その日俺はお腹が空いたのでコンビニに行っていた。
いつもどうりの日常、いつもどうりの食事、いつもどうりの帰り道。
変わることのないそんな日々に生きている意味を感じず、
されど変えようと努力する事も、ましてや死ぬ事も出来ずにいた。
「何て、意味のない事思ってもどうしようも無いしな…」
嘘だ
本当は解ってる
努力すれば何かは変わる
何らかの意味は得られる
ただ何もしてないだけだ
何かすれば人並みの意味は得られる、解っていても動けない、
別に平穏な日々の良さを知っているわけでも無く、
ただ何もしていない、求人誌を取っていくのも唯の言い訳。
「さて、帰ったら飯食って風呂入って寝るか。」
駄目だ、暇すぎて独り言をブツブツ言う危険人物になっている。
「ただいま」
帰ってきた、トラックに挽肉にされる訳でもなく、
光る魔法陣に異世界に飛ばされる事も無く、平穏無事に帰ってきた。
「………」
今日は気分がいまいち上がらず、
変なことばかり考えてしまう。
「眠れない…」
寝すぎだろうか、
「………」
やはり暇なので、いつもどうりゲームをする事にした。
ゲームのなかのキャラクター達は辛い目に遭う。
だけどそれを乗り越え強くなれる。
自分はどうだろうか、彼らみたいに辛い目に遭っても乗り越えられるだろうか。
「無理だな」
こんな風に腐っている自分じゃ無理だ。
…そろそろ寝よう、
明日になればこんな気持ち忘れていつもどうりに生きられる、
いつもどうりの日々を送れる。
そして眠った。
そして起きた、
やはり天井もいつもどうり、変わらない。
急に起きるのが面倒くさくなった、
このまま二度寝しよう。
変な夢を見た気がする、気がするだけで思い出せない、
「腹減った…」
そして、起きて、気づく、異常。
見たことのない、場所。
着た覚えのない、服。
有り得ないと思っていた異常。
空想していた、異常。
くだらなかった筈の妄想が、
確かに俺を、笑った、気がした。
周囲を見回す、よくありそうな、有り得ない、森。
夢の中で見た気がする。
気がするばかりだなと自分を笑う。
少し落ち着いた、森の音、草木の臭い、川の音。
「水…」
川に向かう、着物にしか見えない服に、疑問を感じながら…
警戒しながら川を見るが、誰も居ない。
密かに期待していた、川で何かしている人は居ないようだ。
水を飲んで居ると、頭に浮かぶ可能性。
川に浮かぶ自分の姿は、
みしらぬ普通の男だった。
「………」
テンプレに喜べばいいのか、あまり変わらない自分の姿に安堵すればいいのか悩んでいると。
「だれなのだ~?」
おもわず振り向くと、
「ぇ…」
モニターの奥の住人が居た。
ルーミア、東方のキャラクターの一人、宵闇の妖怪。
闇を操る程度の能力を持っている。
姿は金髪で赤目、背丈は子供ぐらい。
「どうしたのだ~?」
その声に正気を取り戻し、
「」
「?」
なんと喋ればいいのか解らず固まる。
言い訳をするならば久しぶり過ぎたのだ、
会話が。
そんな情けない姿を晒していると。
「もしかしてしゃべれないのか~?」
凄い勘違いをされていた。
「しゃ、喋れる、ちょっと固まっていただけで…」
「そーなのかー、それでだれなのだー?もしかして食べてもいい人間?」
「食べるのは勘弁してくれ!俺の名前は雪斗、氷月 雪斗だ。」
「ふーん、私の名前はルーミア、宜しくなのだー!」
焦った、そう言えば人喰い妖怪だったな、ルーミアは。
「なにしてたのだ~?」
「途方に暮れていたかな…」
「そうなのかー」
事実である、なにせ情報が全く無い。
行動の指標が無いのである
「?」
「あー、人里を目指して居たんだけど、迷ってしまって…」
「それならあんないするのだー!」
「本当か!助かる!」
有り難い、これで何とかなりそうだ。
「そのかわりー、」
「なんだ?」
「少しかじらせてほしいのだー!」
「頼むから止めてくれ。」
不安になって来た。
問題なく着いた。
「ついたのだー」
「此処が人里…」
何度も夢見た場所。
「はいらないのかー?」
「ああ、そうだな…」
緊張する、頭がグワングワンする。
足が震える、此処で生きなきゃいけないのだ。
そう考えると、急に体が重くなった。
「早くいくのだー!」
「ぅえっ!?」
急に引っ張られた、動かない俺に痺れを切らしたらしい。
ことわざを思い出した、安ずるより産むが安し。
今の俺にぴったりだと思った。
知らない場所、知らない光景、
よくない事とは思いつつ、ついきょろきょろしてしまう。
「あははっ!挙動不審なのだ~」
「うぐっ」
仕方無いだろう、心の中で言い訳する。
ついさっきまで引きこもりだったのだ。
「所でいつまでついて来るんだ?」
「んー、雪斗が何処に住むか決まるまでなのだー!」
ルーミアは優しい妖怪のようだ。
「じゃないとかじりにいけないのだー」
「勘弁してくれ…」
戸締まりはしっかりしよう。
「それで此処に住むにはどうすればいいんだ?」
「しらないぞ~?」
思わず固まった、どうしよう。
「何か無いのか?頼れる人とか…」
「それならけーね先生がいいのだー!」
「慧音さんか…」
上白沢 慧音、ワーハクタク、
銀色に、緑が線のように入った髪をしていて、
学士帽に似た帽子をかぶっている。
確か人里で寺子屋をやっているはず。
「その人なら何とかしてくれるのか?」
「たぶん!」
不安だ…
「成る程、つまり人里に住みたいがツテがないのだな?」
「はい、何とかなりますかね…」
寺子屋に着いたが、早々にルーミアは出て行き、
つい正座しながら嘘を交えつつ現在の状態と願いを話ている。
「そうだな…よし、ルーミアの頼みでもあるし…
私が何とかしようじゃないか!」
「有り難う御座います!」
「ただし!ちゃんと働いて、認められるようにするんだぞ」
不安だが、やるしかあるまい。
「頑張ります」
「そこまで気負わなくても大丈夫だぞ?」
緊張を見抜かれたらしい。
「所でもし良ければ何だが…寺子屋で働いてみないか?」
「はあ…」
「少々手が足りて居なくてね、仕事の当ても無いのだろう?
急な話だが考えて貰えないだろうか?」
「いえ、少し驚いてしまいまして…
自分でよろしければ、どうぞ宜しく御願いします」
「此方こそ宜しく頼む」
これで、とりあえずの生活の目処がたったが…
これからどうすればいいのだろうか。
不安はいまだ晴れなかった。