この素晴らしい世界にオリジナルライダーを   作:にゃはっふー

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ええ暴走しますよ、ウチの子のチートはそうはいない、私の手からも放れたチート持ちですから。なぜに君はそこまでチートになった!?


後編・王都周辺の暴走

 前回の話、まとめればこうだ。

 1、入れ替わり神器が、この国の王子へ渡されるはずが不在だから、妹が持つ。

 2、その入れ替わりは入れ替わっている間、片方が死ぬと二度と戻れない。

 3、そのことを知るのは我々銀髪盗賊団のみ。

 

「ね、ねえ、その銀髪盗賊団やめて欲しいんだけど、私が頭になってる。あと助手くん、その仮面どこで売ってるの?」

 

 4、頭は助手の仮面が気に入った。

 5、とりあえず始めの作業はソロで始めたのだから、頭が頭だ。

 

「兄貴、とりあえず説明はいいとして、どっから進入しますか?」

「任せろ、こういうのは得意だ」

「君らさ、本業じゃないかな? どうしてそう闇夜にとけ込むのがうまいの」

「日本人特有ですよ、夜行性が多いんです」

「やっぱ兄貴とは気が合うな・・・」

 

 

 

 元と現日本人コンビによる隠密ミッション。元は元々ここでニートのように過ごしていたおかげで、だいたいの構造を把握している。

 それを元に、現日本人は元々の勘を使い、音や振動から人の動きを把握して、二人を城の奧へと誘う。

 

「ね、ねぇ・・・ほんと君ら本業盗賊じゃないかな? っていうか、君らの息合いすぎなんだけど」

「俺もここまでとは思いませんでしたよ、あっ、兄貴、人来やすぜ」

「この足音は酒かなり飲んでるな、気配消し気配消し。頭頼む」

「はいはい・・・」

 

 という感じで、盗賊スキルや彼の感覚で人をやり過ごしながら、どんどん先に進む。

 罠を見つけるのもうまく、解除もクリスがする前に解除する剣。

 カズマと共にどんどん先に進む。クリスは逆に怖いよと呟く。

 

「あっ、二人ともと言うか、兄貴くんは知らないけど、この国には協力なアイテムが二つあるはずなんだ。悪いけど、先に宝物庫見ておきたいんだけど」

「宝物庫? んな気配はないが・・・」

「まあいいじゃないですか兄貴、とりあえずこの先ぜっせ」

「助手がそう言うなら、結界の気配があるな、結界解除はできるのか?」

「部屋の前に気づこうよっ、もしも本当に扉に結界はられてたら驚くからね!?」

 

 カズマの案内で宝物庫へと向かうと、案の定結界付きで鍵かけられている。

 クリスがなんでわかるのと言うが、そういうのは長年の勘がものを言うのだ。

 ちなみに解除は結界破りのアイテムをクリスが持っている。カズマは首をひねるが気にせずに中に入る。

 

「やっぱんなもん無いぞ」

「あれ? おかしいな・・・」

「ともかくこういう場所のもんはたいてい取れば警報鳴る仕掛けだ、素人でも分かることだから気を付けろよ」

「へい兄貴、わかってますって」

 

 というものの、色々見て回るが、そんな危険な気配はない。この世界特有の道具、魔法道具程度と、漫画本しかない。なぜあるんだよ。

 

「クリス、なんで漫画があるんだ? お前んとこ、ほんとにこの世界にろくなもん送らないよな、お前の先輩滅ぼしていいか邪神として」

「お願いだからやめてお願いだからやめて」

 

 半泣きで止めるクリス。剣は少し本気だった。

 そんなことしていると、懐かしそうにカズマが本を見ている。

 

「カズマ」

「分かってますって兄貴、少し懐かしかっただけですよ」

「・・・」

「分かったって言ってるのに、なま暖かい目で手を押さえないでください兄貴」

「いや、だって」

 

 兄貴の目線を見たカズマ。それに気が付くと、ああと納得する。

 

「兄貴、さすがの俺も時と場合はわかりますよ」

「いやいや、手を伸ばすだろ? お前、手を伸ばすだろ」

「フリですね、フリですよね兄貴ッ」

「このっ、力入れ始めたな助手ッ」

「ふ、二人とも、遊んでないでなにしてるのッ」

「兄貴ッ、男なら、男なら分かるはずですよッ。それともあれですかッ、兄貴には頭がいるから問題ないんですか!? 俺は欲しいんです兄貴!!」

「頭とはんな関係じゃない、その前に姫様だろ」

「兄貴はアイリス派ですか!? なにげに手を出しててずるいです!! 本くらいいいじゃないですか」

「アイリス派ってなんだアイリス派って、姫様とは名前で挨拶すらしてない」

「挨拶すらしてないのにあんなになかれてるのか、頭がいるのに、毎晩頭と・・・ううっ」

「な、なんの妄想してるのさ!!」

 

