「じゃーんけん」
「「ポン」」
箒ちゃんの世界平和を願う意思は、鈴ちゃんの全てを掴みとらんとする意思を打ち破り、
「じゃあ、私からだね」
「ま、私は高みの見物してるよ」
箒ちゃんは、自分が勝ったことが珍しいのか、ちょっと意外そうな顔をしながらも、木刀を手に取り、準備を始める。
「最初は箒ちゃんか」
「勝てるの?用務員さん」
鈴ちゃんは、少し不安そうに聞いてくる。
「心配してくれてるのかい?」
「違うわよ、負けたら2回も用務員さんと戦わないといけないから、ね」
あぁ、つまり箒ちゃんが勝って、鈴ちゃんが勝って、最初からになる、って意味なのね。…………回りくどい……。
と思いながらも、俺は不敵に笑って見せて、
「いや、勝つよ」
なんか、あんまり接点ないけど、一夏君には、自分で選んだ道を歩んで欲しいと思うんだ。
きっと、彼が……と、考えていると、箒ちゃんは準備を終えていて、
「さ、やりましょう」
と、開始位置に移動する。
俺は、今回は牙突を使うわけでなく、小太刀二刀流にする。
なぜかと言われれば、まぁ、なんとなく、ってのが一番なのだが、牙突は、なんか…………そうだな、なんか、俺にとっては、試合には使えなく、死合に使うって感じだからかなぁ、と自分で負けた時の言い訳になりそうなことを考えていると、
「さ、やりましょう」
箒ちゃんは、木刀を両手に握り、正眼の構えを取る。
大して俺は、軽く構える。
いろいろやってみたけど、二刀とも軽めに構えるのが一番動き出しが早い。
「あー、寸止め3本でいいか」
「そうですね、カウントはどうしますか?」
「そっちで頼むよ」
俺は箒ちゃんと軽くやり取りをして、
「3」
カウントは始まる。
俺は、息を整え、重心を落とす。
「2」
箒ちゃんからは、ピリピリした空気が伝わってくる。
いつもより強めだな。
俺は警戒度を一段階引き上げる。
「1」
箒ちゃんの一撃は重い。
それをどう凌げるか。
「始めっ!!」
瞬間、箒ちゃんがまっすぐ向かってくる。
俺と箒ちゃんの距離は、5m。
この速さで箒ちゃんが向かってくるのならば、二秒とかからずこちらにたどり着く。
「やぁっ!!」
ただ単純な、一振り。
上から下への、一閃。
それだけなのに、俺は危機を感じた。
全力だ。
全力で防がなければ。
その一心で、俺は二刀を揃え、防ごうとする。
だが足りない。
受け流すために角度をつける。
右に受け流す。
そして、衝撃。
「う…………ぐ…………」
俺は思わず苦しさのあまり声を漏らす。
耐えられない。
受け流…………せない?!
くっそ衝撃の直前に角度を変えて、刀に対して垂直に振り下ろしたか。
俺は衝撃にとうとう耐えられなくなりそうになり、
「だめだ」
俺は左に飛んだ。
箒ちゃんからは、え、という声が聞こえたが、俺は気にしない。
そして、左に飛んだ俺は、衝撃も加算され、4、5m飛んだ。
「まだまだ!」
と、着地のために、体制を崩さないように気を張っていると、箒ちゃんが突っ込んできた。
俺は、それに気づき、すぐさま小太刀二刀を構える。
今度は防ぐのではなく、反撃。
「負けませんよ!」
どうやら俺の意思が伝わっているようで、箒ちゃんは真っ向から潰しに来ようとする。
俺は嫌な予感をしながらも、反撃する。
箒ちゃんではなく、箒ちゃんの木刀に。
多分本人にやっても回避されて逆にカウンターし返される未来が見えている。
だから、
「おぅりゃ!」
力一杯に木刀の腹を右から二刀揃えて叩く。
手応えはあった。
が、
木刀を取りこぼさないっ?!
声にはもう出せない。
間に合わないからだ。
死ぬ。
そう考えながらも、俺は回避に移る。
何が使えるか?何を使えば助かるのか、と俺は問い続け、
剣閃の揺らがない木刀に目をつけた。
「いっけぇ!」
俺は、体を浮かし、両手な力を込める。
すると、木刀に力が伝わるわけだが、木刀は揺らがない。
よって、
「あっぷね」
俺の体は少しだけだが横にずれ、凶刃を免れた。
「なんか、いつもと違いますねっ!!」
振り下ろした剣を袈裟で下から切りつけながら、問いかける箒ちゃん。
「ん?どういう意味ぃぃぃぃ?!」
俺は今度は最初から足を地面から離し、衝撃を体全体で受け止める。
しかし、すべて受け止められなかったようなので、後ろに飛ばされてしまう。
2、3mも飛んだけど……
「なんか、とても、やりづらいですね」
箒ちゃんからの追撃は来ない。
おそらく、いつもとやり方を変えていることになにか警戒しているのだろうが、
「これが俺の今現在の最高の戦いだよ」
そう、俺は小太刀二刀流を使い始め、なんとなくだが、その完成系を、作り始めた。
分割です。