ダンジョンに浪漫を求めるのは間違っていない 作:マジカル☆八極拳
ナコトコピ本様より重大なミスを犯していた事に気付きましたので修正します
アイズ「君…ベル・クラネル、だよね?」を「君…あの時の子、だよね?」に変更しました
もうね、最初のアイズたんのエンジェルハグの時点で自己紹介してたと記憶ぐナニカサレタヨウダったみたいです
スキルが発現した。
レアと判断できるスキルが3つほど。その内の1つは前例を見ない程のものだとか。
ロリ神が目覚めた後、自分のステイタスについては何があろうと誰にも言わないことを誓わされた。例えそれがギルドの人間が相手だとしても、だ。
わからない事だらけの過去にステイタスと発展アビリティ、レアスキル。
これが周りに露見すれば
得体の知れない自分を拾って助けてくれたのだ、余計な迷惑はかけたくないので誰にも言わない事を誓い、俺とベルは二人でベルが誘われた店へとむかう。
ヘスティアはベルのステイタスの上がり方に何故か機嫌を損ね、俺との契約で疲れたと言ってバイトの打ち上げに行くと別れた。
【豊饒の女主人】
そこは道行く人から聞いた冒険者にオススメの店。
奇しくも同じとこに行こうとしていたようだ。
店の中は確かに冒険者らしき者が多く、まるでダンスを踊っているかのように忙しく動き回る給仕の者は評判通り皆容姿の良い女性ばかり。
テラス席もあってランチには女性も入りやすくなっているのだろう。
そんな事を考えていると、配膳し終わった一人の給仕が店内の入り口で立ち止まっていた俺たち…というよりベルを見つけ顔をお盆で口元を隠し嬉しそうに話しかけてきた。
この娘に引っかかったのか
シル・フローヴァというヒューマンの女性が二、三ベルと言葉を交わしたあとカウンターの隅に案内してくれた。
「あんたがシルのお客さんかい?見かけによらず大喰らいな冒険者ってのは。冒険者のくせに可愛い顔してるじゃないか、たんと食べていきな!あんたは…中々イイ男じゃないか、魚介も山菜もあるから好きなものを頼みな!」
カウンターの向こうでこの店の主人、ミア・グラントという恰幅の良い女性がベルと俺に目線をやると『肝っ玉母さん』と呼ぶに相応しいドンとした態度で声をかけてきた。
「そうか、ベルは結構食べる方なのか」
確かにこの年頃の少年は成長期で食べ盛りなはず。
普段の食事も貧乏ファミリアだからと我慢していたんだな…、と思っていたらどうやらシルがえらく大袈裟に伝えていたのか、ベルが慌ててシルに問い詰めるとあざとく切り返し手玉に取られている。
騙された兎は助けを求めるようにこちらを見るが
「やられたなベル。まぁ金は心配するな、今回は俺がもつから好きなものを頼め。酒は…一杯までなら許す」
仲間に裏切られた憐れな兎は大きな溜息を吐いて諦め、どうせならと少し値の張る魚のグリルを頼んだ。
☆☆☆
注文し暫くして運ばれて来た料理 ー俺は元の世界でいうミートスパゲティと火酒という焼酎らしきものを頼んだー に頬っぺたを落としそうになりながら二人で食事を楽しむ。
途中、シルが給仕の仕事を抜けてベルと話していた。
シルはベルに気があるようだ…、ならばと話を振られた時以外は邪魔にならないように静かに食に勤しむ。
これでも空気は読める方だと自負はしているのでね。
料理に夢中になっていたせいか、かなりの団体客が来ていたようで、俺たちの席の反対側のテーブル席から『今日は宴や!しっかり飲めー!』という宴会開始の挨拶が聞こえてきた。ベルは俺より少し前に気づいていたのか何かから隠れ恐れるように体を縮こませ俯いていた。
シルの説明によるとあの団体は【ロキ・ファミリア】と言ってオラリオでも1,2を争う有名な最上級探索系ファミリアなんだそうだ。
なるほど…有名なだけあって周りの連中と比べると実力者が多いようだ。
ベルの様子からするとそこの人らと何かあったのかもしれないな、負けて馬鹿にされたのか、はたまた女か…。
