今回は、前回の続きの作戦会議が終わってからの場面となっています。
それでは、楽しんでいってくれると嬉しいです。
「とりあえず、作戦会議はここまで。時間までは、みんな好きにくつろいでちょうだい。以上、解散!」
話が終わるとそれぞれが好きに動いていく。
「ママ、これからどうするの?」
「どうするって?」
「一度、家に帰るかどうかってこと。」
それを聞くと納得したように「あー、なるほど。」と言いながら両手を合わせる。
「そうね……。ねぇ、ルヴィアさん。」
「何でしょうか? シェロのお母様。」
「私たちもここでご飯を一緒しても良いかしら?」
「ええ、構いませんわ。むしろ、ご馳走させていただきますわ。」
するとルヴィアは、すぐに会議室から出て行く。凜とバゼットは、再び二人で作戦の内容を考え直しているのか頭を悩ませている。
「こーら。」
アイリスは、凜とバゼットの頭を叩いた。凜は、痛そうに頭を押さえているが、バゼットは気にしていないのか無視している。
「アイリスさん、どうしたんですか?」
「私たちのために頭を使ってくれるのは嬉しいけど、ここまで来たら作戦よりも臨機応変さが重要になってくるものよ。だいたい私の作戦通りに動いてくれる保証何てどこにもないのよ。それに美遊ちゃんとの交渉が何の事かも分かっていない。それならここで頭を使わずに休ませておきなさい。その大事な頭は、戦闘の時で使って欲しいわ。分かった?」
アイリス言葉に否定できなかったのか凜とバゼットは、大人しく首を縦に振っている。イリヤは、二人を納得させたことに驚いているようだった。
「それじゃあ、先にお風呂に入りましょう。イリヤちゃんは、服を着たままになるけど一緒に入る?」
イリヤは、服装を見るとまだ魔法少女の服装の状態だった。だが、ルビーがたくみのあるような笑い声をあげている。
「奥様ご安心ください。私を侮ってもらっては困りますな……。」
するとイリヤの服だけが光っていくことにイリヤは驚きを隠せない様子だ。そして服の全てが一瞬に消えて裸で何も理解できていないイリヤがそこに立っていた。
そして一瞬の間が空いた後、自分の状況を理解したのか恥ずかしそうに悲鳴を上げて座り込んでしまう。アイリスもあまり出来事に「あらまぁ。」と声をあげてしまう。
「ちょっとルビーいきなり何するのよ!」
「だってお風呂に入るんでしょう? それなら、さっきの格好じゃ入れないじゃないですか。」
「それは、そうだけど……。何も今すぐ脱がすことは、無かったんじゃないかな!」
「そんなことは、ありません。私のことを信じて無かったでしょう。イリヤさんには、その罰をしただけです。」
イリヤは、裸の状態でアイリスなどのことを無視してステッキと言い争っている。凜たちは、呆れているのかため息を吐いている。
「そろそろお風呂に入らないとご飯になっちゃうんじゃ無いかしら?」
「そうですね。イリヤ、そろそろお風呂に向かいましょ。」
「はーい。」
イリヤは、恥ずかしそうにしながらも裸の状態で大浴場まで歩いて行った。大浴場に入ると片手しか空いてないのか体を洗うのを苦戦してしまっているイリヤを見てクロが少しイライラしたのか、イリヤの元まで歩いて行く。
「イリヤ、片手で洗いにくいんでしょ! それなら私に言ってくれたら、洗ってあげるのに……」
クロが少し恥ずかしそうに言うとイリヤも素直に「ありがとうね。それじゃあ、お願いしようかな……。」と少し恥ずかしそうに返している。
アイリスは、そんな仲がよさそうな二人を見て微笑んでいた。凜たちは、逆に約束の時間に近づいているのか緊張した面持ちでお風呂につかっている。
イリヤの体も洗い終わるとクロとイリヤもお風呂に浸かりに行く。お風呂に浸かり始めて数分後に一人のメイドがノックをして入ってくる。
「おくつろぎの所、申し訳ございません。お食事の用意出来上がりましたので、お呼びに参りました。」
メイドは、それだけ言うとすぐに立ち去ってしまう。
「お夕飯も出来たみたいだし、それじゃあ出ましょうか。」
イリヤたちは、お風呂から出ると着替えてすぐにリビングに向かって歩いて行く。リビングにたどり着くと豪華な料理が並んでおり、思わず声が漏れてしまう。
「ご飯を食べましたら、移動しますわよ。ですので、ゆっくりとお食べ下さい。」
「それじゃあ、私もいただいて良いかな?」
「良いですわよ。ってどうしてあなたがここにいるのかしら?」
