三咲町の路地裏。
私、弓塚さつきは目の前にあるもの、を見て少し困っておりました。
そのあるもの、とは。
「…どうしてこうなった…」
私の好きな人、遠野志貴君がよく着ているシャツ。
ち、違うの、取ったんじゃないの。風で飛んでたから、それをキャッチしただけなの。
別に取ろうとかそんなんじゃないの。信じて!
…私は誰に言い訳をしているのだろう。
「サツキ、大丈夫か?」
「あわっ、リーズさん?!」
「う、うん、私だけど、そんなに驚くこと?」
ちょっと引かれるほど驚いたみたい。
大丈夫、私、平常心平常心。
「な、なんでもないよ。ご、ごめんね驚かせちゃったみたいで」
「いや、いいんだが。大丈夫かい、なんか落ち着きないよ?」
「ソ、ソンナコトナイヨー」
下手くそな口笛を吹きながらそういう私をリーズさんは疑いの目でみてくる。
いや、まあ確かにこんなに「嘘です」みたいな態度をとってたら誰でも疑いの目を向けるだろうけれど、今、このシャツの持ち主が誰かバレたら大変なことになる。
「まあ、大方、志貴のシャツ拾ってこれからちょっとあれ、なことをしようとしてたんでしょうけれど」
「何?!駄目だぞサツキ!」
「な、なにをいっているのかなシオン?!」
いつの間にか、コンビニに買い物へ行っていたシオンが帰ってきて突然確信をつく発言をしてきました。
いや、べつにあれなことはしようとはしてないよ?本当だよ?
「サツキの顔に出てます」
「何っ?!そんなことあるのか?!」
「ええ、サツキはよく顔にでるので」
「そんなことない、と思うんだけど」
「いえ、よく出ていますよ」
そういうシオン。
いや確かに、昔から「弓塚さんって態度とか顔に出やすいよねー」とは言われていたけれども。
それでも、遠野君は気づいてくれなかったけれどね…あはは…はぁ…。
「凹んでいる所すみませんが、サツキ。志貴のシャツ、どうするんですか?」
「そうだよね。…私返しに行こうかなー」
そうだよ!凹んでる暇なんてないんだよ!
私はこれを返しに言って遠野君に「私こんなに元気だよ!」って言わないと!
「「それはよしておいたほうが良いと思う」(思います)」
「なんでぇ?!」
確かに二回目の前で消えたとは言われてるけど。
でもほら、やっぱり、こういうふうに私は生きているんだから、それぐらいの報告は許されると思うんだけれど。
「よし、じゃあこうしよ?じゃんけんして勝った人が遠野君に返しに行くの!」
「まあ……いいですけど」
「サツキが私たちに勝てるかな?」
「勝てるもん!勝って遠野君にシャツ返しにいくんだもん!」
大丈夫私なら行ける!
そう、行けるんだから!
「「「じゃーんけぇーんぽんっ!」」」」
私が行きました。計算通りです。(byシオン)