そんな事を考えていると銀髪に犬のような狼のような耳の生えたV系ぽい男が声を上げる。
「なぁアイズ。お前のあの話聞かせてくれよ!」
「あの話?」
アイズと呼ばれる娘が何の話かと小首を傾げている。
そしてアイズ、と言う名前が挙がるたびに隣の兎はビクッと反応していた。
なるほど、女の方だったか…そのアイズと呼ばれる娘は美少女という枠の中でも上位の存在だ。
思春期真っ只中のベルがあの娘に惚れるのも納得するというもの。
獣人の彼が今ひとつ話のわかってないアイズに話をせがむ。
「あれだって、帰る途中で何匹か逃したミノタウロス!最後の一匹が5階層まで逃げただろう⁉︎そこにいた、ほれ、あん時いた泣き虫野郎の!」
「17階層で襲いかかってきて返り討ちにしたら集団で逃げ出したやつ?」
「それそれ!奇跡見てぇにどんどん上がって行きやがって、俺達が遠征帰りで疲れてたってのによ〜」
…ほう、あの牛人があの場所に現れたのはそういう理由だったのか。
隣にいるベルは青い顔をして聞き耳を立てている。
「それでよ、いたんだよ、いかにも駆け出しっていうようなヒョロくせえ
ベルの事だな。という事はあの現場を見られてしまったか…少しマズイかもしれんな。
どうこの場を去ろうか考えていると彼は話を続けた。
「ミノタウロスによっぽど怖ェ目に遭わされたんだろうなぁ、相棒っぽい
「…。」
「ほぅ、駆け出しやのにいきなりミノタウロスに襲われたらなぁ。まぁちょっと気の毒やけど確かにそりゃ笑うてまうわな」
周りの冒険者達と赤髪の女 ーもしかすると男がかもしれんがー と狼男が爆笑する中、アイズが眉をしかめる。
「まぁ、そいつを見つけたアイズがそいつを抱きしめて頭撫でて慰めてやったんだけどな、リヴェリアの真似でもしてたのかぁ?」
「なんやて⁈ウチのアイズたんにハグしてもらったってホントかいな⁉︎ぬぐぅ〜〜うらやまじぃぃい!!」
「ま、そのあとアイズに気づいたのか叫びながらどっか行っちまって…ぶくくっ!うちのお姫様、慰めてた相手に逃げられてやんのおっ!」
「…」
「ああぁん、ほら、そんな怖い目したらあかんでー?可愛い顔が台無しや!」
どっと笑い声に包まれる【ロキ・ファミリア】の冒険者。
「しかしまぁ、久々にあんな情けねぇヤツ目にしちまって、胸糞悪くなったな。野郎のくせに泣くわ泣くわ」
「…あらぁ〜」
「ほんとざまぁねぇよな。ったく、泣き喚くくらいだったら最初から冒険者になんかなるんじゃねえっての。ドン引きだぜ、なぁアイズ?」
シルに心配され声を掛けられてもベルは返事をせず唇を噛み、膝の上に乗せた手は拳を握って震えていた。
その小さな身体に渦巻く様々な感情を爆発させないように必死に耐えていた。
シルには悪いが席を離れて貰った。
ベルはまだ幼いとは言え男だ。こんなところを女性に見られ心配されるのは心にクる。
まぁ今の彼がシルのことを認識できていたかはともかくとして。
獣人の彼がジョッキの中の酒をグッと煽ってまた口を開く。
「ああいうヤツがいるから俺達の品位が下がるっていうかよー、勘弁してほしいぜ」
「いい加減そのうるさい口を閉じろ、ベート。ミノタウロスを逃したのは我々の不手際だ。巻き込み、もしかするとファミリアの仲間を亡くしたかもしれないその少年に謝罪する事はあれ、酒の肴にするなど恥を知れ」
「あぁ?流石エルフ様だなぁ?誇り高いこって。でもよ、そんな救えねえヤツを擁護して何になるってんだ?てめぇの失敗をてめぇで誤魔化すための自己満だろうが?それに仲間を犠牲に生き残ったのはそいつが弱かったからだろうが。そんなゴミをゴミと言って何が悪い」
「これ、やめえ。ベートもリヴェリアも。酒が不味くなるわ」
見目麗しい、絵画に描かれたような美しいエルフのリヴェリアと呼ばれた女性が、粗暴な同僚に凍りつくような鋭い視線を向けるが、自分は正しいと真っ向から彼が睨み返し赤髪の女が二人を止めに入る。
