捏造設定が嘘八百で増加していくので注意して下さい
タブラ・スマラグディナ
「モモンガさん、相談したいことがあります」
そう言ってきたのはタブラ・スマラグディナ、アインズ・ウール・ゴウンの大錬金術師だった。
「はい、なんでしょう」
「異世界への転移後で、NPCの性格は設定に依存するということでしたよね?」
「そうです。設定が薄い場合は製作者の性格に似てくるようになっていましたね」
「ふむ……」
タブラは、何か言いにくげに、悩んでいるようだった。
「何か、悩み事でも?」
「えぇ……」
「言いにくいことなんですか? 水臭いじゃないですか、遠慮せずに聞いてみてくださいよ」
そう言うと、タブラは意を決したように語り始めた。
「ありがとうございます。……遠い昔の話なんですがね……私にはかつて、明るく可愛らしい娘がいたんですよ。だけど、高校に入って暫くして亡くなってしまったんです」
「そ、それは……胸中お察しいたします……」
タブラから告げられた言葉は非常に重いものであった。だが、それとNPCに何の関係があるのだろうか? ま、まさか……
「私は……かつての娘に会いたい……そう考えています」
「……本気ですか?」
「えぇ……ですけど、これが倫理的に正しいことなのか、そして、どのように設定すればいいのか……分からない……」
本来であれば、NPCを作成するというのはただ単にデータを構成するということでしかなかった。だが、自分の発言がNPCを作成するという意味を大きく変えてしまった。
生命の創造……リアルにおいてもクローン技術などがあるが、禁忌とされているのが一般的だ。それも一度リアルで亡くなった人を再現するというのは、死者への冒涜とも捉えかねない。
「すみません。タブラさん、俺がそのことを正しいかどうかは分かりません。ただ、重要なのは作成したことに責任を持つということでしょう。それでNPCは十分に報われると思いますよ」
「……そうですかね、そう言ってもらえると助かります。設定は……どうなんでしょう?」
「設定に関しては私もイマイチ分かりません。たった一つの文章で大幅に変わりかねませんから……実際、アルベドの時は――」
あまり話したい内容ではないが、かつてアルベドがどのように行動していたのかを語った。
「参考になりました。自分なりに考えようと思います。ありがとうございました」
「すみません、あまり力になれなくて」
「いえ、そんなことありませんよ。十分に助かってます」
「因みに、どのように作成されるのですか?」
「大変ですけど、NPC製作可能レベルに関わらない
それは以前のルベドに近い作成方法だった。
「そうですか……では、タブラさんは異世界へ行くことをお考えに?」
「……もし、私の娘に再び会えるというなら、今の社会的地位や家族、友人……何を捨てても構わないと考えています」
それは、極端な考えでは……そう思ったが口にはしなかった。
「何とも言えませんが、タブラさんが納得いくようになればと思います。何か手伝えることがあればしますよ?」
「よろしくお願いします。モモンガさんには感謝してもしきれません。……そういえば、ニグレドはどんな感じでした?」
「物凄く怖かったです……」
「なるほど、そう言って貰えると製作者として冥利に尽きますね」
モモンガは大まかにニグレドのことについて話した。赤ん坊のカリカチュアがないと録に会話できないこと、大量の腐肉赤子、ニグレドは部屋から出られないこと。
「やはり、設定通りなのですね。……遊びではなく、ニグレドが実際に生きるているとなると……このままでは可愛そうなので少しコンセプトを変えることにしますかね……」
「どのように変えるんです?」
「階層守護者のように立ち回らせようかと、……そうだな、アルベドを支える立ち位置で守護者統括補佐というのも悪くないかもしれない」
「それいいと思います。アルベドには激務を押し付けてしまっていて……異世界での彼女の負担を減らせますよ!! あ、でも容姿とか設定は今のままですか?」
流石に、R-18に相当するホラー顔を何度も見ることになるのは断固として阻止したい。
「安心してください。容姿はちゃんと見れるようにします。……そうだな、プレアデスの末子と被っちゃうけど、巫女服をきた可愛くて優しいゾンビ娘とかいいかもしれない!!」
「容姿にギャップ要素を注ぎ込むんですね? 分かります」
「そうです。あぁ、最後に1ついいですか?」
「はい、何でしょう?」
「今後、リアルで何が起きていくのかモモンガさんは知っているんですよね?」
「えぇ、若干おぼろげですが、ある程度は知っています。」
「もし、宜しければ教えてくださいませんか? どんな事件が起きたか、どんなゲームが流行ったか、新薬が開発されたとか、どんなに小さなことでもいいです」
「それを知ってどうするんですか?」