 お互い手をつかみ合い、力を強める。こういう時は捻ればいいが、仕事に支障が起きてしまう。

 だが助手はすぐに力を抜き、一瞬の隙をついた。やはりこいつあほだから故にやる奴だった。

 そう、そしてとある年齢制限が付く本を手に取った。

 

「このバカぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「助手くんぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」

 

 

 

 侵入者に気づく城の者達、だが助手のクリエイト・ウォーターとフリーズのトラップに加えて、頭のワイヤートラップで罠を張る。

 ため息混じりで人気のない道へと先を進み、招く兄貴。

 

「どうやらこれまでだね、今日は引き上げるよ」

「待ってくれ、助手は確か、明日には王都から押し出されるんだろ?」

 

 そう、愚痴の中にそんなことがあり、助手もハッとなる。

 そんな中、兵士達の足音も強くなる。これは覚悟が必要だ。

 

「助手、お前どうする?」

「どうするって」

「冒険者+盗賊、三人組なんてその気があれば見つかるだろう。俺らは残れるが、お前は今日だけしか関われない」

「今日だけ」

「そう、今日だけ。明日にあれば屋敷でのんびりしていられるが、お前はそれでいいのか?」

「・・・」

 

 考え込む助手。だが時間はないので急がせよう。

 

「考えるってことは、姫様のこと放っておけない。それがお前の答えだ」

「!!?」

「考えたその瞬間、もうお前は答えが出ているだろ、サボりたがりのめんどくさがり屋?」

 

 その言葉に、助手は静かに、

 

「頭、兄貴、俺、たったいまから本気出す」

「助手くん?」

「・・・」

 

 そして静かに、

 

「ならその意地、乱入させもらうぜ」

 

 

 

『ブレイドギア・サンダー』

 

 雷鳴が轟き、兵士達を倒す。

 その隙に助手は倒れた兵士へとタッチする。ドレインタッチと言う、これも愚痴で聞いた、なんでもアンデットのいい人?から教えてもらった技らしい。

 

「ふっははははは、絶好調ッ、今日の俺は絶好調!!」

「仕方ない、少し本気出すか」

「ふ、二人とも、なんかテンション変だよッ!?」

「「現代日本人特有のものです」」

「そんなことないと思うよ!?」

 

 そんなこと言い合いながら、いまの二人を止められないなと奏は内心やれやれと思う。この手の輩は本気出させると厄介なのだ。

 

「ウインドブレス」

「ぐあぁぁぁぁぁ目があぁぁぁぁ」

 

『マッハ・ビート』

 

「セイッハッ」

「のあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「頭、魔法来ますっ」

「任せて!! 『スキル・バインド』」

 

 魔法を止めた瞬間、すぐに『ロック』を使う。魔法使いは岩で閉じこめられて転んでいる。

 その調子でどんどん進む銀波盗賊団。

 

 

 

 最上階の扉はワイヤートラップで塞ぐが、なんか前に弱々しい人達が意気込んでいる。なんだろう、全然驚異じゃない。

 

「どうしよう助手君、兄貴君。この数は少しまずいよ」

 

 そうですかと聞き返したくなる。これくらい、日常茶飯事で相手にしたり、レベル的に上とで、問題ないのだが。

 向こうは魔法使い一人のようで、助手が色々視野している。

 敵さんは武器らしいものは兄貴だけしかないので、こちらは騎士団の方々がとか言っているが、問題ないだろう。助手だけでも。

 と、その会話が聞こえている。よく考えれば指示が聞こえているのもどうだろうな、この世界の人達は情報一つでミスが起きるときがあることもわからないのかな?