ルヴィアの背後にシロが立っていた。ルヴィアを無視して手を振りながら、イリヤに「こんばんは。」と挨拶をしている。そして、シロはアイリスと目が合ったのか一段と嬉しそうな表情をしている。
「ママも来てくれるんだね。ありがとう。だけど、ごめんなさい。こんな卑怯なやりかたになってしまって……。そうそう今回は、ルヴィアとイリヤに用事があったんだ。ルヴィア、美遊が食べるご飯を用意して欲しいの。出来ればお弁当的な簡単な物だと助かるかな。それからイリヤには、これを少し返そうと思ってね。少しだけついて来て。」
ルヴィアの返事を聞く前にイリヤの手を引いてリビングのドアを開けて出ていく。扉の出て少し曲がると人目に付きそうな場所に移動する。
「ちょっとあなた、どういうつもり?」
「んー、私を庇ってくれたお礼をしようと思って。」
イリヤが「お礼?」と言おうとした瞬間、シロの唇でイリヤの唇を塞がれてしまう。そして、舌を絡ませながらどんどんと深いキスをしていく。。イリヤは抵抗しようとしているが、シロの力の方が強いのか反抗できなくなってしまう。
「あなた、ちょっといきなり何するのよ!」
「これで少し魔力を回復させてあげようと思ってね。私と戦っている時に少し魔力を消費したでしょう? お願いだから、あんな無茶はしないで。イリヤが死んだら美遊が悲しむんだから。美遊の悲しませることだけは、絶対にしないって約束して?」
イリヤは、勢いに押されて「う、うん。分かった。」と返事をしてしまう。だがその言葉に力がこもっていないのか逆に偽イリヤを不安にしたようだ。
「ダメ。ちゃんと私の目を見て言って。そうじゃないと信じられない。」
「……どうして、そこまで美遊のために? そこまで泣くくらいに辛い思いまでして、どうしてそこまで……」
シロの目には、涙が溜まっていた。それを見たイリヤは、自分が一体誰と闘っているのか、これからどうして目の前にいる偽イリヤと闘わないといけないのか不思議に思えてきてしまう。
「どうして……そんなの決まってるでしょ! 私にとって美遊が誰よりも大切な存在だからよ! そんなことも分からないなんて、お姉ちゃんには少し失望したわ……」
そういうとシロは、再びリビングに戻ってしまう。リビングに戻る瞬間にシロは、誰もいないはずの反対方のドアの奥側を見て中に入っていった。イリヤは、一人置いてけぼりにされて少し考えてしまう。
「あぁ、もう何か腹立つ。急に出てきたと思ったら、勝手なことばっかり言ってまたフラりとどこかに行って……」
「何だかデジャブを感じますね。とりあえず、私たちも戻りましょ。」
「そうだね……。」
「ちょっと待ちなさいよ。」
中に戻ろうとするとイリヤの手を誰かが掴む。とっさに振り返るとクロが手をつかんでいることに気付いた。そしてイリヤは、戻ろうとするのをやめてクロの方に向き直る。
「どうしたの、クロ?」
「『どうしたの?』じゃないでしょ! どうしてあの時、あなたの言葉を伝えてあげなかったの! 次会った時は、必ず伝えてあげること良い?」
「クロは、どっちの味方なの?」
イリヤの質問の意味を一瞬理解できなかったのか、「は?」と不機嫌そうな返事をしてしまう。イリヤの考えていることとクロが言っていることは、ずれているような感じがしてしまい、余計に腹立たせてしまう。
「どっちの味方? そんなの決まってるじゃない。私は、イリヤの味方よ。でもね、私はあいつが失望したって言ってる理由も分かるつもりよ。少なくともあなたよりは……ね。だけど、これはイリヤに聞かれた質問だから私に解答権なんて無い。必ず返事だけは、してあげなさいよ。それがあいつの生まれてきた理由になるかもしれないんだから……。」
クロの言葉に理解できていないのか、それでも「う、うん。」と曖昧な返事で返してしまう。クロは、イリヤの態度が気に入らないのか少し不機嫌なまま中に戻ってしまう。
「私ってそんなに曖昧ななのかな……」
「私は、そうは思いませんよ。決意が決まれば、とても良くなりますからねー。それでも決意が鈍っている間だったり途中の時は、たまに曖昧な時があるのかもしれませんね。だけど、今回はクロさんが怒った理由が何となく分かると思います。」
「適当に返事をしたから?」
「そうです。イリヤさんの返事は、流されたような返事の仕方をしていました。少なくとも彼女は、冗談や嘘を言ってるように見えませんでした。それをイリヤさんは、適当にあしらったんです。」
「私は、別に適当にあしらったりなんて……。」
