自由を愛する白き魔王《完結》   作:水華

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設定や地理などはネットだよりなので矛盾だらけかもです。
それと今回は一切の戦闘がありません。


3話、サルデーニャの魔女

―とある地元魔術師side―

 

「まつろわぬ神そしてカンピオーネ、魔術に(たずさ)わる者としてそれらは良く耳にする、しかし実際に遭遇(そうぐう)する事は(まれ)であり中には一生出会わない事もあるそうだが、その日私は出会わない事が如何(いか)に幸運で在るかを知る事となった。」

 

「あれは人に、(たと)え魔術師や騎士の上位の方々でもどうにもならない、圧倒的な呪力、そして破壊であった。」

 

◆◆◆◆◆◆

 

何時もと変わらぬ朝の光景、(おだ)やかな日差しに(てら)されたヒホンの町並みはその日、突如として奪われた。

 

ヒホンの町はケルト海のビスケー湾に面しており、その海岸線上に現れた艦隊は一昔前の帆船(はんせん)だった。

 

一般人であれば何かのイベントか?と思う様なそれは魔術に携わる者には膨大な呪力を(はら)む神獣の群れであり、そんな物を統制出来る存在は1つしか思い付かず、冷や汗が止まらない。

 

そして始まる砲撃、上陸して来たまつろわぬ神、しかし何故か神は一時撤退、翌日の再侵攻に備えての準備、そして・・・

 

スペイン、ヒホンの町を襲った天災、まつろわぬ神、真名サー・フランシス・ドレーク及びその討伐(とうばつ)された経緯(けいい)について、これはその事後報告である。

 

◆◆◆◆◆◆

 

○月▲日、スペイン、ヒホンの町の沿岸部に突如として姿を(あらわ)した神獣の群れ、その外見は一昔前の帆船では有るが内包する呪力により神獣と断定。

 

砲撃による侵略は約20分程で終了し、何故か撤退(てったい)したが今にして思えば何かしらの駆引きが行われたと推測(すいそく)される。

 

その後、地元の魔術関係者では無く、バカンスで訪れて居た外来の魔術師、妖精の看護婦(フェアリー・ナース)とも呼ばれるレヴィア・ブルームより情報提供があり、顕現したまつろわぬ神はサー・フランシス・ドレークであり翌日に再度侵攻される為、住民の避難の依頼と海上へ大量の船舶の配置と言う不可解な依頼、そして衝撃的なのが新たな王が存在し彼が迎撃するとの事であった。

 

我々は情報の信憑性(しんぴょうせい)精査(せいさ)している時間が無いため、これを受諾(じゅだく)した。

 

○月■日、情報通り、海上にドレークの艦隊が顕現、すぐさま配置した船舶郡への砲撃を開始するが(しばら)くして艦隊の一部が何かに破壊された、近年誕生したカンピオーネ、エドワード・ジャクソン様による物と思われる。

その後、一隻の艦を(かこ)い集中砲火が()びせられ、艦は轟沈(ごうちん)

さらに包囲網の一部が破壊される等、膨大な呪力を()き散らす戦いはとても(ただ)の魔術師には踏み入る事の出来ないものだ。

 

そして決着の時、まつろわぬドレークの逸話(いつわ)にその事象に関係する物が無い為、おそらく王による物と思われる津波が発生しドレークの艦隊とヒホンの町の一部が流されてしまった。

 

今回は海上が戦場なので被害総額はある程度抑えられたとは言え、それでも津波による影響で数十億に登ったが、人的被害は避難により皆無と言う奇跡的な結果となった。

 

この報告を受け、グリニッジ賢人議会はエドワード・ジャクソンを6人目のカンピオーネと認定し調査を開始、現在判明しているのは以下の通りである。

・まつろわぬドレークとの戦闘で戦艦を砕いた力と津波を発生させた力から()()()()()()()()()()していると思われる。

・サー・フランシス・ドレークを倒した事で現在所持している権能は()()()()と推測。

・外見は白に近い銀髪にガタイの良い少年である。

 

しかし彼は王で有る事を忘れてはならない、調査には細心の注意を(はら)われたし。

 