 

「ねえところで二人とも、さっきから小僧とか坊主とか言われるんだけど、私って口元隠すとそんなに男の子っぽい?」

「大元の原因は頭のスレンダーボディのせいでしょうね」

「えっ、そんなことないですよ。顔見えないから可愛いとかはわからないと思いますが・・・あまり気にしないでくださいよ」

 

 助手が落ち込む頭を慰めながら、少しだけカズマの株上げしておくかと内心思う。

 

「これくらいの数、この前手傷を負わせてしまった奴に比べればどうさないですよ、助手、あの偉そうな剣使い瞬殺しなさい」

「へい、わっかりましたぜ兄貴」

「へえ、君ではなく彼にやらせるのか。しかも手傷と追わせた彼は、悪いが僕より下の下級職だ、検討次第も」

 

 なにか言う前に、助手の構えに警戒して、剣の構える。抜刀の状態に入る。

 どうやらスティールと言う、盗賊スキルを警戒しているようだ。そう言えばクリスのパンツ盗ったらしい。柄まで言いやがって、このことはクリスには内緒にしておこう。あっ、奏さんがいた。俺悪くないのに怒られそうだ。

 

「『フリーズ』」

 

 ナイスと心の中で思う。初期魔法のため、何かの牽制かと思う魔剣の使い手。お前はすでに終わっている。

 

 静かに近づく助手。それに気づき、攻撃のために剣を抜こうと力を込めた。

 

 だがツバと鞘が凍結されていて、剣が抜けなくなり、それにあっけにとられ、その隙に一気に終わらす。

 

 その後口元にクリエイト・ウォーターを使い、降伏宣言聞くが聞かず、仕方ないのでフリーズで口元と鼻を防ぐ。参考になるいい手だ。

 

「これくらいの手で収まれば、彼は切らずに済んだんだがな」

「おっらあぁぁぁぁぁぁぁこいつより強い奴は前に出ろ!! 兄貴の言うとおり、変に強いだけだと前の冒険者みたいに死にかけだぞぉぉぉぉぉ。頭、いまのうちですぜ」

「君って強いだか弱いんだかわからないよ」

 

 なんかよくわからないことを言うが、助手はただ、自分が使える能力を最大限に使用しているだけであり、弱くない。

 弱いと思うのは、調子に乗っている時と、敵対する奴が油断するからだろう。

 この手の輩が一番厄介なんだぞ世の中。どんな手を使おうと、必ずやり遂げる意志、それが世界すらねじ曲げたり、壊したり、滅ぼしたり、救ったりする。

 とりあえず、凍結を急いで解いている一行。魔法が来るが、助手の狙撃スキルで魔法の杖の先端を穿つ。

 

「助手、ドレインで回復しろ」

「へい兄貴。っていうか兄貴人間ですか? 底がないですぞ」

「使え使え、がんがん使え」

 

 武器を持ったもの達が迫るが、やばい使わなくても済むなと、ガングニールピースを肩に乗せたまま、足技のみで撃退する。

 流れるように進む我々に驚愕するが、気にするなと進む。

 助手は兄貴から無限の生命力を取りつつ進み、兄貴は歴戦の技を持って進む。

 無双と言うか暴走に近いほど、我々は苦も無く、アイリス姫がいる部屋を目指す。

 

 

 

「この先だろうが、正解か」

「さすがです兄貴、その通りです。女の子のいるところがわかるのですかい?」

「俺はそんなスキルねぇよ、単純に構造の問題だ。構造に問題あるな、進めば進むほど、進んで欲しくない道がわかるぞ」

 

 そんなこと話せるほど余裕はあり、兄貴がはったトラップが兵士達の悲鳴を轟かせる。それに頭は驚く。

 

「ま、魔法やスキル無しに、どうやって人を止めたり、罠はったりできるの君・・・」

「頭、俺の影縫いは緒川さんと翼からパクった技です。こんな罠緒川さんならもっと効率よくはります」

「緒川って誰っ!? 人間なのその人」

「アイドル歌手のマネージャー兼お世話係ですかね? いまはバラエティに出すのにやっきになって、翼が沖縄で野生動物探すに行くのに、一抹の不安を思いました」

「何の話、何の話なの!?」

 

 だって翼なら見つけだしそうだもん。あとは片づけられない子が発覚しないか不安なんだよ。

 そんなこと考えつつ、扉を開く。

 そこには、

 

「よくここまでたどり着いた侵入者達よっ、民を守り、国を守り、そして王族を守るのがダスティネス一族の使命っ、これよ」

 

 そっと頭と助手が扉を閉めた。

 

「頭? 助手? あの人って」

 

 とりあえず扉を開けようとしているので閉めている兄貴。

 

「バレてないですっ、まだバレてないですよ頭!!」

「そ、そうだね助手くんっ。とりあえず部屋に入ろうか話せば分かるようん話せば!!」

 

 とりあえず部屋に入るのか、うん。部屋の前の気配を確認。

 

