自由を愛する白き魔王《完結》   作:水華

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前半がまつろわぬ神や権能の説明、後半が戦闘になります。


2話、海戦の開戦

スペイン、ヒホンの町にあるホテルの一室、そこはスイートルームらしく高級感が(ただよ)っていた。

 

そんな部屋の見晴らしの良い窓辺のソファーに座る少年の前で少女が(ひざ)()(こうべ)()れる異様な光景が其処(そこ)にはあった。

 

「・・・」

「申し訳ございません王よ、知らぬ事とは言え無礼な物言い、何卒(なにとぞ)その怒りは私の命でお(おさ)め下さいませ」

少女、レヴィの懇願(こんがん)に少年、エドは(しばし)唖然(あぜん)とするも。

 

「ちょっと待ってくれ、俺は王じゃない!・・・っと思う、多分...仮にそうだとしても命までは取らない!」

「では御許(おゆる)し頂けると?」

「許すも何も俺達は友達だろ?だからその可笑(おかし)しな敬語も止めてくれ」

それを聞いたレヴィは(かた)の力を抜いた。

 

「なら、そうさせて(もら)うわね、フゥ~()れない事はするもんじゃないわ」

 

()びをしながら身体をほぐすレヴィ、切替(きりかえ)の早さにエドもポカーンとするも直ぐに真剣な表情をした。

 

「それで?説明はしてくれるんだよな?」

「えぇ、そうね~()ずはエド、貴方は何処(どこ)までご存知(ぞんじ)?」

レヴィの問い掛けに何も知らない事を伝えるエド、それを聞いたレヴィは最初から全てを説明した。

 

(いわ)く、この世には魔術なる物が存在し、それを取り扱う者達が集まった魔術結社が存在する事、レヴィもとある結社に(ぞく)しているらしい。

 

曰く、この世には形を持った災害(さいがい)、神話より抜け出して神話にまつろわぬゆえに、まつろわぬ神と呼ばれる存在が居て人々が天災になすすべが無い様にまつろわぬ神に対しても通り過ぎるのを待つしかない。

 

曰く、そんなまつろわぬ神を殺した埒外(らちがい)の存在を神威の簒奪(さんだつ)者、羅刹の君(らせつのきみ)、神殺しの魔王、カンピオーネと言う。

 

「へ~、ん?何処(どこ)かで聞いたような・・・」

そんなエドの様子に(あき)れながらもレヴィは()げる。

 

「カンピオーネとは貴方の様な存在ですよエド、いいえエドワード・ジャクソン様」

それを聞いて『お~』とエドは納得したようにポンと手を重ねるも、次の瞬間には叫んでいた。

 

「って、なにーーー!!」

 

◆◆◆◆◆◆

 

その後、情報を整理するのに(しばら)く時間を要したが、本題に入る。

 

「それでエド、貴方が倒した神は何?」

(あら)たなカンピオーネの情報は魔術師として入手しておきたいとの下心も有るが、知らなければ始まらない。

 

「知らね~ぞ」「・・・え?」

「だって覚えてね~し」「あっ!!」

エドは記憶を失っており倒した神は(おろ)か自身の事すら覚えていないのだ。

 

「なら権能...さっき使った力は?」

レヴィの質問に『あ~』と言いつつ少し考えて説明する。

「何か使い方が頭に入って来てな、まだ(かす)みが掛かった見たいで良く分かんないが地震を起こせるみたいだ」

 

【地震?っと言うことは大地に関係の有る神?あれ?なら大砲を防いだのは?】

レヴィはまた思考の海へ(しず)み掛けるもエドに戻される。

 

「それで、あいつは何だったんだ?」

「えっ、あぁそうね説明するわ」

そう言ってレヴィは権能についての考察(こうさつ)を保留して説明する。

 

「まつろわぬ神は物語を(かく)顕現(けんげん)しその物語にそった権能を保持しているわ、ここまでは良い?」

「あぁ」

エドが(うなず)くのを確認して。

 

「彼はまつろわぬ神としては異例の近代の人物でエル・ドラケ、フランキスクス・ドラコ、呼び名は色々在りますが有名なのがサー・フランシス・ドレークです。」

 

(ぱく)置いてレヴィは続ける。

 

「ドレークはエリザベス(ちょう)のイングランドの航海者(こうかいしゃ)で海賊、海軍提督(ていとく)(にん)についた時も有り階級(かいきゅう)はイギリス海軍中将です。」

「イングランド人として初めて世界一周を達成し、アルマダの海戦では艦隊の司令官(しれいかん)としてスペインの無敵艦隊を撃破した事も有りますね」

「ドレークはその功績から、イングランド人には英雄(えいゆう)とみなされる一方、海賊行為で苦しめられていたスペイン人からは、悪魔の化身(けしん)であるドラゴンを()す「ドラコ」の呼び名で知られています。」

 

「こんな(ところ)でしょうか?」

一気に説明し()えたレヴィはエドの様子を(うかが)う、『へ~』っと何となく理解は出来て居るようだ。

 

「それじゃあ、明日の事を話しましょうか?」

「んっ?」( -_・)?