コッチはとっくの昔に酒が不味くなっているんだがな。
なんにせよ聞いてる話によれば俺の事は死んだと思われてるようだし、あの戦いは見られてはいないようだ。
ならば大丈夫、あとはうまく誘い込んでアレを
胸の内で燃え上がる黒い獄炎に酒という燃料を入れ立ち上がろうとすると、腕をベルに強く掴まれる。
決壊しそうな心を必死に押さえつけて彼は耐えていた。
だがそこに容赦の無い、戯れと言う名の悪意の塊が彼の心を突き刺す。
「アイズはどう思うよ?自分の目の前で震え上がるだけの情けねぇ野郎を。お前はあのガキと俺、ツガイにするならどっちを選ぶ?」
「…べート、君、酔ってるの?」
「うるせぇ。ほら、選べよ。雌のお前はどっちの雄に尻尾を振って、どっちの雄に滅茶苦茶にされてぇんだ?」
俺の腕を掴む手の力が強くなる。
「そんなことをいうベートさんとだけはごめんです」
「無様だな」
「黙れババァッ。……じゃあ何か、お前はあのガキに好きだの愛してるだの目の前で抜かされたら、受け入れるってのか?」
「…っ」
「はっ、そんな筈ねぇよなぁ?自分より弱くて、軟弱で、救えない、気持ちだけがから回りしてる雑魚野郎に、お前の隣に立つ資格なんてありはしねえ。
「雑魚じゃあ、アイズ・ヴァレンシュタインには釣り合わねえ」
ガリッ。
隣から噛み締めた歯が削れるような音。
それに呼応するように漏れ出る殺意。
熱く騒がしかった酒場が一瞬の時を停めて静まりかえる。
人の為にここまで怒る事なんぞここ暫くなかったから忘れていたが、成る程…存外に気分の悪いものだったか。
自分の胸の奥底にいる黒い獄炎を纏った獣が彼を笑った全てを壊そうと暴れだ
「アカツキさん」
怒りに我を忘れかけていた自分を少年が引き戻す。
か細く震える声が。
腕から伝わる痛みと力が。
彼が受け入れた恥と飲み込んだ悔しさの丈が。
獣を鎮める。
「アカツキさん…僕は、どうすれば強くなれますか?」
この手の話はよく話すのだが、いつもとは違って言葉に重みがあった。
可愛い顔しているがベルもやはり男の子で冒険者なのだな。
急に走った寒気を、飲みすぎと客達が判断し、止まった時が再び動き出しゆっくりと熱気を取り戻す。
「そうだな…『強さ』には様々なものがあるのは分かるな?肉体的な強さであれば単純に鍛錬、修行して身体を鍛えればいい。精神的な強さが欲しいなら地獄を見るかそこに身を落とし、恥を偲んで耐え、敢えて
一息間を挟み言葉をつなげる。
「戦闘的な強さであればひたすら戦え。戦って戦って戦って戦って、勝て。だが負けてもいい、時には今戦ってもどうしようもない程勝ち目のない相手に出会う事もあるだろう。その時は不恰好でも不様でもどんな恥をかいてでもいいから生き延びろ。生き残ればそれは勝ちなのだ。絶望に活路を見出せ、思考を回し続け己の持てるモノを全て絞りだし、使えるものはなんでも使って最後にはそれに打ち勝て」
ベルの求める強さとは大体ここら辺だろう。曲がりなりにも【英雄】を目指しハーレムを作ろうという男だ、引く時には引き、戦うときは戦える男に育ってほしい。
心に沁みこませようとさっき言った事を反芻するベル。
あぁ、この少年にとって一番大事な事を教え忘れていた。
「あとは強くなる為に一番大事な必要なものがあってだな」
「それは…なんですか?」
「それはだな、お前がなんの為に強くなろうとしているのか、なんで強くなりたいのかを忘れない事、そしてその想いを燃やし続ける事だ」
彼が選んだ道は容易に進めるものではなく、沢山の苦難や厳しい選択、様々な壁が待ち受けているのだろう。
迷う事もある。
諦めそうになる時もあるだろう。
逃げ出したい時や楽になれればと思う事が幾百幾千と待ち構えているはずだ。
そんな時に真っ向から立ち向えるチカラがいる。
