自由を愛する白き魔王《完結》   作:水華

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妄想が膨らんで今回は割と早く投稿出来ました。

某リリカルな砲撃ブッパは
やり過ぎな気がしないでも無いですが・・・


5話、鍛冶の神

新潟県に向かう1台の車、その車内には3人の人物が乗っていた。

 

天目一箇神(あめのまひとつのかみ)?」

エドが運転席の甘粕に問いかける。

 

「えぇ、天目一箇神(あめのまひとつのかみ)金屋子神(かなやごかみ)天津麻羅(あまつまら)などが日本の鍛冶の神として有名ですが、報告では顕現したのは大きい槌を持った1つ目の男神で、鉄製の何かを作って居るとか・・・最有力なのが」

 

天目一箇神(あめのまひとつのかみ)、と言うことですね?」

「その通りです。」

レヴィの言葉に甘粕が同意する、良く分かっていないエドは『へ~』と声を漏らしていた。

 

「・・・エド、早い話が日本におけるサイクロプスやヘーパイストスですよ」

「!成る程ね、じゃあ武器とか使ってくるかな?」

今度は理解出来た様で戦い方を模索し始める。

 

「おそらくですが、まぁ造り手(マイスター)であって担い手(マスター)では無いので本来の性能では無いと思いますが」

「へ~」

 

ーエドワードside ー

 

そして時は戻り。

 

「然り、我が名は天津麻羅(あまつまら)、天の鍛冶(かじ)師なり!」

 

天津麻羅(あまつまら)天目一箇神(あめのまひとつのかみ)じゃ無かったんだ、まぁどっちでも同じか】

元々の予想とは異なったが、直ぐに切り替える。

 

「さて、今のではっきりしたわい、お主の権能じゃが震動、正確には地震かのぉ?、ないの神・・・いや外つ国の神格じゃな」

「......」

エドの権能、大地の怒り(アンガー・オブ・アース)は単純な地震のエネルギーを扱うワンオフ、強力で使い勝手も良いが、先程から嫌な予感を感じていた。

 

「ならば神殺しよ、これはどうかな?」

天津麻羅(あまつまら)は自身が持つ槌に手を添えて聖句を唱える。

 

(やまと)鍛師(かなち)等の祖、天津真浦(あまつまうら)、物部造等の祖、天津麻良(あまつまら)、阿刀造等の祖、天麻良(あめのまら)

聖句により槌が淡く輝く、そして先程と同様に振り下ろして『カーン』と響かせ剣山が迫る。

 

エドも同様に空間震で対抗するも。

 

「なっ!?、クッ!!」

地面から生える剣を震動で砕こうとしたが、(ひび)は入るも原型を留めるそれをギリギリで避けるが、足を浅く斬られる。

 

【くそ!なんだ一体?】

振り返って剣山を観察する。罅は入っているものの砕けず、小刻みに震えていた。

 

「ふむ、耐震性を付与してみたが、当たりじゃの」

ニヤリとする天津麻羅(あまつまら)、ワンオフの能力は強力な反面、対策されるとピンチに(おちい)る。

 

「付与する耐震属性を強化、次はどうする神殺しぃ?」

 

「なっ!?しまった!」

地割れで開いた地面と剣山に左右を挟まれて逃げ道が無かった。

 

ガツーン!

地面を抉る様に打ち、地面から剣が飛び出し、迫り来る。

 

「ハァッ!」

ドォン!!、エドが拳で空間をハンマーの様に打つことで空間をずらす空間断層を盾の様に展開して凌ぐ。

 

「ほぉう、その様な使い方もあるのかえ、しかし何時までもつかのぉう?」

連続で地面を打ち、上から剣の雨、正面から剣の速射砲、下から剣山の物量に耐震属性で罅すら入らなくなったそれを前に絶対絶命のエドだったが。

 

【!?、これは!】

突如、歯車が噛み合う感覚を覚える。そして考える時間も無い為、それを使う。

 

「16ゲートオープン(砲門開放)

エドの背後に黄金の波紋が広がり16門のカルバリン砲が出現する。

 

セット(狙い付ける)

砲身が動き天津麻羅(あまつまら)と剣に狙いを定める。

 

ファイヤー(砲撃)!」

全ての砲門が火を吹き、剣を吹き飛ばし天津麻羅(あまつまら)に迫る。

 

(やまと)鍛師(かなち)等の祖を」

カーン!、天津麻羅(あまつまら)は槌を打って地面より盾を造る。

 

ドッガガガ!、砲撃を防ぎ切ると同時に盾は砕けた。

 

「それが2つ目の、なっ!」

盾の崩壊と同時に天津麻羅(あまつまら)は語り掛けようしたが、接近しているエドを見て地面を抉り剣を飛ばす。

 

