それから連れていかれた美遊の方のシーンも一緒に書いています
それでは、楽しんでくださると幸いです
シロは、地面に魔力弾を放つと煙が辺り一面を覆い隠す。そしてシロは、煙に乗じて逃げていった。煙が晴れたころには、その場にはシロも美遊の姿も無かった。
「凜さん、大丈夫?」
イリヤは、凜の元に駆け寄っていく。クロも緊張を解いたのかその場に座り込んでしまう。地面に倒れていたバゼットがゆっくりと立ち上がった姿を見たクロは、驚きを隠せなかった。
「あなた生きていたのね……。」
「ええ、何とか。しかし危なかったです。私じゃ無かったら、きっと死んでいたでしょう。」
「さすがと言うか何と言うか、あなた凄いわよね。正真正銘バーサーカー女って感じね。」
「私は、大丈夫だけどかなりマズい状態になったわね。こっちの戦力は、美遊を取られた上にイリヤは戦闘を出来ない状態。バゼットもこんな状態。万全の状態での戦闘は、望めないわね。」
「私にとってあのシロとの相性は、最悪としか言えませんでした。空中に飛ばれてしまっては、手の出しようがありません。」
「何をするにしてもとりあえず、体勢を整えるのとあいつの要求を飲むにしても一度戻るしか選択肢は、無いんじゃない?」
クロは、冷静に物事を判断し次打たないといけない手を次々と出していく。皆もその意見に賛同していく。ただ一人を除いて……。
「私は、反対ですわ。」
「ちょっとルビア、何を言ってるのよ! あんた、とうとう頭がおかしくなったんじゃないの?」
「好きに言ってくれて構いませんわ。だけど、私は今すぐにでも美遊を助けに行きますわ。別に誰かの手助けなどは当てにしておりません。」
いつものルヴィアと違い、今回は凜の罵りもまるでどうでもいいと言っているかのようだ。クロは、そんなに追い詰められていることに気付いていたがルヴィアの覚悟をあざ笑うかのように高笑いをする。
「ルヴィア、あなた無駄死にするつもり?」
「確かにそうかもしれませんね。私の大切な妹を自分の失態で人質に取られたことが悔しいんですの。私は、今すぐにでも美遊を助けないといけない義務がありますの。凜、そこを通してくださるかしら?」
「それは、ちょっと出来ない相談ね。どうしても行くって言うなら私を殺してから行きなさい!」
「ちょっと凜さんまで何を言ってるの!」
ルヴィアが行こうとする道を凜が阻む。本気で戦闘をするつもりなのか凜の手には、宝石が何個か握られている。凜は、戦闘すること自体に戸惑っているのか額に少し汗を掻いているのが分かる。
「はいはい。喧嘩をするならどうぞお好きにと言いたいところだけど、今はそんな悠長に構えれる時でも無いでしょ。ルヴィアだって分かってるんでしょ。一人じゃ美遊を助けれないってことぐらい、誇り高いエーデンフェルト家のお嬢様でも自分の立場を自覚ぐらいしなさいよね。凜だってお金が無いのに無駄に宝石を消費しないでちょうだい。私たちの戦力が激減してる今、貴重な戦力を失うのは得策とは言えないんじゃないの?」
「そんなことは、分かってますわよ。理性では分かっていましても、我慢なんか出来るわけ無いですわ。私にとって美遊は、大切な妹なのですから……。どう言ってもここを通してくれないんですのね……。はぁ、分かりましたわ。今回だけはあなたに従いましょう、遠坂凜。感情的になってしまい申し訳ございませんでした。」
「ふん、分かればいいのよ。とりあえず、車の中で今後の打ち合わせをしていきましょう。サファイアもルヴィアも冷静にはいられないと思うけど、我慢してちょうだい。必ず美遊を助けて見せるから。」
「凜様、よろしくお願いします。私も可能な限り力を貸させていただきます。」
「バゼットが一番、戦闘してたんだから相手の情報を教えてほしいんだけど、良いかしら?」
「もちろんです。今回ばかりは、私一人では手に余ります。」
「ありがとう。助かるわ。それじゃあ、すぐに移動するわよ。」
凜たちは、ルヴィアの車の方へと急いで移動をしていった。
◇ ◇ ◇