「イリヤさんはそうかもしれませんが、彼女がどう捉えるかは彼女自身です。少なくとも今回は、イリヤさん自身で答えを見つけて彼女に伝える必要がありますよ。」
「わ、分かってるよ。」
「そろそろ、戻りましょう。ごはんが冷めちゃいますよ。」
イリヤが戻ると全員が席についていた。しかし、そこにはシロの姿は無かった。何個か席は空いていたが、料理が置いてある席は一つしかなく大人しくそこに座る。クロは隣に座っていたが、その間にはまるで分厚い壁のようなものを感じた。
「ようやく来ましたわね。それじゃあ、いただきましょうか。」
ルヴィアが仕切ると皆、手を合わせて「いただきます。」と言うと手近な料理から食べていく。だが、クロだけ落ち着かないのか周りを見回している。
「クロちゃん、どうしたの?」
「何でもないわ、ママ。」
アイリスもクロを心配したが、何でもないと聞くと返事もせずに料理の続きを食べ始める。
「あっ、そうだイリヤ。」
「何?」
「シロと何を話したの? やけに遅かったようだけど……」
「えーと、それは……」
クロの方を一瞬見ると関係の無いことのように黙々と料理を食べている。
「実はね……」
だが話そうとした瞬間、クロの左手から剣が出てきてイリヤの首元で止まる。
「クロ、一体どういうつもりなの!」
凜がクロに叫ぶ。クロは、さらに機嫌を悪くしたのか凜の方を一度も見ずにイリヤの方を見ている。
「凜は、黙ってて! 他人ばっかり頼ってるから、自分自信を意見を出せないんでしょう。その腐った根性、今ここで私が切り落としてあげましょうか?」
「そ、それは……。」
「もう良い。私は、私なりにさせてもらうわ。」
クロは、呆れたのかそのまま席を立ってリビングから出て行こうとする。それをとっさに凜は、止める。
「ちょっとどこに行くつもり?」
「どこだって良いでしょう。でも安心して作戦は、ちゃんとやってあげる。ママは、私がちゃんと守るわ。それで良いでしょう?」
返事を聞く前にクロは、リビングの扉を開けて出ていく。クロは、出ていくとそのまま屋敷の外に出た。外に出るとすぐにルヴィアの屋根の上の方を見上げる。
「やっぱりクロお姉ちゃん、イリヤお姉ちゃんと喧嘩したんだ……。仲良くしないとダメだよ。」
「あんた、あんな酷い事されたのにあいつのことまだお姉ちゃんって呼ぶのね……。それで私に用って何? だからテレパシーなんて飛ばしたんでしょう。本当あんた、滅茶苦茶ね。」
シロは、屋根の上から飛び降りるとクロの目の前まで歩いて来る。クロは、少し警戒したように睨んでいる。そして額には、少し汗が流れている。
「そんなに警戒しなくても良いよ。テレパシーでも言ったように私は、お礼がしたいだけだよ。クロお姉ちゃんは、イリヤお姉ちゃんとは違って私のことをちゃんと分かってくれたし。そして助言も言ってくれた。そのお礼にその呪い解除してあげようと思ってね……。」
シロは、クロのお腹にある呪術を指さしながら言ってくる。クロは、既にバレているのを悟って服を少し上げて呪術を見せる。
「呪い返しも出来るけど、そんなことはしないよ。だってそれは、クロお姉ちゃんを望まないと思うからね。だけど、その紋様が消えると完全に解除したってバレちゃうね。だから効果だけを消して、紋様だけは残しておこうか?」
「別に効果が無いなら、残しておくだけ無駄だわ。それならいっそのこと消してちょうだい。」
「うん。分かったよ。」
シロは、クロの呪術の紋様に手を伸ばす。そして触れると一瞬で解除されて、紋様も消えてしまう。
「はい、おしまい。だけど、これだけでお礼良かったの?」
「ええ、十分よ。これで私は、あいつを殺すことが出来るわ。」
「美遊を悲しませるようなことは、しないでね。美遊を悲しませたら私が許さないからね……。」
シロは、言葉に殺意を込めて睨みながら話してくる。その殺意にクロ自身も一瞬、体が震えてしまう。
「美遊が悲しむような結果になるかは、あの子次第よ。それだけは、分かって頂戴。」
「安心してよ。そこは、ちゃんと理解してるよ。約束通り解除したから私は、そろそろ行くね。穂群原学園で待ってるからね、クロお姉ちゃん。」
そういうとシロは、また一瞬で姿を消した。クロは、空を眺めてため息を吐いた後すぐにルヴィアの家から出て行った。
いかがでしたでしょうか?
また投稿が遅くなったりするかもしれませんが、楽しんでいってくれると嬉しいです。
次は、とうとうシロとの決戦が始めっていきます。
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