「グッゥ、オラァ!」

数本が腹や足に刺さるも構わず、走り地震エネルギーを纏った拳を打つが天津麻羅(あまつまら)は槌で受けて、後ろへと飛ぶ。

 

「チッ!」

 

「んっ?」

手にした槌を見ると小さい罅が入っていた。

 

「ほぉ、これにも耐震属性を付与しておったが...改良の余地ありじゃのぉ」

天津麻羅は(たの)しそうに武具の改良案を思い浮かべる。

 

「どれ、阿刀造等の祖、天麻良(あめのまら)

カーン、、、呪力を籠めて一振りの剣を鍛造(たんぞう)し、地面から引き抜く。

 

天津麻羅の手には何の変哲も無い剣、そしてその剣で斬り掛かる。

 

「!?、なぁっ!!!」

エドは咄嗟に地震エネルギーを使うも、そのエネルギーを剣に吸収された。

 

そのまま、袈裟懸けに胸を切り裂かれ、鮮血が舞う。

 

「グッ、ファイヤー(砲撃)!」

カルバリン砲の砲撃、天津麻羅は後ろに飛びながらも盾を造り出して防ぎ、砕かれる前に再度下がって回避した。エドは距離を取れた事でポーションを取り出して傷口に掛けて応急措置をする。このポーションはエドが御神楽岳(みかぐらだけ)に登る前にレヴィからお守りとして受け取っていたものだ。

 

◆◆◆◆◆◆

 

『申し訳ありません王よ、車ではここまでが限界です。』

 

『ここか、確かに居るな...』

神殺し、カンピオーネは近くにまつろわぬ神が居ると闘争の為にコンディションが最適化されていく、それはまつろわぬ神側も同じだが、どうやら動く気は無いらしい...

 

『エド、これを』『ん?これは?』

レヴィに渡されたビンを受け取りつつ質問する。

 

『治癒の魔術が込められたポーションです経口摂取か傷口に掛けると発動します・・・その、お守りに...』

恥ずかしそうに声が小さくなるレヴィ、その頭を撫でながらお礼を言う。

 

『そっか、ありがとうな♪行ってくる!』

『エド...はい、お気をつけて』

 

【どうやら私は居ない扱いですね~まぁ良いですが】

そんな二人を内心苦笑いしつつ空気に徹する甘粕青年がいた。

 

◆◆◆◆◆◆

 

「ふむ、会心の出来じゃな」

一振りの剣を眺めて感想を漏らす天津麻羅、その剣は地震エネルギーを纏っていた。

 

「なんだ、その剣は?」「ん、これか?」

エドの問い掛けに天津麻羅はまるでお気に入りの玩具(おもちゃ)を自慢する様に語る。

 

曰く耐震属性と吸収、蓄積の能力を付与し、現代の合金をも取り込んで作った特化型の神具、そしてそれを地面に突き刺して発動する。

 

「お主の権能じゃ、何とかしてみせぇい!」

「クソがぁ!」

やがて山全体が震え出す、徐々に震度が高まるもエドには本来、地震で不利になることは無いが先程の矛でこの辺りの地盤は脆く成っていて何時崩れても可笑しく無かった。

 

(いかり)を上げろ、帆を張れ、総帆天帆(そうはんてんぱん)、我ら大海原を()ける者なり、さあ()こう太陽を落しに!」

エドが呪力を高め、聖句を謡う。すると足元の影が広がり、其所から1隻の帆船が出てきて浮かび上がる。

 

「なんと!そのような物も持って居ったか神殺し!!」

地面が地震で崩壊するも、帆船は宙に浮いている為、影響は無い、帆船は取り舵で旋回しつつ天津麻羅から十分な距離を確保して正面に捉える。

 

「行くぞ天津麻羅ぁぁ、黄金の鹿号(ゴールデンハインド)ォォォ!」

帆船が天津麻羅めがけて加速する。帆船型神獣の質量と加速による体当たり、直撃すれば例え神でも只では済まない。

 

「嘗めるな神殺しぃぃ!物部造等の祖、天津麻良(あまつまら)!」

カーン!、槌で地面を打つと槌と一体化する形で鏡が鍛造される。

 

(あま)の金山の鉄を取りて、鍛人天津麻羅を()ぎて」

天津麻羅の聖句に呼応して鏡面に太陽光が充填(チャージ)され、やがて臨界点を越える。

 

「照らせ、八咫(やた)の鏡」

鏡より収束された太陽光線が放たれる、内包する熱量の余波で周りを焼きながら帆船、黄金の鹿号(ゴールデンハインド)を迎撃しようと...しかし、天津麻羅の切り札とも言えるそれは今回に限っては悪手だった。

