「…………フェイント?」
俺は少しの考察のあと、すぐに結果を導く。
正直、箒ちゃんから覇気がどうのこうの言われていたが、よく分からなかった。
いや、そんな少年漫画みたいなことを言われても、俺人間だし、覇気使えないし、武装色とかありますか?、って感じだ。
だが、まぁ、なんとなくだけど、このまんまだと、すんなり逆転されそうだな、っていうのは、さっきの一撃で悟った。
「……分かったところで、今のあなたにはどうにもできない」
箒ちゃんは、俺の首筋から剣を離し、開始位置に戻る。
「どうにもできない、ねぇ……」
なんだか急にがっかりされて傷心な25歳こと俺は、小太刀二刀を構える。
「…………」
無言で迫る箒ちゃん。
今度は防ぐための構えをしない。
自在な剣閃な分、俺に到着するまでに時間がかかる。
だから、あえて構えずに待つ。
「ぬるい!」
箒ちゃんの剣は、真っ直ぐ振り下ろされようとしている。
そこで気づく。
普通に打たれたら間に合わないっ
俺は回避をしようとするが、急なことだったので、体がかわしきれそうにない。
どうする?
考えるよりも先に、答えが出た。
やられる前に、やる。
牙突を練習していた時にたどり着いた真理。
やられる前にやる剣術だからこそ、防御の型は牙突にはない。
そして、そんなものを長年続けてきた俺には、そんな思想がしっかりと染み付いていて、こんな危機的な状況だから、思わずそんな考えが出てしまった。
俺は回避をするのをやめ、前に出る。
一歩退ければ、回避はできた。
だが、半歩あれば、
「くっ」
箒ちゃんの悔しそうな声と共に、俺の薙ぎ払いを後ろに下がって避ける。
すると、必然的に俺への凶刃もなくなるわけで、
「馬鹿なんですか?」
箒ちゃんが聞いてくる。
「やる気がないのかと思えば、自殺紛いのカウンターを仕掛けるなんて、普通しませんよ」
「いや、こっちの方が早いと思ったからさ」
苦笑いしながら返答すると、箒ちゃんは静かに構える。
ふぅ、という箒ちゃんの一息が聞こえた瞬間、走り出す。
箒ちゃんが?
いや、俺が。
よく良く考えたら、相打ちでも勝てることに気づいた俺は、相打ち覚悟で攻める。
だがしかし、考えてみれば、俺は今まで小太刀で攻勢に出たことがなかった。
そんなことを考えながら、小太刀の間合いな入ろうとすると、その前に箒ちゃんの間合いに入っていた。
当然、獲物の長さの違いから、突然なのだが、俺が相打ちするためにはこれを防がなきゃならない。
箒ちゃんは、後ろに下がりながら左から右への中段のなぎ払いをしてくる。
箒ちゃんは、俺が自分の意思で近づいてくるのを阻止したいようだ。
あ、そっか、単純に二刀あるんだし、手数では勝てるんだよな。
だから自分の間合いのみでやりあいたい、と。
ここで退けば、おそらく箒ちゃんのペースになると思う。
だから、俺は回避をせずに、
「ぬおぉっ」
逆手に持ち替え、腕に密着させた左の小太刀で受け止めながら、右の小太刀で攻撃をする。
しかし、あまりにも箒ちゃんの一撃の威力が強く、前への1歩を踏み出せず、代わりに右に飛んで、威力を殺す。
俺は飛んだ後、着地してからすぐに距離をとる。
そこで、気づく。
あれ?これって、四乃森蒼紫のやり方じゃね?
と。
分割です