◆◆◆◆◆◆

 

「んっ...ここは?」

とある一室で目を覚ましたエドがユックリと起き上がり辺りを見渡す、かなり広い室内に上品な家具類、如何にもスウィートルームといった感じだった。

 

そのまま、暫くボーっとしていると『ガチャ』とドアが開かれる音がして、エドは視線を向けた。

 

「あら、おはようエド、調子はどう?」

「レヴィ・・・」

 

ドアから入って来たのは青い髪の少女、レビィア・ブルームだった。

 

―レヴィside―

 

「あぁ大丈夫だ、レヴィが助けてくれたんだよな?ありがとう。」

笑顔でお礼を言うエド。

 

「い、いえ、当たり前の事をしただけです。」

【うぅ治癒の魔術を掛けるのに必要だったとは言え・・・いやあれは不可抗力!そう人工呼吸と同じはず...】

悶々(もんもん)とするレヴィ、理由はエドを助けた後、意識を失って居たので同意は得られないが、怪我が酷かったので悩んだ(すえ)にレヴィは治癒の魔術を掛けていたのだ。

 

「そ、それでこれからどうするの?」

「ん~取り敢えず両親の事を知らせに行くかな?」

エドの何気ない一言にレヴィは目を見開く。

 

「エド!あなたもしかして記憶が...」

「あぁ、全て思い出した」

「...そう、ですか」

少し元気が無くなったレヴィ、それを見たエドは頭を()きながら()げる。

 

「あ~そのな、多分これからも俺は魔術に関わって行く事になると思う、でも最近知ったばかりで右も左も分からない」

「・・・」

 

「俺には魔術に詳しくて信用出来る奴が必要なんだ。」

「・・・・・・?」

 

「だからレヴィ、俺のファミリー(仲間)になってくれ!」

「え?・・・えぇぇぇ!?」

ファミリー(家族)って、つまりプロポーズ!?まだ出逢(であ)ってそんなに()ってないのに、いや、別に嫌って訳じゃ、(むし)(うれ)しいけれど、いやいやそうじゃなくて!!】

突然の告白(とレヴィは思っている)にかなりテンパったレヴィだったが、何とか結論が出たので深呼吸をし、落ち着きを取り戻して返事する。

 

「そ、そのお、お友達からお願いします!」

後半、叫ぶ様に言った為、エドは面食らっていたが。

「?おう、まぁいきなり過ぎたしな、でも俺にはレヴィが必要だからファミリーの件は(あきら)めないぜ♪」

「えっと、その、はい///」

満面の笑みで了承したエドの宣言(せんげん)にレヴィは(ほほ)が、耳が、いや顔全体が羞恥(しゅうち)と良く分らない感情で上機(じょうき)するのを感じた。

 

―エドside―

 

「エド、それで次の目的地は何処なの?」

【ん~つってもな~、俺が知ってる両親と(ゆかり)が有る人って少ないし、近い順に行くか】

レヴィの問い掛けに少し考えてエドは結論を出した。

 

「取敢えず、サルデーニャに向う、確かルクレチアさんが住んでる島だったはず」

「えっ!?」

エドの答えにレヴィは固まる、出て来た名前に物凄く聞覚えが有り『いやまさかね』と思いつつも確認を取る。

 

「エド...まさかその人ってルクレチア・ゾラ?」

「ん?そうだけど知合いか?」

 

「知合いも何も彼女は『サルデーニャの魔女』や『イタリア最高の魔女』と呼ばれ、『地』の位を極めた最高位の魔女ですよ、(むし)ろ何でそんな人とエドのご両親は知合いなのですか?」

 

「は~早速魔術に関るのか、後そんな事言われてもな~親父(おやじ)の友人としか聞いた事ないし」

「あっ...そのごめんなさい。」

「ん?あぁもう吹っ切れているから気にすんな」

エドの両親が既に他界(たかい)している事を思い出したレヴィが謝るが、エドは気にしていないと手を振る。

記憶を取戻した直度は悲しみもあったが、(かたき)は取っていたし何時までも引き()る性格でも無い。

 