『ドライブギア・トラック砲』

 

 とりあえず扉を爆破して、中に入る。

 使ったのはマックスフレアでそれなりに吹っ飛んでいる先ほどの女性騎士。確か防御力高いから問題ないはずだ。

 

「頭、助手、残りは防御力だけです。問題ないで」

「ああああ兄貴くぅぅぅぅぅぅぅぅんうぅぅぅぅぅぅ」

「なにしてるんだよおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 

 二人して、頭なんか涙目で文句を言う。げせぬ。

 

「これでも威力抑えてますよ、オールゼクターでないだけまだマシですよ」

「そそ、そういう問題じゃないんだよよよ」

「そ、そうだ兄貴っ、どうするんですかほんと」

「く、このてい」

 

『ガイムギア・パインアイアン・マンゴーパニッシャー』

 

 パインアイアンで後頭部を強打して、マンゴーパニッシャーは手元に置く。

 それに二人はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁと叫ぶ。どうしたんだろうな。

 

「お願いします兄貴っ、攻撃はお願いだからストップ、イエス? ストップですぜ」

「お願い・・・あとが怖いから・・・あとが怖いからお願い・・・」

 

 だが後頭部をやられても起きあがる女騎士。それになんかこっち見てん?と言う顔になる。

 そして二人は棒読みでなんか説明っぽいことしている。

 知り合いなのはわかったけど、そんなん面倒だからやろうぜと思うのはダメだろうか?

 

「こ、この賊め、このダスティネス一族が、捕縛してくれる」

 

 棒読みでそう言うが、頭がバインドで縛る。これで問題ないとほっとするが、

 

「『セイクリット・スキルブレイク』」

 

 青い髪の女、全ての元凶が得意げに現れ、魔法解いたぞ。

 ダスティネスさんも、複雑そうにしている。空気読めよ、誰も望んでないタイミングで出てきたな。

 

『ブレイドギア・ロック』

 

 仕方ないからラウズカード、ロックでダスティネスさんを捕縛する。

 

「あらなに無駄無駄無駄無駄ッ、私の前にスキルは無駄よ!! 『セイクリット・スキルブレイク』」

 

 だが岩はけして消えず、ダスティネスさんを地べたにはりつけたままだった。

 それにえっと言う顔になる神官。助手が少しぷっと吹き出した。

 

「えっ、えっ。ど、どういうことよっ『セイクリット・スキルブレイク』ッ『セイクリット・スキルブレイク』ブレイクッ、ブ~レ~イ~ク~!!」

 

 ライダーズギア、ブレイドギアでのライズカード全種類。そのロックは相手を岩で固まると言うものであり、魔法でもスキルでもない以上。無効化は効かない。

 とりあえず近づき、杖を取り上げた。

 

「ふへっ、ちょっとあんたなにする」

 

 それを全力で窓の外、中庭に突き刺さるように投げた。

 壊れていないものの、爆音が響き、地面に突き刺さる杖。神官はがくがく振るえている。

 

「よし」

 

 もう一人魔法使いがいるが、なにか憧れのヒーローにあった子供のような目でこちらを見ている。敵意はないので、とりあえず部屋の奥を見る。

 そこに凛々しく立ちはだかる、一人の姫君がいた。

 

 

 

「侵入者よ、このわたくしも代々勇者の血を受け入れ、その力を揺るぎないものとしてきた王族の一人です。そう簡単にことがはこ・・・」

 

 静かに前に出て、これはあれだなと思う。向こうは気づいたし、ここで止められる人はいない。

 半泣きでスペルブレイクをダスティネスさんにかける神官と、なぜかはわわわ~と赤面している魔術師。

 ダスティネスはこのままこのままと横になっている。

 

「その勇者の血を引く姫様、ご無礼は承知の上、その首飾り盗ませてもらいます」

「・・・あなたは」

 

 少し頬を紅くするアイリス。その様子に助手だけ何か複雑そうな顔している。

 

「頭がいるのに・・・頭がいるのに・・・」

 

 そんなあほなこと呟いているが無視だ。

 

「これは本来お兄さまに渡るはずのもの、おいそれと渡せません」

「・・・なるほど、兄に成り代わる気だったのか」

「!?」

 

 驚くアイリス姫に、前に出る兄貴。

 

「か、頭? なんか急にいいとこ取り始めてますよ兄貴。兄貴、姫様の前でいいとこ見せようとしてますが、いいんですか頭的に」

「ど、どういうことかな助手君!!」

 

