オーバーロードは時を超越する   作:むーみん2

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後半の一部がちょっと狂気度が高いです。お気をつけて


19.ナザリックにて

――00:00:01

 

「るし★ふぁーさん!!!!!!」

 

 モモンガが大声を上げたと同時に久方ぶりの強制的な精神の沈着が起きた。

 

 不快な物だったと記憶していたが、焦燥している今、冷静になれる、これほど有り難いものはなかった。

 

「如何なされましたか、モモンガ様?」

 

 アルベドからの声だ。問題なく異世界へ来たようだ。

 

「うおぉ、まじかよ……」

 

 仲間たちから驚嘆ともとれる声が漏れたのを聞こえた。本来であれば、仲間たちと共に異世界に来たことを語り合いたい。だが、今はそれどころではない。

 

 即座に、再度るし★ふぁーに<伝言(メッセージ)>を飛ばした。

 

『るし★ふぁーさん!! 聞こえているなら返事して下さい!!』

 

『…………………………』

 

 返事は何も返ってこない。

 

『変な冗談は止めてください!! 真面目に返事して下さい!!!!』

 

『…………………………』

 

 同じように、返事は何も返ってこない……これでは、無事なのか、そうでないのかも分らない。あの馬鹿(るし★ふぁー)は冗談や嘘が好きだが、一応、社会人ということもあり、真面目に聞けば、ある程度、真面目な答えが返ってくる。

 

 モモンガは無いはずの心臓が大きく鼓動した気がした。いや、まだだ……もしかしたら、これも、るし★ふぁーの冗談かもしれない。この場合は、珍しく冗談であって欲しい。頼む、冗談であってくれ……

 

「たっちさん、弐式炎雷さん、ホワイトブリムさん、セバスとプレアデスに大墳墓の外を確認させたいのですが、よろしいですか?」

 

「構いません」「問題無し……」「構わん、やってくれ」

 

「俺も行く!! 空を探すなら役に立つぜ!!」

 

「わいも外へ行きたいんやが、行ってもええか?」

 

「ペロロンチーノさん、音改さん……お願いします。あの馬鹿(るし★ふぁー)を見つけたら殴ってでも連れてきて下さい」

 

「よし、セバス、プレアデス、来てくれるか? 指輪の力で転移するぞ!!」

 

「「「「ハッ!!」」」」

 

 そう言って、ペロロンチーノ、音改、セバス、プレアデスはナザリックの外へと転移していった。

 

「ウルベルトさん、非常事態ですので、あなたのNPCに指示を出してもいいですか?」

 

「許可を取る必要なんてないよ」

 

 この場にタブラさんがいない……本当は許可を取りたかったが、非常事態なのでやむをえない!!

 

「――それでは、アルベド、お前は第四階層、第八階層を除く各階層守護者に連絡を取り、異常がないか捜索せよ。もし、るし★ふぁーを見つけた場合、即座に我々に報告するように伝達してくれ」

 

「畏まりました」

 

 アルベドが早足で玉座の間を去っていった。

 

「ニグレド、お前は、るし★ふぁーを十分に警戒を重ねてからスキルを使用して探知せよ」

 

「畏まりました」

 

 ニグレドはタブラさんの作成した情報収集特化型の高レベルのNPCだ。複数の魔法を使用し、モモンガから見ても、その場にいるメンバー誰から見ても十分な警戒をして対応しているのが見て取れた。

 

 ニグレドが最後に<物体発見(ロケート・オブジェクト)>を使用した。

 

 その瞬間、ニグレドが業炎に包まれた!! 

 

「きゃあああああああ!!!!」

 

 ニグレドは荒れ狂う業火の中、甲高い悲鳴を上げながら炎の中を踊った。

 

「ニグレドッ!!!!」

 

「見……つ…………け…………」

 

 ニグレドは横になって倒れてしまった。倒れたニグレドの周囲に幾つもの業火の竜巻が噴出し、十六体もの根源の火精霊(プライマル・ファイヤーエレメンタル)が現れた!!!!