 

エドは何の事か理解していない様だ、レヴィは溜め息を()いて説明する。

「は~エド、貴方(あなた)はカンピオーネで相手はまつろわぬ神、この両者は望む、望まざるに関係なく戦う運命に在ります、つまり明日エドは殺し合いをするのですよ?」

 

「・・・マジで?」

「はい、マジです」

(しば)唖然(あぜん)とするも(すぐ)に元に戻り。

 

「まぁしゃ~ない、何とかなるか」

 

楽天的なエドにレヴィは(あき)れるも、まつろわぬドレイク対策を進める事にした。(ノд`;)

 

「先ず、海上での戦闘は不利(ふり)ね、相手は海のスペシャリストよ」

「じゃあ、陸で戦うのか?」

エドの疑問にレヴィは首を()って否定する。

 

「いいえ、それは無理よ、問題が3つ有るわ」

レヴィの言葉に首を(かし)げるエド。

 

「いい、まず相手はフランシス・ドレークよ、大海賊にして海軍提督、自身の得意な戦場は心得ているでしょうね」

レヴィは指を1本立てる、相手もバカでは無い、必要も無いのに(さそ)いに乗るハズも無い、海上からの集中砲火で陸は火の海になる事は容易(ようい)に想像出来る。

 

「次に此方(こちら)には海上で自由に動く(すべ)()()()()()()()()()こと、態々(わざわざ)有利な条件を()てるのは策略(さくりゃく)としてはナンセンスよ」

闘争を先延(さきの)ばしする為にレヴィが言った口上(こうじょう)の件も有るし、そもそも中将までなった男が軍略(ぐんりゃく)精通(せいつう)していないハズが無い。

 

「最後にエド、貴方の力が問題よ!」

3本目の指を立てて力強く断言するレヴィにエドは疑問を(てい)した。

 

「は?、1つ目と2つ目は分かるが3つ目はなんだよ!」

少し不機嫌(ふきげん)になるエド、それは誰だって理由も分からず『お前が悪い!』と言われれば不機嫌にもなるだろう。

 

「エド、貴方の権能は地震を起すって言ったわね?」

「あぁ、それで?」

確認を取った(あと)、問題点の説明を行う。

 

「ドレークの砲撃を防いだ時、砲弾は空中に有ったわ、それを破壊(はかい)したって事はエドの権能は()()()()地震を起せる、違う?」

「いや違わねぇ、大地以外にも海や空間を()らせる・・・気がする。」

レヴィの指摘に同意するエド、感覚的には理解しているがハッキリはまだして居ないようだ。

 

「つまり、世界そのものを()さぶる伝承(でんしょう)を持った神、まつろわぬポセイドーンから簒奪(さんだつ)した可能性が高いわ」

「ん?ポセイドンって海の神様じゃ無かったか?」

「えぇ、そうよ、ゼウス・エナリオス(海のゼウス)とも呼ばれる程の地位を持ったポセイドーンは海と地震を(つかさど)る神なの」

「そうなのか?、じゃあ俺も海に関連した力がある(わけ)か?」

勘違(かんちが)いをしたエド、だが(すぐ)に否定する。

 

「いいえ、断言(だんげん)は出来ないけど違うと思うわ、カンピオーネが簒奪する権能はそれぞれに合せて最適化(さいてきか)されるそうだから、エドの場合は地震に特化(とっか)しているのでしょう」

レヴィの説明で納得(なっとく)する、実際に地震以外は使える気が(まった)くしていなかったのだ。

 

「つまり、世界を()らす規模(きぼ)の地震を町中で使ったら如何(どう)なると思う?」

「あ~・・・」

 

エドも(さっ)した、そんな事をすれば大惨事(だいさんじ)だろう。

 

「じゃあどうするんだ?」

(あえ)て、海上で戦って(もら)うわよ!、(さいわ)いにして策も有る...少し(はずか)しいけど、ね」

「えっ?」

最後の(つぶや)きが聞き取れなかったエドだが、レヴィは『何でもない』と話しを切った。

 

