ダンジョンに浪漫を求めるのは間違っていない   作:マジカル☆八極拳

5 / 12
今回からちゃんとした前書きあとがきの使い方でいきます。
アビリティ、スキルに関してですが後々修正するかもしれません。
その際は活動報告にてお知らせします

修正前に評価ありがとうと書いたけどこの作品じゃなく《自分が評価した他作品》のものと見間違えてたらしい。恥ずかしい


第5話 狐、恩恵

 

俺が目覚めたのは翌日の昼だった。

誰も居ない部屋を見渡すとテーブルに書き置きがしてある。ベルはダンジョンに、ロリ巨乳神はバイトに行ったようだ ー文字は書けないが読む事は何故か出来たー ここんところ一人で行動する事など無かったので丁度良いのかも知れない。

 

この世界に来た初日に、某麻婆大好き神父のと似た服に、中国服に似た作りの赤い服をベルから買って貰った。それに腕を通しヘスティア・ファミリアが拠点としている廃れた教会の外に出る。

 

太陽は高く昇り陽射しが眩しい。

教会の周りをしばらくウロウロしているとそこそこの広さと良い感じの樹が立つ空き地のような所を見つけた。

鍛錬するには丁度良く、自生してる樹も良く成長していた。

 

大きく息を吸い込み、息を吐きながら軽く膝を曲げる。

両手を前に ー右手を拳一個分少し後ろにずらしてー 出し、二歩踏み込んで左手を引きながら右で肘を打ち出す。

八極拳を代表する攻撃法の一つであり、技の一つ。

 

ーー頂肘(ちょうちゅう)ーー

 

ふむ、悪くない。

昨日の身体ブーストのせいでどこか筋肉を損傷してないか不安だったが、何処も悪く無かった。むしろ初めてダンジョンに潜った頃より技のキレと威力が少し上がってる気がする。

今の所身体に異変はない…どこかおかしい所があるとすればそれは自分の尻尾だ。

あのミノタウロス戦の時は二本だったのに今は一本しかない。

 

それにあの声も聞こえなくなった。

心なしか魔石を食ったあと、あの声の主は嬉しそうによく喋った。

こう…何か少し()()()()()()()ように、至って声音には出さなかったが…ミノタウロスと戦っている間ずっと話しかけられていた。

大振り(テレフォンパンチ)の拳を捌くのに『流石です』やら『私達の力見せてやりましょう』とか。

 

身体は治るし調子も良いし、後ろで熱い眼差しで見てくるベルも居たし、それにヨイショしてくれる『声』があったのだから、かなりカッコつけてしまった…今思い出しても【楊砲】なんて使わないでも良かったのだ。

 

『全弾持って逝け(キリッ』

 

恥ずかしさで死にそうだ。

あの時の事を思い出して顔から火が出そうなほど熱くなったが、今は簡単な調子見としても鍛錬の最中。首を振って現実に戻ってくると、八極拳の基本的練習法である套路を踏んでいく。

 

套路と言うのは言わば『型』である。

 

通称『小八極』と呼ばれる十数個の技で組まれた簡単かつ八極拳の土台となる練習套路を数十分かけて行っていた。

 

夕方位にはベルが帰ってくるのでそれに合わせて鍛錬を行う。

じつはロリ神とベルには内緒でダンジョンに潜り得た金が少しあるのだ。

昨日運んでもらった礼もあるしベルに美味しいものでも食べさせてやりたい。

予定より少し早めに鍛錬を切り上げてシャワーを浴び、普段着に着替えると美味しい店の聞き込みと場所を調べてバベルへと向かった。

 

 

 

 

 

○◉○◉○◉○◉○◉

 

 

 

ダンジョンから出て換金所に向かい外へ出ると彼はいた。

大きな広場の噴水の縁に座り、僕を見つけると ー僕を待ってくれていたのだろうー 手を振ってくれた。

 

