三咲町、路地裏。
「あ、お茶です」
「ありがとうございます。といっても、あまり熱いのは飲めないんですけれどね」
えへへ、と笑う少女。
この少女は、第七経典って呼ばれるシエル先輩の武器、の精霊さん。
ななこちゃん、だっけ。
あ、今解説してるのは弓塚さつき、弓塚さつきです!
「で、その、ななこちゃんはどうして家出を?」
「聞いてくださいよ!今のマスター、彼女がいるんですけれどね?」
「ああ、真祖」
「そうそう、真祖。ついでに本来なら狩らなきゃいけない人なんですけどね?何の間違いか付き合いはじめましてね?」
「うん、それで?」
先を促すリーズさん。
「毎日ですね、私相手に惚気けるんですよ。やれ今日のアルクェイドはカレーを食べてる姿が可愛かっただとか、やれ今日のアルクェイドはやけに大人っぽくてドキドキしたとか」
「ふむふむ」
「もうですね。私としてはお腹いっぱいなんですよ!」
「あー。それは確かに分かる」
そう、時々なら惚気は聞けるのだけれども、毎日だとお腹いっぱいになる。
私もななこちゃんと同じように毎日聞かされてる感じである。
「そうですか?」
「そうだぞ、毎日、別にのろけてるわけではないと思うぞ」
「言ってる方はそうかもしれませんけれど!あれは完全に惚気です!」
「そうだそうだ!シオンとリーズさんも毎回惚気始めて聞いてるこっちの気持ちも考えてよ!」
「そう言われましても…」
「なあ…」
困ったように顔を見合わせるシオンとリーズさん。
それもまた、惚気けてる様に見えるわけで。お腹いっぱいである。
もう一回言おう。お腹いっぱいである。
「弓塚さんも同じ状況なんですね…」
「ななこちゃんもなの?」
「うん、こういう状況が毎日続いてですね…」
「た、大変ですね…」
そういって、私の方に手を置いてくれたななこちゃん。
うん、きっとこれもそれもあれなのよね。彼女も彼氏も居ないのが悪いんだろうけれど…。
こう毎日、惚気が続くとツライよね…
「まあ、…私達は置いておくとして。さつきの様子を見ると、毎日惚気けっていうのは辛いみたいですね」
「みたいだなぁ…。確かに家出しても仕方ないんだろうなあ」
「わかってもらえました?!」
「ええ、分かりました」
「じゃあ、置いてもらえたりは…?」
そういって、小首をかしげるななこちゃん。
お、新しい仲間がふえる?!やったねさつきちゃん!
「………………………………………」
「あ、レンさん」
レンさんがななこちゃんの腕を引っ張っている。
あ、そうか、ななこちゃんが惚気けられる、ということはきっとアルクェイドさんも…
「………………………………………」
「そうだね。ごめんね、レンさん」
「ななこちゃん、分かるの?」
「………雰囲気で」
まあ、たしかに雰囲気では私も分かるけれども。
でも、これはそうだね。一緒に居てあげたほうがいいかもしれない。
「レンさんもよく来るし、ななこちゃんも遊びに来る?」
「いいんですか?!」
「まあ、構いません」
「ああ、何時でも来るといい」
「ありがとうございます!また、来ますね!」
「……………………………」
「!…そうだね、帰ろう」
そう言って、レンさんとななこちゃんは帰っていきました。
こうして、ななこちゃんの家出は終わったみたい。
…先輩来なくてよかった…
そう思った今回のでき事でした。
ということで、今後もななこちゃんは出る予定。
先輩は…でるかなぁ…