィランの捜索・逮捕に役立ちそうな用途を思いついていたのであろう両親の様子から、

 

パパもママもよろこんでる。ほめてくれる。

僕の『個性』はスゴかったんだ。

探偵ヒーローに僕はなる!

 

だいたい、この程度だった。

 

居間の大きな情報端末(テレビ)の前に座って、母が“hero-tube”を選択してくれるのを待つ。

ほどなくして画面には、サイトのナビゲーターキャラクター、『DJ・サガラン』が映し出される。

派手なコスチュームに身を包み、ランキング上位のヒーローグッズに囲まれた彼は、ヒーローでも芸能人でもない。AIが制御するヴァーチャル・キャラクターだ。

 

『やぁ“hero-tube”にようこそ。ヒーロー好きのキッズ諸君♪ 今日のオススメはランキング急上昇中のルーキー、漆黒ヒーロー“猛モンガー”のバトルクリップだ。黒いアーマーに身を包み…』

 

ノリノリの新人紹介をスキップして、母はオールマイトの動画を選択する。

 

『オッケイ! オールマイトvs斬奸のヴィラン“ブレイヴァー”の対決映像をチョイスしたぜ!オールマイトの熱い勇姿、堪能してくれよな♪』

 

画面が切り替わる直前、僕は『個性』を発動させる。

DJ・サガランの体の周りに(オーラ)が見えたような気がしたが、一瞬の事なので、僕は気にも留めず、母にも告げない。

 

画面に映し出される、トップヒーローとヴィランの対決にただ注視する。

 

斬奸のヴィラン“ブレイヴァー”。悪徳企業や暴力団、法の目を掻い潜り悪事を行う者を狙って襲撃する、誰が呼んだか世直しヴィラン。それ以外の者を自分から襲うことはほとんど無いが、警察やヒーローの手から逃れる為の戦闘は忌避しない。

『個性』は、高熱と衝撃を伴って炸裂する光球を手から放つ爆裂衝撃弾(ブレイヴァースト)

 

この映像は、ブレイヴァーを誘き寄せる罠として軍師ヒーロー“ラッキーチャンス“が自ら体を張り、ブレイヴァーとオールマイト、加えて報道陣が一堂に会した結果だ。

陸上競技場に立つ、西洋甲冑のようなプロテクターに身を包む青年、ブレイヴァー。

僕の目には、プロテクターの隙間からこぼれて消える(オーラ)がはっきりと映る。

 

『こんな形で会うことになるとはなぁ。してやられたとは思うが、同時に感謝もするべきだな。…だってアンタに会えた。ヒーローofヒーロー…オールマイト!!』

 

叫びながら、右手を振り上げる。籠手からたくさんの(オーラ)が吹き上がり、掌の中で歪んだボール状に丸まる。表面は揺れ動き、湯気のように()()()()()いるのは変わらない。

だが次の瞬間、それは肉眼で普通に捉えられる輝きを放つ。

爆裂衝撃弾(ブレイヴァースト)。『個性』が生み出す光球が、その手に握られていた。

僕が見たままを母に話す。

 

『オーラが、変化して爆裂球になったの?』

 

見た限りでは、そうだった。

 

『爆裂球の周りにオーラは無いのね?』

 

母はメモを細かくとっていた。

僕は母に答えながら、ブレイヴァーの次なる動きに目を向ける。

 

『挨拶がわりだ!爆裂ッ!!』

 

降り下ろされた手から光球が放たれ、十数メートル先に立つ人物の元へ突き進む。

 

逆立った金髪。特に印象的な前髪を、有る者は角にたとえ、また有る者は勝利の『V』にたとえた。

堀の深い顔。日本人離れしたその造作を、多くの人が『画風が違う』と評した。

逞しい、他に評しようが無いほどの肉体を包む鮮やかな原色のヒーロースーツ。

ヒーローランキングNo.1。最強無敵の平和の象徴。

オールマイトがそこにいた。

 

眼前に迫った光球。だがそれは、直角に進路を変え上方に突き進む。

カメラのフレームの外、空中で()()()()のだろう、轟音と閃光が伝わるその下で、オールマイトの右腕が突き上げられていた。

 

『丁寧な挨拶痛み入る。ならば私も挨拶を返そう。』

 

触れればその瞬間に爆裂するはずの光球を、圧倒的な速度と威力の拳で、爆発する前に弾き跳ばしてしまったヒーローは、眼光鋭く微笑み深く、彼の代名詞とも言うべき言葉を口にする。

 

『私が……来たッ!!!』

 

戦いが始まる。けれど僕はオールマイトの()()(オーラ)に目を奪われていた。

 

ちがう、ぜんぜんちがう!

パパともちがう、ハッピートリガー()()()()の人たちともちがう。

 

オールマイトは、()()()()()()()

体から放たれた輝きは、溢れだして消えること無く、彼の体を完全に包み込んでいた。

 

まるで、彼を守るかのように。

 

走りだし、瞬時にブレイヴァーとの距離を詰めるオールマイト。その体を覆う(オーラ)は、足腰の輝きが増大していたのが見てとれた。

父が見せてくれた『個性』発動時の輝きとは似て非なる物。

オールマイトは、常に自身の周囲に(オーラ)を維持したまま戦っている。

 

これが、僕が初めて見たオールマイトの輝き。

そして、初めて見た()()()()()()()()()()()()だった。

 

 

 




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