彼のチカラはミノタウロス戦で既に垣間見ている。とても強く眩しい程の強い想いを。
不必要な助言だったかもしれない。だが忘れてほしくなかった。
結局のところ何を目指し何をするにしても原動力が無ければ進めないのだから。
「僕は…強くなりたい。御伽噺の英雄みたいに、英雄になる為に。守りたい人を護れる強さが」
ーあの人の隣に並び立てれる程の強さがー
もうどれくらい前になるか忘れてしまったが、俺も師匠にベルと似た事を聞いた事がある。
彼も俺にそう教えたあとは最後には優しく頭を撫でてくれたものだ…。
懐かしい想い出の人がしてくれたように、ベルの頭に手を置き柔らかい髪を撫でてやる。
彼は嫌がらず、少し恥ずかしがってはいるが嬉しそうだった。
この子を強く、大切に育てよう。
師匠が俺にしてくれたように。
出会った日にした誓いにそれを付け加え、焼き付けるように残った火酒を飲み干す。
「帰るか」
「神様も待ってますしね」
「ふて寝してそうだけどな」
仕事に戻っていたシルを呼び、会計をお願いするついでに先程の事をベルが詫びていると【ロキ・ファミリア】の方が騒がしくなる。
気づけばアイズ・ヴァレンシュタインが近くに来ていた。
「あの…君、あの時の子…だよね?」
「ひ、ひゃい!」
「さっきの、聞いてたよね」
先程の話の事だ。
まぁ悪いのはベートという獣人であって彼女では無いのだが何か思うところがあったのだろう。
ん?………あれ、もしかしてベルにワンチャンあるんじゃ無いか?
「ごめんね、ベートが…君のこと、酷く言って」
「…いえ、あの人が言ってることも間違ってはありませんから」
「でも…」
「それじゃあ待っててください、僕はいつか笑われない位に、貴方の隣に立てる位に強くなりますから」
何か吹っ切れたような、清々しい程に気持ちのいい笑顔を彼は
彼女の知る、子兎のように愛らしいだけの少年はそこに居なかった。
そこに居たのは一人の男。
決意と覚悟を決めた少年。
「え…あ、うん」
酒場が一斉にどっと湧く。
あちこちから嫉妬を孕んだ野次から面白がって飛ばされる指笛。
何名からは殺意が籠められた視線も飛んできたが彼はそれに萎縮する事なく堂々とアイズを見つめる。
「てめぇ!こらクソガキ、何言ってんだゴルァ⁉︎」
「それじゃあ僕はこれで失礼します」
ベートの言葉を無視し、アイズに一礼し俺に耳打ちすると先に店を出て行くベル。
あとに残されるのは有象無象のモブと可憐なヒロイン。
「ふ、ふふふ…ふは、ハハハハハ!ハーッハッハッハッ!!!」
ざわめき立つ店内に響く笑い声。
どうしようも無いほどの嬉しさが、喜びが、笑い声となってこみ上げてくる。
この短い間に驚く程に成長する少年。瞬き一つすればそれこそ姿が見えない位に前へ前へと突き進んでいく。
眩しい、眩しいなぁ。
ひたすらにまっすぐでさながら物語の主人公のようだ。
くっくっく、と笑いを抑え込んでいるとベートが襟を掴みかかってきた。
「おい!てめえあの時のルナールだろ、ありゃあどういう事だてめえ?!」
「どういう事も何も。貴様がゴミと呼ぶ者がお前の言葉を真摯に受け止め、自分の想いを告げただけだが、それがどうした?」
「あぁ?!それじゃあお前、あのガキ、アイズの事が好きだってぇのか?!」
「その通りだがそれすらわからない程に酔っ払っているのか?」
「なんだとおい!」
アイズの方を少し見ると胸に手をやりベルの出て行った方をじっと見やる。
本当に愉快で愉快で仕方ない。
目の前でガン飛ばす道化のなんとも滑稽な事か、弟のような少年のなんと勇ましいことか。
慌てふためく彼は『ふざけんじゃねえぞ』と俺の態度に気に食わなかったのか語気を強める。
「彼は、どこに行ったの?」
「ダンジョンだ、なんでこんな時間から行ったのかはさっきあいつが宣言したことの為だが?」
「っ…」
表情にあまり変化は無いがほんの少しだけ頬が赤くそまり瞬きが増える。
