自由を愛する白き魔王《完結》   作:水華

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遅くなりました~
今回は少々コピペ感が強いですが随所で表現を変えてまるまる同じにはならない様に気をつけたつもりです。


6話、魔剣

グリニッジ賢人議会より公開された6人目の神殺しエドワード・ジャクソンに関するレポートより抜粋。

 

エドワード・ジャクソン様の存在が初めて確認されたのは今より2年前、スペインはヒホンの町にて顕現したまつろわぬ神、サー・フランシス・ドレイクとの闘争である。

 

カンピオーネへと転生した経緯については不明だが、彼が初めて弑逆(しいぎゃく)せしめた神は推測の(いき)を出ないが、まつろわぬポセイドーンと思われる。

 

これは日本で顕現したまつろわぬ天津麻羅(あまつまら)火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)等々の神々との闘争で発覚したジャクソン様の権能が戦艦を砕く力と津波の2種類では無く、振動、正確には震動による破壊と副次的な効果による物と判明し、地震を司る神としてギリシャ神話のポセイドーンが最も有力である。

 

そして彼の王はアメリカ、ロサンゼルスの守護聖人、ジョン・プルートー・スミス様と盟友となり、アメリカを中心に世界各地へと赴くフットワークの軽い王である。

 

その際にまつろわぬ神の件も含めた魔術関連の解決や人材の確保に邁進(まいしん)しており、目的に関する正確な情報が無いため本レポートには記載しない事とする。

 

ジャクソン様の権能に関しては4つ確認されている。

 

大地の怒り(アンガー・オブ・アース)

まつろわぬポセイドーンより簒奪(さんだつ)したと思われる権能、海神としての側面でなく地震を(つかさど)る神としての側面に特化しており破壊力と影響範囲はカンピオーネ随一である。

 

黄金の鹿号(ゴールデンハインド)

イギリスの大海賊、サー・フランシス・ドレイクより簒奪(さんだつ)、彼が乗っていた愛船、黄金の鹿号(ゴールデンハインド)の神獣としての召喚やカルバリン砲を召喚する権能。

 

武具錬成(アームズ・アルケミー)

鍛冶(かじ)の神、天津麻羅(あまつまら)より簒奪(さんだつ)、詳細は分からないが彼の王が戦闘で使用する神具や彼の王の従者達の装備を作成したと思われる権能。

 

破壊する覇気(クラッシング・フォース)

破壊を司る神シヴァより簒奪(さんだつ)、判明しているのは自身の体か所持する武具を黒く染め、その箇所には破壊の力が宿っている。

また、自身を中心に一定以下の力しか無い者達の意識を奪う権能。

 

ジャクソン様はおおらかな性格に加え相応の報酬は必要だが依頼と言う形で我々魔術師に協力してくださるビジネスライクな関係を構築している。

 

しかし忘れてはならない、彼の王もまた神殺しの魔王、カンピオーネで在ることを、彼の王の権能がカンピオーネ随一の破壊力を有する事を、大陸を割、島を沈める可能性を、諸君が逆鱗に触れぬ事を祈る。

 

◆◆◆◆◆◆

 

トスカーナ地方のサン・ジミニャーノの街に有るカフェテリアにて白髪の青年がエスプレッソを飲みながら資料に目を通して居た。

 

「聖ラファエロ・・・フィレンツェの結社《百合(ゆり)の都》の最高位の騎士、そして二振りの魔剣か」

 

青年の名はエドワード・ジャクソン、彼はとある権能の効率化の為に神具や魔剣等の情報を集めており、その過程で聖ラファエロの存在を知りこうして訪ねて来たのだ。

 

「獅子と(たくみ)の双剣だったか、聖騎士の武具...」

 

エドは良いサンプルになると直感していた。

そして、カップの中身を飲み干し、会計を済ませてカフェテリアを出ると可笑しな3人組を目にした。

 

【あれは!?・・・いや知らない顔だ、7人目か?】

 

その3人組は金髪にボロボロの服装をし布を巻いた棒状の物を持った男性1人、魔術師と思われる少女2人だった、エドは気にはなるものの今は良いか、とその場を離れようとしたが、金髪の青年と目が合ってしまった。

 

「「・・・」」

 