「株、FX、先物取引といった投資でひたすら儲けて、課金ガチャに突っ込みます。……場合によっては、些細なことでも、未来を知っているなら世界経済を動かすことすら可能ですよ?」
「……マジですか?」
「……すみません。ちょっと大袈裟でしたね。でも、やり方によっては、本当に膨大な大金を得ることができますよ?」
Win-winでおいしい話と思えた。ナザリックが強化されるというなら大歓迎だ。
「分かりました。あまり期待しすぎないで欲しいですが……」
こうして、モモンガは朧げながらに未来に起きた話を語った。特に大きな戦争や世界規模の事故というのは、世間話として活用していたので割と覚えていた。タブラは終始、質問しつつメモしながら真面目に聞いていた。
「まぁ、ざっと、こんな感じですかね……あんまり期待に沿えるようなものじゃなかったかもしれませんが……」
モモンガはそう言うと、タブラは――
「フ、フフフフフ、アハハハハハハ、お、面白すぎる!! 面白すぎて頭がどうにかなってしまいそうだ!! モモンガさん!! これは儲けられる!! 期待以上だ!!」
「えっ、そうですか?」
「えぇ、数年後にはナザリックはもはや以前とは全く別のものと化していることでしょう」
「そ、そうですか……それは心強いですが……」
「フフフ……さて、これからやることが多くなりますので、それではこの辺で失礼しますね」
「あの……タブラさん、あまり無理はしないでくださいね?」
「えぇ……分かってますよ」
そう言って、タブラ・スマラグディナは去っていた。
ペロロンチーノ
「モモンガさん、俺やっぱ異世界に行けなさそう……」
「すみません、糠喜びさせてしまって……」
話していたのはペロロンチーノ、ギルド内でも特に親しいメンバーだ。
ペロロンチーノの話によれば、ぶくぶく茶釜に異世界へ行くことを止められたそうだ。
「シャルティアのことはモモンガさんに任せました……」
そう言って、悲しそうに去っていった。
女子会
ナザリック第6層、巨大樹の中
「そう、喧嘩しちゃったの……」
「弟君、異世界へ行ってシャルティアと結婚するってはしゃいでたもんねー」
つい先日、ぶくぶく茶釜とその弟のペロロンチーノは大喧嘩をした。ペロロンチーノが異世界へ行きたいと言い出したからだ。
「やまちゃん、あんちゃん、ごめんね、変なこと相談して」
「ううん、大丈夫だよ。だって弟君のこと心配なんだよね?」
「違うよ、アイツがいなくなったら親が心配するから、私は今すぐ消えてくれても問題ないんだけど」
「もぉ~、素直じゃないんだから~」
「でも異世界っていうのは、すごく……憧れる」
「えっ、そう?」
「リアルと違って環境もすごく良くて、食べ物も美味しそうで、大空を飛べて、夢みたいじゃない?」
「それは、そうだけど……もしかして、やまちゃん、あんちゃんは異世界へ行きたいと思っているの?」
「うーん、僕は行きたいけど……無理かな……明美や学校の子供達のこともあるし」
「私は行きたいわ!! 異世界へ行ったら、空を飛びながら、歌を歌ってみたいわね!!」
「えっ、あんちゃん異世界行くの?」
「えぇ……だってさ、現実なんてつまんないじゃない? 夢を見続けられるなら、私はずっと眠っている方を選びたいわ」
「そっか……」
女子会の後、ぶくぶく茶釜は独り考え事をしていた。
「冷静に考えて、あいつには、悪いこと言ったな……」
私は弟がどれだけ異世界へ行きたいのか把握している。認めたくはないが、アイツと私は似た者同士だ。
アイツは私と同じように、方向性は違うがゲームやアニメが好きだ。
アイツがシャルティアを心血注いで作っていたとき、私は対抗するかのようにアウラとマーレを熱心に作成していた。
アイツがモモンガさんの話を聞いて、シャルティアのことに関して熱を上げていたとき、私はアウラとマーレの色んな妄想をした。
アイツが異世界へ行くと戻ってこれないと聞いたとき、私も同様に落胆した。
今思えば……アイツは私を見て育ったのだろうか? 私のほうが優秀なのには違いないが、本当によく似ている。
私だって、本当は異世界へ行きたい。アウラやマーレと遊んで話をしてみたい。一緒に色んなとこを見て回りたい。一緒に美味しいものを食べたい。魔法を使ってみたい。
だけど、異世界へ行けば、家族を、友達を残していくことになる。それはできない。
……私は姉失格だ。多分、弟のためではない、本当は私自身のために弟と喧嘩したのだ。異世界へ行って欲しくない。アイツと会えなくなる可能性がある、それだけで本当に胸が苦しくなる。きっとアイツは私がこのまま何も言わなければ異世界へ行かないのだろう。
私は、アイツを故意に縛り付けているのだ。
「私は……どうすれば……」
文字数は最低2500字ないとダメだということを今日知ったので、このような形にしました。ご了承くださいまし。