IS学園用務員物語   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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第25話

四乃森蒼紫は、小太刀二刀流の俺の師匠であり、目指すべき目標であり、超えるべきものである。

 

しかし、最初、俺は小太刀二刀流を使うにあたって、参考にするものの少なさに嘆いていた。

 

牙突の方は、型の少なさや、きちんとした説明、自分なりに勝利の理論を構築できたことができたので、完成させることができた。

 

しかし、先程も思った通り、小太刀二刀流は、あまりにも現実離れしすぎているのだ。

 

「はっ!」

 

再度俺は攻める。

今までは守りに重点を置くあまり、自分から攻める、ということがなくなっていた。

攻めるとしてもカウンターだけであり、自分から攻めることも、ましてや自分から攻める意識、というものもなかった。

 

当然、先ほどと同じく、箒ちゃんが剣の長さを生かして先に攻撃を仕掛けてくる。

 

今度は得意の袈裟斬りだ。

左から右へのそれを、俺はさっきみたいに突っ込んでいく。

 

だがしかし、今度は受け止めるではなく、受け流すように試みる。

 

それも、二刀を使わずに左手の小太刀のみでで。

 

当然、今まで二刀を使ってギリギリ防げていた箒ちゃんの剣は、衝撃のあと、防御のための俺の左手の小太刀を押し込んでくる。

 

俺は、そこで小太刀に角度をつけ、さらに、円の動きを追加して、衝撃を和らげようとする。

 

角度をつけて右に受け流す。

少し押し込む力がゆるくなり、箒ちゃんの剣は右に動く。

それに追加して、時計回りに回転して、右手の小太刀で箒ちゃんを狙う。

 

その時の箒ちゃんの顔を、何故か俺はしっかりと見た。

 

驚愕と、ほんの少しの恐怖を伴った顔。

 

「っ?!………………はぁ……はぁ…………」

 

結果から言うと、よけられた。

しかし、箒ちゃんの手には木刀はなく、その顔には、冷や汗を大量にかいていた。

 

「……………………負けです」

 

箒ちゃんは、しばらく考えたかと思えば、負けを認めていた。

 

俺はホッとして構えを解く。

 

「あなたじゃないですから、素手で武器を持っている人に勝てるなんて思いませんよ」

 

と、箒ちゃんは額の汗をぬぐいながら、歩いて木刀をとる。

俺はその様子に違和感を感じた。

そして、俺は、

 

「なんで気づいたんですか?」

 

箒ちゃんへと剣を向け、その眼前へと切っ先を向ける。

 

「うーん、違和感を感じた、っていうのが理由だけど、後付けでどんどん思いついてきたよ」

 

「まず、箒ちゃんの負けを認めます、ってセリフ。

 そういえば1回も降参で模擬戦終わったことないなぁ、って思った。

 いつもちゃんと三本とってから終わってたのに」

 

「それと、次のセリフ。

 武器がないと勝てない。

 それだけならよかったけど、その後何も言わずに武器、取りに行ったよね」

 

「それと最後」

 

「まだ諦めてなかった」

 

俺は箒ちゃんの瞳を見る。

 

「はぁ、やっぱり大人には叶わないですね、こういうことは」

 

「でも、その心意気は素晴らしいと思うよ」

 

俺は素直にそのルールから外れた行動をしよう、という意思に尊敬の念を抱いた。

だって、俺なら真正面から立ち向かうしか能がないから。

 

「だけどね」

 

俺は小太刀を引き、小太刀二刀を虚空に放る。

 

箒ちゃんの目は、小太刀に吸い込まれる。

 

俺は小太刀を捨てた状態から、流れるように牙突の構えとうつり、

 

「こんなんで得た勝利に、箒ちゃんは意味があると思う?」

 

素手で牙突を放ち、その眼前に拳を放つ。

 

「……………………」

 

箒ちゃんは、少し黙り、4本目です、といって、武器を取り、下がる。

 

「意味、ねぇ」

 

それに対して、凰さんは昆を持ってこちらに歩んでくる。

 

「恋する少女に意味とかどうとかはちょっと、ねぇ」

 

凰さんは、開始位置に立つ。

 

「ま、これで私の一夏とのペアの権限は確定したわけだし、行くよ」

 

凰さんは構える。

俺は、投げ捨てた小太刀二刀を取り、静かに開始位置に戻り、構える。

 

「あ、そういえば、疲れてない?」

 

「いや、大丈夫だよ」

 

俺は、一度だけ深呼吸をして、先程の戦いを思い出す。

さっきの戦い方が、おそらく、完成とは言わないけど、より完成に近い形の、小太刀二刀流。

 

その感覚を、休んだせいでつかみ損ねるのは、少し惜しい気がしたから、俺は疲れている体に鞭打って、集中する。

 

「3」

 

凰さんはカウントを始める。

 

「2」

 

その構えからは、自信と勝気が溢れていて、俺はすごいと思う。

 

「1」

 

だけど、

 

「始め」

 

今の俺なら負ける気はしない。




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