 

「な、バカな...」

収束された太陽光線が黄金の鹿号に当たるもそれは霧散されて行く、やがて天津麻羅は黄金の鹿号に押し潰された。

 

ドゴーンッッ

 

権能、黄金の鹿号(ゴールデンハインド)大地の怒り(アンガー・オブ・アース)の単純な破壊とは対極に位置し、面倒な制限が存在が多彩な能力の権能だ。

 

 ・帆船型神獣、モデル、ガレオン船の黄金の鹿号(ゴールデンハインド)を召喚し、砲撃や船での体当たりを行う。

 ・太陽が出ている間のみ(ちゅう)に浮く事が可能。

 ・太陽を落とす逸話より船体に太陽系の攻撃は無効。

 ・破損した場合はその損壊具合に応じて一定の期間、召喚不可能になる。

 ・背後の空間に大量のカルバリン砲の砲門を召喚しての一斉射での殲滅が可能。

 ・カルバリン砲の砲弾は、通常弾、炸裂弾、葡萄弾、そして光の収束砲、4種だが収束砲は一撃放つと砲が確実に砕ける。

 ・砲門は破壊された場合、1門につき1週間で最大100門迄鍛造(たんぞう)が可能。

 ・星の開拓者(かいたくしゃ)としての側面から、格上との戦闘で攻撃力にプラス補正が掛かる。

 

「はぁはぁ、疲れた、てかいい加減くたばれや」

帆船の上、エドは疲労を感じつつも油断なく佇む、未だに権能を得た感覚が無いのだ。

 

「おのれぇ、やってくれたなぁ神殺しぃぃ」

甲板に乗り込んで来た天津麻羅は八咫(やた)の鏡の収束された太陽光線で加速が落ちたのか生きていたが、右半身を潰されたのか右腕と右足を失っており、左足一本で立ち、左手には先程の地震を吸収出来る剣が握られていた。

 

満身創痍(まんしんそうい)だな、もう休め、永遠にな」

エドが召喚可能な砲門は全16門、内10門を展開し天津麻羅に狙いを付けるが。

 

「ハッ!抜かせ、我を嘗めるなー!!」「!?」

一本足とは思えない跳躍の連続、所謂(いわゆる)ケンケンで迫る。エドは咄嗟に地震を使い掛けて天津麻羅の持つ武器を思い出して止まってしまった。

 

そんな隙を見逃す筈も無く唐竹割りで剣を振り下ろす。

 

「ちっ!」

しかし武神や戦神、軍神でも無い天津麻羅の一撃はエドが新たに召喚した砲身の破壊と右腕を切り裂くに留まった。

 

「グッ、セット」

召喚された砲門が天津麻羅に狙いを定める。射線より外れようとした天津麻羅だったが。

 

「!?」

突然、帆船の甲板、つまり帆船型神獣、黄金の鹿号(ゴールデンハインド)が揺れて左足のみの天津麻羅が体勢を崩す、それを見てエドが痛みに顔を歪めながらもニヤリとする。

 

「おのれぇ」「ファイヤー!」

6門のカルバリン砲から葡萄弾の散弾が放たれ天津麻羅をボロボロにし甲板から吹き飛ばし空中へと弾き飛ばす。

 

「これで終わりだ、ファイヤー!!」

4門の砲門が光を充填(チャージ)し一斉に収束砲を放つ。

 

「・・・」

天津麻羅は成す術もなく収束砲に呑み込まれた。

 

【俺の勝ちだ...】

肩に乗し掛かる様な権能の増える感覚を感じる。

 

【クッ、何とか気絶する前に戻らないと】

麓に向けて帆船の進路を取る。

 

ーレヴィアsideー

 

御神楽岳(みかぐらだけ)の中腹辺りで発生していた呪力の衝突は決着が着いたのか、先程おさまっており正史編纂委員会の構成員が世話しなく動いている。

 

【エド・・・】

レヴィアはあの気になっている少年、エドワードの勝利を信じているが、心配するのは別問題なのだ。

 

「ミス、ブルーム、観測班からの連絡でここに空飛ぶ帆船なる摩訶不思議な神獣?が近付いているのですが、何かご存知ですか?」

 

「えっ?」

【帆船?・・・あっ!】

レヴィはこの間戦ったサー・フランシス・ドレイクを思い出していた、もしエドの得た権能ならばと・・・

 

「そうですね、エドだと思います。」

 

そして現れた帆船型神獣、黄金の鹿号(ゴールデンハインド)の甲板から降りたエドを見て泣きながら説教を始めるレヴィ、しかし少しして限界の訪れたエドが気絶してレヴィが取り乱したのは余談だ。




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