彼は良くも悪くもすごく目立っていた。

炎のような朝日のような暖かみと激しさを感じる橙色の髪に特徴的な狐人(ルナール)の耳とフサフサな尻尾。

整った顔立ちに肉食獣のような鋭い目つきと男の僕でも少し嫉妬するような容姿、おまけに背が高くてスラッとしてる。

落ち着いてるけど少し変わった人だが、『もし兄弟が居るなら』と妄想した理想の兄に近かった。

 

「意外に早かったなベル。今日はもう良いのか?」

 

「はい!夕方頃にちょっとご飯を食べに行く約束ができちゃいまして」

 

「ふむ…誰かと一緒に食べに行くんじゃなくて『食べに来て欲しい』とでも言われたのか?」

 

図星である。

今朝方、ダンジョンに向かう途中シル・フローヴァさんというヒューマンの女性と知り合い、今夜はそこでご飯に行くつもりだったのだ。

勿論アカツキも起きていれば誘う予定だったのだが…なんで分かったんだろう?

 

「何故分かったのかは簡単だ。言い方とベルの性格を考えたらだいたいわかるさ、大方何かの御礼の代わりにウチでご飯を…とかそんな感じじゃないのか?」

 

この人どこかで僕の事見てたんじゃないのかな?

そう思ってしまう程ピタリと当てられ、それが分かったのか、小さく笑うと立ち上がって僕の頭を撫でる。

 

「じゃあ遅れないように帰るとするか…。あのロリ巨乳も居るだろうしステイタスを更新しておこう」

 

そう言って彼は僕達のホームに歩いていく。

 

強くなったなベル。

 

彼の手が頭に触れた時、彼はそう呟いた。

こみ上げてくる嬉しさを拳を握って抑えて彼の後を追いかけた。

頑張ろう。あの日見た彼の強さに追いつけるように。

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆

 

 

 

バイトが早めに終わって帰る途中、ダンジョンの方からベル君とアカツキの二人とばったり会った。

 

彼等は楽しそうにお喋りしながら歩いていて正直妬いてしまう。

ボクの先にベル君と知り合ったのに…。

ボクは神でバイト、二人は一緒にダンジョンに行ってるのだ、命のやり取りをして修羅場を潜り抜けているのだから仲良くなるのは当然と言えば当然なのだが、それとこれとは別なのだ。

 

頬を膨らまし一人嫉妬の炎を燃やしてるとアカツキがボクに気づいてベル君に何か耳打ちする。

ベル君がキョロキョロしだしボクを見つけて大きく振りぴょんぴょん跳ねながら笑顔を見せる。

 

「神様ぁ〜!!」

 

あぁベル君!やっぱりボクには君しかいない!!君はボクの天使だ!

 

くぅ〜っ、とベル君の天界級の可愛さを直視して悶えてると彼が駆けてきた。

 

「神様も帰る途中なんですか?」

「そうだよベル君!…ベル君も帰りなのかい?今日は早いんだね!」

「はい!今日はちょっと晩御飯に呼ばれちゃって…」

「ベル君!!!それはもしかして女の子かい?!?!」

 

少し悩んだ顔をしてると首を縦に振る。

 

「安心しろ、チョロそうな白兎(えもの)が罠にかかっただけだ」

 

いつの間にかベル君の後ろにいたアカツキが悪そうな顔をして笑う。

確かに気の良いベル君ならそれも有り得るがボクの女の勘(センサー)が告げていた。

 

それだけではないと。

 

愛しのベル君を何処ぞの毒牙から守る為に必死の説得をしようとしたところ、いつまでも道の真ん中で話していては邪魔になるとアカツキに宥められ、ボクは渋々廃れた教会(ホーム)へと歩いた。

 

 

 

ーーーーー

 

 

帰るや否やベル君にステイタス更新を頼まれた。

冒険者が体験した出来事は経験値(エクセリア)に変わり、それを神であるボク達が五つのステイタスに反映させる。

 

彼等が体験した事の濃度によって得られる経験値は変わり、危ない橋を渡れば渡るだけステイタス ー身体能力や魔力、精神力の総量ー に振り込まれる経験値も跳ね上がる。

昨日生死を掛けて戦った、冒険者…加えて成り立てのベル君ならそれは莫大な経験値となる。

 

 