意識しているのだろうなぁ、初対面の俺でも分かるのだ、それを長く付き合いのある仲間達がわからないわけが無い。
「え、あのアイズがもしかして?」
「やるわねぇあの子」
「がっはっはっはっ!面白い事になったのぉ!」
「アイズにもやっと春が来たか…」
「リヴェリア…気持ちは分かるけどちょっと早いんじゃないかな?」
「そうですよ!アイズさんがあんな駆け出しに…さっきのはちょっとカッコよくなくもなかったけど……」
「嘘やろアイズたん!うちのアイズたんが変なガキに盗られた?!」
「クソガッ…」
【ロキ・ファミリア】の面々の反応に満足し悪態をつくベートの手を振りほどくと、彼等の中で一番強いだろう金髪の少年のテーブルに近寄る。
ベルには止められたが少し位は怒りをぶつけても構わないだろう、文句を言う程度には。
「改めて自己紹介しよう、俺はヘスティア・ファミリアのアカツキというものだ。団長のベル・クラネル共々今日と先日『世話になった』」
「そうか…ミノタウロスの件はすまなかった。僕等としても想定外の出来事でね、危ない目に遭わせてしまったようだ。ロキ・ファミリアが団長、フィン・ディムナが団員を代表して謝罪する」
テーブルに乗せていた手を隠し少し頭を下げる。
その反応に野次馬はおろか、仲間も驚きの顔を見せる。
強者としての立場上、立ち上がって謝る事はしない。
いやどれだけ個人で悪いと思っていてもできないのだろう、日本人の俺としてはそんな彼の立場など察しはするが納得はできない。
何より聞きたい言葉はそっちの事ではない。
「ひとまずそれの謝罪は受けよう。こちらはこの通り、五体満足だしな…さて、そちらの女性が神ロキか?」
「おう、ウチがこのファミリアの神や。お前さんあのドチビのトコのファミリアやって?なら聞いてへんかったか?オラリオに喧嘩売ったらあかんトコの名前くらい」
やはり女性であっていたようだ。
しかしまぁ、これがあの【ロキ】か。元の世界では有名な神々の大戦争《ラグナロク》の元凶となった悪神。イタズラの神とも呼ばれた天界一の食わせ者。
あちらの世界では確か男だったような…まぁ変化してスレイプニル産んでるし女でもおかしくない…のか?
ま、今はそんな事はどうでもいい。
「さて?私はこちらに来てから浅くてね。ここのルールというものや、そういったものには疎いんだ」
「嘘は…言ってへんなぁ。んで?何の用や」
これが神威というものか、頭を下げ平伏しなければ敬わなければならないという気持ちが芽を出す。
…冗談じゃない。
神威に対して湧き出る芽を踏み潰し、燃やし尽くす。
糸目の彼女は薄っすら見定めるように眼を開き、
「何、先程そちらの
「…つまり何か?ベートと同じように嗤ってたウチに謝罪しろいうんか?この【ロキ・ファミリア】の神、ロキに」
それがどんな不敬であるか、それが何を
分かってるんやろうな?
何時でも俺に襲いかかれるように体勢を整える周りの団員や他の冒険者に目をやり、それを暗に伝えてくる。
中には露骨に光り物を見せつけ殺気を飛ばす者もいた
オラリオのトップを争う
それとヘスティアと仲が悪いのだろう、その子供に頭を下げるなど彼女のプライドが頂きに立とうという者の許すはずがないだろう。
知っているさ、分かっているとも。
だがだからこそ。
【驕るなよ】
神など知った事ではない。
オラリオのトップなどそれがどうした?
この怒りは正当なものだ、相手が誰だろうと詫びを入れさせるまでは止まれないし止まらない。
腕が引き千切れようが脚をもがれようが首だけになってでも喰い殺してやろう。
ベルに諌められたとしてもこの心の中の獣は、消えたわけではない。
その身の炎が燻り大人しくしていただけだ。
だが、相手がその気であるならそれを留める必要も理由もない。
ならば、解き放つだけだ。
燻り続けた
乾燥評価さ良ければお願いいたします