自由を愛する白き魔王《完結》   作:水華

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太字やフォントサイズの変更等の機能が有ったので試しに利用して見ました。
使いこなす掌握には慣れが必要ですかね


8話、嵐の前の・・・

某所、其処(そこ)は異様な雰囲気に包まれていた。

 

その室内に居る面々は誰もが屈強な大騎士と呼ばれる程の実力を持った猛者達だが、誰一人として言葉を発する事が出来なかった。

 

「・・・・・・」

その原因は上座(かみざ)()す1人の男が発する怒気(どき)に当てられ畏縮(いしゅく)しての事で有る。

 

「もう一度、聞こうか」

「は、はい、その、さ、傘下に属する少女達の誘拐、拉致の件ですが、バルカン半島の魔王、ヴォバン侯爵の指示による物と判明、詳細は不明ですが儀式の準備が同時に進められており、その...い、生贄(いけにえ)の可能性も...」

 

『『『・・・』』』

報告した魔術師は緊張による冷や汗を大量に流しながらも最後まで言い切った。そして、訪れる静寂に周りの者達もただ待つ。

 

「・・・あんのぉくそジジィ♯!!俺のファミリーに手を出すたぁ良い度胸だ」

室内に怒声が響き渡る。一部からは『ヒィィ』と小さな悲鳴も聞こえるが...そんな怒れる彼を隣の席に居た女性が(なだ)める。

 

「エ、エド、落ち着いて下さい!」

「ムッ!?」

「此処で彼等に怒鳴っても事態は好転しません、先ずは情報を整理しましょう。気持ちは私達も同じですから、ね?」

「・・・すまない、冷静さを()いていた」

熱していた感情に水の如き正論が(かぶ)せられ、何とか落ち着く事の出来た彼に周りも『大丈夫です』や『我々も同じ気持ちです』など声を掛ける。

 

先ずは彼等について説明しよう、彼等は現在所属する結社は異なるが(いず)れ1つの結社に統合する。

その幹部候補達である。

 

総帥に神殺し、カンピオーネ、チャンピオンにして白の魔王と呼ばれるエドワード・ジャクソン。

 

その補佐役、肩書きは総帥秘書だが()()()N()o()()、レヴィア・ブルーム。

 

副総帥は表側の活動によりこの場には居ないが、この3人が結社をまとめている。

 

そして、その下に幹部が役割毎に1番隊から番号が振られている。

 

「エドよぉ、当然このまま泣き寝入りってなぁ~有り得ねぇだろうよぃ?」

「ちょっマルコさん!総帥にタメ口はダメでしょう!?」

エドに話し掛けたのは1番隊隊長マルコ・フィニクス、結社火の鳥所属の大騎士で火に関連した魔術を得意としている。

 

そのマルコに注意しているのは3番隊隊長藤原宗次郎(ふじわらそうじろう)、元は日本の『民』に属する一応は術者だが、剣術の達人なのでサムライマスター等と呼ばれている。

 

「ソウジそんな固てぇ事言うなよぃ」

「違います、場所を考えて下さい申しているのです!」

「たくサムライマスターは頭が固いよぃ、お嬢もそう思わね~か?」

「・・・別にボソッ

マルコにお嬢と呼ばれたのは2番隊隊長カノン・ジャクソン、名前からも分かる通り彼女は諸事情によりエドの義理の妹になった、まだ11歳の少女...だが戦闘のみの実力はエドに次ぐNo2なのだ。

 

カノンの呟きにマルコは肩を(すく)める仕草をする。

 

「貴方達、まだ会議は終っておりませんよ?」

レヴィの指摘に再度、聞く姿勢になる面々、それを確認してエドは立ち上がり告げる。

 

「マルコも言ったが、泣き寝入りは有り得ない!俺達のファミリーに手ぇ出したんだ。その落とし前はきっちり付けさせて貰う。だが、先ずはファミリーの救出だ!皆もそれで良いか?」

『『『イエス、マイロード!!』』』

「そう来なきゃよぃ」

「・・・行くボソッ

「さすがです、総帥」

各々が(うなず)いたのを確認し、今回の救出作戦を練る。

 