「やぁちょっと良いかい?」

「・・・」

エドはそのまま無視して行こうとしたが瞬時に青年が来てしまい離脱のタイミングを逃してしまった。

 

「はぁ~何の用だ7人目、俺は忙しいんだが?」

「ん?」【7人目ってなんだ?まぁ良いや】

 

「ちょっと僕とやらないか?」

「......は?」

いきなりの事にエドも呆けてしまい間の抜けた返事をしてしまった。

 

「だからさ僕と決闘しよう、きっと楽しいと思うんだ♪」

「・・・」

 

「貴方は何を言っているのだ!!しかも一般人に対して!」

銀髪の方の少女が青年に対して注意すると青年は何を言っているんだコイツ?っといった表情を向けた。

 

「何って決闘のお誘いだけど?」

「だから一般人に『リリィ』...なんだエリカ?」

此処(ここ)は私に任せてくれないかしら?」

さらに苦言を呈そうとしたリリィと呼ばれた少女を金髪の少女が止めて一歩前に出る。

 

「初めて、私はエリカ・ブランデッリと申します、宜しければ貴方の名をお教え頂けませんか?」

金髪の少女エリカは軽く一礼して告げた。

 

―エリカside―

 

【ふふ、この人はこの愚かも、おっとじゃなくてこの人を知っている様な口振りだったわ、つまり何かしらの事情を知っていると見るべきね】

 

「ブランデッリか...パオロさんの関係者か?」

「あら、叔父をご存知ですのね?」

「まぁな、しかしパオロさんの姪がこんな所に何の用だ?」

 

「その前に名乗らないのは紳士としてどうなのかしら?」

「ハハ確かに、そうだな~ジョン・ドゥとでも呼んでくれ♪」

「・・・本名が恥ずかしいのかしら、水死体(ジョン・ドゥ)さん?」

明らかな偽名にエリカが不機嫌になるも気にせずに続ける。

 

「いや~悪いね君達は魔術師だろ?今は秘密さ」

エドは砕けた口調でウインクをする、自身の正体を知った時の魔術師の反応を知っている為、形苦しいのを嫌うエドは黙っている事にしたが、当然彼女達が納得する筈も無い。

 

「あら、何か後ろめたい事でも有るのかしら?何なら力ずくでも良いのよ?」

「お、おいエリカ...」

ふざけた態度のエドに頬を引き()らせてエリカが言うと横から銀髪の少女が心配そうにしていた。

 

「クハハ、流石パオロさんの姪だ!おい戦闘狂、エリカ嬢ちゃんが相手してくれそうだぞ?」

 

「ん~彼女達じゃあね、何となくだけど相手にならないんじゃ無いかな」

「何ですって!?」

「むっ、それは聞き捨てならないな」

エリカとリリィが騒ぎ出すも金髪の青年は続ける。

 

「僕は魔術はてんでダメだけどそういうのは分かるんだ、君強いでしょ?さぁ決闘しようか♪」

「はぁ~面倒なタイプか、悪いが俺は今忙しいからまた今回な?」

「え~」

口を尖らせて駄々をこねる青年に『えーじゃない!』と言って呆れるエドだったが。

 

「何が忙しいのかしらジョン?」

逃がす気の無いエリカが待ったを掛けた、彼女は先程からのやり取りにフラストレーションが溜まっており言葉の端々にトゲがある。

 

「君らに教える義理もメリットも無いと思うがね?」

「あら、叔父様を知っているなら赤銅黒十字(しゃくどうくろじゅうじ)もご存知ね、結社との良好な関係はメリットではなくて?」

「1結社との関係程度ではメリットにならんよ」

やれやれと肩を竦めるエドにエリカのこめかみに血管が浮き出、笑顔も引き()るのだった。

 

「ならばもう1社追加だ、私はリリアナ・クラニチャール、青銅黒十字(せいどうくろじゅうじ)の者だ。」

エドとエリカのやり取りを見ていたリリィことリリアナがすかさず助け舟をだす。

 

―エドワードside―

 

【青銅・・・あぁくそジジィ傘下の所か、面倒だな】

エドは溜め息をついて告げる。

 

