IS学園用務員物語   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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第14話

「だいじょうぶかっ?!」

 

「気にしないでっ……ください!!」

 

俺が声をかけた瞬間、男の子のISは横回転に一回転し、周りのISをぶっ飛ばした。

 

俺の方には飛んでこなかったが、五体の無人機は四方に散らばった。

そこで男の子は考えたのか、散らばった五体のISのうちの1人に飛びかかり、数を減らしにかかろうとする。

 

漫画脳で考えれば、とてもいい判断……だけど、

 

 

「早く逃げろ!!」

 

今は増援を呼ぶのが先決だ。

いまの男の子の判断は、退避、という選択肢が最初からない状態である。

そこで俺は気づく、

 

「あ、俺を守ってんのか」

 

俺は弱い人、なんだって。

俺には力がある。

最強の力が。

でも、

 

「それで選択を間違えるのは大人のすることじゃない」

 

軽率な行動をとるのは子供だけでいい。

最悪を考えて最善に近づけるのが大人のやり方だ。

だから今俺がすべき事は、

 

「増援を呼びにいくこと」

 

俺は重機を全速力で走らせる。

はやく、はやく。

逸る気持ちに心臓が追いつこうとする。

俺は校舎の近くまでついて、重機を降りる。

そしてダッシュで校舎に入ろうとしたその時、

 

「やはり、言ったとおりだったな」

 

俺は何者かに首筋を打たれた。

多分手刀かなんかだろう。

視界が暗くなる、思考が沈んでいく。

俺はそのまま、

 

 

 

暗い海に落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、ほんとあれは怖かったなぁ」

 

なんだかいまなら悟れそうだな、と現実逃避しながらもう起きてしまったことを書き申していく。

多分ほかの人に見られても意味不明なことしか書いていない気がするなぁ、これ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねーねー」

 

なにか遠くから声が聞こえる。

 

「ねーねーねーねー」

 

声がどんどん大きくなっていく。

 

「ねーねーねーねーねーねーねーねー」

 

うるさいなぁ……。

 

「こっのぉ、なかなか起きないなぁ……」

 

はいはい、そのままほっておいて。

 

「掘っとく?」

 

「そういう意味の掘っとくではない!!」

 

俺は余りにも俺にとって危険なボケにツッコミをしながら起きる。

と同時に、俺の脳はどんどん覚醒していく。

 

「あれ?なんで……おれは……こんなとこに…………」

 

知らない教室に俺はいた。

用務員である俺が知らないとか割と怖いところなのだが、清掃しちゃいけない区域とか割とあるから、そこらへんかな、とあたりをつけ、自分で納得させる。

 

「そ、それより男の子!」

 

そう、俺は男の子を助けるために増援を…………。

 

「黙っていろ馬鹿者が」

 

「え?」

 

俺の後ろから声がする。

脊髄反射で俺は声の方を向いてしまう。

きっとその時は俺はアホ面をしていたのだろう。

バカを見る目で織斑先生に見られた。

 

「織斑…………先生?」

 

俺の中でめぐるいろいろな疑問を全て込めたセリフだった。

 

「そうだが、なんだ?」

 

「いや……そういうことじゃなくて、俺…………助けを呼びに行って……」

 

織斑先生の見当違いな答えを耳にして、俺は混乱し始める。

 

「私が途中で気絶させて連れ出した」

 

「男の子が危険で…………」

 

「あぁ、一夏なら心配いらない。

 あの後ちゃんと打鉄の遠隔操作は切って、何事も無かったかのようにしたし、私からお前が無事なのはしっかり伝えておいた」

 

「いや、それよりここどこ…………」

 

「それは…………」

 

だが、織斑先生はそんな俺の溢れ出る疑問にひとつひとつ答えていく。

 

だが、最後の質問にだけ、ばつが悪そうに頭をかく織斑先生。

そして、とある方を向く。

俺も自ずとそちらの方に目線をやることになり、そしてそこにいたのは、

 

「やほやほやっほー、みんなのアイドル、束ちゃんだよー」

 

「……………………」

 

「やめろきちんと現実と向き合え、私がやりづらくなる」

 

ハイテンションなうさぎコスプレの人がいた。

いや、現実にそんなものいないということは高校に入る前から知ってはいたが、流石にこんなシリアスな状況でこんなことできるひとがいるなんて考えた途端、なんかもう言葉が出なくなってしまった。

 

「そだよそだよー、この私が君みたいな有象無象に話しかけて上げてるだけで十分感謝してねぇ」

 

そして見事に偉そうときた。

 

「え、だれ?」

 

「あら?知らないの?有象無象の癖にこの天災である私のことを知らないの?」

 

心底不思議そうな顔をするうさぎコスプレ。

なんか段々面倒くさくなってきたなぁ、と思い、織斑先生に視線をやるが、織斑先生からは「もう少し付き合ってやってくれ」という意味の視線を感じる。

まぁ、今はまだだいじょうぶだけど、これから俺の命が危なくなったりしたらどうするんだよ、と俺は心の中で文句を言いつつ、黙って聞いてあげる。

 

「私はかの有名なISを作っちゃったちょー天災うさぎ!篠ノ之束ちゃんである!」

 

しゃきーん、という擬音がぴったりなポーズを取り、自己紹介をする篠ノ之……あぁ……

 

「あぁ、姉か」

 

「ん?その口ぶりだと箒ちゃんのこと知ってるみたいな感じだねぇ」

 

俺はそこで、このイラつくうさぎコスプレに仕返しとばかりに、

 

「あれ?妹を泣かせた篠ノ之さんのお姉ちゃんじゃありませんかぁ」

 

「あ?もぐぞ」

 

「すいませんでした許してください」

 

今でも思うあれは本気の目だった。




織斑君とのラブコメは始まりません。
うさぎちゃんとの出会いです。
分割です。

次で終わらせます。
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