まず、相手は最古参の魔王サーシャ・デヤンスタール・ヴォバンとその傘下の魔術師と思われる。

魔術師はともかく()の魔王が持つ権能には物量戦に()けた狼とゾンビが存在し、万が一にでも殺された場合は魂を半永久的に縛られる。

よって此方(こちら)は物量と言う手段は()れない。

 

最終的に救出メンバーはエドワード、レヴィア、マルコ、カノン、宗次郎の少数精鋭となった。

エドは絶対として負傷者の治療にレヴィ、露払いに実力者のマルコとソウジそしてカノン・・・当初エドはカノンを置いて行く予定だったが、『私も行く』と聞かず、口論の末に涙目、上目遣いで『どうしても...ダメ?』で()れ『お願いお兄ちゃん』が(とど)めとなり折れたのだった。

 

◆◆◆◆◆◆

 

ルーマニアのとある古城、観光資源としても()えそうなその城は現在とても不気味な雰囲気を(かも)し出す、天蓋(てんがい)は分厚い雲に(おお)われ時折稲光が(きら)めいている。

 

そんな城に5人の人影が近付いていた。

 

「何か拍子抜けだよぃ」

「確かに此処(ここ)まで妨害らしい妨害が有りませんでしたね」

マルコのソウジが答える。当初、傘下の魔術師等の足止めを考慮していたが、此処まで何も無く罠の可能性を警戒した程だった。

 

【・・・皆待ってて、必ず、助ける!】

カノンは1人決意をあらたにする。カノンが兄に逆らってまで同行したのは結社の友達も(さら)われて居り、自身の手で助け出したかったからだ。

 

「妨害が有ろうと無かろうと俺達には関係無い、ファミリーを救い、落とし前を着ける!」

エドの言葉に気を引き締めたその時、古城より膨大な呪力が(ほとばし)るのを感じ、天候は雨に強風が吹き荒れ雷の落ちる嵐へと変わった。エド以外は(いん)の仮面(認識阻害、擬装、フィット、が付与された仮面)を(かぶ)り、古城へと急ぐ。

 

◆◆◆◆◆◆

 

エド達が門に辿(たど)り着くと、馬程は有ろう複数の狼達が襲い掛かってきた。

 

「チッ、やはり楽には行けないか、マルコ!ソウジ!」

「了解だよぃ」「承知!」

エドの指示にでマルコは翼を模した(あか)(あお)の双剣を、ソウジは一振りの刀をそれぞれカードから展開し構えた。

 

だが、最初に到達した狼を倒したのは。

 

「・・・ハンドソニック」

「キャゥン!」「「?!」」

白く輝く光子(フォトン)を手甲剣の様に展開したカノンが2体の狼を切り裂いていた。

 

「「カノン(ちゃん)!」」

「お嬢!」「姫!」

 

『『『グルルル』』』

警戒した狼達が、一定の距離を保って威嚇(いかく)し始めた。

 

「じゃま・・・ロンターノ」

光子(フォトン)の球体を複数作り出して弾丸の様に射出したが、狼達はそれを(かわ)して跳び掛かって来た。

 

「オラァ!」「行くよぃ!」「斬る!」

震動を拳に纏って、双剣に炎を纏って、鞘から迅速の銀閃を煌めかせて狼を(ほふ)る。

 

「落ち着けカノン!」

「・・・ごめん、なさい、でも...」

焦る気持ちも分かってはいる。エドは先程からコンディションが最適化され、闘争本能が高り、感覚が宿敵の顕現(けんげん)を雄弁に訴えていた。

そしてそれは()()()()()()なのだろう事も・・・ギリッ!、槍を持つ右手に力が入る。

 

奥から増援が現れた。先程と同じ狼に加え中世の甲冑を着た死相の浮かぶ青白い顔の騎士達、権能死せる従僕の檻(とら)われた死者達である。

 

「まだ救えるハズだ、行くぞ!」

エドの自身に言い聞かせる様な言葉に気合いを入れる。嵐の夜はまだ、始まったばかりだ。




新キャラ登場!
プロフィールを更新しましたので此処から紹介を削除しました。
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