「それでもメリットにはならんよ、先方を余り待たせる訳にもいかんのでな、俺は行くぞ」

(きびす)(かえ)して進もうとするエドだったが、悪寒を感じてしゃがむ、すると首の有った位置を剣が通過し、追撃が来る前に距離を取って構えた。

 

「・・・何の真似だ?」

「ほら、今のを避けられるって事は君はかなり出来るよね」

模造品の剣だがいきなり切り掛かった事に対してか、はたまた死角にも関わらず避けた事に対してか、2人の少女が目を点にして唖然としているなか、金髪の青年とエドは互いを見据えていた。

 

「ふん7人目、いい加減にしないとさっき言ったこと取消すぞ!」

「えっ?」

「また今度と言った決闘の件だ」

金髪の青年は顎に手を当てて暫し考えたのちやれやれ仕方ないといった態度で言う。

 

「それは困るね、仕方ない」

そう言って剣を下ろし、エドも構えを解いた。

 

【はぁ、やはり戦闘狂かタイプ的にはジジィと同類だな、そして剣術の心得も有ると・・・】

エドは分析しつつも少女達に視線を移して苦言を呈する。

 

「もう行く、君達も彼氏の手綱はちゃんと取っておけよ」

「「違う(わよ)!!」」「お、おう」

 

少女達に圧倒されつつもエドはその場を去ろうとしたが、金髪の青年が着いて来てその後を少女達が着いて来ていた。

 

「・・・なぜ着いて来る?」

「いや~君に着いて行けば目的地?に着ける気がするんだよね~何となく」

「...はぁ~、勝手にしろ」

 

エドは諦めてそのまま進み始めた。

 

◆◆◆◆◆◆

 

暫く4人は田園地帯を歩きやがて石作りの街道を通り中世の砦、城塞跡地へと到着した。

 

「...うん、やっぱり、この辺りにも見覚えがあるな。昔、ここらでいろいろ苦労した気がするけど、どんな事をやってたかな?」

金髪の青年がぶつぶつと呟いているが無視する。

 

「貴方は此処にどんな用なの?そろそろ教えてくれないかしら?」

「・・・まぁ、良いか、とある方に会いに来たのさまだ約束の時間迄は余裕が有るけどね」

エリカの問い掛けにエドは簿()かして伝え、4人が城門を(くぐ)った時、不意にリリアナが体を震わせ、焦点の合わない目で託宣(たくせん)をささやいた。

 

「いにしえの騎士の技...いにしえの呪文、宝物...それらを秘匿(ひとく)する聖域...」

リリアナ・クラニチャールは騎士で在ると同時に魔女の素養を持っており、時に霊視による啓示(けいじ)を受け取る事があるのだ。

 

【あれは霊視だったな、ただの魔術師じゃなく魔女だったか...まぁ権能使わなければ大丈夫だろう】

エドは霊視に多少は驚くものの、大丈夫だろうと軽く流し、壁際の石に腰を下ろして傍観する事にした。

 

「何か霊視できた様ね、リリィ私達の役に立ちそうなこと?」

霊視をしたリリアナにエリカが問い掛ける。

 

「あ、ああエリカ、ここは古の騎士達が出入りした場所だ。あと深い闇の中に神殿も築いたんだ。そのイメージを私は霊視した」

「ちょっと気になる話しね」

そして2人の少女は探索の魔術で地下を調べだした、そして一通り調べ終え、詳しくは降りてみない事にはと結論付けた時、金髪の青年、いや阿呆(あほう)が暴挙に出た。

 

「「!?」」【たく、あのバカが】

エリカとリリアナは突如として発生した凄まじい量の呪力の爆発に何事が起きたのかと同時に振り返り唖然とした。

 

そこで見たのは剣を振り下ろした格好の青年、そしてレプリカの剣の線上で唐竹割(からたけわ)りにされ、左右に分かれて倒れていく中世の(とりで)を。

 

そして石材のズズンと腹に(ひび)く音を。

 

「「・・・」」

エドは大きな溜め息を吐きつつ頭痛でもするのか頭に手を当て、2人の少女は呆然(ぼうぜん)(つぶや)いた。

 

「な、何が起きたというの?」

「もしかして、あの男の仕業なのか?...」

 

「たく、無駄に壊しやがってあのバカが」

 