ベル・クラネル

Lv.1

力 I 96→H 127

耐久 I 10→I 36

器用 H 101→H 160

敏捷 H 190→G 236

魔力 I 0

 

《魔法》

【 】

《スキル》

【 】

 

 

頭が痛くなる。

何をどうすればこんな上がり方をするのか訳が分からない。実はその理由を知っているのだが分かりたくないのだ。

 

【英雄憧憬】(リアリス・フレーゼ)

・早熟する。

・I懸想・憧れ《想い》が続く限り効果持続。

・I懸想・憧れ《想い》の丈により効果向上。

・試練を受ける。

 

 

レアスキル。

聞いた事のない効果だった。ベル君らしいと言えばらしいのだが、『想えば想うほど成長し、続く限り限界はない』のだ。

恐らく懸想してる相手は【ロキ・ファミリア】の【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタイン。

話を聞けば聞くほどボクのベル君に対して行った事は許されざるものだった。

 

そして憧れる相手はアカツキ。

冒険者でもなく恩恵すらない状態であのミノタウロスに徒手格闘(ステゴロ)で圧倒した男。

ベル君のお兄さんみたいな立場で師匠みたいなもの。男性なのでノーマークだが仲が良過ぎなのとベル君の頭をよく撫でている、裏山けしからん。

 

 

ステイタス更新が終わり自分のその『伸び』にボクの書き間違いじゃないかと聞いてくるベル君に、それが書き間違いだったらどれだけ良かったかと心が荒れる。

一先ず成長期という風に諭しておく。レアスキルについて話すのはこの子の『伸び』が悪くなる、そんな気がしたのだ。

こういうものは変に意識しない方が良いのだと、自分に言い聞かせることにした。

いつかは話す…が、それは今じゃないのだと。

 

 

「さて、次は俺だな」

 

現実に戻される。

ついに来てしまったか…彼がやってきた日からいつかこの日が来るとは思っていたが、いざその時になると少し勇気がいる。

未知なのだ、何もかもが。

 

常人なら事切れててもおかしくない傷で生き延び、翌日には全回復。

自分を異世界人だと呼び見聞きした事のない格闘術を用いてLV2のミノタウロスを打ち倒す。

 

確実に何かあるのは明らかだ。

神である自分が未知に対する好奇心より、心配が杞憂で終わる事を望む位には恐ろしいのだ。

 

頼む、と言って彫刻のような創り上げられた肉体を曝け出す。

日々の鍛錬で作り上げたらしいがどうすればこんなレベルになるのやら神でも分からない。あと存外に着痩せするらしい。

 

「覚悟を決めようか…」

 

呟き二度頬を叩いて気合を入れる。

 

何が出ても驚かないぞ。

ボクはベル君が受け入れたこの子を何があっても守る。

それが神の義務であり、ベル君を救ってくれた恩返しだ。

 

彼の背にまたがって自分の血を落とす。

それが背中に広がり【神聖文字】(ヒエログリフ)が現れると霧散する。

霧散しきったと思えば今度は集まりまた形を成していく。

 

こんな動き見たことなかった。

やはり彼には何かある。

様々な形を作っては消え作っては消えを繰り返すこと九度。

やっとベル君と同じ紋様に変わっていく。

 

そして現れたのが

 

 

アカツキ・◇◇◇

 

LV2(1)

 

力 B

耐久 B

器用 EX

敏捷 S

魔力 D

 

《魔法》

【 】

《スキル》

【◇◇◇◇の守護】

・封印されている

・生命を喰らう事で本来の力を取り戻す。

・死からの蘇生

・あらゆる毒と魅了と死への無効化

 

【天地合一】

・中国武術の練度によって魔力以外能力補正

・技に対する威力ブースト。

 

【虚像招拝】

・憧れが続く限り効果持続

・憧れの能力再現

・憧れを召喚する。無意識下以外では魔力全消費

・試練を招く

 

発展アビリティ

中国武術 A++

無窮の武練 B

呪法 B

 

 

 

自分の理解を超えたそれにボクは意識を手放した。

 





自ら誤字を発見していくスタイル
お狐様は対人ほぼ最強。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。