 

 さらに、転移系阻害の魔法効果が追加され、<転移(テレポーテーション)>はおろか、<転移門(ゲート)>が封じられ、さらには指輪(リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン)までが機能を喪失していた。これらの機能を復帰させるには、全ての敵を倒すか、猛攻に耐えながらこの場の魔法効果を解除せねばならない。

 

 周囲は業火に煮えたぎり、ナザリック第七階層を思わせる炎熱地獄と化していた。

 

 ……あれだけの警戒をして攻性防壁が発動しただと!? 

 

 情報系魔法探知のカウンター、攻性防壁が作動していた。それも性質が悪く、覗いた者を確実に始末するという、明確な殺意が見て取れた。まるで、やっていることが何処かのDQNギルド(アインズ・ウール・ゴウン)のようだった。

 

 嫌な考えが沸き上がった。こんなことが、るし★ふぁーに可能だろうか? あいつは魔法戦士系を中心にゴーレム作成、罠作成、ワールド・ディザスターの100レベル構成だったはずだ。こんな芸当ができるのは、よほど警戒心が高く、且つ情報系に特化したプレイヤー位だろう。確かに、事前に幾つものアイテムやスキル等を使えば可能かもしれない。だが、この状況でそれをするのか?

 

 視線の片隅にナザリック地下大墳墓の玉座として君臨するワールドアイテム『諸王の玉座』が移った。外部からナザリック内への情報探知系魔法・スキルを妨害する代物だ。これに匹敵するアイテム・設備があるというのなら、それも可能だろう。

 

 有り得るのか……? つい、先ほどまでアイツはナザリックの入り口にいたんだぞ?

 

 いや、考えるのは後だ。今は目の前の問題に対処しなければならない。

 

 倒れているニグレドにレベル88の根源の火精霊(プライマル・ファイヤーエレメンタル)が十六体……自分の弱点属性を突いてくる相性の悪い敵だ。

 

 スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンと神話級のフル装備した状態だと、一体であれば楽勝、二体、三体なら面倒、四体以降は本気を出さねばならない。十六体ともなれば、<|あらゆる生あるものの目指すところは死である《The・goal・of・all・life・is・death》を使用した上で<星に願いを(ウィッシュ・アポン・ア・スター)>を併用しつつ短いようで長い12秒を耐えきるか、経験値を消費して自身の持つワールドアイテムを使用せねば対処できないだろう。どちらにしろ、ニグレドを救いつつ、この状況を打開するのはほぼ不可能だ。

 

 だが、これらは全て、自分一人だけだったらという場合だ。今は自分を含めてこの場にメンバーがたっちさん、ウルベルトさん、弐式炎雷さん、ブルプラさん、餡ころさん、ホワイトブリムさんの七人がいる!! あの三千人ものプレイヤーの猛攻から比較したら、根源の火精霊(プライマル・ファイヤーエレメンタル)十六体なんて、何と他愛もないことだろうか!!!!

 

「<縮地>!!」

 

 根源の火精霊(プライマル・ファイヤーエレメンタル)に囲まれていたニグレドは、いつの間にかモモンガの隣にいる弐式炎雷の両手に抱きかかえられていた。短距離とは言え、こんな瞬時に素早く救出できるのは、陸上で最も素早さが高い彼のみができる芸当だろう。

 

「とりあえず、ニグレドは救出しておいたぞ」

 

「んじゃ、フィールドの属性を変えるね、<大瀑布(グレート・ウォーター・フォール)>」

 

 ブルー・プラネットはドルイドで、マーレと同じように自然の魔法を得意とする。上空に現れた尽きることのない膨大な水量が根源の火精霊(プライマル・ファイヤーエレメンタル)を叩きつけた。周囲は水と蒸気で溢れ、もはや炎の攻撃はモモンガ達に有効ではなくなっているだろう。

 

「異世界初心者だってのに、頭が沸いてるとしか思えねーチュートリアルだな!! クレームもんだぜ!! <超零点空震(アブソリュート・ゼロ)>!!」

 

 ウルベルト・アレイン・オードルはナザリックでも1,2位を争う破壊力の持ち主だ。モモンガの知る、最強に近い氷属性魔法が発動した。極限にまでエネルギーが零に近づいた空間が、時間・重力すらも凍結し、全てが零と化した。水フィールドということもあり、根源の火精霊(プライマル・ファイヤーエレメンタル)全体に致命的なダメージを与え、かつ時間停止の効果を付与させた。