 そんなことかまい無しに、兄貴が何かを言おうとする前に、

 

「!? 二人とも離れろ」

 

 その瞬間、床が壊され、二人はこちらに跳ぶ。指示に従う早さだけは早い助手。頭もあわてて、それを見る。

 

「ふっ、ふふふふ・・・さすがに焦ったよ」

 

 魔剣を持つ剣士、口周りが血だらけであり、余計なタイミングで復活してきたようだ。

 

「さすがにまずい、助手君!? このままテラスに入りながら逃げ」

 

 だがその前、騎士団も流れ込む。それにさすがに焦る三人。

 

「罠は悪いが、僕が全て壊して進ませてもらった。もうここまでだよ」

「・・・」

 

 それを静かに聞くが、はあとため息を混じる。

 

「弱者がきゃんきゃん吼えるな」

「!?」

 

 もう我慢の限界だ。

 

「ただ魔剣を振るうしか価値のない者が、いい加減にしてくれ。貴様らの節穴のせいで、こっちは流儀をねじ曲げながら来てるんだ」

「な、なにを言ってるんだ君は!?」

「兄貴まずいですよ!! 向こうはもう魔剣を」

「抜いてても、この程度の使い手、いや、この場に俺に勝てる者なぞいない」

 

 そう言って、すっと前に出る。剣士はそれに不愉快に思ったのか、剣を振り上げた。

 

「いいだろう、その傲慢を叩ききる!!」

 

 だから遅い。

 

 剣を掲げた魔剣使い、剣の柄を蹴り上げ、簡単に手放した。

 

 それにあっけにとられたが、すぐに魔剣を手に取る。

 

「「えっ・・・」」

 

 その時、二人の女神は目を疑った。

 

 魔剣グラム、神の命により、この者を主と定めた。

 

 だが、いまグラムはその者、生きてきた覚悟と執念に心奪われた。

 

「魔剣とはこう振るう」

 

 魔剣グラムは神の命に背きたくなった。これ以上の担い手は存在しないのだから仕方ない。

 

 剣が光を放ち、部屋を吹き飛ばした。

 

 だが人や物は何も傷付かず、ただ一人、白目の男はその場に倒れる。

 

「ただの誇り程度で俺に勝てる者なぞいない」

 

 そして魔剣は捨てる。魔剣は悲しそうに光り、仕方なく前の主へと戻る。

 

 騎士達も武器や鎧が砕かれていた。魔剣の力が完全、それ以上に引きずり出された結果の偉業に、開いた口がふさがらない。

 

「あの屋敷にいた奴のように、動ける者はいないか」

 

 その言葉にはっとなるもの達が何人かいる。単純に真実のみ言う。

 

「あれはすぐに動くから切り伏せた。生きててくれて、いなくてよかったよ」

 

 そう言って、すぐに頭と助手に駆け出す。

 

「このまま逃げる、スティール頼む」

「あ、うん!!」

『『スティールッ』』

 

 動き出す騎士団の中で二人は叫ぶ。二人の手には、神器はない。

 

「しまっ」

 

『ブレイドギア・シャッフル』

 

 手元の物を取り替える能力。本来はライズカード同士だが、自分の場合は手に持つ物を取り替える能力になっていた。

 シャッフルで入れ替える。頭の手に首飾りがあり、助手の手にはハンカチ、兄貴の手には指輪が交換された。

 

「待ちなさい賊!!」

 

 と神官がなにか得意げに宣言する前に、

 

『クウガギア』

 

 拳に雷鳴と暗闇が纏われ、頭の手に持つ首飾りを殴り壊す。

 

「!?」

 

 頭は驚くが、一瞬悲しく、そして諦めた。

 自分の判断に納得してくれたらしい。

 神官ははいぃぃぃぃぃッ!?と叫んでいるが無視して、テラスから飛び降りた。

 

『ブレイドギア・フロート』

 

 空を飛び、二人を抱えて逃げる。

 こうして危険な神器は破壊して、その場から去っていった。

 後日、銀髪盗賊団、黒ローブの魔法剣士は、頭より高い賞金首になるのは別の話だった。

 

 

 

「いったたたたたたた」

「だ、ダクネスストップっ、ストップ!!」

 

 アイアンクローされている二人を見守る剣。奏と共にあーあと思う。

 彼女には色々と説明したし、その後の話を聞いた。

 どうも色々大変であり、その後の処理も大変だったらしい。大事なことだから二度言わされる。

 