その()の話し合いで現地の魔術師に市民の避難(ひなん)依頼(いらい)(※(すで)に開始している)し、遮蔽物(しゃへいぶつ)が無い海上に大量のボートを(うか)べる事で姿を(かく)す死角と足場を確保する。

 

最後にとある魔術でいざと言う時の切札を用意する。

 

(ほか)に質問は有る?」

「いや、無いが...本当に良いのか?」

エドの確認にレヴィは真っ赤に()りつつも首を縦に()る。

 

「・・・そうか...」

「その!...エド、私とは(いや)かも知れないけど我慢(がまん)しくれないかな?」

羞恥(しゅうち)(ほほ)()めつつ不安そうな顔で聞いて来るレヴィ、若干(じゃっかん)(ひとみ)(うる)んでいて新たな(とびら)を開き掛けるが、レヴィの(ため)に明るく答える。

 

「レヴィの様な美人が相手なんだ、嫌じゃないさ♪、レヴィこそ本当に俺で良いのか?」

エドの言葉にレヴィは『なっ!?美人だなんて』と(てれ)れつつ。

「はい、エドになら私は構いません!では始めます!」

「お、おう、そんな気合い入れなくてもい」

 

ガチィン!

「「っ!!!!」」

二人して(もだ)える、(いきお)いの(あま)りどうやら歯と歯がぶつかってしまったらしい。

 

「だから落ち着きなって...大丈夫か?」

「は、はひ、なふとか」

相手はカンピオーネ、レヴィは相当痛かった様で回復に(しばら)()かった。

 

ーレヴィアside ー

 

「そうか、レヴィは初めてだったのか、無理をさせて悪かったな」

 

【うぅやってしまいました、穴が有ったら入りたい】

落ち込んでいるとエドの手が(あたま)()れ優しく()でる。

「え、エド!」

 

「レヴィ、状況(じょうきょう)が状況だから仕方(しかた)ない部分も有るだろう。それでも一生懸命、レヴィが頑張って居るのは分かっているさ」

 

【なっ、ななななな何を!?】

突然のエドの行動に処理能力の限界を()えたレヴィはテンパりまくる、だがエドも(まく)し立てる様に手を頭から(ほほ)へと()ろし、レヴィの目を見つめる。

 

「レヴィ、こんな事を言うのは卑怯(ひきょう)かも知れない、だがアイツと戦う為の切り札を俺にくれ!」

 

「エド・・・」

【そうよね、今は()ずかしがっている場合じゃない!】

(おう)よ、王を(ささ)えるのは騎士(きし)(つと)め、(おお)せのままに。」

王として覚悟(かくご)を決めたエドにレヴィも騎士として答える。

そしてエドの手が頬を一撫(ひとな)でして(あご)へと移動し軽く持上げる。

 

(もら)うぞ!」「はい、王よ」

目を閉じるレヴィにエドが(くちびる)(かさ)ね、(ついば)むような様な軽いキスをする。

そして徐々(じょじょ)に時間を長くして行きレヴィが()れて来た所で一旦(いったん)(はな)れる。

 

「あっ...///」

レヴィは自分から出た声を自覚して恥ずかしくなったが、エドの言葉で気を引き()める。

 

「レヴィ、これで加護(かご)は良いのか?」

「い、いいえまだです!もっと深く(つな)がらなければダメです。」

【そう、これは大事な儀式、しっかりしなきゃ!】

 

「そうか、行くよレヴィ」

「はい、エド」

再度、キスをした二人、今度は(した)(から)ませ、より深く相手を感じる。

そしてレヴィからエドに呪力(じゅりょく)が流れ込み、とある加護の(もと)を手にした。

 

◆◆◆◆◆◆

 

翌日、ヒホンの町は避難が完了して無人と化し、海上には無数の船、やボートが(うか)べられていた。

 

そして数刻後(すうこくご)沖合(おきあい)いに艦隊(かんたい)が出現した。

 

「フン、神殺しめ地上戦に持込むかと思えば、この俺に海上戦を(いど)むか、()められたものだ。」

旗艦(きかん)でもある黄金の鹿号(ゴールデンハインド)の上でサー・フランシス・ドレークが不機嫌そうに(つぶや)く、彼はイギリス海軍の提督(ていとく)にして大海賊、海のスペシャリストだ当然プライドを傷付けられたドレークは。

 

「全艦砲撃用意!、目標、前方船舶郡(せんぱくぐん)撃て!(ファイヤー)

ドレークの指示で、19から成る艦が同時に火を()く、ただ(ひも)(つら)なり浮んでいるだけの船に耐えられるハズも無く、次々に(くだ)かれて行く。

 

◆◆◆◆◆◆

 