「...そう」

「あっ!そう言えば俺のパスポートや財布って船と一緒に沈んだ事になるのか!?、どうやって行こう」

神さえも(ほふ)る魔王なのにパスポートの事で頭を抱えているのが可笑しかったのか、笑みが(こぼ)れる。

「クス、それなら私に(まか)せて」

 

その後、レヴィが一通りの手続きを済ませ、二人はサルデーニャ島へと向った。

 

◆◆◆◆◆◆

 

二人はサルデーニャ島に到着し、現地の魔術師が運転する車で片田舎のオリエーナと言う街、その街外れの森まで来ていた。

 

「エドワード様、到着致しました。」

「あぁ、ありがとう」

お礼を()べて、エドとレヴィは車を降りる。

 

目の前には古い石造りの洋館が建っており、近隣(きんりん)に家は無く洋館自体の雰囲気からも魔女の(やかた)と言った(おもむ)きだ。

そしてエドは玄関横に設置された呼び鈴を押したが反応が無い。

 

「あれ?留守かな」

出直そうと横を見るとレヴィが何かを凝視(ぎょうし)している為、エドもその視線の先を見る。

洋館の屋根の上、其処(そこ)には此方(こちら)を見ている一匹の黒猫が居た。

 

「ルクレチア・ゾラ様ですね」「...へ?」

黒猫を(なが)めていると横から聞えた内容に、エドは気の抜けた声を出した。

 

「君は確か妖精の看護婦(フェアリー・ナース)だったか、善の魔術師が私に何の用だ?」

 

「ね、猫が(しゃべ)った!」

驚きの声を上げたエドだがその目はキラキラと(かがや)いて居た、それを見てレヴィは(あき)れるもスルーする。

 

「ゾラ様、用が有るのは彼です。」

そう言ってエドを差し示す、猫も視線をエドに向ける。

 

「ほぉう、何者だ少年」

「あぁ、俺はエドワード・ジャクソン、でもルクレチアが猫だったとは知りませんでした」

それを聞いてレヴィは溜め息を()き、猫からは笑い声がもれる。

 

「!ハッハハハ、面白いな少年、良いだろう入りたまえ」

その言葉と同時に門と玄関が独りでに開き、黒猫も奥へと消えていく。

 

◆◆◆◆◆◆

 

門を(くぐ)り抜け応接間(おうせつま)らしき部屋へと(いた)る、そこにはソファーに腰掛ける20代、多く見積もっても30代の女性が居た。

 

「初めましてかな、私がルクレチア・ゾラだ、猫じゃなくて悪いね」

悪戯(いたずら)な笑みを浮かべるルクレチアに苦笑いで答える。

 

「まぁ座りたまえ」

ルクレチアに(うなが)されてエドは対面のソファーに腰掛けたが、レヴィは座らずに斜め後ろに(ひか)える。

 

「ほぉう・・・」

それを見て何かに気付いた様だが、口にはせずに話を進める。

 

「それで少年はしがない魔女にどういった用件かな?」

「まず確認だが、パーシー・ジャクソンとエミリー・ジャクソンは分かるか?」

 

「フム、(なつ)かしい名だ、それにファミリーネームからして」

「あぁ、俺は二人の息子だ」

それを聞いて昔を懐かしむ様にルクレチアは語り出した。

 

「そうかあの時の子がな、大きくなったものだ。パーシー達は元気かね?」

暫しの沈黙の後、顔が(かげ)り表情は読めないがエドは()げる。

 

「死んだよ、つい最近、海難事故で...」

「・・・そうか」

 

再度訪れる沈黙、しかしそれをエドが(やぶ)る。

 

「いや、ルクレチアさんも魔術関係者でしたね、あれは事故では無くまつろわぬ神によるものだ。」

「何だと!?いや、そう言うことか」

最初は驚いたルクレチアだったが、直ぐに何かに気付き納得した。

 

「少年、やはり君は新たな王、カンピオーネだったか」

「えっ?」

エドと後ろで控えていたレヴィの表情が驚きに()まる、それはルクレチアにカンピオーネだと見破られるとは考えて居なかったからだが、それを見てルクレチアはニヤリと悪戯を思い付いたと言った笑みを浮かべる。