「美遊、起きて。」
シロは、美遊の体を優しく擦っている。美遊は、「うぅ……」と返事をしながら、ゆっくりと目を開けた。
「おはよう美遊。怪我は、一応治癒の魔法をかけておいたけど大丈夫?」
シロは、心配するように美遊の顔を覗き込んでくる。
「あなたの目的は何? どうして私を誘拐したの?」
美遊は、シロを敵だと認識しているせいかまともに話をする気すらも無いような雰囲気を醸し出している。
「美遊、少し落ち着いてよ。そんなに慌てなくても一つ一つずつ答えるから。私の目的は、聖杯だよ。だけど、美遊をどうこうするつもりは無いよ。私の大好きな美遊をどうこうするなんて出来るわけ無いよ。どうして誘拐したかの質問の回答なんだけど、それはね……。美遊には、悪いけど人質になってもらうためだよ。」
「そう……。聖杯が目的なら私を使えば早いじゃない!」
美遊は、自分の存在がどんなものなのか把握していたからこそすぐに自分のことを軽視してしまう。自分を大事にしないのを許せないのかシロは、美遊の頬を叩いていた。
「美遊、そんなに軽はずみなことを言わないで……。美遊には、まだもっとやりたいことがあるんでしょ。なら私を使えなんて自分の命を軽視するような発言をしないで。私は、美遊を守りたいんだから。」
シロは、涙目になりながら力強く訴えてくる。その言葉に力がこもっていたせいかそれ美遊は、素直に「ご、ごめん。」と謝ってしまっていた。敵にこんなことを言われたのか初めてなのか美遊は、戸惑っていた。
「私ね……イリヤの記憶も持っているんだ。イリヤと美遊が友達になったのは、”アサシン”との闘いの前の二人が学校を休んでイリヤが美遊がメイドでイリヤが遊びに来ただよね。偽物と言ってもイリヤの情報を集めて構成されているんだからね。だから、私はイリヤが美遊に向けている気持ちも全て知っているんだよ。聞きたい?」
美遊は、その甘い言葉に首を縦に振りかけていた。すぐに我に返り冷静さを取り戻す。再びシロを睨んでくる。
「美遊、もう少し警戒を解いてくれても良いんだよ。むしろ警戒を解いて欲しいな。少なくとも今の私には、あなたをどうこうするつもりは無いのは嘘じゃないよ。そうじゃなかったら、私は今すぐあなたを聖杯として使っているんだからね。もっと私を信用してほしいな。」
「私は、イリヤを傷つけたあなたを一生許すつもりは無い。」
「そっか。なら美遊には、イリヤを本当の気持ちを教えてあげない。少なくとも私は、嘘は言うつもりは無いよ。」
美遊にとってイリヤは、イリヤ一筋だからこそイリヤの気持ちを知りたくなってくるのを知っているのかシロは煽っていく。美遊は、煽られているのを知っていても気になってるせいか首を横に触れずに考えてしまっている。
「うぅ……」
「ねぇ、どうする?」
「し、知りたいです。」
美遊は、ボソッと小さな声で言ってくる。美遊の顔は、真っ赤なリンゴみたいに朱色に包まれている。シロは、ニヤニヤしながら「ごめんね。聞こえなかったから、もう一度言って欲しいな。」と美遊の顔を見て楽しんでいるようだ。
「私のことどう思っているか、イリヤの気持ちが知りたい。」
「ようやく美遊の本音が聞けたよ。実は、イリヤの気持ちわね……」
耳打ちをしながらイリヤの気持ちを言っていく偽イリヤ。それを聞いた美遊は、嬉しそうな表情をしていく。
「これでイリヤの気持ちを分かった?」
「そんなことを考えていたなんて……。」
「美遊のお願いを聞いたんだから、今度は私のお願いを聞いてくれる?」
「イリヤや私の仲間を傷つけなければ……。」
「大丈夫だよ。私は、美遊の手を汚して欲しいと仲間と戦わすなんてしないよ。美遊が誰よりも優しいのは、他でもない私が一番知っているからね……。」
「それで私にお願いは何?」
「実はね……」
その内容を耳打ち再び美遊の顔は、赤くなっていく。
「やってくれる?」
「う、うん。」
最後に美遊に何をお願いしたのかは、おいおい分かっていきます。
それでは、次の話を楽しみにしておいてください