薄暗い空間に光の(おび)がまるでカーテンの様に()らめく世界にエド達はいた。

 

「へ~便利(べんり)なもんだな魔術って」

関心(かんしん)するエドだが、レヴィは緊張(きんちょう)していた。

 

抱合(だきあ)体勢(たいせい)なのは勿論(もちろん)気になっているが、絶え間無く(ひび)くカルバリン砲の砲撃音、エドとレヴィは水中にいたのだ。

 

「えぇ、相手が海神や智慧(ちえ)の神で無かったは(さいわ)いでした。」

現在、二人はレヴィが展開(てんかい)した精霊(せいれい)魔術によって球体状に作られた水の(まく)の中にいた。

 

彼女の立てた作戦は、まず海上で戦う、次に大量の船舶(せんぱく)を足場として利用する。

そして、その船舶を(おとり)に海中から接近して確実に1隻沈(せきしず)める。

 

他にも有るが、基本方針はエドが全力で戦える様に補助することだ。

(さいわ)い相手は英雄にして海賊、水中の、ましてや人間のレヴィなど気にもしないだろう。

 

「エド、目標座標に着きました、準備は良いですか?」

「あぁ、やってくれ」

エドが同意したのを確認してレヴィは一気に浮上していった。

 

―ドレークside―

 

砲撃により粉々(こなごな)(くだ)かれて行く船舶を見詰(みつ)めながらドレークは違和感を感じていた。

 

可笑(おか)しい、此処(ここ)まで一方的にやられて何故(なぜ)反撃しない?】

 

ドレークの予想では全体は無いにしても一部の砲撃は先日に見た神殺しの力で防がれると()んでいた。

 

そしてそれが無いと言うことはあそこに神殺しが居ない事を示唆(しさ)していた。

つまりあの船舶は(おとり)であると似た戦法を立てていたドレークが気付くが一歩遅かった。

 

ドーン!バキバキと轟音(ごうおん)(ひび)かせた左舷(さげん)に展開していた艦の1つが(なか)ばから折れ、沈み掛けていたが、ドーン、ビシビシと2回目の衝撃で(さら)に2隻の艦がやられた。

 

「やはり囮か、だがこれ以上好きにはさせん!」

ドレークは中央寄りの艦へ飛び移った神殺し、エドを視界に(とら)えつつ指示を出した。

 

―エドワードside―

 

「ん?」

3隻の戦艦を轟沈(ごうちん)させ、無事な艦に移ったエドだが(すで)に周りを如何(いか)にも海賊といった風体(ふうてい)の男達に(かこ)まれていた。

 

各々(おのおの)が手にカットラスやアックス、サーベルを(にぎ)りしめその顔は無表情で統一されていた。

 

【うわ~幽霊とはいえ、人形相手は()りにくいな】

実際は下位の神獣モドキだが分かりやすく幽霊の様な物とエドはレヴィより説明されていた。

 

そして彼らは一斉(いっせい)にエドへと斬り掛かる。

 

「オラァ!!」

しかし相手は神殺し、神獣モドキにどうこう出来るハズがない、エドは(こぶし)に地震のエネルギーを(まと)(なぐ)る。

それだけで彼等は膨大(ぼうだい)な震動に粉々に粉砕(ふんさい)され呪力へと(かえ)って行く。

 

【ん、あれ?】

全ての神獣モドキを倒したエドだが違和感を(おぼ)え、周りを見渡し、自身のミスを(さと)る。

 

「おいおい、勘弁(かんべん)してくれ...」(-_-;)

エドの(ほほ)を冷や汗が(つた)う、神獣モドキに足止めされている間に艦隊は陣形を変え、エドが乗る艦を中心にグルリと取囲(とりかこ)まれていた。

 

そして無慈悲(むじひ)な砲撃が開始される。正面からの砲撃だけでも(ふせ)ごうとしたエドだったが。

 

「!?しまっ」

空間震(くうかんしん)を起こすエネルギーを()めたタイミングで不自然な()れに集中を(みだ)された。

エドの乗っている艦、それ自体が神獣で、当然まつろわぬドレークの支配下にも有り、神殺しの邪魔をするのは必然(ひつぜん)

 

エドは艦と共にカルバリン砲の砲撃に(さら)された。

粉塵(ふんじん)水煙(みずけむり)で生死の確認は出来ないが無事では無いだろう。

 

◆◆◆◆◆◆

 

「ハーハハハ、さすがの神殺しもこれでは助かるまい、久々(ひさびさ)(たの)しい海戦であったぞ!」

 