 

 時間停止の効果を受けた根源の火精霊(プライマル・ファイヤーエレメンタル)の前に純銀の聖騎士、最強のユグドラシルプレイヤーの一角と謳われる、たっち・みーが前に出た。

 

 その場の誰もが思った。これで終わりだと。

 

「<次元断切(ワールド・ブレイク)>!!」

 

 通常、時間停止中における全ての攻撃は意味を成さない。だが、空間を完全なまでに断ち切るその斬撃は、停滞中の根源の火精霊(プライマル・ファイヤーエレメンタル)を強引に分断し、位相をずらしてしまう。現時点でダメージ判定は無いが、時間が動き出した瞬間、必殺と謳われるダメージが通っていることだろう。

 

 時間停止が解除されたと同時に、全ての根源の火精霊(プライマル・ファイヤーエレメンタル)が塵と化した。転移系阻害の魔法効果は解除されたようだ。

 

 安全であることを確認した餡ころもっちもちがニグレドに魔法を唱えた。

 

「<天満月の癒し(ルナライト・ヒール)>」

 

 餡ころもっちもちは高位の幻術師だ。太陽の光とは違い、月の明かりは 闇に属する者も癒す。動死体(ゾンビ)であるニグレドを具現化した満月の光で包み込み、万全の状態まで癒した。

 

「あ、ありがとうございます!! 餡ころもっちもち様!!」

 

「この位大したことないわ」

 

 ……流石だ。自分の出る幕すらなかった。恐ろしさすら感じる。

 

 大変、危険な状態だったが、その場のメンバーが阿吽の呼吸とも言える流れるような連携で即座に解決してしまった。もし、熟練のユグドラシルプレイヤーがこれを見ていたら、無意識のうちに喝采を送っていたことだろう。

 

 モモンガは何もなければ拍手したいところだったが、今は緊急事態だ。

 

「ニグレド、何か分かったか?」

 

「はい、一瞬ですが、るし★ふぁー様が見えました」

 

「でかした!! あいつはどこにいる!?」

 

「申し訳ありません、具体的な場所は分かりませんでした。るし★ふぁー様の隣にあった、眩しすぎる何かを見た瞬間、接続は絶たれて攻性防壁を受けました。……このナザリックの中ではない別のどこかに、るし★ふぁー様はいらっしゃいます」

 

「……そうか、分かった」

 

 モモンガは、六大神や八欲王など過去にユグドラシルプレイヤーが君臨していたことを知っている。るし★ふぁーが別の時間軸に転移したのは、ほぼ間違いないだろう。

 

 そして、状況からして、るし★ふぁーは間違いなく悪い状況に陥っている。

 

 今でも脳裏に焼き付いている。シャルティアを精神異常にさせたワールド・アイテム……まさかとは思うが……

 

 もし、そうだとしたのなら……

 

 モモンガに沸々と黒く煮えたぎった怒りが沸いてきた。だが、今は、今だけは怒りに感けている場合ではない。そんな時間は許されていない。

 

 モモンガは<伝言(メッセージ)>を起動し、ペロロンチーノ、音改、セバスたちに即座に帰還するように伝えた。

 

 アルベドには別の指令を送る。

 

『アルベド、先の命令は変更だ!! 緊急事態だ、ナザリックの警戒レベルを最大限に引き上げろ。全ての罠を起動し、万全の体制にしろ』

 

『何かあったのですか?』

 

『後でニグレドから話を通させる。それよりもとにかく、急いでくれ!!』

 

『畏まりました』

 

 諸王の玉座があるおかげで、逆探知はされていないと思うが、ワールド・アイテムがある以上、絶対ではない。万全の体制を取っておくべきだろう。

 

「モモンガさん、ヤバい、さっきからヘロヘロに<伝言(メッセージ)>を送ってるのに返って来ない!! 悪いけど、誰か、あいつの部屋まで誰か一緒についてきてくれ!!」

 

 ホワイトブリムが青褪めた様な声でそう言った。

 