「ごめん、驚かせちゃった?いやね、こうしたら狼煙(のろし)になって、あの砦の関係者を呼び出せるんじゃないかって思ったんだ」

能天気に語る金髪の青年に畏怖(いふ)の眼差しを向ける2人の少女と呆れを含む視線のエド、その時、トスカーナの丘陵(きゅうりょう)葦毛(あしげ)(たくま)しい馬が駆け、こちらに向って来た。

 

その(くら)にまたがるのは、黒髪の美女、ラテンの血を感じさせる、強気そうな面差しだった。

 

「どこの結社が攻めて来たかと思えば...まさかサルバトーレ・ドニだったとはね。不肖(ふしょう)の弟子と言うには短過ぎる付き合いだったけど、一体どういうことだ?事としだいによっては、お前の(くび)を代償にさせて貰うよ、ただでさえ王の来訪って厄介事が在るからね」

 

溜め息を吐きつつも黒髪の乗り手は、馬上から颯爽(さっそう)と告げた。

 

彼女こそ聖ラファエロ、栄えある聖騎士(パラディーノ)の位階『聖なる杯の騎士』に至った応酬最高の剣客だ。

 

「どうしたドニ?うつけが行き過ぎて、アタシの顔を忘れてしまったか?おまえなら本当にありそうだから、そう言われても驚きはしないけど」

 

「あー...まさにおっしゃる通りで」

師の詰問(きつもん)に金髪の青年、サルバトーレ・ドニは答えた。

 

その後、師弟は言葉を交し、立ち合いをする事になった。聖ラファエロが馬から降りてその手に巾広(はばひろ)の大剣を呼寄せた。

 

【あれが獅子かな?】

エドはその剣を観察する、召喚の魔術で呼び出したのは銀色の刀身は清冽(せいれつ)な程美しく、強靭(きょうじん)そうで、獅子の如き力強さで輝いていた。

 

「来な、不肖(ふしょう)のバカ弟子。ひさしぶりに可愛がってやる」

 

奇妙な師弟のやりとり、立ち合いが始る直前。

 

「お待ちください、聖ラファエロ!お初にお目にかかります、私はリリアナ・クラニチャール。青銅黒十字の騎士です。」

リリアナ、そしてエリカは此処に来た目的、名高き獅子と(たくみ)の双剣を継承させていただくべく、参上した旨と事情を把握すべく聖ラファエロとサルバトーレの関係について(たず)ねたのだった。

 

◆◆◆◆◆◆

 

「僕とあなたはそういう間柄だったのか...ま、此処での立ち合いにはそれほど関係ない話だよね」

「フン、まぁ良い、それより御身はもしや」

ドニの呟きを聞流しつつ聖ラファエロはエドに向って(かしこ)まった態度で尋ねた。

 

「ああ、今回の依頼をさせて貰ったエドワード・ジャクソンだ、このまま見学させて貰っても良いかな?」

「「なっ!?」」

「えぇ、構いません」

2人の少女は驚きの余り、固まってしまったが、ラファエロは(うやうや)しく一礼した。

 

「ふ~ん、まぁ良いや、取敢えず君達はさ、暫く下で時間をつぶして貰っていいかな?ごめんよ!」

その直度、ドニの右腕が銀色に輝いた。そして、レプリカの剣を足下の地面に突き刺し、そのまま振り抜く。

 

大地を切裂く斬撃となってエリカとリリアナの立つ大地が割れ、2人の少女騎士は下に落ちていった。

 

【銀の腕、そして剣に関する権能か・・・】

「やはりそうか...やはりお前は!」

その光景をエドは観察し、聖ラファエロはやはりといった様子で呟いた。

 

輝く銀の腕でレプリカの剣を振るい、大地を引き裂き、土中の地下聖堂まで切り裂いた、全てを切り裂く魔剣、差し詰め『剣の王』と言ったところだろうそれに聖ラファエロは笑いだした。

 

「あははは!長生きはするもんだ、不肖(ふしょう)とはいえ、まさかあたしの教え子からエピメテウスの落とし子が産まれるとはね!」

 

そうこうして、エドが観察する中、奇妙な師弟の立ち合いが始った。




後半は駆け足になってしまいました。
まぁ細かく書いても仕方ない部分ですし・・・
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