フランシス・ドレイクは揚々(ようよう)と笑った(あと)、いざスペインへの侵攻(しんこう)を開始しようとして爆発が起きた。

 

「なに!?」

それは先程(さきほど)まで神殺しが居た艦で発生し、それによって出来た(なみ)に乗って接近する人影、板切れをボード()わりにサーフィンをするエドだった。

 

「我は大地を()るがす者にして(ばつ)を与える者なり、此処(ここ)に我が()(しめ)さん!」

 

聖句(せいく)(とな)え左手に最大まで溜めた地震エネルギーを解放(かいほう)する。大気(たいき)にパキン、ビキビキと3メートル近い(ひび)を入れ射線(?)上のフランシス・ドレイクの乗る旗艦(きかん)黄金の鹿号(ゴールデンハインド)数隻(すうせき)の艦を空間震で破壊する。

 

「ムゥン!」

(さら)に右腕を左の脇下(わきした)に差し込む様に引き(しぼ)り、一気に解放して拳の側面で大気を(たた)く、それにより(ひび)が入るのはいつも通りだが、今回は海面が不自然に盛り上り(しばら)くして消える。

 

「おのれぇ神殺しぃ、よくも俺の黄金の鹿号(ゴールデンハインド)をぉぉぉ」

「あ、やっぱり生きてたか...」

旗艦、黄金の鹿号(ゴールデンハインド)残骸(ざんがい)の上に左腕を失い全身ボロボロのフランシス・ドレイクが立っており、その右手はカルバリン砲に()えられていた。

 

「その足場では()ける事も(かな)うまい、()らいなぁぁぁ!」

「精霊よ我を助けよ、水の加護(かご)(さず)(たま)え!」

 

ドーン!

 

「!?な、んだと・・・」

カルバリン砲の一撃は横に()ぶ事で回避された、しかしそれは良い、ドレークも避けられた場合を想定して二撃目で(とど)めと考えていた。

では何故(なぜ)驚愕(きょうがく)しているのか?

 

「ふぅ~危なかった。」

「貴様は魔術が使えたのか?」

エドは(ひざ)()いている、そう(しず)んでいないのだ。

 

「いや、俺には使えないな、これは使える者に掛けて(もら)った。」

レヴィがエドに掛けたのは精霊魔術の1つで水の加護(かご)、その効果は水面を地面の(よう)(とら)え、水による衝撃を(やわ)らげる。

 

そして他人に掛ける場合は発動キーを設定し、持続時間は約10分、本来は近くに居れば掛けられるが、高い呪力耐性(じゅりょくたいせい)を持つカンピオーネには内側から掛けるしかないが...

 

「それより、俺の勝ちだ」

エドの宣言に怪訝(けげん)な顔をするドレークだったが。

 

ゴゴゴゴゴ!!

 

「なにぃー!?」

地鳴りと共にそれはやって来たそれを見てしまいドレークは唖然(あぜん)とする、そこには(せま)り来る巨大な津波(つなみ)があった。

 

「そして(すき)有りだ!」「しまっ『オラァ!!』」

轟音と共にエドの地震エネルギーを(まと)った右ストレートがドレークの胸部(きょうぶ)に決まり、上半身が粉々(こなごな)に砕かれた。

 

そして(かた)に何かが乗り掛かる感覚を(おぼ)えるも、それどころでは無い。

 

「これ如何(どう)するかな~」

満身創痍(まんしんそうい)で、もう立っているのも(つら)い、エドは迫り来る津波に『まぁ何とかなるさ』と考えるのを放棄(ほうき)する。

もう空間断層(だんそう)を作る余力(よりょく)も無く、運に身を(まか)せるしか無かった、しかし視界の(はし)に青を見つけたエドはそこで意識を手放(てばな)した。

 




一応、戦闘時の位置関係を載せてみました。

●:船舶
★:エドワードが居る戦艦
☆:ドレークが乗る黄金の鹿号(ゴールデンハインド)
凸:ドレークが支配する戦艦(神獣)

戦況①、エドが登場して、★と左舷の2隻を破壊し、中央よりの艦へ移動する。

    陸側     
―――――――――――
   ●●●     
 ●●●●●●●
   ●●●


凸凸★凸凸凸凸凸凸凸凸
           
  凸 凸☆凸 凸  
  凸     凸  
     凸     
           
     海側    


戦況②、包囲からの砲撃。

    陸側     
―――――――――――
   ●●●     

           
  凸凸凸凸     
 凸    凸    
凸  ★  ☆    
 凸    凸    
 凸   凸     
  凸凸凸      
           
           
     海側    

キャラ設定についてはそのうち載せる予定です。
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