「付いて行こう」

 

「弐式炎雷さん、ホワイトブリムさん、そっちの方はお願いします。万が一の時は即座に撤退して下さい」

 

 弐式炎雷とホワイトブリムが指輪で転移して行く。一体ヘロヘロに何があったというのだろうか? 外には出ていないはずだが……

 

 そうだ、タブラさんもいない……あの人も最終日はいたはずだ。

 

 モモンガは颯爽と今日何度目になるか分からない<伝言(メッセージ)>を起動し、タブラに繋げた。

 

『タブラさん!! モモンガです!! いたら返事してください!!』

 

『おや、モモンガさん。お久しぶりです。3ヶ月ぶりですね』

 

『…………はぁ?』

 

 モモンガには無事という安心感と返ってきた言葉の意味不明さに混乱しかけていた。

 

『皆さん、もう会えないのかなと心配しましたよ。おや、指輪が光っている……ということはナザリックがあるということですかね?』

 

『えぇ、あるに決まってるじゃないですか!?』

 

『……それは、良かった。どうやら私は先行的に異世界へ来てしまったみたいですね。この世界の住人、二人連れて行っていいか検討して貰っていいですかね? その方がこの世界について説明しやすいでしょうし』

 

『……構わないです。ギルマスとして認めます。とにかく今、ナザリックは緊急事態ですので、即座に戻ってきて下さい!!』

 

『……ただ事じゃなさそうですね。すぐに戻りましょう』

 

 モモンガがギルマスとして独断で判断したのは始めてだ。

 

「いやぁ、驚いた、完全にユグドラシルとは別の場所になってたわ」

 

 ペロロンチーノ、音改、セバス、プレアデスたちが戻ってきたようだった。

 

「良かった……無事でしたか……」

 

「モモンガさん、何かあったのか?」

 

「えぇ、大変まずい状況で――」

 

モモンガが喋りかけたとき、<伝言(メッセージ)>が届いた。

 

『ホワイトブリムだ。モモンガさん、ヘロヘロが……なんか……すごいことになってる!!』

 

「…………えっ!?」

 

 

 時は少し遡る……

 

――23:57:48

 

眠い、尋常ではないほどの眠気が周辺の景色をぼやけさせる。これでは話すこと、歩くことすらままならない。普通だったら、コンソールを切って明日の仕事に備えていることだろう。だが今、自分はナザリックの私部屋で休んでいる。異世界へ行くためだ。もし、コンソールを切ってログアウトでもしようものなら、ベッドの誘惑に負け、一瞬で昏睡に陥ってしまうだろう。

 

 隣に連れてきたソリュシャンを見る。美人で仕事を素早く適確にこなすという設定だ。モモンガさんは仕事上でのソリュシャンの演技力を褒めちぎっていた。……まるで自分とは対照的だ。自分も仕事は一生懸命こなすが、なんにしても基本的に文句しか言われない。

 

 転職して得られたのは早朝出勤、深夜帰り、サビ残、薄給……奴隷としか思えない生活。一体、自分は何のために生きているのだろう?

 

 もう少しで明日になる。正直、本当に異世界というのがあるのか自分でも半信半疑だ。ソリュシャンが自立的に動く? 普通のプログラマーだったら鼻で笑って御終いだ。ソリュシャンは0と1で構成された情報媒体でしかない。動くなどありえない。

 

 もうすぐ、もうすぐで異世界だ。ここまで来たら、彼らに付き合ってしまおう。自分もホワイトブリムと同様、勝手に異世界に行けば職場の仲間、親や兄弟に迷惑かけるだろう。

 

 でも、もういいじゃないか……もうリアルの生活は疲れたよ……

 

――00:00:00

 

 ……尋常ではないほどの眠気が急に吹き飛んだ。意識がはっきりとして、自分が自分でなくなったような感覚を受ける。

 

 隣にいるソリュシャンを見た。見てしまった……

 

 あまりにも美しすぎた。人の容姿としてではなく、自分と同じ粘体(スライム)としてだ。ヘロヘロはソリュシャンの筆舌に尽くせない妖美な黄金色に目を奪われてしまった。一瞬、なんでわざわざ人間の姿を取っているのか理解できなかったほどだ。

