「俺、潔癖症になれるな、これ」
織斑先生のいうとおりに来てしまった男の転校生。
そのせいで四月の惨状とのデジャヴを感じてしまうくらいの廊下の汚れ具合。
清掃ロボをいくら走らせても落ちない汚れ。
すぐに溜まっていく女の子の髪の毛。
絡まって使い物にならなくなる清掃ロボ。
結局俺がやることになる。
「はー、マメができるならせめて箒じゃなくて刀がよかった……」
俺は手のひらにできたマメを眺めながら、たまたま見かけた男の子の転校生くんを思い出す。
「あれかな、竹山さんの言ってた男の娘、って人なのかな」
色々と体を動かしているから分かったのかは分からないけど、なんか身のこなしがやけに女の子っぽかったんだよなぁ。
ま、見間違いかなぁ……。
その3日後。
「転校生君が来ても一番最初の男の子の方のお騒がせ体質は変わらないのかな」
俺は遠い目をしながら日記を書き記していく。
「はぁ、なんでこんなことに……」
俺は学校に備え付けてある重機を運転しながら考える。
今俺はグラウンドにいる。
そしてなぜそんなグラウンドで重機なんかを運転しているのかと言うと、
グラウンドに大穴が空いているのだ。
そう、ぽっかりと、IS1体が余裕ではいるくらいの。
この穴があいた時は流石にグラウンドから遠いところにある用務員室からでもわかった。
すっごい地震だった。
俺なんてすぐさま机の下に隠れたもん。
ってことでぽっかりと空いてしまった、というわけだ。
聞いたところによると、なんか織斑先生のクラスの生徒さんがやったことらしいからなのかは分かんないけど、織斑先生は生徒に埋めさせる、と言っているんだけど……。
いや、こういうのも用務員の仕事だからむしろ仕事を取らないで欲しいんだけどなぁ……と建前を考えながらも、心のどこかではやく来てくれないかなー、なんて本音を心の中でぼやきつつ、俺は重機を運転して土を埋める。
「それにしてもISほったらかしっていいのかなぁ」
土を取りに行く途中、グラウンドに待機状態で置いてある凡庸型IS……打鉄……まぁ、いうなれば武士スタイルのIS、みたいなものが置いてある。
ちなみにこれはこの穴のせいで、次のクラスの授業ができなくなったから、片付けなきゃいけなかったのだが、いかんせん今は授業中なので、待機状態で置いてある。
邪魔といえば邪魔なのだが、俺IS使えないし……。
重機を器用に操り、俺はISの間を進んでいく。
そして、土を埋めようとしたその時、
俺の後ろで誰も乗っていない待機状態のISが突然動き出したのは。
「危ないっ!!」
キーン
後ろで響く剣戟。
俺は突然のことで頭が回らず、とりあえず音のした方へ顔を向ける。
そこには、
「は、はやく逃げてください!」
「な、なんで誰も乗っていないのに……」
「い、いまはそんなことっ!よりっ!はやく逃げてください!」
高校一年生から怒られる成人男性。
なかなか見ることのない光景であり、普段の俺なら心の中でツッコミでもしていそうなのだが、あいにくながらそんなことをしている暇はないため、
「ありがとう!恩に着る!」
俺は重機を運転し、その場から逃げるようにする。
だが、俺は、アクセルを踏んだ途端、ある考えが頭をよぎる。
力を使わないのか?、と
そんなのはわかっている。
使うべきだ。
だけど…………俺は…………
その迷いが俺を振り向かせた。
そして俺の瞳に写ったのは、
1体だけだったはずの動き出した無人機が5体に増え、
それに取り囲まれた男の子のISがリンチにされているところだった。
分割です