 

「おいおい、これでも私は『地』の位を極めた最高位の魔女なんて呼ばれて居るのだぞ?それに(みずうみ)の妖精や妖精の看護婦(フェアリー・ナース)なんて異名を持つ魔術師を従えて、おまけに『まつろわぬ神』とこれだけ情報が揃えば導き出せる結論は1つしか有るまい?」

 

「あ...」

「クハハ、降参だ、さすがは親父の友人だな」

唖然(あぜん)とするレヴィとは対象的にエドは楽しそうに笑う。

 

「さて、友人の息子とは言え少年は魔術師の王、(かしず)いた方が良いかね、魔王様?」

 

「いや、今まで通りで頼むよ魔女殿?」

二人は暫しの間に笑う。

 

「しかしパーシー達の息子が神を弑逆(しいぎゃく)せしめて魔王になるとは、世の中何が起こるか分からんな」

 

「いや、あの時は仇を取るのに夢中で・・・」

 

―レヴィside―

 

ルクレチアとエドが雑談に(きょう)じている中、レヴィはその様子を(なが)めながら物思いに(ふけ)っていた。

【思えば私達が出逢う以前にもまつろわぬ神が顕現していたのよね、カンピオーネの方々は生まれもってのトラブルメーカーとも聞くけれど、エドもそうなんでしょうね】

 

「そういえば少年、後ろに控える彼女とはどういった関係かな?」

「!?」

いきなりの話題転換(てんかん)にレヴィも固まり、そしてエドの回答を待つ。

 

「ん~(ただ)の友達かな?」

【・・・】

「なんだ、()まらんな」

 

「?よく分からんが、まぁレヴィには(仲間になるのを)断られたが俺はまだ諦めてないし、気長に(ファミリーになってもらうように)口説(くど)くさ」

【エド・・・】

「ほぉ、それはまた」

恥ずかしそうに頬を赤く染めたレヴィを見てルクレチアは面白い者を見付けたとニヤリと口端が釣り上がる。

 

「王の誘い(寵愛(ちょうあい))を断るとはなかなかに(きも)()わった魔術師だな」

「はぅ...」

 

「まぁ今は良いさ、それで少年...いや王はこれからどうするつもりかね?」

「まずは両親の訃報(ふほう)(しら)せに、それからは世界を見て周るかな?」

「なるほど、旅をするのか、()く先々でトラブルに成りそうだな」

【確かに・・・】

ルクレチアの感想にレヴィも内心で同意する。

 

「ムッ、何だよ人をトラブルメーカーみたいに」

エドは少々むくれるも、二人はキョトンとし、やがて理解したのかレヴィは溜め息、ルクレチアは笑い出した。

 

「ハハハ、少年『みたい』じゃなくて『トラブルメーカー』その物なのだよ魔王の方々はな」

 

「エド、カンピオーネとまつろわぬ神々は引かれ合うの、それが無くとも強大な力は色々と引寄せるわ」

レヴィも補足としてカンピオーネについて語る。

 

「あぁ、彼女の言う通りだ、諦めろ少年」

「マジか...」

レヴィの説明とルクレチアの追撃でエドは落ち込むも『まぁ良いか』と直ぐに切り替える。

 

「そうだ、ルクレチアさんは草薙一朗さんの所在(しょざい)って知ってます?」

「あぁ、知ってるが・・・次は一朗の所に向かうのかね?」

 

「えぇ、そのつもりです」

「そうか、少し待て」

そう言ってルクレチアはソファーから立ち上がり、奥へと消える、5分後に戻って来たルクレチアはエドに紙を差し出す。

 

「これが住所だ、一朗によろしく伝えといてくれ」

「はい、分りました」

 

そしてエドとレヴィはサルデーニャの魔女、ルクレチア・ゾラのもとを後にした。




原作開始時の主人公の権能は4つにする予定です。

大地の怒り(アンガー・オブ・アース)
グラグラモドキです。

黄金の鹿号(ゴールデンハインド)
船と大砲とちょっとした補助です。

★????
武器に関する権能です。

★??????
ワンピの覇気っぽい何かです。
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