 

 耐え難いほどの独占欲がヘロヘロの自制心を失わせてしまった。

 

「ソリュシャンッ!!!!」

 

 粘体(スライム)としての自分の体の一部を伸ばし、自分の元へとソリュシャンを抱き寄せた。ソリュシャンからは困惑と戸惑いの表情が見て取れたが関係ない。

 

 ヘロヘロはソリュシャンの体内に自分から入り込む。都合がいいことに、ソリュシャンの服は露出度が高く、簡単に侵入できた。邪魔な服は全て取り払い、ソリュシャンを強制的に人から粘体(スライム)としての形状へと変えてやった。

 

「やっぱり綺麗だ……」

 

 ソリュシャンは透き通った黄色をしており、自ら輝いていていた。その様相からは、幸福、希望、欲求、生命の光など森羅万象を表現しうる――フィンセント・ファン・ゴッホの絵画とは異なるが、本質的には近い――芸術的なものが感じられた。

 

 誰かが自分に<伝言(メッセージ)>を送ってきてる。邪魔だ、無視してしまえ。

 

 あぁ……染め上げたい……自分の黒よりも深い古き漆黒の粘体(エルダー・ブラック・ウーズ)の漆黒で、この美しい者を汚したい……自分の色で染め上げたい……

 

「きて……」

 

 甘い声が聞こえた。ソリュシャンからだ。自分の体の一部がソリュシャンと溶け合って繋がっているせいなのか、今のソリュシャンの気持ちが理解できた。

 

 今のソリュシャンに顔は無いが、恍惚としていて、自分を受け入れてくれようとしていた。

 

 自分は即座にそれに答えようとした。このソリュシャン・イプシロンという存在を一滴も余すことなく全てを染め上げるように、このヘロヘロという存在の全てを叩きつけるように侵食を開始した。

 

 侵食すればするほど、ソリュシャンからの圧倒的な幸福感が自分に伝わってきた。とても心地がよく、永遠にこの状態で有り続けたい。

 

 熱力学第二法則によりエントロピーが無限に増大し続けていくように、濃い液体は薄い液体に対し何もせずとも時間が経てば均一になる。自らのレベル100という暴力的な力も加われば、それは一瞬だ。

 

 遂にソリュシャンという存在の全てを侵食……いや、一つになった、融合したという方が正しい。お互いに自分たちの粘体の中にもう一人の存在が強く感じられる。

 

「ヘロヘロさまぁ」

 

「ソリュシャン……」

 

 お互いに感情、記憶、あらゆる物が入交し、全てを理解した。ヘロヘロはこの場に居続けて異世界を選んだ。そのことに対する深い感謝の気持ちと多幸感が伝わってきた。それに返事すように、この世界に来れた事、ソリュシャンと一つになれたことへの圧倒的な多幸感を返した。分け隔てなく一つになったので、お互いに全てが瞬時に伝わる。

 

「おい!! ヘロヘロ!! 扉を開けるぞ!!」

 

 ホワイトブリムの声と共にガチャリと扉が開いたのが聞こえた。

 

「な、何じゃこりゃあああ!?」

 

 ホワイトブリムと弐式炎雷の目には、散らかったメイド服と肥大化した黒く輝く何かが映った。

 

 

「は、はぁ……融合した……と」

 

「僕たちは今、とっても幸せです」

 

「あ、はい。ちょっと、後でどういうことか詳しく教え――」

 

「只今戻りました」

 

 モモンガとヘロヘロが再開したところで、アインズ・ウール・ゴウンの大錬金術師であるタブラ・スマラグディナが見覚えのある少女と薬師、彼の娘を連れて帰還していた。

 

 あれは確かンフィーレアとニニャか……

 

 三人は驚愕に満ちた表情で周囲を見渡していた。

 

 何はともあれ、この場に我々の仲間、自分を含めて、タブラ・スマラグディナ、たっち・みー、ウルベルト・アレイン・オードル、ペロロンチーノ、ヘロヘロ、弐式炎雷、ブルー・プラネット、餡ころもっちもち、音改、ホワイトブリムの11柱が集結した。

 


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