「ともかくだ!! アクアが言うには危険なものだったという話でまとまった。だがクリス、お前は急いで逃げろ、我々もすぐに王都から出る」

「はい・・・」

「へいへい・・・」

「それと剣か、君は何者だ? 魔法を使える剣士で、格闘家なんて知らないし、アイリス姫なんかそのな・・・」

 

 俺のアイリスがぁぁぁぁぁぁぁぁぁと叫ぶカズマは無視して、剣は遠くを見る。

 

「ただの乱入者だよ、それより、俺こいつ返したいんだけど」

 

 そう言って指輪を見せる。シャッフルで交換したものだ。カズマもアイリスのハンカチを持ち出すが、ダクネスは青ざめてその指輪を見る。

 どうやらアイリスが婚約する相手に渡すと言う大それた物らしい。そうかいと思いながら、指輪を懐にしまう。

 

「その辺に置いても無駄だし、俺の手元にあれば、アイリスが誰かと婚約せずに済むか、なら持ってよう」

「そう言ってアイリスにまで手を出すんですね剣さん」

「俺をお前のように扱うな、手に入れた本燃やせ」

 

 カズマが手に入れた本は燃やされ、クリスと共に王都から出ることになる。

 しばらく王都の外に出ると、クリス、いやエリスは呟く。

 

「壊さなきゃ、いけなかったかな」

「他人の人生を奪うしか思いつかないぞあの道具、だから壊した」

「・・・」

 

 それを言われ、黙り込む。そして、彼女は恐る恐る訪ねる。

 

「私は、私達神は、間違ってるのかな・・・」

「ああ」

 

 即答した。エリスが聞きたくない答えを即答した。奏は静かに黙り込み、すでに離れた位置にいる城を見る。

 

「カズマだけだな、この世界が俺の第2の人生だって顔の転生者。魔剣の奴は英雄のつもりだが、つもりってことは、この世界は自分の世界として見てない」

 

 魔剣を振ってるだけの子供が、戦いの場にいる。それを受け入れている世界だが、

 だが、

 

「カズマが言ってたよ、アイリスは、学校に行って、同い年の子とお話ししたいって。けど、魔王のせいでできないんだってさ。最後のゲームの決着とか約束してのに、役に立たない下級職の冒険者は、アイリス姫の側に相応しくないらしい」

 

 そんな中、これは城にいるバカな弱者に対する怒りだった。

 

「名誉なんてもので人の命は救えない、正直カズマのやり方生き方の方が正しい。実際カズマは城で無双した。盗賊スキルと相性が悪い? 分かってるのなら改善しろと言いたいね城の連中に」

「・・・君は」

「世界を救えるのはこの世界に生き、根を張っている命だけだ。俺のような異物がしゃしゃり出たり、それに頼る時点で、その世界で誰も生きてない」

「!?」

 

 魔剣に頼っている彼奴も、魔剣が無ければカズマ以下だ。なぜならば魔剣以外の方法を考えていない。

 だがカズマは違う。考えてる、考えて自分第一にしているが、いいバカだ。

 一瞬カズマと響がかぶる。まあ絶対に会わせない、色々な意味でゲスマと会わす気はない。

 

「良くも悪くも、この世界は彼らの世界だ。俺は救えない、この世界を救えるのは決まってるんだ」

 

 そう言いながら、前を向く。そう、決まっている。

 

「この世界で生きている奴だけだ」

 

 エリスはその言葉を胸に刻み、静かにその背を見ている。

 

「それでも」

 

 奏はそう、エリスに耳打ちするように、

 

「身勝手でも、偽善でもいいから、乱入して手を貸したい。それが彼奴の生き方なんだよ」

「・・・」

 

 エリスは少しだけ彼を見る。何を思い、何を考え、戦っているのか。

 

(いつか、また時間があるときに・・・)

 

 それがきっと、この世界のためになる答えを知ることができる。そう考えるエリスは、静かに立ち去った。




アイリス姫は静かにブレスレットを見る。
指輪のかわりに自分が持っていたものだ。シャッフルと言う言葉の意味はわかる、つもり交換されたのだろう。
「・・・剣・・・お兄さま」
 カズマから聞かされた名前を口にしたとき、姫の頬は紅く染まっていた。

「・・・デス?」
「気のせいか、剣がやらかした気がする」
「・・・よししめよう」
「クリスちゃん達どうしたの?」

ちなみにブレスレットは響などのプレゼント用に買ったものである。目立たない魔法の護符的なもので、お土産程度にしか考えていない。
それではお読みいただきありがとうございます。
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